GX世界の英霊デッキ使い   作:超融合は許さない

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入寮

 

 

「うぷっ気持ち悪い……」

 

 

 現在、私は船に揺られている。

 デュエルアカデミアへの送迎の船は男女一緒に船に乗る。だから中の女子達はみんな一塊にされて端の方の数部屋に陣取っているのだ。

 そのため女子部屋は船の揺れをもろに受ける位置であり、上下に揺らされて平衡感覚が狂ってしまう。

 だから私が三半規管がクソ雑魚とか、そういうわけではないのだ。

 

 

「あの、大丈夫?」

 

 

 私が吐き気を催してグロッキーになっていると、そこで誰かに話しかけられる。

 うっかり限界を超えてリバースしてしまわないように、注意を払ってゆっくりと声のする方を振り向いた。

 そこにいたのは金色がかった明るい茶髪をストレートに伸ばし、青いオベリスクブルーの制服を着熟す清廉なうら若き美少女がいた。しかし胸が大きい。

 故に彼女の胸に顔を埋めた私は悪くない。

 具合が悪かったのだ、仕方ない。

 

 

「えっと、なにを……?」

「気持ち悪い……吐きそう……」

「ちょ、ちょっと待って?そこで吐くのはやめて?お願いだから……」

 

 

 頭上で何か聞こえる。性格キツそうな感じだったけど案外物腰柔らかいなぁ。

 私が同性で、尚且つ病人だからかな...?

 それはそれとして、わたわたされるとおっぱいが揺れて、そしてそれに頭を乗せている私の頭も揺れるからやめて。か弱い私は吐いちゃうから。

 

 その時、船が少し大きめに揺れる。

 わたわたしている可愛い少女はその場で足がもつれ、前のめりにたおれこんだ。

 そうして私は、彼女のおっぱいと冷たい床にサンドイッチされて気絶した。

 

 


 

 

 目を覚ますと綺麗な青空が広がっていた。

 海猫か鴎か分からない白い鳥が飛んでおり、青い空に映える。

 しかし私の視界の半分を陰が覆っており、頭には柔らかい感触が広がっていた。

 

 

「目が覚めたかしら?」

 

 

 陰の部分から先ほど話しかけてきていた彼女が顔を出す。

 陰の正体は彼女のおっぱいだった。恐るべしおっぱい。

 身体を起こし、徐に辺りを見回すとどうやら船のデッキの上らしい。

 しかし、頭を床にぶつけて気絶する前はあった船の揺れが、いつの間にやらなくなっている。

 

 

「もう着いたのよ、デュエルアカデミアに」

 

 

 首を傾げていると、落ち着いた雰囲気の彼女に話しかけられる。

 彼女が乗っている船の船頭の方向を指差し、そこには大きい島が悠然とあった。

 そしてその島には雄大な自然が満ちており、映画の舞台になりそうなほどに迫力が満点だった。

 いつの間にやら目的地に到着したこの船はアカデミアの港に停泊しており、船に乗っていた生徒達が続々と島に向かって歩みを進めていた。

 

 

「おお。本当だ、壮観」

「具合も治ったみたいね。それじゃあ行きましょう?早く降りないと船が出発しちゃうわよ」

「ん、そうだね。だけど、なんで君は私が起きるまで待ってたの?先に降りれていれば良かったんじゃない?」

 

 

 彼女が肩を竦める。まるで呆れたと主張するような態度でこちらを見て、ゆっくり近づき私の手を取った。

 柔らかい手に握られ、さらにぎゅっと力を込められて困惑する。

 しかし驚く私を見つめながら、彼女は優しく微笑んで口を開いた。

 

 

「目の前で倒れた子を放置なんて出来ないでしょ。面倒くらい見るわよ」

「……そっか、ありがとう。私は小鳥遊優花」

天上院明日香よ、よろしく優花」

「うん、よろしく明日香」

 

 学園生活は幸先が良いな。もう3人目の友達が出来た。

 それにしても、会ったばっかの名前も知らない私のためにここまでやるなんて、すこしお人好しがすぎるんじゃないかな。

 意識のない私をデッキの上まで運んで、私が起きるまで膝枕して、善性が過ぎる気がするなぁ。

 

 明日香が徐に立ち上がり、スカートの皺を伸ばして綺麗に整える。

 私も真似してオシリスレッドの赤い制服を整えていると、明日香がくすくすと笑いだす。

 笑われたことを不思議に思い首を傾げていると、明日香が近づいてきて優しく私の服の乱れを整えてくれた。私のやり方では力を込め過ぎだったらしい。

 彼女が歩きだすのを見て私も後を追う。明日香の隣を歩いて一緒に船を降りる。

 

 

「そういえば貴女、試験の時に最後にデュエルしていた子よね?」

「うん、そうだけど。明日香も見てたの?」

「ええ、あの会場に私もいたのよ。まさかクロノス先生を倒す受験生が2人もいるなんて思わなかったわ」

 

 

 へぇ、あの人クロノスって言うんだ。先生ってことは結構強い人なのかな。

 島の舗装された道を歩きながら、彼女の横に陣取る。

 私がクロノス先生の実力について質問すると、彼女は頷いて説明を口にした。

 

 

「デュエルアカデミアの教員はみんなプロ級のデュエリストだけれど、その中でデュエルの実技担当、そしてその最高責任者に選ばれてるのがクロノス先生なのよ。つまりは学園の外も含めてもトップクラスに入るデュエリストなの」

 

 

 思ったより凄い人だった。だけど昨日のデュエルでは手応えはそれほどだった。

 やっぱり長引かせたら危険なタイプの相手だったのか、または子供相手だからと手加減していたか。そんなところなのかな。

 油断とか慢心の可能性は、流石に少ないかな、プロだし。ないと思いたい。

 

 

「そうなんだ。なんとなく本気出されたらヤバそうな気がしてたんだよね。だから本気出される前に速攻で倒したんだけど、正解だったみたいだね」

「そう?エースモンスターを出した時点で大分本気だと思うけれど、貴女がそう直感するってことは、まだ上があるってことなのかしら」

 

 

 そうこう話しているうちに、道が二股に別れている場所に着く。

 明日香が向かうブルー寮への道は綺麗に舗装されているが、私の向かうレッド寮への道は申し訳程度の整備しかされていなかった。

 あからさまな格差を感じつつも、明日香に別れを告げてレッド寮を目指して歩く。

 一応、平坦な道のりではあるのだが、しかし履き慣れない靴であったりすることも加わり、少々足が疲れ始めている。

 

 疲れ気味にゆっくりと歩を進めていると、分かりやすく赤い屋根の寮が見えてくる。

 結構なボロ宿であり、イエロー寮やブルー寮を見なくても、なんとなく格差があるんだろうなと納得するレベルだった。

 歩いてレッド寮へ近づくと、寮長らしき男の人が見える。

 眼鏡をかけて猫を抱えている、なんとなく冴えない印象を受ける先生だ。

 

 

「ああ!君が小鳥遊優花さんだにゃん?待ってたのにゃー。レッド寮の新入生は君で最後なのにゃ」

「はい。よろしくお願いします」

「よろしくお願いしますにゃー。だけどそんなに硬くならなくても大丈夫なのにゃ。先生は生徒のみんなと仲良くしたいのにゃー」

「ん、よろしく先生」

「よろしくなのにゃー」

 

 

 冴えない印象は拭えないが、それでも優しそうな先生で良かった。

 もし変な先生だったら、私は反抗期デュエルしてたかもしれない。

 その後、その先生に連れられてレッド寮の中を案内される。

 食堂やらトイレやらの位置を教えられ、そして最後に寝室へ案内される。

 

 

「ここが優花さんの寝室になるんだにゃー。本来は寝室として利用する部屋じゃないから、ちょっと広いけど許してほしいんだにゃ。流石に男子と同部屋にするわけにはいかないのにゃ」

 

 

 他の場所を案内されてる時にも思ってたけど、レッド寮ってやっぱり狭いよね。

 普通の相部屋の寝室も数えるほどしかないし、しかもなんか床がギシギシ言うし。

 私の部屋が広いのは、英霊のみんなを呼ぶ時に助かるからありがたいけど。

 

 

「それじゃあ優花さんの荷物は届いてるから、この部屋に置いておいた分を自分で開封してほしいんだにゃー」

 

 

 荷物?ああ、なんか準備してもらった気がする。

 しかし世話焼きの精霊が1人いるだけで、日々の生活がすごい助かるって実感するな。

 先生が猫を抱き抱えたまま、ゆったりとした緩慢な動きで離れていく。

 そういえばあの人の名前知らない気がする。

 

 

大徳寺だ。パンフレットやウェブサイトに書いてあっただろう」

「教えてくれてありがとうエミヤ、勝手に出てこないで」

「うるさい、荷解きをするんだろう。この荷物を詰めたのは俺なんだ。荷解きと部屋のセッティングも俺がやる」

 

 

 英霊エミヤ。世話焼きで家事全般が得意なお人好しだ。

 他の英霊は基本偉人であったり、神話の人間だったりが大半なのだが、しかし彼はその例には当てはまらず、今を生きる現代人が未来で英霊となった存在らしい。

 私が小さい頃はご飯を作ってくれて、私の苦手な家事も一から教えてくれて、それこそ母や父のような存在だった。

 というか、なんなら今もよく世話をされている。彼の言うようにアカデミアに来る時の荷造りは全て彼任せだった。

 

 

「いつもありがとう、エミヤ」

「気にするなとは言わん。というかもっと気にしろマスター、婦女が乱りに男に私物を漁らせるものではない」

「エミヤなら大丈夫。信頼してる」

 

 

 彼が肩を落として私に向かって溜め息を吐く。

 アルトリアと同じく気安い関係で嬉しいが、だけどそれはそれとして溜め息を吐かれるのが心外という気持ちがある。

 抗議の視線を向けるが、しかし彼は気にも留めず荷解きを始めた。

 どんどんと荷が解かれていき、私の愛用の枕や歯ブラシ、パジャマが次々と部屋に置かれていく。

 中には彼の愛用のティーポットやフライパンも紛れていた。私をお世話する気満々で嬉しい限りである。

 

 

「一通りの荷解きは終わった。部屋の掃除は既にされている状態だったから多少物の配置を変えるだけで終わる。あとは好みで好きにしろ」

「うん、ありがとうエミヤ。助かった」

 

 

 彼が鼻を鳴らして実体化を解き、その場から姿を消す。

 ツンデレ感があるが別に照れ隠しとかではなく、彼は本気で呆れながら普通にお世話をしてくれるのだ。

 彼がベッドメイキングしてくれたベッドに横になる。

 そうすると、船酔いがまだ残っていたのか、それとも歩き疲れたせいか、とにかくとてつもなく眠くなり、目を瞑るだけで私は深い眠りに落ちた。

 

 






小鳥遊優花:一応家事は出来るようになった人。しかし家ではエミヤに任せきり。好きな料理は辛くない麻婆豆腐。

天上院明日香:気になる相手のうちの1人と友達になれて嬉しい。ダメ人間の気配を感じて若干世話焼き遺伝子が働きそうになる。

エミヤ:相手がダメ人間でもそうじゃなくても最終的に世話を焼いてしまう人。わりとなんでも出来る。プロ並みの一芸があるわけじゃないが全部を一定以上のラインで出来るために一流な人。

主人公の名前を今さら小鳥遊優花にするのはあり?

  • 名前の法則的にそっちの方があり
  • ここまできたら慣れたからなし
  • どっちでもいい
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