GX世界の英霊デッキ使い 作:超融合は許さない
吹雪さんがカミューラと戦う決断をした晩から時間は流れ、みんなが寝静まる真夜中。
暗い部屋を電灯で照らしながら私は英霊達を呼び出し、テーブルを囲むようにして座っている。メンバーはメディア、エミヤ、そして百貌のハサンだ。
だがしかしその表情は芳しくなく、ハサンは仮面で表情を読み取れないが、他の2人は口元をへの字にしている。
「「なぜ私がこのようなことを……」」
「てつだって。やくめでしょ」
2人は頭を抱えて頭痛がするかのように呻る。どうやら2人ともあまり乗り気ではないらしい。
しかし私が3人を呼んだのは吹雪さんを本人が希望するセブンスターズとの戦いの前線へ復帰させるためであり、デュエルができる程度まで回復させる方法を探るためである。ついでに私も吹雪さんとデュエルしたい。
私には魔術的な知識も何もないため魔術師の2人を呼んだ形であり、百貌のハサンはいると何かと技量でなんとかしてくれる才能×努力マンなためついでで呼んでいる。
「吹雪さんの治し方、教えて」
「吹雪……あぁ、あの優男ね。軽薄そうで嫌な感じだわ」
「君の好みは知らないが、まぁ大体合っているだろう」
「はやく」
「……治し方と言っても彼に足りないのは生命力であって彼の身体には魔術的な欠落があるわけじゃないわ。何かやろうとしてもオド...体内の魔力を回復させるか、もしくは自然治癒力を促進させて回復を早めるぐらいよ」
「そして自然治癒力を上げるだけならば魔術に頼らずとも、ただ単純に食事を取るだけでもそれが促進される」
なるほど。つまり吹雪さんは魔術的な不調ではなく、ただ病み上がりで体力が足りないのと同じということらしい。
というかハサンはさっきからずっと無言なんだけど、居心地悪くなってたりしてないかな。大丈夫かな?
とにかく、吹雪さんには美味しいご飯を沢山食べさせてあげれば元気になるらしい。おや、ここに適任が1人……
「頼んだよ、エミヤ」
「できるわけがないだろう。そもそもの話、精霊に関しては一般の人間には秘匿案件だ」
「むぅ……」
エミヤは受けることはできないらしい。彼に頼るのが一番安心できるし一番効果があると思うけれど、断られたなら仕方がない。
あとはトメさんに頼るとか、もしくはイエロー寮の食堂やブルー寮の食堂を頼ることになるけれど……
やっぱりトメさんに頼ろう。あの人、頼られると嬉しそうにするし。そうと決まれば十代を連れて吹雪さんにトメさんの料理を食べさせよう。私も食べたいし。
「じゃあ行ってくる!」
「……」
「はぁ……」
「あの、私は何のために……」
エミヤの鼻を鳴らした嘆息の息遣いやメディアの呆れた声、ハサンの困惑の呟きを聞きながら私は部屋を飛び出す。
そして扉を閉めると同時に廊下を走り、十代の部屋へと突入する。彼はまだ眠っており、その寝顔を見て現在が深夜であったことを思い出す。
仕方なく私は自分の部屋へと戻り、十代への説明は次の日の朝にするということにした。
朝になり、私は十代に対し吹雪さんを復帰させる解決法としてご飯を食べてもらうことが一番だと伝える彼もそれに同意し、吹雪さんを連れてトメさんの元まで向かった。
明日香も付き添いで来ている中、トメさんに事情を説明して吹雪さんのための精がつく料理をたくさん作ってもらうことになった。
テーブルにはぶ厚い肉料理や濃い味付けと見て取れる煮物が多く並び、吹雪さんの前には山盛りのご飯が出された。
「さぁ、たんとお食べ。若者は元気なのが一番なんだから」
「ありがとうございますトメさん。でも、この量は僕1人じゃあ厳しいですよ……」
「なぁなぁ、なら俺らも食べていいかなトメさん!」
「ん、食べたい」
「もちろんだよ。今ご飯よそってあげるからいっぱい食べなね」
「「やったー!」」
「あなた達、最初からそのつもりでここに来たんじゃ……」
失礼な。私達はちゃんと吹雪さんを元気にするために考えて、それで鮫島校長に直に許可をとってトメさんの元まで連れてきたのに。
多少はあやかりたいという思いはあったのは否定しないので、私達は席に着いてトメさんの料理を食べ始める。
明日香もトメさんから普通盛りのご飯を手渡され、折角だからと困ったように席に着いて箸を手にして食べ進める。
食事をしたことにより吹雪さんが元気になり、顔の血色なども非常に良いものへと変わっていった。
闇のゲームを行うのに万全、とは言い難いが闇のゲームにそれなりに臨める程度の体力は身についているはずである。
そしてその時にカミューラからの招待状を受け取り、吹雪さんを含む七精門の鍵の守護者達が一堂に会するように集まり始める。
「行ってらっしゃい」
「あれ?遊花は来ないのか?」
「ん、私はもう守り手じゃない」
「そっか。なら、待っててくれよな。行ってくる」
十代がニッと笑って私を心配させないように笑顔を作り、軽く手を振るいながらその場を離れていった。
そしてその十代に続くように手を振ってその場を去る明日香と吹雪さんを眺め、3人が視界の端からも消えたことを確認して私もトメさんにこの場を去る旨を伝えて部屋を出る。
森の木陰でセブンスターズのアサシンとしての衣装を身に纏い、衣装に込められた魔法によって自分の正体が隠匿されるのを感じ、湖に映る自分の姿を見て確認してから3人の後を追うようにカミューラの城へ向かう。
「間に合うかな……」
メディアの魔術が込められたブーツによる身体能力の強化を受けながら自然の中を走って跳んで駆け回り、カミューラの城への最短距離である道なき道を翔け抜ける。
そしてどうにか彼らより先にカミューラの城へと到着できた。そこには湖の上に赤いカーペットの道が掛かっており、その道が白い濃霧の中の彼女の城へと繋がるという光景が広がっている。
私はその道の前に立って守り手達が到着するのを待つ。そしてしばらく経った頃に、一番乗りでやってきたクロノス先生や万丈目達が私の姿を見て立ち止まる。
「お前は確かセブンスターズの……」
「そう。私はセブンスターズのアサシン。私は今、次に彼女へ挑む者を待っています」
「なんでスート?」
「まさか、あいつの城へ向かうまでの門番ってことか……?」
「違います」
「違うんでス〜てヨ」
訝しんだ顔をしていた万丈目がずっこけるというギャグのような小気味の良い会話をしながら話を進め、適度に会話を挟みながら吹雪さん達を待つ。
そして三沢が現れ、その後に吹雪さんが到着したのを見て私は待機の間にしていた姿勢を崩し、吹雪さんの元へと近づいて迫る。
私は懐に収まっていた1枚のカードを取り出し、それを吹雪さんへと渡す。私が渡すそのカードは眩しい光を放っており、何かを訴えかけるように輝いている。
「どうぞ」
「このカードは……」
「このカードが貴方の持つカードへと会いたがっています。使ってあげてください」
「……分かった。使わせてもらおう」
吹雪さんは私からカードを受け取り、彼のデッキのカードへと加えてくれる。彼のデッキに加わった瞬間、カードから放たれていた光は収まって静まりを感じる見せる。
彼に渡したカードはダークネスの頃の彼が十代と戦っている時、彼が英霊カードを使って戦っている時に私の元へと現れたカードだ。
私が感じられる限り、カミューラはカイザーとの戦いで見せた英霊モンスターの他にあと1枚の英霊モンスターを持っているため必要だと感じたのだ。
「僕はもう行くよ」
吹雪さんが覚悟を持った表情で強い意思を告げ、それに対して他のみんなも神妙な面持ちで頷く。
赤い道を歩み始めた吹雪さんに続き、明日香を始めとする他のメンバーが付いていく。そして、私もそこへ加わり後を追う。
中にはカミューラが待ち構えており、彼女は屋敷の吹き抜けの広間の2階に立って私達を見下ろす。そして彼女の対面に向かうように、吹雪さんが彼女と同じ高さへと登るために階段を上がる。
「……そう。次の相手は貴方なのね、ダークネス」
「もうダークネスじゃない。僕は天上院吹雪だ」
「そうね。人形に変えたこの子には劣るけれど、貴方も中々好みの顔をしてるわ」
「……亮の魂、返してもらう」
カイザーの魂が封じられた人形を撫でるカミューラに対し、吹雪さんは静かな怒りを表情に浮かべながらデュエルディスクを身につける。
2人のデュエリストが向かい合い、デッキをディスクへとセットして構える。そして互いのプレイヤーは手札が5枚になるようにドローする。
LPは4000。鍵の守り手達と私が見つめる中、2人のデュエリストが睨み合う。デュエルが始まる。
小鳥遊優花:英霊に対して遠慮がない。本当に嫌なことだったら断ってくるから基本的に何言ってもいいと思っている。
エミヤ:できないことは断る(大抵のことはできてしまう)。遊花がどうしてもと頼み込んでいたら話を受けていた。
メディア:できないことは断る(大抵のことはできてしまう)。遊花がオドの供給の方に意識を向けていたらやり方を教えるつもりだった。
次回投稿するまでには遊花から優花になります。
作品の問題点がどこにあるか教えてほしい
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