GX世界の英霊デッキ使い 作:超融合は許さない
俺がデッキを40枚揃えてノース校の中に入ると、すぐに『死の50人抜きデュエル』というものをさせられた。
そこではデュエリストの中で序列が付けられており、その中で下の者から順番に新入生とデュエルするというものだ。
最初に相手をさせられたのは序列最下位の癖にやたらと吠えるリーゼント頭の男、そこから順番に荒くれのデュエリストを俺のデッキで打ち砕き、俺は四天王とやらを纏めて相手していた。
「「「「ぐわぁああああ!!!!」」」」
そして、それが今終わった。
俺がわざわざ1対4の状況を作った理由も察せずに馬鹿正直にモンスターを並べ、切り込みロックだなんだと得意になっていた四天王共を、纏めて俺の『破壊輪』と『防御輪』のコンボで一掃するのは中々に気分が良かったぜ。
そして俺はディスクのカードを取り出し、今日何度目かも分からないシャッフルをしてからデッキをセットした。
「さぁ、最後はお前だぜ」
「なるほど、ここまで戦い抜けたその気力、そしてその腕前は評価しよう。だが、ここまでのデュエルで貴様のデッキの戦術を俺は全て理解している。その上で俺に勝てると思うか?万丈目」
「万丈目さんだ!ふんっ!そこまで言うのなら試してみるがいい!」
「くくく、良いだろう」
「「デュエル!!」」
2人で向かい合いデッキからカードを5枚引き、それを手札に加えた。
相手は俺のデッキのコンボの全てを把握していると思い込んでいる。
しかし、俺のデッキにはまだ残されたコンボがある。
「俺のターン、ドロー!俺は『デビルズ・サンクチュアリ』を2枚発動。俺は、自分のフィールドに『メタルデビル・トークン』を2体特殊召喚する!」
現れたのは、鉄の球が連なって人型を形成しているような異形。
ステータスの低いトークン2体をわざわざ呼び出したということは、魔法・罠カードの効果のコストか、もしくは上級モンスターのコストであると考えられる。
そして、2体のトークンの黒い身体が光の粒となって消える。
「俺は2体の『メタルデビル・トークン』を生贄に、俺は『デビルゾア』を召喚!」
来た。やはり現れたか、敵の最上級モンスターが。
デビルゾア、ステータスは攻撃力2600で守備力が1900か。
効果があるのかは知らんが、今分かるのはアレが奴の自慢のモンスターだってことだな。
「お前のデッキに、このカードを超える攻撃力のモンスターが存在しないことは分かっている。俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ。さぁどうする万丈目」
「万丈目さんだ!ドロー!」
手札に加わったのは『おジャマ・イエロー』、攻撃力0で守備力1000の話にならん雑魚だ。
しかし、手札のモンスターはこの雑魚以外に握れていないのも確か、ここはこいつを出すしかないか。
その時、耳元で喧しい声が響く。
「ちょっと兄貴〜!流石に相手が悪すぎるよ〜!良いじゃんかよ〜!ナンバー2でもさぁ〜!」
「うるさい!四の五の言わずに戦ってこい!俺はこの雑魚を守備表示で召喚!」
「あ〜ん!」
俺は手札のおジャマ・イエローを守備表示で召喚する
黄色い触覚のようなもので繋がった目玉を持つ、赤いパンツ一丁の奇怪な見た目のモンスターが、腕を前にクロスさせて構えている。
不満そうにするおジャマ・イエローの視線を無視して、俺は手札の伏せられるカードを2枚セットする。
「俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ。さぁこい!」
「俺のターン、ドロー!俺は罠カード発動、『メタル化・魔法反射装甲』だ。このカードは、装備カード扱いでモンスターに装備できる。そして魔法反射装甲を装備したデビルゾアを墓地へ送り、デッキより『メタル・デビルゾア』を特殊召喚する!」
メタリックの光沢を持つモンスターが現れる。
メタル・デビルゾア、攻撃力3000の守備力2300のステータスを持つ。
攻撃力だけを見れば伝説のブルーアイズ・ホワイトドラゴンと同格のモンスター、だがしかし、今の俺には有難い存在だった。
「さらに俺は、魔法カード『死者蘇生』を発動!これにより、墓地の『デビルゾア』を再びフィールドに召喚する!」
よし、いいぞ。相手に盤面を揃えられるほど、俺が伏せた魔法カードの条件を満たすのに絶好のシチュエーションへと変わっていく。
俺の伏せた魔法カード『ヘル・テンペスト』は速攻魔法であり、3000以上のダメージを受けるのが発動条件のカードだ。
普通ならそんな攻撃力のモンスターを用意するだけで至難だが、流石にキングと呼ばれるだけはあるな。
「俺はデビルゾアでおジャマ・イエローに攻撃!デビル・エクス・シザース!」
「くっ...!」
「そしてさらに俺は、メタル・デビルゾアで直接攻撃!メタル・エックス・シザース!!」
「ぐわぁ!!」
デビルゾアとメタル・デビルゾアの凶悪な爪が襲いかかってくる。
デビルゾアの一撃によっておジャマ・イエローが砕け散り、メタル・デビルゾアの攻撃によって俺の身体が切り裂かれる。
その強く重い一撃を喰らい、俺は強かに北叟笑む。
「くくく、どうだ万丈目。貴様にはどうすることもできまい」
「万丈目さんだぁ!そして、俺は速攻魔法を発動!『ヘル・テンペスト』!!」
「なにっ!」
「貴様を倒すことなぞ俺にとっては造作もないということだ!この『ヘル・テンペスト』は自分が3000以上のダメージを受けた時に発動できるカード。そして、その効果によりお互いのプレイヤーのデッキと墓地のモンスターカードを全て除外される!」
墓地のおジャマ・イエローを除外し、そしてデッキからも雑魚モンスター達を全て除外していく。
モンスターの攻撃力はどれも1500にすら満たない雑魚カード達、だがこいつらにも使い道は大いにあった。
俺は除外したカード達をポケットに仕舞い、敵を見据える。
「お前には、俺のデッキの戦略を知られているからな。ならばこんなカード、全て除外してやるさ」
「ふん、だが俺のフィールドにはモンスターが残ったままだ。血迷ったか万丈目!」
「万丈目さんだぁ!そして俺の戦略に抜かりはない!俺のターン、ドロー!」
手札に加わったカードを見ながら流し、最初から手札に持ち合わせていた1枚を手に取る。
あのおっさんが門の前から立ち去って行った後に、その地面に落ちていた1枚のカード。
俺がデッキの最後の40枚目として加えた、このデッキの最後のコンボのコンボパーツ。
「ー俺は魔法カード『カオス・エンド』を発動!このカードは除外されている自分のカードが7枚以上ある時に発動し、フィールドのモンスターを全て破壊する!」
「なにぃ!?」
「これで2体のモンスターは破壊されて、貴様のフィールドはガラ空き。さだ。そして俺は、トラップ発動『異次元からの帰還』ッ!!俺は除外している自分のモンスターを可能な限りフィールドに特殊召喚する!!」
俺は事前に、除外する時に既にこのコンボで呼ぶモンスターを選んで、そして纏める時に端の4枚にそれを寄せていた。
俺のフィールドの空きは5つ、俺は事前に選んだ4枚と適当に選んだ1枚のモンスターをフィールドに置く。
そして空に大きな空間の穴が開き、その中から俺のモンスター達が降って現れてくる。
「ふっふ〜ん!おいら登場〜!」
「また貴様か!雑魚に用はない、攻撃力0は引っ込んでいろ!」
「あ〜ん!」
「俺は、4体のモンスターで直接攻撃!喰らえ、万丈目サンダースペシャルッ!!」
「ぐ、ぐぉわあああああ!!!」
円盤闘士、ヂェミナイ・デビル、KA-2 デス・シザース、スカル・ナイト。どれも攻撃力1000の雑魚モンスター達だが、4000のライフを削るには十分だった。
学園最強のキングを名乗る相手をライフを0にして、俺はデュエルに勝利する。
息を吐き、デュエルで興奮していた熱を鎮めていると、目の前から人影が近づいてくる。
「おめでとう、万丈目くん。君がこの学園の新しいキングだ」
「貴様は……鯨の中で出会った、あの時の昆布お化けか!」
「私は昆布お化けでもなければ、君がいたのも鯨の中じゃない」
身体に巻き付いていた昆布のなくなっている元昆布お化けがその仮面を取り、素顔を見せてくる。
そこにあったのは、頭頂部の禿げと剃り残しのある青髭状態の口元が特徴な、この学園の門に座り込んでいたおっさんだった。
おっさんは仮面を脱いだ後、その身体に纏っていた外套も脱ぎ去り、さっきまでのおっさんらしい格好に戻る。
「私はこのデュエルアカデミアノース校の学園長。そして、君が乗っていたのはこの学園の移動手段だよ」
「移動手段──潜水艦か!」
「そう、遭難していた君を、君にあげたそのカードが見つけてくれたんだよ」
「いや〜ん!おいら大活躍〜!」
「ちっ、戯言を……!」
「それと、この子も返しておこう」
学園長のおっさんから徐にカードが手渡される。
それは俺が小鳥遊優花から受け取り、いつか必ず勝って叩き返すと決めていたカード。
『英霊 メドゥーサ』だった。
「君を拾った時に、その彼女に出会ってね。そして頼まれたんだよ。彼女のカードを持っていない状態の、君本来の実力を見させてくれ。とね」
「貴様、さっきから何を世迷言を...」
度重なる妄言に対する怒りを通り越した呆れの感情を抱いていると、ふと違う気配を近くに感じる。
焦って周りを見回すが、しかしどこにも人影は見当たらず、けれど気のせいとも思えない気配をその身に感じていた。
なんだ、この感覚は...?いったいどこに、何がいるというんだ...!
「こんにちは。いえ、貴方の認識に合わせれば、初めましてですかね」
唐突に、後ろから声をかけられる。
美しい声だった。驚いて後ろを振り向けば、端正な顔立ちをバイザーの仮面で隠し、その整ったプロポーションを黒い装束で魅力的に演出する妙齢の女性がいた。
紫の髪が風に靡き、彼女の手の先にある鎖のような物がカチカチと音を鳴らしていた。
「貴方の実力を試すような真似をしてしまい、申し訳ありませんでした。貴方の本来の力が知りたかったのです」
「本来の力、だと?」
「はい、私を扱うに足る実力者か。私はそれを知る必要がありました。そしてそれを確かめることができました。貴方は確かに強い決闘者です」
「貴様を扱うに足る……ならば、その姿はやはり──」
「はい、私は貴方の持つカード。『英霊 メドゥーサ』の精霊、とされる者です」
「精霊、だと……?」
幻覚じゃないのか……?
先程までの間抜けな姿のモンスターは、極限状態の俺の幻覚として納得できた。
しかし、目の前のこいつには『おジャマ・イエロー』にはなかった強い気配のようなものがある。
「貴方との相性、という意味では先程の黄色い彼の方が優れています。しかし貴方と過ごした時間的長さの差と、そもそもの霊として格の差があるので私の方がはっきりと貴方の前に姿を現せているのです」
「なるほど、取り敢えずの理屈は分かってきたが……」
すぐに受け入れろと言われても、無理があるだろう、これは。
あぁくそっ!デュエルの連戦での疲労も相まって訳が分からなくなってきやがった!
頭を抱えていると、先ほどまで静観をしていた校長が口を開く。
「取り敢えず、部屋を用意する。そこで夜まで休んでいると良い。夜には、新しい学園代表を指名する式を執り行うから、その時には来てもらうことになるがね」
「学園代表だと?」
「ああ、それが本題だったんだ。次のアカデミア本校との学園交流戦のデュエル、その代表が君になるんだよ」
俺が、代表。俺が、こんな出会って数日どころか、1日すらも経っていない奴らの代表?
だが不思議だ。俺は先程まで戦っていたこいつら全員に、愛着のようなものを持っている。
デュエルすれば皆友達、そんな遊城十代が言いそうな、というか言っていたような気もする言葉が頭を過ぎる。
「私が、今年の代表は1年生になりそうだ。と向こうの校長に話したら、向こうも1年生を用意することにしたみたいだよ」
「……アンタ、最初から俺が学園のキングになると?」
「ああ、君には人にはない特別な力がある。私はそれを見抜き君を見込んだんだよ」
「それで、相手は誰なんだ?」
「確か相手の名前は遊城一桁...いや、遊城二十代...?」
「遊城?遊城十代か!」
「あぁそうそう、その名前だ!」
遊城十代、俺に幾度となく屈辱を与えた男。
昔は奴への復讐心と恨みが俺の原動力だったが、今の俺にあるのは純粋な闘争心だった。
もちろん、これまでの負の感情が失くなったわけじゃないが、しかし俺は奴と戦うことに少なくない胸の高鳴りを感じ、心を躍らせていた。
「好都合だ。まさか、こんなに早く再戦の機会が来るとはな」
「ふむ、やる気があるようで何よりだ。では先に言ったように、夜に任命式を執り行う。必ず来るんだ」
「ああ、分かった」
俺は踵を返し、俺の舎弟となった奴らに導かれ、俺専用の私室に入る。
数日ぶりの柔らかく温かい布団に横になり、数日分の緊張の糸を切るように目を瞑る。
暗くなる視界に心地良さを抱きながら、静かに眠る。
日が落ちた頃に眠りから目覚めた俺は、校長が言っていた式を行う場所に到着した。
他の生徒達が俺の通り道を作るように端へ移動し、そいつらの視線を浴びながら、校長の待つ壇上へと上がる。
校長は真剣な面持ちで数枚のカードを握り、それを俺の方に向けてくる。
「君がこの学園の代表となる。そして代表となる君には、我が校に伝わる必殺のカードを授ける」
「ああ、俺は必ず、このカードで勝ってみせる」
「頼んだぞ、キング万丈目。いや、万丈目サンダーよ」
校長から向けられるその思いを込めた視線に、こちらも真剣な眼差しで返す。
彼から手渡される数枚のカードを懐に蔵い、後ろを振り返る。
そしてそこには、俺の配下達が俺を讃える言葉を叫んでいる姿がある。
その声を鎮めるように大きく腕を振るって静止させる。
そして服の裾を翻し、黒いコートを大きく風に靡かせる。
身振りによって彼等の期待に応え、声を張り上げて言葉を紡ぐ。
万丈目準:万丈目サンダーになった人。十代とのデュエルでは全力を出すしメドゥーサも使うつもり。
主人公の名前を今さら小鳥遊優花にするのはあり?
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名前の法則的にそっちの方があり
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ここまできたら慣れたからなし
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どっちでもいい