あなたは私の愛人   作:しがない学生

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第4話

「...さーん!!良樹さん聞こえますか〜!!!」

 

なんだここ。それにこの人誰だ。気がつくと俺は看護師らしき人に運ばれていたようだ。おぉ。ドラマの救急患者運ぶシーンってこんな感じなのか。

 

え?待って俺救急患者として運ばれてんの?

 

急に冷や汗が体中から吹き出てきた。

 

「あ...あの!」

 

そう言いかけたが声が出ない。喉になにかつっかえているような感覚だ。

 

なんだよこれ。なんで最近こんなことばっかりなんだよ。

 

神は俺を見放したって言うのかよ。

 

あぁ。意識が薄れて。俺こんなとこで死ぬのかよ。

 

 

 

ん?ここは...病院か?俺は跳ね上がって起きた。

 

「俺...死んだんじゃないのか...?」

 

どうやらまだ死んでないらしい。こんな所で死ぬ訳には行かない。死んでたまるか。あのド変態野郎を見つけ出してから死ぬんだ。

 

ガラララ

 

ドアが勢いよく開いた。誰だ?

 

入ってきたのは全身白ずくめの格好をしたいかにも看護師っぽい人だ。

 

「良樹さん!?」

 

看護師っぽい人は勢いよく俺の元へ走り込んできた。

 

おいおいなんだ?モテ期か?人生には3回モテ期があるらしいからな。

 

「良樹さん3日目を覚まさなかったんですよ!?」

 

え。衝撃の事実に俺は腰を抜かしてしまった。ベッドに寝ているから関係は無いのだが。

 

「はい?冗談なら寝ている間でもいいですか?」

 

「いや本当ですよ!!」

 

とてつもない迫力。これは本当だな。

 

「なんでですか?俺は特に何もしてないはずですが」

 

「先生を呼んできますのでお待ちいただいてもいいですか?」

 

おぉ急に冷静だな。何だこの人。看護師さんはそのことを言い残すとそそくさとどこかへ行ってしまった。

 

この隙に何があったか思い出そう。

 

確か、例のド変態からDMが来て...それで目の前が暗くなって...

 

うっダメだ吐き気が。本当に気持ちが悪い。

 

「おはようございます良樹さん。目を覚まされたようですね」

 

今度はいかにも医師みたいな人が部屋に入ってきた。

 

おいおいそんなに重症なのか?俺。末期ガンとか言わないよな。

 

「あの。俺には一体何があったんですか?」

 

「それが...」

 

急に歯切れが悪くなった。おいおい本当にガンなのか?嘘だよな?

 

「なんで3日間目を覚まさなかったのかは分からないんです。どこかで頭を打ったりしてませんか?」

 

おいおいビビらせるなよ。

 

「そうですね。ここへ来る前に目の前が暗くなる感覚はありましたが」

 

「うーん...そうですか...おそらくですが、何らかによるショック。または立ちくらみで後ろに倒れそのまま頭を打ったのかと思われます」

 

医師さんはこのことを言ったあと忙しそうに帰っていった。

 

俺はさっき言われたことを思い返した。

 

何らかによるショック...?もう例の件しかないな。

 

でも誰が救急車を呼んだんだ?そうだ。親しかいないな。

 

でもあの時間家にいなかったな。じゃあ誰が?そうだ。直接親に聞こう。

 

俺はスマホを取りだし、親にLINEをした。

 

良樹︰今起きたんだけどさ、救急車呼んだのって誰なの?

 

昌子︰良樹!?体調大丈夫なの!?

 

良樹︰大丈夫だって、そんなことより誰が呼んだの?

 

昌子︰そんなことってね...あなた私がどれだけ心配したって思ってるのよ!!!

 

おいおいLINEで説教かよ。文で言われてもあんまり応えないぞ。

 

良樹︰説教は帰ったらちゃんと聞くからさ

 

昌子︰あんたね...まぁいいわ。救急車呼んだのは誰かわからないのよ。拓くんとかじゃないの?

 

は?なんで誰が呼んだか知らねぇんだよ。俺は心の中で親に八つ当たりした。

 

拓?そんなわけないだろ。学校だぞ?もういい。これ以上は話しても無駄だろう。

 

良樹︰そう。ありがと

 

親からLINEが来たが面倒だったので無視をした。

 

本当に誰か分からなくなったな。ド変態野球という可能性もあるがそれはさすがにないはずだ。

 

だってもしそいつなら監視カメラか盗聴器が仕掛けられていることになる。

 

うっ...また吐き気が。俺はトラウマになってしまったようだ。

 

とにかく。病院を退院してからはより一層食生活等にも気を遣わなければ。

 

 

 

入院して3日目。クラスの何人かがお見舞いに来てくれた。

 

「良樹!?大丈夫なのか!?」

 

うるせぇな。こいつは拓じゃない。同じクラスのムードメーカー正人だ。とにかく声がでかい。

 

「見りゃわかるだろ」

 

拓はいないのかな。俺は辺りを見渡した。

 

「ちょっと良樹。正人が心配してあげてるのになんなのよその態度」

 

なんだこいつ。あれ?こんな奴いたっけ?

 

「すまん...お前誰だ...?」

 

考えるより先に口に出てしまっていた。

 

「誰って...頭打って記憶でも飛んだわけ?同じクラスの真奈よ!真奈!バスケ部の!」

 

えほんとに誰だ。こんなやつホントにいたか?まぁいいや。

 

「あぁ真奈か。まだ目が覚めたばかりで記憶がちょっとな」

 

「何馬鹿なこと言ってんのよ。あんたがいないせいで私しか図書委員いないんだからね!」

 

あぁそういや俺図書委員か。てか拓はどこだ?大親友が寝込んでるんだぞ。来ないはずがない。

 

「拓は?」

 

「拓ならそこに...」

 

2人が気まずそうに指を指した先には顔が濡れ雑巾のように潰れた得体の知れない男が佇んでいた。

 

ん?もう1人いるな。得体の知れない男の後ろに男か女かは分からないが不敵な笑みでこちらを見つめる見るからに怪しい人物がちょこんとこちらを覗き込んでいた。

 

「え...?あれ誰...?」

 

「拓」

 

「いやあの得体の知れない男じゃなくて。あの奥の人」

 

「は?俺と拓と真奈しか来てないけど」

 

は?冷や汗が吹き出てきた。まさかド変態野郎か?クッソ。なんでフード被って対策してやがんだよ。

 

いやそんなことより。なぜ俺が入院している先を知っている?この中の誰かがグルか?

 

「そっか。じゃあいいや。今日はありがとな」

 

俺はこいつらを追い出すように送り返した。

 

そして、誰がグルなのかを疑った。拓はない。ていうかあの中の全員怪しくない。

 

こんなの考えても無駄だな。今日はテレビを見て忘れよう。見間違いだろう。

 

俺はテレビのなんの面白みのないようなテレビを見てなんの面白みもない1日を過ごした。

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