酒と煙草とハンドガン   作:にわかセソセイ

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振替休日なので投稿です。


口約束

「"黒服"、ねぇ……明らか偽名じゃねぇか」

 

「ククッ、私はこの名前を気に入っているんですがねぇ。最近出会ったとある生徒さんから付けられたモノでして」

 

「知らんわンなこと」

 

 んー、コイツは見た目と言動で損するタイプと見た。

 こういう輩は信用ならんと見せかけて、あとから割と役に立つ助言とかしてくれるタイプなんだよ。ドラクエで学んだんだ俺は。

 

 ま、程々に信用して程々に信頼しなけりゃ上手くやっていけるヤツだな。

 

「それでここにはどのようなご要件で?見ての通りここは雑貨屋。貴方の望むものがあるかどうか」

 

「おいおい謙遜はいけねぇなァ店員さん。雑貨屋っつうにゃあ色々仕入れ過ぎじゃねぇか?」

 

 アルコールどころかヤクもあるなこの匂いは。店内に充満している柑橘系の芳香剤の香りの中に甘いやら苦いやらのソレ特有の匂いが混じってやがる。

 

「……クックックッ。よくお気付きで」

 

「探り合いはいいんだよ。こっちが要求するもんは二つ。酒と煙草、そんだけだ」

 

「……なるほど」

 

 ぶっちゃけコイツが研究者や探求者とか言っていた時点で、とんでもねぇモノもあることぐらい察しがつく。

 

 そんなんに興味はねぇ。俺には行き過ぎた品だろうしな。

 

 コイツも、俺がそれらを分かった上で嗜好品を要求していることを分かっているだろう。

 

「いいでしょう。銘柄などにこだわりはありますか?」

 

「あ?銘柄を聞いてくるほど種類あんのか?キヴォトスで?」

 

「一応、キヴォトスにおいても酒類やタバコ類のメーカーはあります。学園都市といっても大人は多く存在していますからね」

 

「酒売ってる場所があんのか?ねぇって聞いたからブラックマーケット来たんだが」

 

 情報部のカヨコちゃんが言ってたことだぞ。

 

「それは基本的に学校が統治している土地がほとんどだからでしょうね。ひと握りですが、企業が統治する場所もあります。そういった場所では嗜好品を売っている店はいくつかありますね」

 

「ほーんそりゃいい情報を聞けたわ」

 

「お役に立てたようで何よりです。しかし私の言っている銘柄はキヴォトスのモノではなく、外のモノです」

 

「わざわざ輸入してきてんのか?」

 

 コイツは最初、「この店に入れる方がいるとは」と言った。

 俺が入らなければ客が誰一人来ないような店で、輸入品を仕入れるか?

 

 つーかそういう魔術的な何かがあんのか知らんが、人の入らん場所で雑貨屋なんざ開くか?

 

「えぇ、そういえば言い忘れてしまいましたね。"私たち"は貴方と同じ、キヴォトスの外部の者……ですが、あなたとはまた違った領域の存在です」

 

 ほーん、他にも何人かこういう怪人紛いの存在がいるってことか。

 

「私たちのことは"ゲマトリア"、とお呼びください」

 

数秘術(ゲマトリア)、いや、神秘主義者(ゲマトリア)か」

 

「ほう、なかなかに博識のようで」

 

「俺とてそれなりの人生歩んできたもんでな。あと一つ、酒売ってる店の情報を教えてくれた礼に俺からも情報をやる」

 

 ゲマトリア、コイツらは必ず俺の役に立つ。

 

「俺はキヴォトスの無い世界から迷い込んできた、お前らとはまた違った次元の存在だ」

 

「ほう……!それは興味深い!」

 

「んで俺の求める銘柄がこの世界にあるかどうか知らねぇんだよな」

 

「貴方がこの場所に入れたことに対する疑問が解けましたよ」

 

「そりゃあ何よりだ」

 

 というやり取りを終えた後、黒服は俺に許可を取ってバックヤードに戻っていった。

 

 数分後、表に戻ってきた黒服の手元には大量の瓶や箱があった。

 

「一応、コチラがこの世界での主な銘柄の酒類タバコ類になります」

 

「お!俺の知ってるモンあるじゃねぇか!」

 

 煙草は『GARAM』や『LUCKY STRIKE』、『Che』、『peel』といった俺のいた世界でも有名どころが。

 酒もウィスキー、ブランデーにジン、ウォッカ、テキーラといった蒸留酒が多いが、ワイン、ビールの醸造酒、カシスやカルーアなどリキュールである混成酒もあり、いずれも俺の知っている銘柄ばかりだ。

 

 おいおい希望が見えてきたどころの騒ぎじゃねぇぞこりゃ!

 

「ククッ、喜んで貰えたようで何よりです。では、対価の話をしましょうか」

 

「あー生憎俺は金持ってねぇんだわ。ツケじゃダメか?」

 

「まぁそうでしょうね。察するに貴方は昨日キヴォトスに来たばかり。金銭を要求するのも酷というものでしょう」

 

 コ、コイツもしかして!俺の身体が目的か!?いくら俺がイケメンとは言え異種ホモ姦はイヤだ!

 

「身体を抱えるのはやめてください。そういう神秘は私の研究対象外です……私が欲しいのは貴方の肉体や貴方のいた世界の情報です」

 

 身体目的にゃ変わりなかったな。

 

「血や毛でも渡しゃいいのか?あ、欲しけりゃ糞でも採取していいぞ」

 

「……いえ、血液と毛髪も欲しいですが、検査をさせて欲しいのです」

 

「それは別にいいんだが、なんで?」

 

「次元の違う世界の情報なんて研究者には興味深い以外有り得ませんよ。それに貴方の肉体には神秘が宿っていないにも関わらず、キヴォトス人にも勝る異常な身体能力を持っている。その謎を知りたいのですよ」

 

「神秘主義って比喩じゃなくて本当にあるもんなのかよ」

 

 まぁヘイローの存在や俺基準で純人間じゃない奴らばかりなこの世界だ。神秘や魔術くらいあって当然なのだろう。

 

「ま、いいぜ。検査や血液採取程度ならいくらでも受けてやるよ。あと俺のいた世界の情報な」

 

「ありがとうございます。では、契約書を準備しますね」

 

「契約書なんざ要らんわ。こっちは情報を提供する。アンタは俺の求める嗜好品を提供する。そんだけだ」

 

「……口約束、ということでしょうか?」

 

「契約書なんざ使うといざという時に臨機応変に対応出来なくてダメだ。穴探ってぶち破れるしな」

 

 そう言うと黒服は肩を揺らして笑った。

 

「クックックッ、この私に、契約書なしに貴方を信用しろ、と。そういうのですか」

 

「俺のこと信用できない?こう見えて元の世界では契約は絶対守る仕事人って有名だったんだぜ?」

 

 黒服はしばらくの思考の後に、

 

「いいでしょう。では、契約書なしの契約をしましょうか。もちろん、約束を違えた場合はその時点で取引は打ち切りです。貴方の世界でもそうでしょう?」

 

「柔軟な対応どうも。ほれ、これ俺の連絡先と今の住所。あ、カヨコちゃんがいる時はなるべく姿現すなよ。最悪撃ち殺されるからな」

 

「鬼方カヨコですか。あの生徒の神秘も中々興味深いものがあります」

 

「え、なに?神秘って個人差あんの?」

 

「あまり教え過ぎるのもフェアじゃないのでは?」

 

「それもそうだな。あ、情報交換は飲み屋とかでやろうぜ。イける口か?」

 

「それなりには私も嗜みますよ」

 

「そりゃなによりだ。んじゃ、あまりココにいるのも良くなさそうなんでな、さっさと最初の取引といこうか」

 

「良い取引を期待していますよ、仕事人さん?」

 

「お互いになァ、店員さん?」




銘柄とかの解説はデューがちゃんと吸ったときとかにします。

今回カヨコ登場していないってマジ?

カヨコのエミュすら出来ねぇのに、黒服のエミュなんざ無理に決まってるやろがい!
「ご都合主義」のタグでも追加しようかな。

次回!カヨコ視点!
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