GX世界の英霊デッキ使い   作:超融合は許さない

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十代vs墓守の長(2)

 

 

 フィールドが、世界が切り替わる。

 俺と墓守の長を避けるように地面の硬い岩が盛り上がり、舞台を渓谷へと変える。

 雄大な自然と、王家の荘厳さが交わるような景色。

 

 

「これは……」

「ここは『王家の眠る谷-ネクロバレー』、このフィールドにいる限り、フィールドの『墓守』と名の付くモンスターは、攻撃力が500ポイントアップする」

 

 

 フィールドには神秘的なエネルギーが、そして闇のエネルギーが満ちる。

 フィールドの『墓守』モンスターはそれぞれ、攻撃力1500の『墓守の暗殺者』と、攻撃力800の『墓守の呪術師』だ。

 そして、それらの攻撃力が500ポイントアップし、現在の相手フィールドには攻撃力2000の『墓守の暗殺者』と、攻撃力1300の『墓守の呪術師』がいることになる。

 

 

「儂は『墓守の暗殺者』で、貴様のフレイム・ウィングマンに攻撃する!」

「だが、フレイム・ウィングマンの攻撃力は2100!攻撃力2000の暗殺者じゃ無謀な挑戦だぜ!」

 

「ふん、甘いわ!儂は『墓守の暗殺者』の効果を発動!このカードが攻撃を行う時、戦闘を行う相手モンスターの攻守を変更できる!」

「くっ!」

 

 

 黒い外套を纏う暗殺者の瞳が赤く光り、その赤い眼光によって雄々しきヒーローの身体が動かされ、操られる。

 そして、『墓守の暗殺者』の効果により、俺のフレイム・ウィングマンの攻守が変えられる。

 フレイム・ウィングマンの守備力は1200、暗殺者の2000には為す術もなく破壊されることになる。

 

 

「行けっ!『墓守の暗殺者』よ!アサシン・ブレード!

「フレイム・ウィングマン!」

 

「そして、儂は『墓守の呪術師』で、『フレンドッグ』を攻撃する!破壊の呪文!

「ぐっ!」

 

 

 たった1ターンで、俺がフィールドに並べた2体のモンスターが破壊される。

 相手フィールドには攻撃力2000のモンスター、これを突破するには少なくとも上級モンスターを生贄召喚するか、もしくは融合モンスターを融合召喚しないといけない。

 一番可能性が高いのは融合モンスターだ。そして、俺の『フレンドッグ』が今、相手に破壊された。

 

 

「俺は、破壊されて墓地へ送られた『フレンドッグ』の効果を発動する!これにより、俺は墓地の『E・HERO』モンスター1体と、『融合』の魔法カード1枚を手札へ加えられる!」

 

「聖なるネクロバレーの威光を前に、墓暴きの所業は許されぬ!」

「なにっ!」

 

「フィールド魔法『王家の眠る谷-ネクロバレー』の効果により、互いのプレイヤーは墓地のカードへの魔法・罠・効果モンスターの効果での干渉を禁じられる」

「効果が不発に……!」

 

 

 俺の『フレンドッグ』の効果が無効化され、俺が『融合』を回収する手段が封じられる。

 そして、俺の手札を確認するが、俺には1ターンのうちに攻撃力2000のモンスターを超える算段がつかない。

 俺の残りライフは1000、次の相手のターンも凌ぎきれれば、いつかは勝機を掴むチャンスが来るはずだ。

 

 

「儂はこれでターンエンドだ」

 

「俺のターン、ドロー!俺は『強欲な壺』を発動し、さらに2枚ドロー!」

 

 

 デッキから2枚のカードをドローし、そのカードを確認した俺は目を見開く。

 そのカードは、俺のデッキに入っているはずのない、謎のカード。

 あのサラから託され、優花へと返すつもりでポケットへ蔵い込んだ『英霊』の名を持つカード。

 

 

「そうか、分かった。借りるぜ、優花、サラ」

 

「何をぐずぐずしている。いい加減、諦めがついたか」

 

「いいや、おっさんを倒す算段が整ったのさ」

「ふん、減らず口を……王家の威光を前に、貴様にとれる策など存在しない!」

 

「なら、それが本当かどうか、試してみようぜ?」

 

 

 手札のカードのテキストを見て、内容を確認する。

 いける。この効果なら、十分に相手のコンボを崩して勝てる可能性がありえる。

 フィールドと手札を見回し、そして手に握るそのカードを掲げる。

 

 

「俺は『英霊 呪腕のハサン』を守備表示で召喚する!」

 

 

 夜闇に姿を晦ませる黒い外套、笑う髑髏のような不気味な白い仮面。

 外套の下には黒い包帯のような布で異様なほどに巻かれた右腕が、その姿を肥大化させたように映る。

 暗殺者、アサシンの源流である、19人のハサン・サッバーハの1人。【呪腕】の異名を持つハサンだった。

 

 

「このモンスターは生贄なしで召喚できる。そして、リリースなしで召喚したこのカードは、その元々の攻撃力が1000になる」

「いくら上級モンスターだろうとも、攻撃力が1000となってしまっては無意味なことだ。その貧弱なモンスターで何ができる」

 

「言ったろ?お前に勝てるってな」

「ほざけ、貴様のそのニヤけ面と共に、そのモンスターを血祭りにしてくれる」

 

 

 俺のフィールドには攻撃力1000、守備力1500のモンスターが1体。

 そして相手フィールドには攻守2000のモンスターと、攻守1300のモンスターが1体ずつ。確かに圧倒的に不利な状況だった。

 そして、俺はその戦況を変えるための、このハサンの効果を発動する。

 

 

「俺は『英霊 呪腕のハサン』の効果を発動する!」

「なに……?」

 

「相手フィールドのモンスター1体を選択し、選択したモンスターを破壊する!俺が選択するのは、『墓守の暗殺者』だ!」

「ちっ!」

 

 

 ハサンの黒い布で覆われたような姿が、渓谷の風に煽られてゆらゆらと靡く。

 彼がその衣の下から奇妙に布の巻かれた大きな腕を出し、そしてその腕に巻かれた黒い布を解いていく。

 そして布が解かれるほどに、その腕の放つ悪性が顕になり、より空気が重々しくなる中、唐突に彼が仮面の下の口を開く。

 

 

「魂なぞ飴細工よ」

「苦悶を零せ、妄想心音(ザバーニーヤ)......!!」

 

 

 彼が右腕を覆っていた全ての布を捨て去り、赤熱したように赤い腕を取り出し、それを振るう。

 暗殺者の胸元までその右腕は伸縮し、『墓守の暗殺者』のその胸部を撫でるように胸に触れ、伸ばした右腕を縮める。

 彼の手には既に透明な心臓が握られており、彼がそれを嫌らしい顔でそれを握り潰す。

 

 

「今のが、ハサンの精霊の声……!」

 

 

 ハサンの効果を止めるものはなく、ハサンの声と共に放たれた技によって、『墓守の暗殺者』は為す術もなく破壊される。

 そして彼は破壊した相手の胸へと手を伸ばし、その胸から赤い心臓を抉り出す。

 その心臓を握り潰し、喉を鳴らして心臓から垂れる血液を飲み込み始める。

 

 

「悍ましきことを!だがしかし、たかがモンスター1体を葬られただけのこと!次のターンで貴様を始末してくれるわ!」

 

「いいや、まだだ。ハサンの効果には続きがあるのさ」

「なんだと……!」

 

「『英霊 呪腕のハサン』の効果によってモンスターを破壊した時、破壊したモンスターの攻撃力・守備力の元々の数値の半分を、このカードの攻守にそれぞれ加える!」

「なにぃ!」

 

 

 『墓守の暗殺者』の元々の攻撃力・守備力はどちらも1500、そしてその半分が加わり、ハサンの攻撃力・守備力は1750と2250になる。

 ハサンの表示形式は守備表示、つまり相手は攻撃力2250を突破できるモンスターを呼ばなければ、この守りを突破できない。

 俺の手札は残り5枚、それを上手く使ってさらに守りを固める。

 

 

「俺は永続魔法『悪魔の蜃気楼』を発動し、そしてカードを3枚伏せて、ターンエンドだ」

 

「儂のターン、ドロー!」

「この時、『悪夢の蜃気楼』の効果により、俺はデッキからカードを3枚ドロー!」

 

 

 『悪夢の蜃気楼』は相手のスタンバイフェイズに手札が4枚になるようドローし、その時引いた数だけ次の自分のスタンバイフェイズに手札を捨てる永続魔法。

 俺の手札は『E・HERO バブルマン』の1枚だけのため、俺は3枚のカードをドローした。

 俺は手札を確認し、その手札から導ける複数の勝ち筋に思考を巡らせる。

 

 

「どうやら良いカードを引いたようだな。だがそんな喜びも、闇のゲームの前では全て無意味と知るがいい」

 

「儂は、フィールドの『墓守の呪術師』を贄として、我自身を召喚する!」

「自分自身を召喚、だと……!」

 

 

 目の前にいる墓守の長が、デュエルディスクを構えたままフィールド上へと移動する。

 上級モンスターである『墓守の長』の攻撃力は1900、そしてフィールド魔法『王家の眠る谷-ネクロバレー』の効果により、さらに攻撃力が上がって2400。

 俺のフィールドのハサンの守備力を容易に突破できる数値だった。

 

 

「儂がフィールドにいる限り、儂の墓地はネクロバレーを効果を受けない。そして、我の効果を発動。墓地の『墓守』と名の付くモンスター1体を、フィールドに特殊召喚する!」

「なにっ!」

 

「冥府より出でよ、『墓守の暗殺者』よ!」

 

 

 相手の墓地から『墓守の暗殺者』が蘇生され、そしてそのモンスターの攻撃力が『王家の眠る谷-ネクロバレー』の効果により、再び2000にまで上がる。

 『墓守の暗殺者』には戦闘を行う相手モンスターの表示形式を変更する効果があり、ハサンの攻撃力は1750。

 つまり、俺は『墓守の長』と『墓守の暗殺者』のどちらから攻撃されても、フィールドのハサンを破壊されることになる。

 

 

「儂は『墓守の暗殺者』で、貴様のモンスターを攻撃する!」

「くっ!」

 

「そして『墓守の暗殺者』の効果を発動し、表示形式を変更させる。『墓守の暗殺者』よ、奴のモンスターを破壊せよ!アサシン・ブレードッ!!

 

 

 俺のフィールドにいるハサンが、相手のモンスターの効果を受けてその攻守を変更する。

 このまま攻撃を受けてしまえば、続く『墓守の長』の攻撃によって、俺はデュエルに敗北するだろう。

 相手の暗殺者の持つ、波打つような奇妙な形状の刃が向けられ、その攻撃がハサンへと迫りくる。

 

 

効果モンスター

戦士族・闇・星5・攻2000/守1500

①:このカードはリリースなしで召喚できる。

②:特殊召喚またはリリースなしで召喚したこのカードのレベルは4になり、元々の攻撃力は1000になる。

③:1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる(この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない)。そのモンスターを破壊する。このカードの攻撃力・守備力はその破壊したモンスターのそれぞれの元々の数値の半分アップする。

効果モンスター

戦士族・闇・星5・攻2000/守1500

①:このカードはリリースなしで召喚できる。

②:特殊召喚またはリリースなしで召喚したこのカードのレベルは4になり、元々の攻撃力は1000になる。

③:1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる(この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない)。そのモンスターを破壊する。このカードの攻撃力・守備力はその破壊したモンスターのそれぞれの元々の数値の半分アップする。

効果モンスター

戦士族・闇・星5・攻2000/守1500

①:このカードはリリースなしで召喚できる。

②:特殊召喚またはリリースなしで召喚したこのカードのレベルは4になり、元々の攻撃力は1000になる。

③:1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる(この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない)。そのモンスターを破壊する。このカードの攻撃力・守備力はその破壊したモンスターのそれぞれの元々の数値の半分アップする。






遊城十代:楽しんでる人。呪腕のハサンを使うのは最初で最後。

小鳥遊優花:寝てる人。魘されてる。

呪腕のハサン:空気読んで出てきた人。気分がノって宝具名と前口上まで言っちゃった人。

主人公の名前を今さら小鳥遊優花にするのはあり?

  • 名前の法則的にそっちの方があり
  • ここまできたら慣れたからなし
  • どっちでもいい
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