インフィニット・ストラトス: Reorigin;The World She Chose 作:笑嘲嗤
男、感じの漢って書いておとこ。まじかよ。地獄に天使が降りてきたぞぉ!!内心ガッツポーズを挙げたくて仕方がなかった。
「騒ぐな!!すぐにIS実習だ!準備しろ!!織斑はデュノアは案内しろ。いいな?」
「はい!!了解いたしました!!!」
「お、おう?」
姉相手に久しぶりに返事をしてしまった。俺はシャルルの背中を押して、廊下に連れ出す。
「なんであんなにみんな騒がしいの?」
「そりゃここは女子高だからな。まあそれはいいさ。急ぐぞ。男子の更衣室は少し遠いんだ」
シャルルと小走りで更衣室に向かう。すれ違う女子たちに群がられたが、華麗にスルー。
「ここがロッカーだ」
「こんなに広いのに専用なの?」
「当たり前だろ。裸になるんだから」
「は、裸?!」
何を驚いているんだろか?よくわからないが、俺はすぐに制服を脱いで真っ裸になる。シャルルはすぐにそっぽを向いた。
「このスーツ裸じゃないと着れないのがいやなんだよな。パンツくらい好きなものを選びたいよな!はは!」
俺はボクサー派だが、それすら駄目なのである。まじでクソ。男の裸なんて好むISはバカとしか思えない。
「まったく。このぴったりくっつく感じがなんか変なんだよな。そう思わないか?」
「え?」
俺がシャルルに振り向くとすでに彼は着替えていた。
「中に着てたのか?小学生?」
「なんで小学生?」
「いや。小学生ってプールの日に水着着て学校来ちゃうじゃん。あ、それはフランスには当てはまらないのか」
「て、うそぉ?!」
シャルルがまた俺に背中を向けた。俺は自分の下をみる。履いてなかった。
「見られてしまった。婿にいけない!きゃん!」
俺はふざけてみる。
「し、し、しまってよう!
「なんだよう。これくらい普通だろ。あーさっき見せてなかったのがわかったぞぉ!」
シャルルがびくっとする。これはあたりだな。
「剝けてないんだろ?」
「剥け?」
「気にするなよ。俺も最近まで皮被ってて気にしてたけど、気がついたら剝けてたからな。そのうちなんとかるさ!ははは!」
「皮?」
あーこれはまだ日本語の細かいニュアンスが通じてないっぽいな。まあいいか。俺がフランス語を教わって、お互いに語学を高め合うのもいいだろう。そして下も着て、俺たちはアリーナの方に出た。
「今日は二組と合同だ。このグループは専用機持ちが多いので、そいつらを中心に組んでもらう。織斑、鳳、オルコット、それにデュノア。それぞれ班長をやれ」
「山田先生!」
俺は姉のふざけた指示を否定するために山田先生に話しかける。
「なんでしょうか織斑君」
「俺は専用機忘れました。ラボに置きっぱなしです。あとシャルルはまだこっちに慣れてない。ISの操縦だってそうだろう?慣れてない男子が教えるのは他の女子たちへの迷惑になる」
「デュノア君は操縦慣れてますよ」
「え?」
「はい。多分織斑君よりも慣れてます」
「そうなの。そうですか……」
まあよくよく考えるとそうだろう。多分発見されてからすごく訓練つまされたんだろうということは想像に難くない。これは俺が間違ってたな。
「織斑。専用機を忘れただと?専用機が与えられていることの意味を真剣に考えていないのか?!」
「山田先生。あの専用機は産廃なので教えるのに不向きです。それに持ち歩く義務はないですよね?」
「え、えーっとはい。織斑君が言う通り、法的には持ち歩く義務はないです。普通はつねに持ち歩きますけどねぇ。うーん。織斑先生。とりに行くのもあれなので、織斑君を外して三人中心にしましょう」
「はぁ。仕方がないな。まったく」
そう言うことになった。女子たちはデュノアに群がる。シャルルは混乱している。IS学園の洗礼にもまれるシャルルがかわいい!まじで天使だ。あとで慰めてやろう(使命感)。俺はシャルルをとりあえず泣く泣く放置して、鈴のところに向かう。
「よう。鈴。教えてくれるよな」
「……あんたのそういうところは尊敬するわ」
「褒めてねぇな?」
「尊敬はする」
鈴は肩を竦めている。そして俺の周囲に女子たちが群がってくる。セシリアは人気がない。
「なんでわたくしのもとに誰も来ませんの?!」
「私でよければ、教えてくれるか?」
「ほうきさんぅ!!」
女子同士の友情は尊いなぁ。その後、山田先生がため息をつきながら、割り振りを行った。人数は適切に分配された。
「今日は間違ったケースの乗り方をやれと言われたわ。こうやって直立不動状態で待機に入っちゃった機体に乗るケースは十分に想定されるの」
鈴の何処か甘ったるい声を聴きながら、俺は体育ずわりで聞く。直立不動の機体に鈴は華麗によじ登っていく。一瞬突き出されたお尻の形が昔と違って大きい。丸い。腰からの曲線が綺麗。安産型かな?とか軽口言いたい。昔なら鈴が起こってぽかぽか拳を肩に叩いてきたけど、今はどうだろう。
「あんたは何を想像してるのかしら?」
「別に何も」
「そう?平和ならいいけど。じゃあ機体を二つ並べたわ。一夏とあたしが補助につくから二人ずつ乗っていってね」
そして女子たちが俺の方に並ぶ。いつもと違って背中をかすわけじゃないんだけど?
「いざってなったらお姫様抱っこですよね?」
「わりとまじでそれはやらないでね。本当に」
一メートルは一命とるという諺がある。高所作業は危ない。まあISが軍事および競技に使われる以上こういう実習も必要なのは仕方ないが。なんか組体操を思い出す。あれって今思えばくそ危ないよな。国はまじで廃止した方がいいと思う。さて心配なく女子たちは乗り込んでいった。こういう時は意外にふざけないのが家の生徒だ。そもそも運動神経もいい奴しか入れないし。なんだかんだとエリートである。
「じゃあ全員乗ったわね。これから集団飛行に入るわ。息を合わせる。なんていうくだらないことは言わない。自分の役割に徹すること。常に与えられたペースを維持すること。集団飛行は衝突の危険が常に付きまとうわ。まあどうせISの絶対防御があるから気楽にやってね」
そして鈴が飛び立つ。俺たちは順次、地面から空に飛び立つ。なかなか新鮮な感じだ。鈴の指示は的確だった。曲がるときも高度を上げるときも下がるときも的確に指示を飛ばして、全体のチームワークを維持していた。むかしはどっちかっていうと集団に馴染めないタイプだったのになぁ。意外極まりない。そして順次着陸する。女子たちが鈴の指揮に拍手を送った。なお他のチーム。セシリアは指示こそ完璧だったが、女子たちの士気が低くて乱れていた。シャルルに至ってはシャルルを中心に団子のように跳んでいた。なお女子たちは幸せそうだった。
「まあ最初はこんなもんですよね」
「はぁ。男がいるとここまで女は浮かれるのか……」
姉が嘆いてる。だったらいますぐに転校させてくれてもいいんだぞ!ほら!女子たちの教育の邪魔じゃん!俺は謙虚に転校したいね!!女子たちのために!
更衣室に戻って、俺はマッパになる。
「ふぁ?!」
シャルルが驚いている。
「なんだよ。お前も早く脱げよ。男と女は体臭が違うんだからシャワー浴びとかないと嫌われるぞ」
まじで腹立つことに普通の学校と違って、体育後のシャワーは俺たち男子には必須である。匂いはとくに気にしないといけない。香水の使用を本気で検討したくらいに俺は気にしている。
「ボ、ボクはいいよ」
「いやあ。割とマジでそれはやめといたほうがいいぞ。うん。先に行ってるからな」
シャルルを置いて俺はシャワー室に入る。ここには俺専用のシャンプーとトリートメントもある。石鹸もいい奴を使ってる。結局シャルルは来なかった。
「まさかフランス人が風呂に入らず香水で誤魔化すとかいうのは都市伝説じゃなかったのか?!」
他国の文化は尊重したしたいが、こと衛生の問題だとそこは微妙に思える。まあ究極的には個人の責任だ。放っておくほかないな。
放課後になって、寮に戻るとシャルルと山田先生がやってきた。
「デュノア君は織斑君と同室になります。大丈夫ですよね?」
「歓迎しますよ。よろしくなシャルル」
「よろしくね一夏」
あーやっぱりこうなっちゃたかぁ!!天使が俺の部屋にいるとかいいのかなぁ!!いいんだよ。シャルルが奥のベットに私物をいろいろと整理していく。そして終ったころに、俺はデスクにコップを置いて。
「おまたせ。アイスぐりーんてぃーしかなかったんだけどいいかな?」
「緑茶だね。ボク抹茶好きなんだぁ」
シャルはデスクに座ってアイスグリーンティーを美味しそうに飲んでくれた。
「ふぅ。落ち着くねぇ」
優し気な笑みがまじで天使だな。俺も釣られて笑う。
「まあここには女子しかいないからね。普段と違ってガサツなところは見せられないし、気も張るだろう」
「え?ああ。うんそうだね」
「なかなか女子の目はおっかないからな。油断はできない。今後ともお互いにフォローし合おうな」
まじで男が来てくれて嬉しい。癒しやなぁ。
「あ、でも彼女とか作っても、この部屋には連れ込むなよ。ここは俺とおまえだけの城だからな」
「そ、そんなことしないよ!」
「はは。でもモテそうじゃん。本国にカノジョとかいたりする?」
「そんなことはないけど」
「そうか。ここは女子しかいないから出会いは多いけど、気をつけろよ。俺たちは貴重なサンプルになりかねないからな。なにせISの仕様はわかってると思うけどブラックボックスだ。俺たちがISの製作方法の解明の突破口になるとか考えている連中もいるかも知れない」
「……そうだね」
シャルルは暗い顔をしている。まあわかってはいるんだろう。自分がどれほどヤバい存在なのか。原理主義的フェミニストなんかは俺を殺害しようと考えてるなんて言う報道もあった。恐ろしいのだ。俺たち男子IS搭乗者は社会の根幹を揺るがす可能性があるのだから。
「すまんな。暗い顔にさせちゃったな」
「そんあ別に大丈夫だよ!」
「はは。それならいいさ。シャルルはラファールの改良機に乗ってたな。俺ラファール好きなんだよ。最後発だからこその安定性がいいよな」
「そうなの?!嬉しいなぁ。本当は自己紹介で言おうと思ってたんだけど、僕の実家がラファール作ってるデュノア社なんだよ」
「あーやっぱりそうだったか。ラファールはいい。粘りのある翼と汎用性に富んだ装備類、なによりインターフェイスがいいんだよ。他の機体と違ってユーザーフレンドリー。打鉄とかはなんか玄人向きなんだよ」
「そこがうちの会社の強みなんだ。ラファールのインターフェイスとかOSは他国での採用例も多いんだ。NATO軍の共同OSに採用されてるしね」
「それは納得だな。まじで俺の専用機の百式さんもそれくらいユーザーフレンドリーならいいのになぁ」
「百式だよね。日本の第三世代機。倉持技研が開発したっていう」
「ごみ機体だよ。産業廃棄物。動く棺桶。いますぐに粗大ゴミに出したいね」
「そんなにひどいの?!」
「ごみごみごみ。かすかすかす。だって剣一本だよ。馬鹿だろ。カミカゼ専用だぞ。日本人としては特攻隊を尊敬するけど、続きはないんだ」
「それは……そもそも軍用機としてはどうなのかなぁ?でも純粋に競技用っていうのも考えづらいね?」
「まじでわけわかんねーよ。姉の機体のバージョンアップ版らしいんだよな。くだらなすぎて吐き気がするよ」
「うーん。それはあんまりだね。家族の影響は……違うと思う」
「だろ。俺のスタイルと姉のスタイルが一致するわけないんだよ。勘弁してほしいよ」
その後シャルルといろんな話で盛り上がった。楽しかった。学園唯一の味方の降臨に俺はテンション高くなってた。明日からは楽しい日々が待っている!そう思っていた。
山田先生が気まずそうな顔をしている。隣には銀髪の女子がいる。
「……今日も転校生を紹介します……」
バカなのかな?
「ドイツからきたラウラ・ボーデヴィッヒだ」
銀髪の少女はまるでこてこての軍人みたいに自己紹介した。そして俺を睨む。ドイツ。あー姉が一時期行ってましたね。
「私はお前を認めない!」
そう言いながら、ボーデヴィッヒは俺の頬を張った。知らんがな。姉がそっぽ向いてる。あの人の因果がまた廻ってきた。腹立つな。天使が来たと思ったら今度は悪魔である。この世は所詮循環してるんだと俺はため息をついた。
イチカのシャルへの好感度が高いです!
シャルい……。