シン 鬼滅   作:ファイネス1

5 / 5
花柱編 後編

 息子に受け継がれた髪と瞳、そして並の女性にとっては羨望となる絶世の美貌とスタイルはその女性にとってこの上ない呪いだった。

 彼女がどのようにこの国に来てどのような運命に翻弄されたのかは分からない。

 持っているものは女としては世間一般では恵まれている一方でその足跡は女として悲惨の極みにあった。

 その悲惨の有り様は夕亞音がそれとなく周囲の大人達に聞いても皆口を閉ざし、童磨ですらも夕亞音のお世話をしていた信者達に固く口止めされていた。

 彼女について知る権利を有したのは一つ。

 童磨という、業の深さでいったらその地獄にいた鬼畜達以上といっていい本物の鬼によって彼女は救われて文字通り陽の当たる所に出られたということだった。

 そして教団の発達した医療や鬼の能力で彼女の腹に既に宿っている子供が男の子であることと。

 母体と胎児、どちらかしか助け出せないことが判明した。

────────────────────────

「安心しなよ。

 君のような悩みの子はうちにはよくいるから。」

 童磨は穏やかに張り付いた笑みで布団に座る物憂げな女性に話し続ける。

「鬼の技を以てすれば、君には一切苦痛も負担もなく終わらせることが出来る。

 親にすら望まれないその子供も、痛覚や不快といったものを覚えることなく鬼の糧になってその命の意味を果たせるんだから、十分といっていいだろう。

 早速だけど…」

「あの………

 出来れば、この子の方を助けて下さい。

 勿論、私の肉など文字通り煮ても焼いても、そして食っても構いません。」

 腹部をゆっくりと撫で摩りながらはっきりと言った女性に、童磨は心底不思議そうに言った。

「女として、人としての絶望と屈辱とおぞましさの極みの中で齎され、君に苦痛や死を与えるその子がそんなに大事なのかい?

 それに君だって、例え我が子でも男というものに対して未だに嫌悪を抱かざるを得ていないじゃないか。」

 境遇では救われたものの彼女を救い出してその体の内外の汚れを『浄化』した教祖を除いて男性的なものは、例え年端のいかぬ幼子でも敏感に察知し、強い拒絶反応を引き起こすために身の回りの者が必然的に女性のみになり、その胎内に宿った子にすらも当時の人間の医療では不可能であった性別の正確な通告を受けて強い絶望を露わにした女性の様をありありと思い浮かべて自然と口にした疑問に、女性は切実に言った。

「産まれる子供自体には罪などありません。

 それに、私に宿り、育まれていく命ともなれば無碍に打ち捨てるのも憚られます。」

 童磨の頭に、邪魔なコブかイボでも取るかのように何の躊躇いもなく胎内の子を差し出す選択をしたり、実の子供に対して何の愛着も感じさせない女性達の姿が思い浮かんだ。

 全く人間というのは不可思議だ。

「ごめんね。

 俺にはそういった気持ち、特に愛情というものはとんと分からないんだ。

 でも、強いて君の子供を殺さなきゃならない理由も、君の方をわざわざ生かす理由もないしね。」

「ありがとうございます。

 差し出がましいですが3つお願いが。

 産まれるこの子の世話などをどうか。」

「安心しなよ。

 教団(ここ)でそれは保証出来る。」

「お願いします。

 2つ目ですが、私の肉体は、文字通り煮るなり焼くなりしても構いませぬが、出来れば貴方様か、女性の鬼に…」

「君は美味そうだからね。

 俺が美味しく食べ尽くしてあげる。」

「ああ…ありがたき幸せです。

 最後に一つ。

 もし、この子が産まれた後にまだ余力がありましたなら、どうかその名付けは私に。

 それが、母として私が最後に送れるものですので。」

 

 それから数ヶ月後。

 鬼や人間の産婆達、そして母親自身の懸命な頑張りにより、文字通り産まれた時から鬼に囲まれる形でその子は誕生した。

 女性としての最後の苦痛を経て、命の火が今にも吹き消されようとしつつある中で母親は我が子に最後の贈り物をしようとその力を振り絞り、その最期の言葉を聞き届けた信者は彼女の残した願いに則り、その言葉に漢字を当てて名付けることとした。

「『Your na(ユアー ネ)…』」

────────────────────────

十数年後

「改めて聞くけれど………本当に、いいのですね?」

「はい。覚悟はもう決まってます。

 教祖様、教主様。」

 大広間で女と見紛う金髪金眼の美少年、夕亞音が正座する対面では

天の川を思わせるキラキラとした輝きを放つ長髪の銀髪に銀眼の美少女が真剣な面持ちで尋ねていて、

二人の間には童磨がにこやかに立ち会うように座っていた。

 産まれ上日本人離れしたハーフとしての(背丈は日本人と比べるとかなり低いが)顔立ちをしている夕亞音と違い

彼女は髪や瞳を除いたらむしろ大和撫子的な顔立ちと気品を持っていた。

 万世極楽教教主。

 そのいで立ちから銀巫女(ぎんみこ)という俗称で呼ばれていて、

極楽教での人間は勿論、鬼の古参の者にとってすら初めから童磨の傍に控えていたという古株であり、

多くの修羅場や修行を経てきたその含蓄や懐の深さと、常人ならざる容姿を持つ童磨に対して

比較的親しみやすい姿や物腰から、信者たちにとって、そして

夕亞音にとっても産婆としてそのままの通りに生まれた時から一緒にいて自分を見守って育て上げてくれた母親的存在といっていい鬼。

 現に彼女は今、重要な決断を下す少年に、心からの心配と念押しをする母の顔で夕亞音に問いかけ、やがてふう、と息をついた。

「人を食べるこの様を見ても欠片も揺るがないあたり、決心の固さは認めるけど……」

 辺りを見回すと、広間の片方にはうず高く積もった腕や足や胴体、眼球といった人だった物のパーツが整然と積み上げられていた。

 部屋は鮮度を保つのも兼ねた童磨の血鬼術により冷凍庫の中のように肌寒く、傍らの遺体は冷凍保存と血抜きなどの加工が施されているのか

したたりにより部屋が汚れることこそないもののそれでも敷かれた紙を赤黒く染め上げ、

教祖と教主が来ている白を基調としていた簡素な服も所々に赤い染みがつき、よく見ると

二人の素肌もまた所々当人以外による血が付着していて、先程まで彼の前で「食事」をしていたことが伺える。

 鬼という存在に変な憧れを持ったり、余計な好奇心なども持ったり、その決心の程が常人程度の者であったなら

このように目の前で実際に人を食べたり食い殺して見せることで大抵は委縮してしまうものなのであるが。

 息子のような存在の目の前の少年の、もうすぐで終わるであろう人としての生を、改めて教主は振り返った。

 たかだか十数年とはいえ、居場所を求めてここに流れ着いてしまった自分達信徒と違い、

そもそも初めからここを居場所としてきた人生。

 カルト教団としての異常性を孕んだものの基本善良な人々や鬼に囲まれすくすくと育ち、

その躾や教育、生来の真面目さから修行としての家事雑事はやがて教団の中でも抜きん出たものとなった。

 料理はそこらの仕出しや料亭顔負けのものを作り出して催事などにおける料理番も務めるほどで、

服や布団などの補修も手早くこなし、

広大な板張りの雑巾がけや細かいところの掃除などもぴかぴかに行き届かせていて、

最近任せられるようになった会計や出納でもきちりきちりとこなして無駄を省き効率化に勤めあげている。

 ネックといっていいのは家事などのとは別に、武道やスポーツなどでの体力では全くの門外漢で

自他共に認める運動音痴というくらいであった。

 信者としての模範といっていいあり様と、並外れた容姿から、やがて父親的存在であった教祖に目をかけられ、

彼にその心身や「女」を捧げる一部の女性信者同様に素肌を重ね合わせるに至るのも当然といえたが、

その女同様にみなせる可憐さがある意味絶頂と言える今の段階の彼に対し、

同じく教祖を愛しつつもその能力やポジションに忸怩たる思いを抱える女性達からの、表には表さなくても

視線などで浮かべられる密かな嘲笑を感じざるを得なかったろう。

 どうせ今だけだ。

 「女」として生涯見てもらえ、愛してもらえる自分達と違い、

やがて偉丈夫になり、髭などが生えて老い衰えていくお前では、やがて釣り合わなくなる。

 せいぜい今の内に「愛」を満喫しておくがいい。

 そして彼がとうとう口にした、人としての一線を越えてしまう揺るぎない決断。

 元来鬼に対する偏見などないとはいえ実際に人を食ったり殺してしまう様を見せても揺るぎない、

その「愛」と「思い」。

 もはや説得は無理そうだ。

 目配せを受けて、童磨は夕亞音に近づいた。

「君の気持ちや決心はよーくわかったよ。

 ただねえ、鬼には誰でもなれるって訳じゃない。

 俺による施しが適用しなかった場合、そのまま死んでしまう。

 万一鬼になってしまっても、期待していたのとは大きく違う異形もありえる。

 一つ言えるのは、君が【それ】をしてしまった以上、残された未来は

人として死ぬか、鬼として生きるかだ。

 いいかい?」

 

 それから後。

 万世極楽教教祖の傍らに、銀神子と並んで金巫女(きんみこ)と称される

見目麗しい鬼が控えることになるのであった。

────────────────────────

「カナヲ、ちょっとそこに座りなさい。」

「は、はい…姉様…何でしょう。」

 普段はとても優しく、厳密には血の繋がりが無くとも実の姉妹と変わらず彼女を可愛がっていたカナエの厳しい様子に、カナヲは注射を怖がる子供のように萎縮して正座した。

「あなたね、いい加減にしなさい。

 この宗教や夕亞音を好きになれないのは仕方ないとして、教団の催しの妨害やSNSでのデマやアンチスレ、信者達への暴力や暴言何か目に余るわよ。」

「ちゃ、ちゃんと直接手を出す相手は鬼に限ってますよ。

「そういうこと言ってるんじゃないの!

 この間なんか嫌なことがあった憂さ晴らしで鬼の信者の1人に因縁つけてめちゃくちゃに打ちのめしたりプロレス技掛けたりしたそうじゃない。」

「これでも斬り殺さないだけ我慢してるんですよ。

 鬼は元々再生力何かも人より強いし。」

「だからって身勝手に暴力奮って言い訳じゃないでしょ。

 貴方、力は普通の人よりずっとあるんだからもっとその使い方を…」

「だったら何で鬼をまだ野放しにしてるんですか!

 今こそ、むしろ残りの鬼殺隊を呼び覚まして生き残っている鬼達を皆殺しにすべきでしょう!

 姉様こそ、鬼から人を守り、鬼による理不尽の無念を晴らす鬼殺隊の使命を忘れたのですか!」

「何度も言っているでしょう。

 鬼を完全に滅ぼすのは今の人間には無理なのよ。

 この人間社会は、もう、鬼の力無くしては成り立たないのよ。

 世界平和、環境問題、産業の振興、社会の維持、繁栄。

 鬼の力によって成り立たざるを得ないこの世界の様は、よくよく言い聞かせたはずよ。」

「だからって鬼による被害を見逃せっていうんですか!」

「現代にもちゃんと鬼狩りがいて、大正のように無闇に人を食い殺さないようにしているのは知っているはずよ。

 どうしてもそれが許せないのなら、そっちに…」

「あんなの、寧ろ殆どの鬼を見逃している鬼の為の組織じゃいですか。

 それに結局鬼による理不尽な被害は止まらないし。」

「…まあ、鬼殺隊以後の警察組織の鬼狩りが鬼の権力者達の働きかけで作られ、鬼と人の共存をモットーとしている以上、鬼に忖度せざるを得ない面は確かね。

 人間の犯罪同様、どんな優秀な警察でも完全に被害を除くのは流石に無理があるし。」

「鬼は彼岸花や鬼殺隊や無惨(天敵)の脅威がなくなったことで弱くなっているっていうし、鬼殺隊が復活したら現代の鬼なんて皆殺しに出来るのに…」

「無理ね。」

「何…ですって…」

 キッパリとした断言に、カナヲは信じられないようなものを見る目で姉を見た。

「仮に現代に大正の鬼殺隊がいても、この極楽教の鬼達にすら勝てないわ。」

「何でですか!

 私達の力を持ってすれば」

「力があって相手を殺せるということと、相手を侮ってもいいということは別なのよ。

 正直、私は上弦の鬼とかよりも夕亞音を怒らせるのがよっぽど怖い。」

「ふざけないで下さい…

 私達が、上弦達悪鬼達を滅ぼすのにどれ程の犠牲と苦難を乗り越えたと思っているのですか!

 あの戦いの前にとっとと死んでしまってそれを知らないカナエ姉様には分からないでしょうね!!

 ………ハッ!」

 カナヲが感情に任せてついた言葉を後悔しても、もう遅かった。

 カナエの目を見開いた表情と場の空気が否応なく発していた。

 

 言ってはならないことを言ってしまった。

 

「そうね。

 ならいいわ。」

 話はもう終わり。

 その態度は、先程までの説教以上にカナヲを打ちのめしたり。

 

 

 カナヲがすごすごと去った後、カナエは手を顔に当てて上を向いて嘆いた。

「前世で私が知る限りでは、あそこまで歪んだ性根はしていなかったはずなのに…一体、何があってしまったのやら…」

「お主が特別なだけで、鬼殺隊など、本来あのような者じゃろう。」

 虚空から声が聞こえるやスーッと小学生くらいのスカートを履いた黒髪ロングヘアの美少女が現れた。

 見た目から察する年齢と、その眼差しや佇まい、そして口調から醸し出される精神年齢は著しく合ってない。

「わしの透明化の鬼血術など、お主ら柱クラス相手では実質ないも同然のはずじゃが、あやつわしに気づかなかったか。

 まだ少し甘いが、お主よりはとても鬼殺隊らしい娘じゃ。

 童磨を隠しておいて正解じゃった。

 夕亞音すらああも拒絶する有り様ではのう。」

────────────────────────

 敬愛するカナエが幼い頃から地域に根ざしているマイナーな宗教団体に属していることは知っていたもののルポや動画などで見たカルト信者のように周りの相手に無理に自分の教義を押し付けたり入信や献金を強要したり家族の時間や財産を犠牲にしたりといった危険な兆候などなく、あくまで時折その集まりやボランティア活動において参加するくらいであくまで健全な方だとみなしていた自分の認識に誤りをカナヲは心から後悔した。

 今や鬼殺隊の信念より極楽教の説く鬼と人間の共存を選び、あろうことか鬼に愛や命を捧げようとするカナエは、寧ろあまりの深傷や重症が傍目からは自覚症状がないようにもはや根深く万世極楽教というカルトの毒に侵されきっていた。

 一刻も早く彼女の目を覚まさせなければならない。

 カルトの目を覚まさせるにはやはり教団や教祖の実態を暴いて失望させるのが一番だ。

 そう思い、現教祖夕亞音を調べた所早速彼が婚約者がいる身でその美貌にあかせて夜な夜な信者達と肌を重ねているのを突き止めた。(童磨の時代から受け継がれているらしい)

 早速問い詰めたが夕亞音にしてみたら母親の経歴からそういう方法でしか救えない相手もいると平然と言われ、カナエもそれを承知で「食い殺されるよりはまし」と返されたり彼がしばしば男性や老婆なども相手にしている大変さを説かれる始末で改めて教団内部の狂気に眩暈を覚えた。

 やはり内部ではなく公然とした違反でなければならない。

 そう思い躍起になっていると天の思し召しのように彼女の前に無造作に置かれた通帳があった。

「これ、早いところ隠しといてね。

 警察(お白洲)に見つかるとヤバいから。」

 先程カナヲが覗く前でそう信者に言った夕亞音がそのまま置かれて去っていったのを思い出しながら通帳を開いて調べたところ、どうやらとある大物政治家や財界人からの賄賂や不正取引の内容らしかった。

 これで警察によって不正や癒着が暴かれ、逮捕や起訴が成されて騒がれたら、世間も流石に鬼関係はともかくとして万世極楽教が真っ当な宗教ではないとみなし、姉や多くの人の目も覚まさせられる。

「ふう、やってやったわ。」

 早速コピーを撮ったその証拠を警察やSNSに上げて、やり遂げた達成感で浮き足立つ気持ちでカナヲは暖かな陽射しの街路樹を歩いていると。

 突然トンネルに入ったかのように辺りが真っ暗になった。

 辺りに光が全くない暗闇であるにも関わらず、自分自身の体は不思議なほどはっきり判明出来る、奇妙な空間だった。

「へ?何?何なのこれ!!」

────────────────────────

 万世極楽教の隠れた地下牢に悠々自適といった感じで囚われている童磨の元に、幼女の鬼と夕亞音がやってきて、ガチャと鍵を開けた。

「童磨。もう出られるぞ。」

「おお、ありがとう莉奈(りな)ちゃん。

 カナヲちゃんはどうしたの?」

「あの通帳の内容自体は、確かに綺麗ではないが関わっている奴らのことを考えると力無い者が迂闊に突き止めるべきではない内容。

 そもそもカナヲが対応した警察の者達も、極楽教の息がかかっている謂わば茶番じゃ。

 SNSへの対応も済ませておる。

 問題は、今回のことで十鬼衆や人間の権力者達が栗花落カナヲを鬼との共存を望むべくもない、排除すべき存在とみなしたことで封印刑を施したことじゃ。」

「鬼の力で作り出した、睡眠や空腹などの心配はないものの果てしない広がりの空間に永遠に封じ込める鬼用の刑罰だというじゃないか。

 やってくれたね夕亞音。

 話には聞いていたけど、そんなに彼女の横暴が腹に据えかねたのかい?」

「…いいえ。」

「?」

「貴方や我々を嫌悪し、侮辱するのは構いません。

 彼女にしてみたらそれも当然で、我々が人間にとって害悪で極悪人で地獄に落ちて然るべき者あることは確かですから。

 ですが。

 母様や私や羅利阿。

 鬼に救われた我々のことを『可哀想』とか『哀れ』と評したことは。」

 

『ほんと貴方達は可哀想な人たちね。

 手を取ってくれた相手がカナエ姉さんやしのぶ姉さんのような人の暖かい手じゃなくて、人の心を持たないあのクソ野郎の冷たい手で、それによって例えあんな奴でも個人的な恩義に縛られていて真っ当な生き方を投げ出さざるを得ない何て。』

 

「例え歪んでいても、我々の『救い』を否定したことだけは…許せなかったんです。」

「やれやれ、侮蔑や嫌悪や害意や悪意ではなく、哀れみで逆鱗に触れるとは、つくづく不思議なものだね。」

「君には我々が行く地獄に落ちる資格もない。

 永遠に【そこ】にいろ。」

 普段の夕亞音の様からは考えられない冷たい表情と口調を見て、莉奈はカナエの言葉を思い出した。

(相手を殺せるということと

相手を侮ってもいい相手ということは大きく違う、か。

 大正の鬼殺隊の、ともすればその滅する『力』に頼るやり方で今の鬼に応じた時点でお主は、もう、この時代にはいてはならない存在だったんじゃよ。

 栗花落カナヲ。)

────────────────────────

 どこかの部屋。

 最新の加工が施されているものの大正時代に撮られたと思わしきカナエとカナヲが写った写真に向けてその男は笑みを浮かべた。

「カナヲは残念なことになったが…やはり『柱』クラスでないと無理なようだな。

 今の時代において2人も覚醒を果たすとは、これぞ間違いなく思し召し。」

 そして男は通信機を取り、「例の計画を進めなさい。」と告げた。

 男が視線を移した壁には、先程取った2人の他にも産屋敷の者達や柱や継子、更には隠や蝶屋敷といった鬼殺隊の者達の当時の写真が一面に貼られていた。

それを眺め回して、男は高らかに笑った。

「フフフ…ハハハハハ!

 もうすぐです。

 復活する日が楽しみですよ。

 我等が英雄達よ。」

 

最終章 鬼殺隊編 始まり




設定
教祖とはいえ夕亞音の鍛え上げた家事スキルの高さは健在で
人間向けの料理の腕も絶品
大正当時は外で仕事をバリバリするカナエに対して
家事ややりくりなどで支える主夫型であった
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。