GX世界の英霊デッキ使い 作:超融合は許さない
アームド・ドラゴンがその右腕を天へと高く突き上げ、隆々とした力強い腕を見せつけるように大きく、その右腕を振り下ろす。
しかし、その頭上に攻撃が迫って尚も十代は静かに笑い、伏せていた罠カードを起動させた。
そして、振り下ろされた巨竜の剛腕によって大規模な土煙があがり、その濃い煙が晴れた時もまだ、デュエルに決着は着いていなかった。
「なんだ?何が奴を守った……!?」
「そう、俺は罠カード『ヒーロースピリッツ』を発動していたのさ。こいつの効果は、このターン中に『E・HERO』モンスターが戦闘・効果で破壊されている時に、戦闘ダメージを0にする」
「くっ、凌ぎ切ったか……!」
万丈目の最強モンスターの猛攻を物ともせずに切り抜け続け、そして笑顔を浮かべるその姿に、会場は大いに湧き立っていた。
本校とノース校の間で十代と万丈目の応援合戦の形になり、会場は盛大に盛り上がっている。
十代が楽しむように笑い、万丈目がニヤけるように口角を上げる。
「なぁ、楽しいよなぁ万丈目!」
「万丈目さんだ!そして貴様のような能天気と一緒にするな!」
「……でも万丈目、お前笑ってるぜ?」
「勘違いするな!俺に煮湯を飲ませてきた貴様に全力をぶつけ、そして屈辱的な敗北を与える!これはそのための笑みだ!」
「へへっ、お前も素直になってきたじゃん」
「うるさい!俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」
万丈目はこのターン何もダメージを与えられず、いまだに万丈目のライフが3600、十代のライフが1600の状態だ。
万丈目は伏せカードが1枚で手札が3枚。十代は手札が3枚で、そのうちの2枚が、彼の『フレンドッグ』の効果で回収した『E・HERO バーストレディ』と『融合』だ。
十代のフィールドのカードは0であり、展開を見る限り手札にアームド・ドラゴンをどうにかできるカードはなさそうだった。
「俺のターン、ドロー!」
「ふん、どんなカードを引こうが、次の俺のターンに貴様は終わりだ十代……!」
「いいや、そうとも限らないぜ。俺は『ハネクリボー』を守備表示で召喚!」
「ちっ!またしても……!」
「俺はこれでターンエンドだ」
十代は変わらず、その場を凌ぐための最善の手を選んでいる。
ハネクリボーの効果によって、次のターンの万丈目が十代にはダメージを与えるのが格段に難しくなった。
しかさ、ターンを重ねるほど万丈目は手札を増やし、それによりどんどんと万丈目の優勢で進むようになる。
「十代は上手く凌いでいるな」
「ん、だけどこのままじゃ万丈目が段々有利になっていく」
「そうね。その場を乗り切るだけじゃなくて、どこかで超えなきゃいけないわ」
私達が話し込む中、翔はわなわなと震え、隼人は息を飲んでいる。
十代を応援せずに観戦している本校生徒の中には、十代の逃げ腰な対応に野次を飛ばす者も現れる。主にオベリスクブルーだ。
十代は賞賛も罵倒も気にせずに集中しており、それは万丈目も概ね同じと言えた。
「俺のターン、ドロー!俺は『アームド・ドラゴン LV7』で『ハネクリボー』を攻撃!アームド・パニッシャー!」
「ハネクリボー!」
「俺はターンエンドだ!」
十代の相棒モンスター、ハネクリボーが十代の身を守る盾となる。
万丈目がアームド・ドラゴンの効果を使わなかったことを疑問に思い、その疑問にカイザーが答える。
ハネクリボーが破壊されて墓地へ送られたターン、戦闘ダメージを受けなくなる効果が発動する。そのため、万丈目はコストの必要な効果破壊をせずに戦闘破壊で済ませたのだ。
「俺のターン、ドロー!来たぜ、逆転のための鍵が!」
「鍵だと?」
「俺は魔法カード『戦士の生還』を発動する!これにより俺は墓地の戦士族モンスター1体を手札に加えられる。俺は『E・HERO バブルマン』を選択する!」
「ふんっ!性懲りも無く、またドロー効果狙いか!」
「もちろんそれも発動するさ。俺はバブルマンを召喚し、その効果によりカードを2枚ドローする!だが、これは俺の真の狙いじゃない」
「なに?」
「俺は魔法カード『融合』を発動!俺は『E・HERO バブルマン』と手札の『E・HERO バーストレディ』を融合!『E・HERO スチーム・ヒーラー』を融合召喚!」
皆が見つめる会場の中央に、大きな鎧の戦士が現れる。
紫の機械的な鎧に桃色のパーツが目立ち、その硬い装甲から伸びる銀色の管からは熱い水蒸気が噴出されている。
硬く大きい鎧に身を包み、装甲の隙間から見える口元が強かに笑っている。
「攻撃力1800だと?そんなモンスターが何になる」
「こうするのさ!装備魔法『フュージョン・ウェポン』を発動!このカードはレベル6以下の融合モンスターにだけ装備できるカード。そのモンスターの攻撃力を1500ポイント上昇させる!」
「攻撃力3300だと...!?」
「俺は『E・HERO スチーム・ヒーラー』で『アームド・ドラゴン LV7』を攻撃!スチーム・ブラスト!!」
「くっ!俺は罠カード発動!『ホーリーエルフの祝福』ッ!これによりフィールドのモンスターの数×300ポイントだけ、ライフを回復させる!」
「だがアームド・ドラゴンは破壊される!」
「ぐぁああ!!」
スチーム・ヒーラーがその装甲の右手から高圧に圧縮されたスチームを放ち、アームド・ドラゴンの巨体を貫いて爆散させる。
戦闘を行うダメージ計算時に万丈目が『ホーリーエルフの祝福』を発動したため、彼の3600のライフが600ポイント回復し4200になり、そして戦闘ダメージの500ポイントを喰らい3700となる。
さらに、十代はスチーム・ヒーラーのさらなる真価を発揮させる。
「スチーム・ヒーラーの効果発動!このカードが戦闘でモンスターを破壊した時、破壊したモンスターの元々の攻撃力分だけ俺のライフは回復する!」
「なんだと!?」
「俺は『アームド・ドラゴン LV7』の攻撃力2800ポイント分を回復。俺のライフポイントは、4400になる!」
「くっ...!」
「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド!」
アームド・ドラゴンを失った万丈目のライフは3700、対する十代のライフは4400。
そして万丈目のフィールドにはモンスターが存在せず、十代のフィールドには攻撃力3300のスチーム・ヒーラーが存在している。
一転攻勢、十代の真骨頂だった。
「やったー!これで逆転っすよ!」
「すごいんだな、次の十代ターンで一気に決めればこのまま押し切れるんだな」
「確かに、十代はあのアームド・ドラゴンを突破して、しかも攻撃力3300の超強力モンスターを場に残してる。一見十代の優勢だが...」
「魔法カードでもモンスターを破壊する方法はある。その上、あの攻撃力を支えてるのは装備魔法、モンスターを破壊できなくても『フュージョン・ウェポン』を破壊されるだけで、十代の優位性は瓦解を始める」
「その上、手札の差もあるわ」
「ん、十代は1枚カードを伏せたから手札が残り1枚、万丈目は次のターンにドローして4枚」
「ここで逆転されれば、十代が再び巻き返すのは難しいだろうな」
カイザーが冷静に分析して、万丈目と十代のデュエルの展開を見越している。
これが彼の強み、相手が出しうる全ての可能性を分析して予測を繰り返す。
彼は十代と万丈目の実力を正しく分析し、その上で十代が負ける展開もあり得ると結論を出していた。
「俺のターン、ドロー!」
「さぁ、来い!」
「
「なっ...」
「さぁ、どうした?何もないならとっととカードを引け」
「くっ!なら俺はエンドフェイズに、速攻魔法『サイクロン』を発動!お前の右の伏せカードを破壊する!」
フィールドに小さい嵐が巻き起こり、その暴風が伏せられた万丈目のカードを破壊する。
先ほどまで攻勢で攻めていた万丈目が、ここにきていきなり伏せカードだけの守備戦術に切り替えたことに驚いた十代が咄嗟に選択したカードだった。
万丈目が伏せたのが速攻魔法であれ、罠カードであれ、セットしたターンには発動ができないために、対象とされたカードはなす術もなく破壊される。
「ちっ!『破壊輪』が……」
「あ、危ねぇ……」
十代が破壊したカードは『破壊輪』、それはフィールドのモンスター1体を破壊し、そのモンスターの攻撃力分のダメージをお互いが受けるカード。
もし伏せられた他の2枚も相手に効果ダメージを与えるバーンカードだった場合、次のターンで十代のライフは0にされていた可能性もある。
少なくとも3300のダメージを与え得る戦術であり、その戦略が未然に防がれたことにより、万丈目も少々苦々しげにしていた。
「俺のターン、ドロー!」
「……モンスターは引けたか、十代」
「いいや、俺の手札にモンスターはいない。だから俺は、スチーム・ヒーラーで今度はプレイヤーに直接攻撃だ!スチーム・ブラスト!!」
「ぐぉおお!!」
高圧蒸気によってその身体を貫かれ、万丈目が大きく仰け反る。
後ろ向きに倒れ込みそうになるのを既所で耐え、そのプライドで堪えて体勢を立て直し、再び鋭い眼光をもって十代の方へと向き直る。
3300のダメージを受け、彼の残りライフは既に400であり、その絶対絶命の状況の中で、彼はデュエリストらしく笑っていた。
「俺は、リバースカードオープン!『ヘル・テンペスト』ッ!」
「なんだ……!?」
「このカードは自分が3000ポイント以上の戦闘ダメージを受けた時に発動し、お互いのデッキ、墓地のモンスターを全て除外する!」
「除外だと!?」
フィールドには雷鳴が轟き、天災が巻き起こる。
万丈目と十代のデッキから全てのモンスターが取り除かれ、手札とフィールドのモンスターのみが残る。
そして、十代には手札のモンスターカードがないために、彼はフィールドのスチーム・ヒーラー以外の全てのモンスターを失ったということになる。
「ああっ!兄貴のエレメンタルヒーロー達が……!」
「すべてを除外……スチームヒーラーだけ残ったこの状況で、万丈目くんは一体、何をするつもりなのかしら……」
「あんなカードを入れるということは、少なくともそれに伴うコンボがデッキの中に眠っているのだろう」
「ん、少なくとも今は、万丈目のペース」
ノース校の人達が目を見開き、そして歓声を挙げた。
彼らには万丈目のこのコンボの、その行き着く先が分かるのかな?
本校の生徒達はみんな、頭を回して観察してたり、万丈目の行動を不思議がっていたり様々だ。
「俺のターン、ドロー!」
「さぁ、どうくる...」
「十代!貴様のその自慢のヒーローを、俺が今から葬り去ってやる!」
「へへっ!面白くなってきたぜ!やってみせろよ、万丈目──サンダー!」
「言われなくとも、今見せてやる!俺は罠カード『偽臣の書』を発動!これにより俺は、デッキ・除外状態の『英霊』モンスター1体を、フィールドに特殊召喚できる!」
「そのカードは...!」
万丈目が発動したのは、万丈目が学園を去る前の最後のデュエルで使ったカード。
万丈目の手に一冊の魔術書が現れ、それが雷の如きスパークを発する。
偽臣の書が淡い紫の光を放ちながら稼働し、そして彼の前に紫電が迸る。
「偽臣の書の効果により元々の攻守を半減させ、そして現れろ!『英霊 メドゥーサ』ッ!!」
妖しい光を放つ紫の電光の中から現れたのは、妙齢の女性。
紫の髪がその異質さを物語り、妖艶な魅力を伴わせる。
完成された肉体美と、神話の怪物としての異常性が内包されるその姿に、会場の人達のその全てが響めく。
英霊 メドゥーサ
万丈目準:デュエルを全力で楽しんでる人。獰猛に笑っている。
遊城十代:デュエルを全力で楽しんでる人。快活に笑っている。
小鳥遊優花:デュエルの観戦を楽しんでる人。万丈目の成長に興奮中。
主人公の名前を今さら小鳥遊優花にするのはあり?
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名前の法則的にそっちの方があり
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ここまできたら慣れたからなし
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どっちでもいい