インフィニット・ストラトス: Reorigin;The World She Chose   作:笑嘲嗤

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第5話 突きつけられる弱さ

 俺の専用機は産廃。そう結論付けた。

 

「私は雪片だけでモンドグロッソを勝ち抜いた」

 

 自慢話乙。姉の自慢話はどうでもいい。

 

「山田先生。これなんとか武装増やせないんですか?」

 

「すみません。ほぼゼロなんです」

 

「マシンガン一個くらいは?」

 

「性能の高くない奴なら尾翼などにつける手もあります」

 

「そうすか」

 

 駄目だ。この機体はマジでゴミ。

 

「お前は使う武器を選べるような立場か?」

 

 この発言はスルーしよう。

 

「ラファールとか回してもらえませんかね?山田先生」

 

「それは出来ないです。ごめんなさい」

 

「四組の日本代表候補生がたしか打鉄の発展機ですよね?交換とか持ち出せませんか?」

 

「お気持ちはわかりますが、これは国連の決定なので」

 

「素人の俺にピーキーな機体を割り振った馬鹿は誰ですか?」

 

 俺がそう言うと山田先生は姉の方を見た。あーそうっすか。自分の弟に自分と同じ装備とスキルを継承させたのね。あほだろまじで。

 

「基本動作の訓練はともかく、これで戦う気は無理です。危なくて使えない」

 

「そもそもISは完成されていない。様々な武装を駆使するよりも一つのことを極めてみることでより戦う力が得られる」

 

 アホは放っておいて、山田先生と話す。

 

「とりあえず文句だけは公式に上申したいんですけど」

 

「それなら所定の書式を持ってきます」

 

「で今度のクラス代表戦はラファールの方を使います」

 

「わかりました。そう手配します」

 

 山田先生は俺の話を聞いてくれるからいい。姉の方はなんも話が通じないので、本当に使えない。

 

「零落白夜は相手の装甲を貫く最強の剣だ」

 

 だからなに?あたんなければどうとでもなるだよ。使うたびにシールド削れるロマン装備なんて使う気にはなれない。ばかばかしいと本気で思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鈴とはなんも話し合いが通じない。あの日以来避けられている。話しても世間話だけだ。そして気がついたら、クラス代表大会の日がやってきてしまった。

 

「がんばれーおりむー!」

 

「ファイトですわ!」

 

「負けるな一夏!」

 

 みんなは応援してくれるが、心は重いままだ。一回戦は勝てた。だけど二回戦ですぐに鈴と当たることになった。

 

「しかし来賓の方々が多いですわね」

 

「おりむーを見に来たのかなー」

 

「多分違う。名簿を確認すると各国の軍参謀とか研究者ばかりだ。見に来たのは多分鈴の方だよ」

 

 第一回戦の鈴は圧倒的な強さだった。相手は第二世代機だったとはいえども、それでも技量がずば抜けて高い。結局特殊兵装も使わずに近接戦闘で一方的に凹ってしまった。あれは機体性能じゃなく純粋に腕前の問題だった。

 

「あの強さはすごかった。だがいいのか?一夏には専用機があっただろう?なんでラファールなんだ?」

 

「あの産廃で勝てるわけねぇ。特攻専用のアホ機体だ。あんなの振り回す奴の気が知れない」

 

 主に姉のことだが。ああいうのは俺のような小賢しいタイプとは合わない。使い勝手の悪すぎるごみはいらない。

 

「どうですか織斑君?」

 

 山田先生が俺のドックに来てくれた。

 

「ラファールの調子はいいです。山田先生の調整の御陰です」

 

「いいえ。機体の性能を引き出せるのは織斑君の努力ですよ。教師として誇らしいです」

 

 よかった山田先生を失望はさせてない。この人は嫌いにはなれない。わりと頑張る理由になってくれる。

 

「さて次の鳳さんの機体なのですが」

 

「どうなんでしょうか?」

 

「空間を直接揺さぶる衝撃砲がとても厄介なはずです」

 

「さっきの戦いでは使うところが見られなかった」

 

「ええ。そっちも厄介な話です。鳳さんは圧倒的な技量を誇っています。正直に言います。織斑先生を除いた教官の誰よりも彼女は強いです」

 

 それを聞いて心が穏やかにはならない。だがやっぱりかという納得はあった。

 

「あの人はそんなに強いのですか?!」

 

 セシリアがすごく驚いている。セシリアはこの間の授業で山田先生にボコボコにされた。第二世代機相手でだ。学園の教官は伊達ではないのだ。

 

「凄まじい強さです。その上まだ底が見えないのが恐ろしいです。織斑君も器用に戦いますが、彼女はもっと器用なはずです。むしろ第三世代の実験機に乗せられているのがハンデにさえ思えます。彼女は安定した第二世代機で戦った方がより強いでしょうね」

 

「機体の方がハンデになってんのかよ」

 

「信じられませんわ!なぜそんな方がいままで公表されてこなかったんですか!?」

 

「それは中国の、おそらくは……いいえ。やめおきましょう。他人のプライバシーを掘るのはいいことではありませんから」

 

 鈴は何があったんだ。なんでそんな強さを手に入れた?納得のいかないことが多すぎる。そして時間が来た。

 

「織斑君」

 

「なんですか先生」

 

「それでもあなたは毎日強くなっています!魅せてください!その姿を!」

 

「ありがとう。じゃあ行ってくるよ!」

 

 俺はアリーナに向かって飛び立つ。そして所定の位置まで飛ぶ。すでに鈴はそこにいた。

 

「一夏」

 

「鈴」

 

「あたしに負けたら学園を出ていって」

 

「悪いけど、俺はもうここで生きてかなきゃいけないんだよ」

 

「そう。残念ね」

 

 その時、背筋が震えた。鈴の目がとても冷たいものに見えたから。殺気だ。初めて感じた。俺の心臓をまるで握りつぶそうとしているかのような圧力。何を見てきたんだ?なんでそんな目ができる?どうして俺はそれを知らないんだよ……。

 

「じゃあ。少し痛いけど。我慢してね。すぐに終わらせてあげるから」

 

 試合開始のブザーが鳴る。その瞬間鈴が動いた。早い?!だけど機体の性能の問題じゃない。これは反応の速さだ!俺は一瞬で距離を詰められた。そして持っている青龍刀が俺の胸を掠めた。

 

「安心しちゃだめだよ」

 

 ふっと鈴の姿が消えた。そして俺の背後に現れた。

 

「クイックでめくったのか?!」

 

 俺は背中を切られて大きくシールドを減らす。すぐに距離を取って、射撃戦に移行する。だけど。

 

「なんで当たんないんだよ!」

 

「視線を見れば、当たらない」

 

 全部紙一重だ。本当にミリ単位で銃弾を避けてる。最低限の動きだけで全部弾を避けていく。おれはすぐにスモーク弾をまき散らす。周囲に煙幕が散る。これで姿を隠せる。時間が。

 

「稼げないよ」

 

「な?!」

 

 いつの間にか背後にいた。何とか斬撃を避けたが、それでもかすってシールドが削られる。高度を取って、弾をばら撒く。だけどやっぱり一発たりとも当たらない。鈴が俺の懐に入った。おれはすぐに刀を抜く。相手の青龍刀をそれで受ける。

 

「そうなんだ。でも二刀流できるんだよね?あたしもできるよ」

 

 すかさず鈴はもう一本の剣をコールした。俺も刀をもう一本呼び出す。そこからはひたすら相手の斬撃をしのぐだけしかできなかった。押し込まれていく。鈴の剣の方が俺よりも速い。気がついたら壁際まで追い詰められていた。

 

「剣だけじゃないんだ」

 

「ぐはぁ!」

 

 俺は思いきり腹を蹴られた。そして壁にぶつかる。そして刀の一本を弾き飛ばされた。

 

「じゃあ終わりにするね……ごめんね」

 

 そして青龍刀を振り下ろしてきた。その時だった。視界の隅にISの反応が出た。そして煌めく何かを見た。

 

「危ない!」

 

「あっ」

 

 俺は鈴を押し倒す。するとさっきまで俺たちがいた場所をビームが通り抜けた。

 

「え?乱入?」

 

 鈴はすぐに体制を立て直してビームの放たれた方を向く。そこにはいっきのISがいた。だけど顔を隠している。ステータスには所属不明機と表示されている。

 

『試合は中止!!教官たちはすぐに避難誘導及び正体不明機の迎撃に当たれ!!』

 

 姉の声が響く。なんだこの状況。

 

「どこのバカが殴り込みなんてしてきたのかな?はぁ」

 

 鈴も呆れている。俺だってそうだ。しかしステータスモニターに通信が入ってきた。

 

「織斑君!」

 

「山田先生。状況は一体?」

 

「あなた方はすぐに逃げてください!こちらは今アリーナが封鎖された上に最大級のバリアーがクラッキングで張られたためにそちらに行けません!生徒の非難も出来ていません!とにかく逃げ回ってください!!」

 

「まじかよ」

 

 すると通信を聞いた鈴が俺と敵ISの間に立った。

 

「おい。なんのつもりだ鈴!」

 

「一夏は下がってて。あいつはあたしが仕留める」

 

「それなら俺だって」

 

「あたしより弱いのに何言ってるの?」

 

 それは俺にとっては痛い言葉だった。ただ俺は鈴を。大切な人を守りたかっただけなのに。なのに俺にはその能力がないと、はっきりと突きつけられたのだ。




鈴は本作では鬼つよです。学生たち相手じゃ歯が立たないレベル。
対暗部用暗部さんとかも無理です。
実力が一番近いの千冬です。その領域にいます。
おっぱいデカいし、こういうのが二次の醍醐味ですね(*´Д`)
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