GX世界の英霊デッキ使い 作:超融合は許さない
英霊カーミラによる直接攻撃が炸裂し、カイザーのライフは残り1500。そして対するカミューラのライフは残り1900であり、僅か400の差でカミューラが優勢だった。
カミューラのフィールドには1体の上級モンスターが優雅に立つ。しかしカイザーのフィールドにはカードが存在せず、そしてカイザーの手札は0枚である。
圧倒的な優位に勝利を確信しながらカミューラは微笑み、相手を煽るように声を上げて笑う。
「くふふ、私はこれでターン終了。もうじき、貴方は私の可愛いお人形になるのよ。楽しみね?」
彼女はわざとらしく笑いながら笑顔を作り、口元に手を当てながら言葉を重ねる。
しかし彼女に言葉を投げられたカイザーはそれどころではなく、先ほどの直接攻撃による魂への負荷によって、彼は両膝をついて意識を朦朧とさせている。
そしてなんとか片足を上げて身体を支え、ふらふらと肩を揺らしながらも徐に立ち上がってデッキに手をかける。
「俺の、ターン──ドローッ!」
「……俺は『サイバー・フェニックス』を守備表示で召喚し、ターンを終了する!」
彼の宣言と共にフィールドに明るい光が灯り、4枚の赤い翼を持つ機械の不死鳥が悠然と現れる。
攻撃力1200、守備力1600の機械族レベル4モンスターであり、そのモンスターが羽根を模した4枚の翼を重ねて身を守る。
そしてサイバー・フェニックスには特殊能力があり、サイバー・フェニックスが破壊された時にそのコントローラーはカードを1枚ドローする効果を持つ。
「知っているわ。貴方のそのモンスター、戦闘破壊されることで効果を発動するんでしょう?」
「ッ!」
「でも、そんなに壊してほしいなら──良いわよ?壊してあげる」
彼からターンが移り、自身の手番となったカミューラはデッキからカードを引きながら宣言する。
カミューラは2枚ある手札で口元を押さえるように隠しながら、くつくつと笑って子供をあやすような声音を出す。
彼女は2枚あるうちの、一つ前の自分のターンにドローした方のカードを選択し、それをディスクへと読み込ませる。
「──ただし、魔法カードでね」
「くっ……!」
「魔法カード『
再びフィールドには異空間へと通じる黒い穴が開き、その中から黄金色に輝く拷問器具、人を模った大きな箱が現れる。
無垢な少女のような顔を持つ鉄の処女がその閉じた箱の扉を開き、中に備わった無数の長く硬い針で機械の不死鳥を迎え、金色の箱の中へとその身体を納めた。
扉が閉じられると同時に耳を劈く激しい破壊音と共に機械の鳥が悲鳴を上げ、甲高い断末魔のような音と共に箱の中の機械がその原型を失い無惨にも壊される。
「これでサイバー・フェニックスの効果は発動せず、さらに私はファントム・メイデンの効果で破壊したモンスターの攻撃力分だけライフを回復できちゃう。至れり尽くせりね」
「ッッ!!」
「ただ、このカードの効果を発動したターン、私はカーミラで攻撃ができないのよ。だから私は、カードを1枚伏せてターンエンドよ」
サイバー・フェニックスが破壊され、その攻撃力1200の分の回復効果を得たカーミラのライフは3100にまで上昇する。
そしてカイザーの手札・フィールドのカードは再び0枚であり、ふりだしに戻るどころかライフ差が広がってしまい、より勝利が遠のいた状況だった。
わざとらしく高笑いをするカミューラに向かい、カイザーは苦々しい顔を浮かべながらもデッキのカードに手をかける。
「俺のターン、ドロー!」
「この瞬間、永続罠を発動!」
「なにっ!」
「永続罠『死霊の
「っ!」
フィールドに黄色い2本の大きな角を生やした黒い衣装で顔面蒼白の霊が浮かび、すぐにそれが霧の中に霧散するように消える。
濃霧のじっとりとした湿気が肌を撫で、吸血鬼の立つ暗い空のその冷気で身体は冷たく底冷えさせられる。
自分の汗か濃霧の湿気かも分からない冷たい水気が背を伝う中、皆がデュエルの行末を見届けるために固唾を飲んで静観する。
「カイザーの残りライフは1500……」
「なら、あと5枚カードを使うだけで、お兄さんのライフは──」
「……いいえ、状況はもっと悪いわ」
「え?」
「カミューラのフィールドには、罠カードの効果ダメージが発生する度に500ポイントのダメージを追加で与えてくるカーミラがいる」
「つまり、これからカイザーが使えるカードは──1枚だけだ」
「そんな……」
「それに加え、シニョール亮のデッキは融合召喚による高火力モンスターを主体とするデッキ……」
「だけどあの罠とモンスターが存在する限り、素材を墓地へ送る融合召喚は、実質的に封じられているのにゃー」
皆が集まり状況を整理し、カイザーがどれほどの逆境に立たされているのかを今一度全員で理解することに努めていた。
実際、あのコンボは凶悪なものであり、ライフが4000で始まるデュエルにおいて、ライフが初期値のままでも5枚カードをプレイするだけで敗北となってしまう。
そしてそれが今のようにデュエルが佳境に入ったタイミングであれは尚のこと厄介であり、カイザーは弱い壁モンスターでやり過ごすなどの手段さえも取れない状況となった。
「さぁ、来てごらんなさい?その1枚でどうにかできるなら、だけどね?」
「……あぁ、できるさ。今、見せてやる!俺は魔法カード『オーバーロード・フュージョン』を発動ッ!」
「ここで融合召喚ですって!?」
「このカードは、自分のフィールド・墓地のモンスターを融合素材として除外することで融合召喚できるカード!貴様のダメージコンボに囚われることはない!」
「ッ!こんの……!!」
カイザーの墓地に存在していた機械族のモンスター達が墓地から現れ、融合し交わることを望むように機械の身体を唸らせる。
それを見るカミューラの表情は確かに青褪め、奥歯を噛み締めながら恨めしげにカイザーを睨みつける。
しかしカイザーはそれを意識の外へと追いやり、融合デッキの中にある彼の最も信頼する最強のモンスターを選びとる。
「俺は墓地に存在する3体の『サイバー・ドラゴン』を除外ッ!現れろ──!」
フィールドには神々しいオーラを纏うほどの眩しい光を放つ機械の龍が三つ首となって現れ、その威光をもってフィールドを席巻する。
攻撃力4000にして守備貫通能力を備える最上級のレベル10融合モンスターであり、サイバー流の正統なる後継者のみが持つことを許されるサイバー流最強のモンスターだ。
そして、サイバー・エンド・ドラゴンを呼び出すのに使用した『オーバーロード・フュージョン』が役目を終え、墓地へ送られたことによりカイザーのライフへ計800ポイントのダメージが入るが、彼は気にせずに突き進む。
「俺は『サイバー・エンド・ドラゴン』で『英霊 カーミラ』を攻撃ッ!」
「や、やめ──!」
三つ首の機械龍の放つレーザーのような眩しい光の線が、敵を撃ち抜かんと一点に向かって放たれる。
神にも届き得るその力の奔流がフィールドに存在する1人の怪物へと注がれ、太陽の光よりも鋭く熱い光がその身を焼き焦がす。
そしてその怪物の受け止めきれなかった力が余波となり、1人立ちすくむ吸血鬼へとその力が及ぶ。
「あ゛ああ゛!ああ!!!!」
身を焼かれる激しい痛みに彼女が悶え苦しみ、その美しい容姿を乱すことも厭わずに床へ倒れのたうつ。
魂が裂けてしまいそうな程の痛みに襲われ、その光が収まるまで彼女は苦しみ続けた。
そして光が止み、魂の痛みが未だに残る身体で彼女は立ち上がり、怪物のような顔へと表情を変化させて、その形相で対面に立つ彼を睨みつけている。
「よくもこんなことを……!!絶対に許さないわ!!」
「私のターンッ!ドローッ!!」
カミューラは憤怒の表情でカイザーを射殺すほどに睨むが彼は微動だにせず、涼しい顔でその怨嗟を受け流した。
彼女のフィールドに存在する永続罠『死霊の誘い』は発動しているプレイヤーもまた影響を受けるものであり、フィールドのカーミラが墓地へ送られたカミューラは戦闘ダメージに加えて300の効果ダメージを喰らっていた。
つまり彼女のライフは計2200のダメージを受けて残り900であり、カイザーのライフは800ダメージを受けた結果として残り700となった。
「くふふっ!あははっ!」
「なんだ……?」
「良いカードが引けたのよっ!貴方を絶望の淵へ落とすためのカードをね!」
「なに……?」
彼女は自身の引いた1枚のカードを見て高らかに笑い、その心とその表情に余裕を取り戻していた。
カミューラは彼女自身の置いた『死霊の誘い』の効果によって先ほどのカイザーと同様のロック効果が自身に課されており、彼女は現状3枚以上のカードを使えばコンボを行うまでもなく敗北する状況だ。
そして彼女のフィールドにはモンスターが存在せず、カイザーのフィールドには攻撃力4000のサイバーエンドがいる状況で、彼女は尚1枚の手札を持って笑う。
「私は魔法カード『幻魔の扉』を発動ッ!」
「幻魔の扉だと……?」
「まずこのカードは、相手フィールドのモンスターを全て破壊することができる!」
「ッ!」
カミューラの背後に凶々しい装飾の緑色の扉が現れ、その扉が開き光と風が中から溢れ出る。
荒々しい風がフィールドに吹き荒れ、濃霧を掻き乱しながら彼のフィールドの全てのモンスター、サイバー・エンド・ドラゴンを破壊する。
そして全てを破壊した幻魔の扉は未だに閉じず、彼女は高らかに次の効果を宣言する。
「ふぅ……さらに私は、このデュエル中に使用されたモンスター1体を、召喚条件を無視して特殊召喚することができるわ」
「馬鹿なッ!モンスター全ての破壊に加えて無条件の特殊召喚を行えるカードだと!?」
「もちろん、その代償は高いわ。『幻魔の扉』を発動する代償は私の魂。このカードを使用したデュエルで敗北した時、私の魂は幻魔の元へと捧げられる……」
彼女は『幻魔の扉』の効果を説明しながら、その魂を写像のようにして世界に写し、まるで彼女が2人いるような光景となる。
カミューラは元ある身体を元のまま動かし、そして魂だけで動いている身体を使って宙を舞う。
そして、彼女が説明した強力な効果を聞いた皆は動揺しながらもそれを受け入れ、冷や汗を滲ませてフィールドを見続ける。
「そんなのありかよ...」
「魂を生贄に...」
「命懸けのインチキカードってわけか...!」
ある種の等価交換のようでありながら、それでも強力すぎるその効果に皆が嘆息した後に息を呑む。
自らの魂を担保にモンスターを全て破壊し、さらに相手のエースモンスターだろうと何でも使用することができるカード。
負けた時のデメリットが大きいものとはいえ、負けることが難しいほどの超強力カードだ。
「でもぉ、折角の闇のデュエルなんだからぁ、もっと闇のデュエルらしくしたいじゃない?」
「どういう意味だ……」
「例えば──私の代わりに、貴方の弟の魂を幻魔の生贄にする、とかね?」
「ッ!逃げろッ!翔ッ!」
「え……?」
カミューラの言葉の真意を瞬時に察したカイザーが翔へと警告を飛ばすが既に遅く、魂のまま宙を舞うカミューラが翔の首筋へと牙を突き立てて彼を麻痺させる。
全身の力が抜けて力なく倒れそうになる翔をカミューラが運び、幻魔の扉の前まで彼を運ぶことで人質をとるように翔の身柄を手元へ置いていた。
カイザーはその光景を見て苦々しげに奥歯を激しく噛み締め、ギリギリと音を立てながらカミューラを睨んでいる。
「たとえ100%勝てる状況でもぉ、保険って大事だと思わない?まぁ、私を苦しめた貴方へのお仕置き、っていうのが1番の理由なんだけど……アハハっ!」
「お兄さん……」
「翔……!」
「さぁ、兄弟のお別れの時間よ。この子の魂を生贄に捧げて、『サイバー・エンド・ドラゴン』を特殊召喚ッ!」
「ぁ……」
「くっ……翔ッ!」
神々しいはずの機械の龍が幻魔のエネルギーを纏って現れ、その凶々しさが合わさり気味の悪い力を放っている。
悪魔の手によって染められた機械の龍が白い身体を動かし、その身体に力を滾らせる。
そしてカミューラは2人の兄弟の対話などどうでも良いかのように見切りをつけ、すぐにデュエルを続ける選択をする。
「サイバー・エンド・ドラゴンの攻撃ッ!」
三つ首の機械龍がその口を開きレーザーを構え、幻魔の力によってさらにそのエネルギーは大きく深いものとなる。
カイザーの呼びかけに翔が応える暇もないまま、カミューラがその攻撃を宣言して腕を振り下ろす。
彼の最愛の弟を生贄として呼ばれた、彼の最高のモンスターによるブレス攻撃。彼の心と魂を砕くに足るその1撃をもって、彼のライフは0となった。
主人公の能力の詳細はできれば作品内で示唆したかったけど難しそうなのでここで説明します。
・まず第一に、墓守の世界でメディアさんが説明した通り、遊花には「縁の繋がった英霊を呼び出し、それをカード化させる」という能力があります。
・そして第二に、遊花のその能力は墓守の世界で精霊との繋がりが深くなったために力が増しており、遊花の近くにさえ居ればサラやセブンスターズと同様に遊花以外の手元にも『英霊』のカードが現れます。
・さらに第三に、英霊達はカードとしてデッキに収まるとデッキ内で影響を及ぼし、自身に関連するカードや英霊そのもののテーマカードを作り出します。
能力の詳細の説明はこんな感じです。
作品の問題点がどこにあるか教えてほしい
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キャラクター関連
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展開・ストーリー関連
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設定・説明関連
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セリフ・地の文関連
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前書き・後書き・投稿時間等作品外関連
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作者関連