GX世界の英霊デッキ使い   作:超融合は許さない

26 / 50
小鳥遊優花の異変

 

 

 視界を眩しい光が埋め尽くして、何かがぐらっとなる感覚を感じた。

 光が晴れた頃には視界が変わっており、さっきまであった古い遺跡のような光景はなくなっている。

 朽ちて崩れ落ちた跡もなければ、苔むした場所もそこにはなかった。

 

 

「なんだ、ここ?俺、夢でも見てるのか?」

 

 

 辺りには先ほどまでの遺跡を綺麗に直して綺麗にさせたような、よく似ていながら、それでも違うと言える有り様だ。

 夢らしいぽやぽやとした感覚はないが、自分が見ている光景が夢としか思えず、どうしても現実感がなかった。

 辺りを見回していると、すぐ側に相棒であるハネクリボーが現れる。

 

 

「おおっ!ハネクリボー、悪いけど俺の頬、つねってみてくれないか?」

 

「クリ〜!」

「いでっ!いででっ!」

 

 

 近くのハネクリボーに夢が確認してもらおうとすると、全力で頬を摘まれた。

 強い痛みに耐えきれずに優しい手つきで押し返すと、ハネクリボーに起きている驚くべきことに気づく。

 抓られた。つまり、ハネクリボーは何故か今、俺に触れられるということである。

 

 

「……ハネクリボーに、触れるっ!うお〜、お前ってこんなにもふもふだったのか〜!」

「クリ〜!」

 

「貴方達っ!」

 

 

 笑顔のハネクリボーを激しい動きで揉みしだいていると、後ろから声をかけられた。

 そちらを振り返ると1人の黒い髪の妙齢の女性が立っており、その褐色の顔立ちは整っている。

 そしてその出で立ちは暗殺者然とした黒い外套で夜闇に紛れるような格好であり、その腕には隼人のバッグがかかっており、その両手には目を瞑り眠っている優花が抱えられていた。

 

 

「優花っ!それに、それは隼人のバッグ……!」

「この子は、貴方達の知り合い?でもそれより、まずは隠れて!」

 

 

 突然現れてそう言ってくる彼女に、俺は強い力で壁へと押し付けられる。

 何がなんだか分からない状態で押さえられ、間近でその端正な顔立ちと女性らしい匂いを感じながら、その女性に庇うように守られて少し恥ずかしくなる。

 彼女から顔を背けて意識を逸らしていると、近くから大勢の足音が聞こえてくる。

 

 

「静かに」

 

 

 唇に細い人差し指を当てられて、静かにするよう彼女に命令される。

 彼女に押し付けられた場所は丁度、大きい階段の物陰になる位置であり、こちらに気付かれないままにその足音の正体の姿を見ることができた。

 長い槍を武装した兵士の集団であり、その集団が丁度死角にこちらの位置を置くような足取りで通り過ぎていく。

 

 

「もういいわ」

 

 

 抱きしめられた状態から解放され、そして辺りを見回すと先ほどまでいた兵士の姿はなくなっていた。

 彼女が小脇に抱え直していた優花を見ると、彼女に抱えられたままいまだに目を瞑り眠っている。

 しかしその顔に安らぐ安堵の表情はなく、苦しげに汗を滲ませながら魘されている。

 

 

「優花、どうしたんだ?大丈夫なのか?」

「分からないわ、私が見つけた頃には倒れていた。それよりも──」

 

「それよりも、なんだ?」

「貴方、自分の状況が分かっているの?」

 

 

 自分の状況、正直に言えばそんなことは分からない。

 訳が分からないままこんな遺跡のような場所に来て、訳がわからないまま精霊に触れたり槍兵がいたりする環境に置かれて、そして今は友人が倒れている。

 先ほどまでご飯を食べていたのに、それが遠い昔に感じるほどに色々なことが起きている。

 

 

「分からないのね、なら説明してあげるわ。貴方は今、墓守の地へいるの」

「墓守の地?」

 

「そう、私の名前はサラ、そしてここは墓守の一族が守る墓場。ここに入り込んだ侵入者達は皆、墓荒らしとして扱われてその身体を生きたまま石棺の中に入れられ、そのまま埋葬される」

 

 

 彼女から放たれる言葉の一つ一つに重みが乗せられており、その言葉を受けて思わず息を呑む。

 こんな場所に紛れ込んでしまったことも訳がわからないのに、その上に埋葬までされるなんて冗談じゃない。

 しかし、だからどうすればいいかなんてことはまるで分からず、ただ混乱したままに瞳が揺れる。

 

 

「貴方と一緒に入ってきた人達も、この子を除いて今は石棺の中よ」

「そんなっ!翔も、隼人も、明日香も、大徳寺先生も……?」

 

「ええ、私が見た限りでは4人、恐らく貴方の言うその人達のことでしょうね」

「ッ!なんとかならないのかよ……!」

 

 

 一緒に遺跡へ来ていた5人のうち、4人が捕まり、もう1人は原因不明のまま魘されている。

 つまり今、動けるのは俺1人、無事なのも俺1人ということになる。

 埋められそうになっている4人を助けないといけない。俺が、みんなを助けるしかない……

 

 

「少し、失礼するわよ」

 

 

 俺と彼女の間に、1つの人影が降りてくる。

 黒い外套、ヴェールで隠された顔、紫の服と唇、青い髪。

 その魔女のような風貌でゆっくりと降り立ち、自然で軽やかな声音で混ざってくる。

 

 

「何者だ!」

「お前は、確か……」

 

「……そちらの坊やは知ってるかしらね」

 

 

 確かに俺は、彼女には見覚えがある。

 その姿形はまさしく、優花と行った幾度のデュエルでも見かけてきた姿だった。

 彼女もまた、優花が精霊として呼び出した者の1人だろう。

 

 

「英霊メディア……」

「そう、知っていてくれて嬉しいわ」

 

 

 彼女からただ淡々と、何の気持ちも篭っていない感謝の言葉を呟かれる。

 メディアは手を振るい、触れることすらなく、優花を抱えるサラの手から優花を奪う。

 そしてそのまま触れることなく、ヴェール越しに優花の状況を観察していた。

 

 

「……分かったわ」

「分かったって、何がだ?」

 

「彼女の身に起きている異変よ」

「異変だと……?」

 

 

 俺とサラで、要領を得ない言い回しをする彼女の言葉を繰り返す。

 どうやら彼女が言うには、優花が苦しげに顔を歪めている原因が、その異変らしい。

 彼女がその場で簡単なタオルケットのような身を包める物を作り、それを優花に使って寝かせ始めた。

 

 

「彼女には元々、特性のようなものがあるのよ」

「特性……?」

 

「そう、英霊との縁を作って呼び出し、それをカードにすることができる」

「……?」

 

「……普通、精霊というのはカードとの絆を結んだ結果、側に現れるようになるものよ。しかし彼女の場合は先に縁があり、その後にカードが作られるの」

 

 

 彼女から次々と語られる新しい概念を説明する言葉に、理解が追いつかずに俺は首を捻る。

 つまり優花の場合は、精霊とカードの関係が逆転するということだろうか。

 彼女がすらすらと言葉を並べた後、こちらを向き直って口を開く。

 

 

「話が逸れたわね。つまるところ、彼女に起きている異変というのは、その特性に関するものよ」

「特性に?」

 

「彼女は元々、僅かな縁から強力な英霊を呼び出せるほどの力を持っていたわ。だけど、精霊そのものとの縁が深いこの世界に来たことで、その力が無理やり拡張されているの」

「……それって、優花はやばいのか?」

 

「別に大したことではないわ。要するに彼女は今、全身の成長痛と筋肉痛を同時に味わってるようなものよ」

 

 

 いまいちピンと来るような来ないような例えに首を傾げながら、特に危険がないと知り一先ずは安心する。

 そしてサラの方を見ると、彼女もまた安心したように息を吐いており、ゆっくりと胸を撫で下ろしていた。

 メディアは何の興味もなさそうに眠る優花を魔術で持ち上げ、そして彼女自身も浮いて外へ出ていこうとする。

 

 

「私はこの子を連れて、どこか別の場所に隠れるとするわ」

「待て、安全を考えればここを動かない方が……」

 

 

 サラが静止の声をかけるが、鰾膠もない態度でメディアはどこかへ飛んでいってしまう。

 静止のために伸ばされた彼女の手が虚空を掴み、そしてすぐに下ろされる。

 その時、彼女の服の隙間から柔らかい光が漏れ始め、彼女が服の隙間からその光源を取り出す。

 

 

「これは……」

「それ、『英霊』カードじゃんか」

 

「これが、彼女の言っていた……?」

「ああ、見たことないカードだけど、間違いなくな」

 

 

 彼女の手には、1枚の『英霊』カードが握られていた。

 そこには黒い外套を着て白い髑髏のような仮面を被る、暗殺者然とした人物が描かれている。

 名前はハサン、呪腕のハサンと書かれていた。

 

 

「ならこれは、君から彼女に渡しておいてくれ」

「え?どうして俺が」

 

「君は彼女の友人だろう。だから、私の元に紛れてきてしまったこれを、彼女に返してほしいんだ」

「……分かった、あんたがそう言うなら、これは優花に渡すよ」

 

 

 優しい笑みを浮かべる彼女の手から、その英霊の名を持つカードを受け取る。

 受け取ったそのカードの顔が少し揺らめき、そのカードの放つ淡い光が収まる。

 彼女が徐に踵を返し、部屋の出口へと向かい始める。

 

 

「私はそろそろ行く。ここを、動くんじゃないぞ」

「ああ、分かった」

 

 

 彼女がこちらを振り返らずに進み、遠くへと離れていく。

 その足取りは静かで、どこまで遠くへ歩いたのか、音だけじゃ分からないほどだった。

 1人部屋に残り、俺はみんなを助ける方法を考えながら窓のような鉄格子の外へと目を向ける。

 

 


 

 

 その後、鉄格子から外を眺めた俺は、今に埋められそうになっているみんなを発見し、思わず大声を上げてしまった。

 それが理由かは分からないが兵士達が集まり、俺は囲まれてその時に逃げ道を塞がれてしまった。

 そして墓守の長との話し合いにより、俺がデュエルで勝てばみんなを解放してくれるということになったため、俺は隼人のデュエルディスクを借りて、その墓守の長とデュエルすることになった。

 

 

「「デュエルッ!」」

 

 

 このデュエルに翔や隼人、明日香や大徳寺先生、それから俺と優花の命までかかってると思うと手に汗が滲んだ。

 俺がデュエルをしている間、デュエル場の下ではみんなが石棺の中でこちらを見守っている。

 負けられない戦い、負けたら終わりな戦い、こんな緊張感の大きなデュエルは、俺にとって初めての経験だった。

 

 






遊城十代:自分とみんなの命がかかったデュエルをやる人。ハサンは後で優花に返す。

小鳥遊優花:特性が強化されてる人。型月で言うと無理やり魔術回路開かれた状態。それなりにやばい状態。

メディア:優花を守ってる人。透明化や気配遮断を魔術で行って遊花を隠してる。

呪腕のハサン:別の人のとこに出てきちゃった人。暗殺者だから...。

アルトリア:表には出てない人。優花の中でアヴァロン稼働中。

主人公の名前を今さら小鳥遊優花にするのはあり?

  • 名前の法則的にそっちの方があり
  • ここまできたら慣れたからなし
  • どっちでもいい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。