あなたは私の愛人   作:しがない学生

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第6話

はぁ。そろそろ落ち着いてきた。

 

スマホの時計に目をやると果てしなく感じられた時間は意外にも3分ほどしか経っていなかった。

 

そろそろ戻ろう。親に心配をかけては行けないからな。ドアノブに手をかけトイレから重い足を引きずりながら、親の待つ居間に戻った。

 

「どうしたの良樹トイレ長かったじゃない」

 

いや3分は大なら普通ぐらいの時間じゃないか?拓といい俺の身の回りの人間は心配性しかいないのか?

 

「別に普通じゃない?ちょっとお腹痛くて」

 

「最近冷え込んでるからちゃんと暖かくしないとダメよ」

 

鍋を前にその言葉を言われてもなぁ。親はかなり手応えを感じたような顔だった。しかし、俺には一切響かなかった。逆に響く人はいるのだろうか。いや好きな相手から言われると響くんだろうな。もっとも、俺には関係ないことだが。早いところ飯を済ませてド変態を突き止めるための作戦。名付けてド変態炙り出し計画を練るとしよう。

 

ガーッと口の中に飯をかき込みパパっと飯を済ませた。

 

さて。自室が一番安心だな。居間にはカメラや盗聴器が仕掛けられていることが確定したからな。

 

まず、容疑者を書こう。さてさてノートはどこだったかなー。ん?なんだこれ。俺が使っているバッグの中に妙なものが入っていた。チョコレート?メッセージ付きだ。「退院おめでとう!!」なんだこれ。

 

美味そうだな。俺はひょいっと口の中にチョコレートを放りこんだ。

 

普通に美味しい。だが、違和感を感じた。脳の中がかき乱されるような。何かが改ざんされるような。

 

そんな妙な感覚を覚えた。普通に久々に食べたからびっくりしただけだろう。

 

文字的に拓か?いや、拓はもっと汚いしな。正人...の字は知らねぇな。■■もいたよな確か。誰だっけ。そもそも3人もいたか?まぁいいや。俺が覚えてないってことは2人だけだったってことだろう。つまり、このメッセージを書いたのは正人だ。そういうことにしよう。全くキザなやつめ。

 

おっと。本来の目的を忘れていたな。ノートに容疑者っと。

 

【炙り出しノート】

 

「容疑者」︰天使(看護師) 正人 拓 先生のうちの誰か

 

こんなもんか今のとこ。誰か忘れている気がするが。正直拓と正人は絶対にありえない。でも念の為な。

 

念には念をっていうしな。拓はメンヘラの片鱗あるし。

 

次に容疑者1人ごとの目的でも考えるか。

 

まず天使だ。正直あの人なら別にいいかなと思ってしまう。なぜかって?声がいいからさ。俺は声フェチだからな。おぉっといかんいかん。天使はほぼ初対面だからストーカーとしてはダントツレベルで怪しい。

 

なんか彼女の視線は全部知られているような妙な感じがしたし。目的は...俺が好きだからと言ったところかな。我ながら自分のナルシストさに嫌気がさした。でもストーカーなんてそんなもんだろ。天使は恋愛感情っと。

 

次に正人。同じクラスとはいえほぼ関わりがないんだよな。なんで見舞いに来たかも謎だ。うーん。本当に分からない。強いて言うなら...俺と仲良くなりたかった。とかか?だとしたらアプローチ下手すぎだろ。

 

でも若干下手そうなのは解釈一致だ。正人は仲良くなるためっと。

 

ほぼないと思うが拓。もしこいつだったら俺はもう誰も信じることが出来なくなってしまう。でもメンヘラの片鱗あるんだよな。あと■■■について調べてたし。ん?まただ。なぜ覚えてもいないことをここまで怪しんでいるんだ?まぁいい。気の迷いだ。拓は目的について考えやすい。おおかた俺の事が心配だ。とかそこら辺だろう。拓は心配性すぎたっと。

 

最後は...先生か。先生だとするなら目星をつけてからだな。えぇ?俺が関わりを持っている先生をあげるなら担任ぐらいだろうか。暫定担任だとして。だとして...なんだ?理解不能だ。なんか適当に書こう。どうせ先生じゃないしな。先生は気の迷いっと。

 

やはり誰か忘れてる気がする。女の人のような気がする。ダメだ。思い出せん。まぁいい。思い出せないってことはそこまで重要じゃないんだろう。

 

にしても疑われた人達可哀想だな。いやいや、何を考えているんだ。いずれ殺す相手に情など必要ないはずだ。俺は全員を殺す並の覚悟でこの計画を実行しなければならない。いや、もうその方が楽かな。

 

いっその事今から全員殺しに行くか。よし。準備をしよう。ナイフさえあればいい。

 

俺はそそくさと台所へ向かいナイフを3つほど用意した。

 

「あら良樹3つもナイフ要らないでしょう?何に使うの?」

 

うるせぇな。誰だ俺の邪魔をしようとするやつは。こいつか。なんだ?お前が犯人か?

 

「お前か?」

 

「どうしたの良樹?なんの事?」

 

「とぼけんなよ。お前かって聞いてんだよォォォォ!!!」

 

「ちょっと良樹!?しっかりしなさい!!」

 

右頬に強烈な痛みを覚えた。

 

「痛。なんで今叩いたの?」

 

俺はなぜ叩かれたのか理解できなかった。しかし、手に持っているナイフを見てすぐに理解すると同時に怒り似た感情を思い出した。

 

俺は犯人に対する殺意のあまり正気を失っていた。目を覚まさせてくれてありがとう。

 

親に心の中で感謝した。あぁだめだ。完全にかき乱されてる。正気でいないと。

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