インフィニット・ストラトス: Reorigin;The World She Chose   作:笑嘲嗤

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第1話 始まりは星空

 夢を見ていた。まだ幼いころの話だ。篠ノ之神社の境内。夜の星空の下で俺は束さんが出してくれた望遠鏡で空を見ていた。

 

「いっくん。楽しい?」

 

「うん!すごく綺麗だ!」

 

 束さんは優しく微笑んでくれた。あの頃からとても綺麗な人だった。だけどその視線はどこか遠くをいつも見ていた。だからその視線に入りたいって俺は思ったんだ。

 

「俺は将来宇宙に行くんだ!!」

 

「いっくんもなの?私もそらに行きたいんだ。同じだね」

 

 それが嬉しかった。だから幼い俺は他愛もない宇宙の夢を語っていたんだ。行ってみたかった。ブラックホールや銀河団。この世界の果て。それを見てみたい。ただただそう願った。

 

「いっくんはそらをとべる翼があったら嬉しい?」

 

「うん!」

 

 何が始まりだったんだろう。そう振り返っても答えは出ない。

 

「束さん!もし俺が宇宙に行くときは!」

 

「なあに?」

 

「一緒に行こうね!」

 

 束さんは目を丸くしていた。だけどとても嬉しそうに俺と指を切ったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Stratos: Reorigin;The World She Chose

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これはきつい。周りは女の子ばかり。居心地の悪さが半端ではない。しかも美少女しかいないのが余計に拍車をかける。胸が不自然に高鳴るのが感じられる。

 

「わたしは皆さんの副担任の山田真耶です!」

 

 副担任が自己紹介するが、教室は誰も反応しない。みんなの視線が俺に向いているが痛いほどわかる。

 

「ええ?えーっと。あはは」

 

 山田先生も困っているようだ。誰かなんか言えよ。マジで。

 

「あはは。やっぱり皆さん気になっちゃいますよね……織斑くん」

 

 俺の名が呼ばれる。自己紹介しろよってことだろうね。はいはい。俺はしぶしぶ立ち上がり教室のみんなに振り向く。

 

「お騒がせしてすみません。織斑一夏です。男性ということでご迷惑をかけると思いますが、よろしくお願いします」

 

 いますぐに退学にしてくんねぇかな。俺はもともと男子校に行くはずだった。勉強を精一杯して日本で一番偏差値高いところにせっかく受かったのに。なにが悲しくて女子校なんぞに入学することになるんさ。

 

「やっぱり似てるよね」「顔はいいよね」「性格も穏やかそう」「織斑先生に似てるのキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」

 

 誰もが姉の織斑千冬を連想している。まあそれはいいけど。

 

「はい。皆さん。織斑君は唯一の男性ですが、仲良くしてくださいね」

 

 山田先生がしきりなおす。俺は座り、他の子たちの自己紹介が始まる。

 

「布仏本音でーす。おりむーよろしくー」

 

 だけどみんな俺に向かって自己紹介する。みんなにやれよ。てか変なあだ名付けるな。俺に向かって自己消化しなかったのはセシリア・オルコットとかいう奴くらいだ。そして彼女の番が来た。

 

「篠ノ之箒だ。よろしく」

 

 ツーンとした紹介だった。そしてその苗字を聞いて教室がざわつく。

 

「やっぱり」「篠ノ之博士の」「やっぱりISもすごいのかな?」

 

「姉さんのことは私には関係ない!」

 

 箒が机を叩いた。それは悪手だろ。教室の連中がみんな引いている。俺だって引く。しばらく会わないうちにとげとげしくなってる。まあ無理もないか。束さんは行方不明だし。世界にISなんていう特大の爆弾を落としていったくせに。

 

「騒ぐな」

 

 教室はその声で静まり返った。俺の姉の千冬が教室に入ってきた。あーそういうことね。

 

「私がお前たちの担任の織斑千冬だ!」

 

 それだけで女子たち大騒ぎ。女子校の王子様って感じ。女子のキャーキャーしたノリについていける気がしない。こうして俺のIS学園での生活がはじまってしまったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 休み時間になるとすぐに人に囲まれた。色々質問攻めにあう。俺は内心鬱陶しいと思いながらも相手をした。正直に言ってやだ。手が震える。ポケットに手を入れて誤魔化してるけど、きつい。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「えーっとオルコットさん。なにかな?」

 

「あらちゃんとわたくしの名前を憶えているのですね。関心ですわ。男性にしては礼節を弁えているのですね」

 

 礼節らしきものがない奴にそんなこと言われたくない。これがブリティッシュジョークって奴かな?

 

「まあでもあまり調子には乗らないことですわね。本来女性にしかISは扱えないのですから」

 

「あはは。そうだね。もし困ったらオルコットさんに頼ってもいいかな?」

 

 こういう奴は持ち上げておくに限る。

 

「ええ。そうやって謙虚であれば可愛がってもよろしくてよ」

 

 それだけ言って満足したのかオルコットは俺の席から離れていった。よかった。あの手の手合いは直感的には赤信号だ。敬して遠ざけられるならそれに越したことはない。まったくなんでこうもめんどくさいことになるのやら。

 

 

 

 

 

 

 

 授業もきつい。IS理論については素人同然だ。他の科目なら何とかなるが、ISはきつい。ぶ厚い電話帳みたいなやつを読みこむのに本当に苦労した。

 

「ではGMP値について。織斑君。説明できますか?」

 

 山田先生に質問された。

 

「はい。GMP値とはGeneral Morphophyse Patternの略称であり、ISと人間の動作のシンクロ率を数値化したものです。この値が高い程、一般的にはIS操縦の能力も高い傾向が見られます」

 

「はい。その通りです。よくお勉強できてますね。安心しました。では続けてですが、IS委員会とアラスカ条約について説明してください」

 

「アラスカ条約は国際連合常任理事国である米中露英仏の五か国によるIS管理の国際的枠組みです。ISの保有国を常任理事国プラス日本にのみ限ることでISという高性能兵器の拡散を防ぐことが狙いです」

 

「素晴らしい説明です。ではこの六か国以外の例外の保有国がどこかは知っていますか?」

 

「ドイツと韓国です。ドイツはNATOの枠組みで米国からシェアリングという形で貸与を受けています。韓国はUNC、つまり国連軍司令部監督下で配備されています。これらは厳密には保有国ではなく、運用国に分類されます」

 

「その通りです!花丸です!」

 

 ISは日本だけが持っていた。というか束さんが置いていったというべきか。白騎士事件でその能力が明かされてからは、五大国が日本に一斉に圧力をかけて、ISは分配されることになった。日本も抵抗はしたが保有国としては認められた。世界の安全保障は大きく変わった。核の時代が終わったと人々は束さんを褒めたたえた。だけど多分。世界の本音はきっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宛がわれた寮の部屋に入った。デスクが二つベットが二つ。高級ホテルみたいな快適さ。男は俺だけだからここは一人で扱う。俺は窓際のベットに横たわる。星空が綺麗だ。

 

「む。同室の者か?私は篠ノ之箒。よろしく……一夏?!」

 

「ええ?」

 

 風呂場から裸にタオル巻いただけの箒が出てきた。俺は舌打ちしたくて仕方がなかった。なんか悪意が働いてる気がする。まあただのアホミスな気もするが。名前だけ見ると俺は女子に間違われそうだしな。

 

「な、なんでお前がここにいるんだ!!」

 

 箒は通路側のベットの下から竹刀を取り出し俺に向ける。

 

「それはしまってくれ。不快にさせたなら謝るよ」

 

 俺はすぐに箒から目を反らして、窓の方に体を向けた。

 

「だからなんでここにいる」

 

「案内された部屋がここだった」

 

「男女七歳にて同衾せずという言葉を知らないのか!」

 

「俺だって知ってる。多分事務手続きのミスじゃないか。山田先生に確認取ろう」

 

 どうでもいいが、早くこの部屋を去りたい。裸の女性と一緒なんて気が気じゃない。やっぱり手が少し震える。まだ知っている方の箒なのに。

 

「お前が私に会いたいと思ったんじゃないのか?」

 

 箒はどことなくしゅんとした声を出す。

 

「会うんならちゃんと会いたい。こんな形での再会は嫌だよ」

 

「そ、そうか。今から着替えるがこっちを見るなよ」

 

 見ねーよっていったら女性は傷つくだろう。だから俺は黙っておく。

 

「もういいぞ」

 

「久しぶりだな箒」

 

 俺はベットに座り箒と目を合わせる。

 

「ああ。久しぶりだな。だが聞きたいことがある」

 

「なに?」

 

「なんで剣道の全国大会に出なかった?!お前なら出られるだろう」

 

「出たかったよ。だけど色々あって行けなかった。すまない」

 

 あれは本当にひどい事件だった。いまでも思い出すと震える。姉さんと決定的に断絶したのもあれのせいだろう。

 

「そうか。いや。まあ事情があるなら仕方ないな」

 

 箒はどことなくもじもじしている。

 

「部屋のことならすぐに山田先生に処理してもらおう。一緒の部屋で寝ることはないさ」

 

「……お前は私と同じ部屋なのは嫌なのか?」

 

 お前が男女同衾とかいってたんじゃねえの?だけど女に理屈の筋なんて求めるのはバカのすることだ。

 

「お前が一緒なら嬉しい。けど学園は許さないだろう」

 

「そ、そうか。そうだな。うんうん」

 

 勝手に納得してくれた。めんどくさい。すぐに山田先生に電話をかける。そして事情を説明した。だが。

 

『すみません!部屋の空きがないんです!調整に時間がかかります!しばらく待ってください!』

 

 俺は天を仰いだ。

 

「箒。しばらくよろしく」

 

「え?ええ?!」

 

「俺は風呂に入るよ。覗くなよ」

 

 せめてくだらないジョークくらい言わないと落ち着かない。勘弁してほしいよ。まったく。

 

 

 

 




束との幼い約束(*´Д`)

ラブコメですね!!
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