GX世界の英霊デッキ使い   作:超融合は許さない

9 / 50
制裁タッグデュエル(2)

 

 

「私は...ターンエンド」

 

 

 かなりまずい状況だ。アルトリアが破壊されたことにより、私のフィールドにはモンスターを魔法・罠も存在しない。

 一応の保険として手札にエクスカリバーを残しておいたため、大聖杯の効果で、次のターンに墓地からアルトリアを呼ぶことはできる。

 しかし、この一巡で削り切られる可能性も大いにある。もしそうなれば、それは私たちの敗北であり、退学になってしまう。

 

 

「ふん、愚かなものよ。私のターン、ドロー!」

 

 

 迷宮兄弟の兄の方が、勢いよくデッキからカードを引く。

 強かな目でこちらを見つめ、隙を突いて攻め落とそうとしている目だ。

 迷宮兄弟のLPは変わらず8000、対して私達のLPは5600。

 手札が良ければ1、2ターンで削られるラインだろう。

 

 

「私は『ヒゲアンコウ』を召喚!さらに、私は魔法カード『二重召喚(デュアルサモン)』を発動。このカードの効果により、私はもう一度モンスターを召喚できる」

 

 

 ヒゲアンコウ...たしか、水属性モンスターを召喚する時に、2体分のリリース素材にできるモンスター。

 彼がさっき手札に加えたサンガは、チラッと見た限りは光属性モンスターだった。

 つまり彼のデッキ、または手札には水属性の魔神が存在する可能性が高い。

 

 

「この『ヒゲアンコウ』は、水属性モンスターを召喚する時、2体分の生け贄として扱うことができる!私は2体分となった『ヒゲアンコウ』を生け贄に捧げ、『水魔神 ー スーガ』を召喚!」

「くくく、流石だ兄者。私の『カイザー・シーホース』がいなくなった時点で既に、このスーガ召喚のコンボを構築していたとはな」

「そう褒めるな弟よ。我らほどのデュエリストならば当然のこと」

 

 

 余裕綽々と言った態度で語られるが、しかし実際まずい。

 今、召喚されたスーガの攻撃力は2500。

 私を攻撃対象にされれば、当然逃れる術がないため直接攻撃されるのは必至だ。

 ヒューガの2400と合わせれば4900。まともに通れば残りライフは700。

 その上で迷宮兄弟の弟のターンで、攻撃力700以上のモンスターを呼ばれるだけで終わってしまう。

 

 

「バトルフェイズ、私は『水魔神 ー スーガ』で貴様に攻撃だ!」

 

 

 私に防ぐ術はない。絶対絶命だ。

 スーガが水のエネルギーを溜めて圧縮し、その力の矛先が私の方へと向けられる。

 私が衝撃に備え、目を閉じて自分の失敗を受け入れていると、横から声が聞こえてくる。

 

 

「なに諦めた顔してんだよ優花。面白いのはこっからじゃねぇか」

 

 

 十代の声だ。

 突然かかってきた声に驚き振り向くと、十代が不敵な笑みで笑っている。

 彼のフィールドを見ると、彼が最初に召喚したバブルマンと、彼が伏せた3枚のリバースカードが見える。

 

 

「十代、まさかそれって...」

「そう、そのまさかだ。トラップ発動!『ヒーローバリア』だ!このカードは自分フィールド上に『E・HERO』が存在する時に発動でき、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする!」

「なにッ!」

 

 

 スーガの攻撃が、バブルマンの前に展開されたバリアによって防がれる。

 バブルマンと十代がこちらに向かって、ニヤけるような微笑を浮かべてくる。

 その姿は、人を守り安心を与えるヒーローのようだった。

 

 

「ちっ、命拾いしたか。だがしかし、そんな小細工も魔神の前では2度通用すると思わないことだな。私はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

 迷宮兄弟の兄が、ダメージを与えられなかったことを惜しむような声をあげてターンを終了させる。

 迷宮兄弟の兄の手札は残り1枚、そしてそれは『雷魔神 ー サンガ』だ。伏せカードは1枚であり、表情を見るに直接こちらをどうこうしてくる類の罠カードではなさそうだった。

 対して弟の方は手札は0枚。伏せカードもなく、フィールドには『リビングデッドの呼び声』で特殊召喚されたヒューガのみである。

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 

 十代がドローする。十代の手札は5枚になり、伏せカードは2枚。

 十代の調子の良さに対して、私は不甲斐ないところを見せてしまった。

 しかし、十代はそんなこと全く気にも留めていない笑顔で、次はどんな手でいくかと頭を回しながら口角を上げて笑っている。

 

 

「俺は魔法カード『E - エマージェンシー・コール』を発動!このカードは、デッキから『E・HERO』と名の付くモンスター1体を、手札に加えることができる。俺は『E・HERO バーストレディ』を選択!」

 

 

 十代が考えを整えたように、一気にそのカード捌きを早める。

 迷いなくバーストレディを選択し、手札に加えて笑みを深める。

 あれは十代のフェイバリットカードのフレイムウィングマンの融合素材になるカード。

 そして私と最初にデュエルした時にフィニッシャーとして活躍したカードのランパートガンナーの融合素材でもある。彼が戦況を塗り替える時には決まって使っている印象のあるカードだ。

 

 

「そして、俺は手札に加えた『E・HERO バーストレディ』を召喚。さらに俺は、手札から魔法カード『バースト・インパクト』を発動!この効果により、フィールドのバーストレディ以外のモンスターは全て破壊される!」

「「なんだと!?」」

 

「そして、それぞれのプレイヤーは、自分がコントロールするモンスターが破壊された時に、その破壊された自分のカードの枚数×300ポイントのダメージを受ける!」

 

 

 バーストレディがその両手に赤い炎を握り、フィールドの全てを焼き尽くす。

 フィールドのバブルマン、そしてヒューガとスーガが破壊された後、バーストレディが1人フィールドに残る。

 バブルマンが破壊されたことによって、私達は300ポイントのダメージを受け、5600のライフが5300まで減らされる。

 しかし、相手の最上級モンスターであるヒューガとスーガが破壊されたことにより、迷宮兄弟は600ポイントのダメージを受け、8000のライフが7400まで減らされる。

 

 

「さらに、俺は手札から魔法カード『融合』を発動!手札の『E・HERO フェザーマン』とフィールドの『E・HERO バーストレディ』を融合!現れろ、マイフェイバリットヒーロー『E・HERO フレイム・ウィングマン』ッ!!」

 

 

 現れるのは緑と赤の戦士。

 竜の頭を右手に持ち、片翼で空を飛ぶ雄々しいヒーロー。

 フレイムウィングマンが誰もいないフィールドへと降り立つ。

 

 

「俺はフレイムウィングマンで、プレイヤーへダイレクトアタック!フレイム・シュートッ!!

「「ぐぅ...!くぅ...!」」

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド。さぁ、お前のターンだぜ」

 

 

 流石は十代だ。1ターンで見事に盤面をひっくり返した。

 フレイム・シュートが決まって、相手のLPは7400から5300まだ下がった。

 そして私達のLPも5300。ライフの差はなくなり、そして相手フィールドのモンスターは全滅。相手の手札も兄が1枚で弟が0枚。

 それに対してこちらは、私は手札が潤沢で次のターンに繋げられる。十代はフィールドが万全であり、エースモンスター1体と伏せカード3枚だ。

 

 

「舐めるなよ、小僧に小娘。私達はこのデッキで数多の修羅場を潜り抜けてきたのだ。貴様たちとは年季が違う!私のターン、ドロー!」

 

 

 ドローカードを見て、迷宮兄弟の弟が歯噛みする。

 彼がドローしたカードは、あまり良いカードとは呼べなかったのだろう。

 さっき啖呵を切ったことも含め、余裕がなくなっているように見える。

 

 

「くっ...しかし、このような手札ではこの盤面は...」

「弟よ、受け取れ。罠カード『強欲な贈り物』を発動!このカードは相手プレイヤーにカードを2枚ドローさせる。私は弟にカードを2枚ドローさせる」

 

「おお...!兄者、感謝する!」

「礼には及ばん。我らは2人で1つなのだ」

 

「お陰で良いカードが引けた。私は魔法カード『浅すぎた墓穴』を発動。このカードの効果により、互いのプレイヤーはそれぞれの墓地のモンスター1体を選択し、それぞれのフィールドにセットができる。私と兄者はそれぞれ墓地よりモンスターを選択する。私が選択するのは当然、『風魔神 ー ヒューガ』だ!」

「そして私が選択するのは当然、『水魔神 ー スーガ』だ」

 

「これにより、2体のモンスターがフィールドにセットされる。そして私は魔法カード『太陽の書』を発動する!このカードは発動した時、フィールドの裏側表示モンスター1体を選択し、そのモンスターを表側攻撃表示へと変更する。私は『風魔神 ー ヒューガ』を攻撃表示に変更!」

 

 

 流石に伝説のデュエリストと呼ばれるだけある。

 十代が墓地に送ったモンスター達を、このターンで一気にフィールドに呼び戻してきた。

 手強さで言ったら今までで1番だ。

 先ほどまでは焦りが目立っていたのに、今は眼光がギラギラとこちらを見つめている。

 

 

「バトルフェイズ!私は、ヒューガでプレイヤーにダイレクトアタックだ!」

「そうはいかない!罠カード『攻撃の無力化』を発動する!相手の攻撃宣言時に、その攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了させる!」

 

「ちぃ!やはりトラップがあったか!」

「へへっ、そう簡単にはやらさねぇよ。俺は今絶好調なんだ」

 

 

 十代はそう言って、また不敵な笑みで相手を見据える。

 その笑みを見て、私も先ほどまであった不安や後悔が霧散し、元よりあったワクワク感だけで胸が満たされる。

 普段のデュエルとは違う熱さ、背中を預けて戦うこの感じ、最高に心が燃える。

 堪らなくワクワクしてきた。

 

 

「確かに止められはした。だがしかし、ミラーフォースではないのならば問題は何一つとしてない。私はカードを1枚セットし、ターンエンドだ」

 

 

 なんとか十代に助けてもらい、おんぶに抱っこで私のターンにたどり着いた。

 私達のフィールドには十代のフレイムウィングマンと、十代の伏せたリバースカードが2枚。それから私のフィールド魔法だけだ。

 手札は十代が0枚、私が4枚だ。

 対して、向こうのフィールドには表側攻撃表示のヒューガに、裏側守備表示のスーガ。そして緑の弟の方が伏せたリバースカードが1枚だ。

 手札は橙の兄の方がサンガ1枚、弟の方が0枚だ。

 この状況、手札のアドバンテージが1番大きいのが私だ。

 つまり、ここで私がある程度展開して、フィールドのアドバンテージをも確保すれば、この一巡を凌ぎつつ敵を切り崩していける可能性が高い。

 

 

「私のターン、ドロー」

 

 






小鳥遊優花:ミスしてちょっと落ち込んでたら十代の後ろ姿に励まされた人。隣に立って戦いたいと思ってる。楽しい気分になってる。

遊城十代:優花の動きに対して「俺もその状況ならそうする」ぐらいの気持ちで流してる人。楽しい気分になってる。

迷宮兄弟:思ったよりも手強い相手で屈辱を抱いている。

主人公の名前を今さら小鳥遊優花にするのはあり?

  • 名前の法則的にそっちの方があり
  • ここまできたら慣れたからなし
  • どっちでもいい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。