GX世界の英霊デッキ使い   作:超融合は許さない

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闇のデュエル カイザーvsカミューラ(1)

 

 

 僅かな風すら流れず、濃い霧が滞留し肌を湿らせる中、1人のデュエリストが女吸血鬼へと向き直る。

 波一つたてずに湖が凪ぎ、その上に広がる赤いカーペットの上に2人が立ち、互いのディスクを展開してカードを引く。

 鍵の守り手3人、セブンスターズ1人に見られながら、そして新たにこちらへ走り寄ってくる存在を感知しながら、デュエルが始まる。

 

 

「「デュエル!!」」

 

「私の先行、ドロー!私は『不死のワーウルフ』を召喚し、カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

 フィールドに獣の体毛を持ち、唸り声を上げながら二足歩行で歩く狼男が現れる。

 その両腕は金属音を鳴らしながら揺れる鎖が付き、拘束具を無理やり引きちぎったかのような印象を抱かせる。

 攻撃力1200、守備力1200の弱小モンスターだが、そのモンスターを前にしても、カイザーの鋭い眼には1つの油断もなかった。

 

 

「俺のターン、ドロー!俺は『サイバー・ドラゴン』を召喚する。このカードは相手フィールドにのみモンスターが存在する時、その生贄を必要としない」

「攻撃力2100、中々のモンスターね」

 

「俺は『サイバー・ドラゴン』で『不死のワーウルフ』を攻撃!エヴォリューション・バースト!

「きゃあっ!」

 

 

 ギラギラと眩しい輝きを孕む機械の竜が放つ荒々しい翠の光が弱い人狼を包み、その獣の肉体を端から誘拐させ、溶かすように消し炭にする。

 攻撃力1200のワーウルフが破壊され、攻撃力2100のサイバー・ドラゴンとの差900の戦闘ダメージがカミューラを襲い、その肌を切り裂く。

 現在のカミューラのライフは3100であり、その程度のダメージであろうとも闇のゲームは彼女に痛痒を与えることになる。

 

 

「私は『不死のワーウルフ』の効果を発動!戦闘で破壊された『不死のワーウルフ』はデッキから同名モンスターを特殊召喚し、その攻撃力を500ポイント上げる効果を持つのよ!」

「……当然、理解している」

 

「私は2体目の『不死のワーウルフ』を召喚!」

「来たか」

 

 

 先程と同じ狼男がフィールドへ降り立ち、大きな雄叫びと共にその力を解放する。

 黒い瘴気に身体を包まれ、毛皮の中の筋肉質な肉体を膨張させてより大きく怒張させる。

 カイザーのフィールドには攻撃を行えるモンスターがこれ以上いないが故にカミューラは攻撃表示でワーウルフを呼び、それをカイザーへと見せつけている。

 

 

「俺はカードを3枚伏せ、ターンエンドだ」

「私のターン、ドロー!」

 

「私は『不死のワーウルフ』を生贄に捧げ、『ヴァンパイア・ロード』をアドバンス召喚する!」

 

 

 フィールドにかかる濃い霧を夜の色に染め上げるように、1人の妖しげな吸血鬼の男が現れる。

 品を感じられる暗い色のマントに身を包み、青みがかった白い髪が短く揃えられている容姿が特徴的な男だった。

 その整った相貌は中性的であり、口の端からは小さな白い牙が見えている。

 

 

「そういえば、この闇のデュエルのルールを説明してなかったわね」

「ルールだと?」

 

「そう、この闇のデュエルに敗北した者の魂は、この人形に囚われる。互いの魂の封印をかけたデュエルというわけ」

「魂の封印……」

 

 

 カイザーはカミューラの言葉を反芻しながら自身の青い制服の胸元を手で掴み、魂を賭けることの重みを噛み締める。

 カイザーはその凛々しい顔を顰め、自身の胸に置いていた手を離して深呼吸をする。そして、服の皺を伸ばしてカミューラへと向き直る。

 一瞬にしてその覚悟を確かなものへと固め直したカイザーは堂々と立ち、そしてその姿を見る観客達も各々の反応を示す。

 

 

「闇のデュエルだなんて、ばかばかスィ〜!ハッタリも大概にするノーネ!」

「あんた、まだそんなこと言ってるのか……」

「だが、こんな超常現象が起きてるんだ。どちらにせよ、相手の正体は得体が知れない」

 

 

 その観客の中に十代と翔、そして大徳寺先生と明日香が混じり、その場には殆どの鍵の守り手が一同に介していた。

 なんなら、顔を隠して正体を伏せている私も含めれば全員が揃っていると言える状況だ。

 真剣にカイザーとカミューラのデュエルを真剣に眺める7人を見て、私も視線を戦う2人の方へ移す。

 

 

「『ヴァンパイア・ロード』の攻撃力は2000、このままじゃ貴方の『サイバー・ドラゴン』を倒すことはできない。だから私はフィールドの『ヴァンパイア・ロード』を除外し、『ヴァンパイアジェネシス』を特殊召喚する!」

「『ヴァンパイアジェネシス』だと……?」

 

「この『ヴァンパイアジェネシス』は、自分の『ヴァンパイア・ロード』を除外した場合のみ特殊召喚できる特殊なカードなの。そしてそれだけに見合った能力を備えているのよ!」

 

 

 青年のような見目麗しい姿だったヴァンパイア・ロードの容姿が大きく変貌し、明らかな怪物へとその姿を激しく変容させる。

 線の細い身体が怒張して衣服を内側から破裂させて引き裂き、その身体が倍以上に膨らんで大きな影を作り、青白い肌もまた紫色へと変じている。

 中性的で美しい顔の作りも恐ろしい魔物としての本性を曝け出すように作り変わっており、2本の猛々しい角を顔から生やし大きな牙を剥き出しにして咆哮する。

 

 

「私は『ヴァンパイアジェネシス』の効果を発動!手札からアンデット族モンスターを墓地へ送ることにより、墓地へ送ったモンスターより低いレベルを持つアンデット族1体を、墓地から特殊召喚できる!」

 

「私は『龍骨鬼』を墓地へ送り、墓地に存在する『不死のワーウルフ』1体を、フィールドに特殊召喚!」

 

 

 レベル6の『龍骨鬼』がカミューラの墓地へと送られ、墓地に存在していた『不死のワーウルフ』がフィールドへと呼び戻される。

 カイザーのフィールドには攻撃力2100の『サイバー・ドラゴン』が1体いるのみであり、カミューラのフィールドには攻撃力3000の『ヴァンパイアジェネシス』と攻撃力1200の『不死のワーウルフ』の布陣が完成していた。

 カミューラのライフは3100ではあるが、この2体の攻撃が通ればその差はひっくり返り、合計2100のダメージとなってカイザーを襲うことになる。

 

 

「バトル!私はヴァンパイアジェネシスでサイバー・ドラゴンを攻撃ッ!ヘルビシャス・ブラッドッ!

「俺は罠カード『アタック・リフレクター・ユニット』を発動する!」

 

「なっ……!」

「フィールドの『サイバー・ドラゴン』をリリースし、デッキから『サイバー・バリア・ドラゴン』を特殊召喚する!」

 

「さらに俺は『サイバー・バリア・ドラゴン』の効果を発動する!このカードは攻撃表示の時、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にできる!」

「くっ!ならワーウルフでそのバリアドラゴンを攻撃するまでよ!不死のワーウルフの攻撃ッ!ハウリングスローッ!

 

 

 全身から暗黒のオーラを放つヴァンパイアジェネシスの攻撃がバリアドラゴンのリフレクターによって封殺され、すぐにワーウルフによる攻撃へと移る。

 深い闇を背にしながら狼男がけたたましい叫び声と共に駆け出し、バリアドラゴンの硬い金属の身体へとその牙を突き立てる。

 攻撃力僅か800のバリアドラゴンはその攻撃によって破壊され、ワーウルフとの攻撃力の差分400のダメージがカイザーへと与えられる。

 

 

「ぐぅ……」

「私はカードを1枚伏せて、これでターンエンド。どうかしら?初めての闇のデュエル、そしてその痛みを味わった感想は?」

 

「俺の、ターン!ドローッ!」

 

 

 カイザーは初めて味わう痛みに僅かに動揺を見せながら、薄い笑みを浮かべるカミューラ相手に油断なく相対する。

 カードを1枚ドローしたことによりカイザーの手札は3枚になり、カイザーは1度笑みを浮かべてから注意深くフィールドを観察する。

 カイザーのフィールドには伏せカードが2枚あるのみ。そしてカミューラのフィールドには高い攻撃力を持つ『ヴァンパイアジェネシス』と破壊された時に同名モンスターをリクルートする効果を持つ『不死のワーウルフ』がおり、伏せカードが2枚伏せられている。

 

 

「俺は罠カード『リビングデッドの呼び声』を発動し、墓地の『サイバー・ドラゴン』1体を特殊召喚する!さらに俺は魔法カード『パワー・ボンド』を発動!」

「パワー・ボンド……!」

 

「光属性専用の融合カードだ!俺は手札の『サイバー・ドラゴン』とフィールドの『サイバー・ドラゴン』の2体を融合!現れろ、『サイバー・ツイン・ドラゴン』ッ!!

「ちぃ……!」

 

 

 2頭を持つ美しい機械の龍が現れ、稲光のように眩しく煌めきながら動き始める。

 機械的に精密に重々しい動きでありながら、生物的に流線形を描きゆったりと尾を振る。

 攻撃力2800のレベル8融合モンスターであり、2回攻撃をできる能力を備えている。

 

 

「『パワー・ボンド』の効果によって特殊召喚された『サイバー・ツイン・ドラゴン』の攻撃力は倍の数値になる!」

「攻撃力5600ッ!?」

 

「このターンで終わらせるッ!サイバー・ツイン・ドラゴンでヴァンパイアジェネシスを攻撃ッ!」

「ッ!罠カード『妖かしの紅月(レッドムーン)』を発動ッ!」

 

 

 2つの頭を持つ機械龍を攻撃を塞ぐようにカミューラが罠を発動し、フィールドの濃霧の奥に人面の浮かぶ赤い月が浮かび上がる。

 カミューラの発動した『妖かしの紅月』は手札からアンデット族モンスターを捨てて発動する罠カードであり、相手の攻撃を無効にしてその攻撃力分のライフを回復し、そのバトルフェイズを終了させる効果を持つ。

 カミューラはその顔を焦りから余裕のある笑みへと変え、手札のカードを1枚墓地へ送り、持っている手札を0にする。

 

 

「このカードは相手モンスターの攻撃宣言時に手札のアンデット族を捨てることによって発動し、その攻撃を無効にしてその攻撃力分を私はライフへと変換できる!」

「リバースカードオープン!『トラップ・ジャマー』を発動!お前の『妖かしの紅月』の発動を無効にして破壊する!」

「なんですって!?」

 

「サイバー・ツイン・ドラゴンの攻撃ッ!エヴォリューション・ツイン・バーストッ!!

 

 

 2頭の龍から放たれる2つ光の線がヴァンパイアジェネシスの身体を貫き、2つの風穴を開けて広げる。

 光の線が交わりながら太く大きくなり、相手の全てを焼き尽くさんとその出力を強めていく。

 やがてその光線は影すら許さないほどの眩しい光を放ち、紫の巨体を持つ怪物を完全に消し去り、塵すら残さないほどに分解させる。

 

 

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  • キャラクター関連
  • 展開・ストーリー関連
  • 設定・説明関連
  • セリフ・地の文関連
  • 前書き・後書き・投稿時間等作品外関連
  • 作者関連
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