ハーレム男だらけの学校で俺はハーレムしない   作:こなひー

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第4話 守るって何から?

 桂木と椎名さんからの頼みを把握しきれていない俺は、ひと呼吸おいてから改めて質問を投げた。

 

「ハーレムアレルギーの椎名さんを守る……つまりどういうこと?」

「悟も知ってると思うけどさ、この学校の男子ってハーレムかそうでないかの二択じゃん?」

「まあ、おかしいけどそうだな」

「んで、唯はハーレムが嫌いすぎてアレルギーじゃん?」

「悪いんだけどその文章を飲み込みのにもうちょっとかかる」

 

 思わず頭を抱えてしまう。男のこういう行動が嫌で、鳥肌が立ってしまうみたいな事はあるかもしれない。椎名さんにとってその対象がハーレム、という話なのだろうか。それでもわからんとグルグルと考えていると、椎名さんが俺の肩に手を置いて、心配そうな目で見てきた。

 

「新田君大丈夫? 気をしっかり持って」

「ありがとうなんだけど、君の発言が原因なのよ」

 

 素直に感謝しづらいと思っていたのだが、彼女の優しさが手から伝わって来るのを感じてやや心が落ち着きを取り戻していく。俺が話の続きを聞けそうになった頃合いに、俺から話を広げていく。

 

「ちなみに、アレルギーってどんな感じで発症するんだ?」

「えっとね、ハーレム物でよくあるセリフが聞こえたりシチュエーションを見たりすると、胸が苦しくなって呼吸がしづらくなるの」

「この学校全部が天敵じゃん……」

「うぅ……」

 

 ハーレムのシチュエーションなんて校内のどこにいても視界に入ってしまう状態だ。そんな中でどうにか耐え忍んできた椎名さんの気持ちを考えると、放っておく事は出来ないと感じた。

 

「だから唯、前髪で周りを見えなくしてるしいつも耳栓してるんだよねー」

「これで苦しくはなくなるんだけど……、代わりに授業がまともに聞けなくて、成績が……」

「ハンディキャップがエグすぎる……。だからいつも大人しくしてたのか」

 

 椎名さんなりの対策はしてきたようだが、学生の本分である学業に支障をきたしてしまっているのは非常に良くない。俺に相談を持ち掛けたのも、自身ではそろそろ限界を感じたからといった所だろう。

 

「ちなみにだけど、転校とかは?」

「それはちょっと選びづらくて、その……」

「ああ、言いづらいなら別にいいんだ。人の事情を掘り下げる趣味は無いから安心してくれ」

「う、うん」

 

 今の話題の最中、椎名さんが何だかこちらに意味有り気な目線を送ってきた気がした。きっと何かやむにやまれぬ事情があるのだろう。彼女が困っているのであれば、理由は聞かず力になってあげようと決意した。

 

「わかったよ椎名さん、俺に出来ることがあれば何でも言って」

「い、いいの……? 迷惑じゃない?」

「全然。俺もハーレムだらけの甘々空間をどうにか避けたいと思ってたから」

「だよね! 私も同じ気持ちだよ!」

「あ、あぁ……。椎名さん、ちょっとち、近いかも」

「へ。……ひ、ひゃぁあ! ご、ごめんなさいっ!」

 

 自分がお互いの吐息がかかる程に近づいていた事に気づいた椎名さんは、顔を真っ赤にしてバッと離れた。彼女の様子を見ていた桂木はケラケラと笑う。

 

「もー唯ってば、その位で慌ててたらこれからやってけないっしょー?」

「ん? これからってどういう?」

「え? だってハーレムじゃなくて、二人で付き合っちゃえって話じゃないん?」

「ゆっ、由美ちゃん!? そんな、ストレートすぎるよ……!?」

 

 桂木の発言に椎名さんが慌てている。しかし問題ない。俺はそんな勘違いをしてはいない。

 

「いや、そういう話ではないんじゃないか?」

「え、あれ? 新田君?」

 

 なんだか椎名さんの反応が期待とやや違っているが、ひとまず俺の理解を要約して伝えることにする。

 

「つまり椎名さんは、この学校を卒業するまでハーレムを回避したい。そのために俺が盾になったり勉強の手助けをするって事で良いんだよね? 役に立てるのなら俺はそれで良いから、頑張って高校生活を乗り切ろう!」

「あの、なんか誤解してるような……」

「よろしく、椎名さん」

「あ、はい……」

 

 俺が言い終えると、椎名さんは何故か渋々だけど頷いてくれた。これまで苦しんできた彼女の支えになろうと思っていた所に、桂木が呆れたという目で俺を見てきた。

 

「……唯、これから遠慮なくこいつの事を盾、じゃなくて肉壁としてこき使ったげなー」

「なんで今扱い下げた?」

「……うん、そうする」

「あれ!? 椎名さんもそっち側!?」

 

 何か間違ったことを言っていたのだろうか、自分じゃわからないし、二人も教えてくれなかった。

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