酒と煙草とハンドガン   作:にわかセソセイ

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ブラックフライデーなので投稿です。


犬並み

 次の日、俺とカヨコちゃんは服やスマホなどの生活必需品をショッピングモールで買い揃え、ブラックマーケットに向かった。

 

 昨日のあの後は特にこれといったハプニングもなく、カヨコちゃんおすすめのヘビメタ鑑賞会をして終わった。

 なんか悔しいが気に入ったよ、『ブラック・デス・ポイズン』。

 

 生活必需品を買う金?んなもんカヨコちゃんに全部借りた。

 いや俺もかなり遠慮したんだが、

 

「今はしょうがないでしょ。キヴォトスに来たばっかなんだし」

 

 と言われ、抵抗虚しく全て払ってもらった。

 

 スマホの名義はカヨコちゃんだし、服は俺のセンスでは選ばせて貰えなかった。

 『長袖』と書かれた白の半袖Tシャツはかなりイイと思ったんだけどな。自分で金稼げるようになったら買おうと思う。

 

 で、何故またわざわざブラックマーケットに来たかと言うと、酒と煙草を売ってる店を探すためである。

 当然であるがショッピングモールには酒も煙草も売ってなかった。

 

「本当にあるかは知らないよ?ただあるとしたらココってだけだから」

 

「わかってるわかってる。可能性があるだけ充分よ。それより学校はどうした女子高生」

 

「普通に休んだけど?昨日のこともあったし」

 

「サボっちゃったの〜?悪い子だねぇ〜」

 

「まぁ特に私のいるゲヘナはそんな子たちが大半だから気にしなくてもいいよ。授業も映像授業だし」

 

「学園都市のくせに変なところでディストピアチックだな。おじさんにゃついていけん世界だわ」

 

 なんてダラダラ話しながらブラックマーケットを練り歩いているが、目的のモノは全く見つからない。

 

 道中3度ほどチンピラどもに絡まれたが、ボコって情報吐かせても大した収穫はなかった。

 つーか善良な市民が怖い人たちに絡まれて困ってんのに、マーケットガードさんたちは何してんのかな?ガード出来ねぇならスケアクロウ(かかし)とかに名前変えろよノロマ。

 

 カヨコちゃんは絡まれるのは自分の顔のせいだとか言ってるが、キヴォトスではこんなクールでキュートな見た目がどう変換されてんだ?

 怖いとか睨んでるとか言われるらしいが、それは世界が間違ってるわ。

 

 まぁ絡まれる原因は俺自身だろうな。イケメンな純人間の大人だし。

 

「ついでに部屋も借りられるとこないかなっと」

 

「……しばらくウチにいなよ。ブラックマーケットじゃそんなに良い暮らしは出来ないよ?」

 

 カヨコちゃんの目が若干昏くなったのを俺は見逃さなかった。

 

 昨日も思ったがなんかこの子、やけに俺への好感度高くね?スマホしかり部屋しかり縛りつけようとしてるだろコレ。

 妙に湿度高めの詰め方してくるし。

 

 こういうのは下手に拒絶するとより悪化するんだよ。おじさん経験したことあるから知ってるんだわ。

 

「あー、じゃあお言葉に甘えようかな」

 

「全然いいよ。遠慮しないで」

 

「遠慮ではないんだけどな」

 

 というやり取りを挟みつつ、更に2度カス共をボコったりしてブラックマーケットを探検していると、どこか嗅ぎ慣れた匂いが鼻をくすぐった。

 

 おいおいこりゃあまさか!

 

「デュー?」

 

「酒の匂いがする」

 

「犬かナニか?」

 

 この匂いのもとを辿れるなら犬でもいいわ。

 

「コッチか!」

 

「ちょっとデュー!?」

 

 たった二日、されど二日だ。

 酒の味を覚えてから一日たりとも酒を飲まない日はなかった。

 アルコールに飢えた俺の嗅覚は、確実に酒の匂いを嗅ぎ取り辿るために鋭敏になっていた。

 

 色気のいの字もねぇクセに俺に迫ってくるカス共も、クソの役にも立たねぇクセにこんな時ばっか邪魔してくるガラクタ共も、みんなまとめてぶっ飛ばしながら突っ走る。

 

 辿って辿って辿って行き着いた先は、入り組んだ裏路地の隅に目立たないような看板をぶら下げた薄汚い外装をした店だった。

 

 ……カヨコちゃん置いてきちまったなぁ。

 

 一応、俺の居場所が分かるように、残り一つしかなかったMK3手榴弾を真上に放り投げて爆発させる。

 

 最悪、連絡先は真っ先に交換したし大丈夫だろ。

 

 目印に羽織っていた黒パーカーを看板に結びつけていざ突入!

 

 勢いよく店の扉を開けると、視界に広がったのは東京の小洒落た雑貨屋のような空間だった。

 外からの見てくれと合ってなさすぎだろ。

 

 しばらく棚に置かれた商品と思われるものには触れずに物色してると、カウンター裏のバックスペースから足音が聞こえてきた。

 

「おやおや、驚きましたね。まさかこの店に入れる方がいたとは」

 

 出てきたのは、黒のスーツに黒く無機質な体をした人型のナニカ。

 右目と思わしき場所は白く発光していて、そこから顔全体に亀裂が走っている。

 亀裂がいい感じに口のようになっていて、大きく弧を描いてる様子は、笑っているようにみえる。

 

 ───なんだァ、こいつ?

 

 俺はポケットに手を突っ込み、いつでも銃を撃てるようにグリップを握った。

 

「そう身構えないでください。ここはただの雑貨屋で、私は商品を売ってるだけですよ、チェレンさん。まぁ貴方が初のお客様ですがね」

 

 昨日名乗ったばっかの偽名をなんでこいつが知ってんだよ。

 

 まぁいい、話が進まんからな。

 

「そういうテメェの名はなんだ?俺の名前は勝手に知ってるのにコッチはテメェを知りませんはフェアじゃねぇだろ、店員さん」

 

「ふむ。それもそうですね」

 

 黒塗りの怪人はククッと笑った。

 

「私は、観察者であり、探求者であり、研究者であり、今この場では商人です」

 

 そして姿勢を整えて、丁寧に腰を折り曲げた。

 

「私のことは、“黒服”と呼んでください」




黒服登場!
次回はどうなってしまうんだぁ!?

カヨコの感情にもデューの経歴にも一応設定はしっかりあります。

カヨコは湿っていれば湿っているほどイイ味がするんですよ、お客さん。
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