あなたは私の愛人   作:しがない学生

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第7話

「今日、■■さんが転校することが決まりました。原因はいじめだそうです」

 

教卓に手をかけ、全員を刺すような目付きでその場にいる全員を睨んだ男が目の前に立ってそう言った。

 

「心当たりあるやついるよな。なぁ。なんで黙ったままなんだよォ!!」

 

瓦割りでもしているのかのような形相で教卓を叩き、声を張り上げた。男は酷くイラついた様子だった。

 

一瞬にして空気が張り詰めた。その場にいる全員怯えていた。俺と拓含め。

 

「はい」

 

誰かが手を挙げた様子だった。俺は男が放つ圧に腰が引け、男から目を離すことが出来なかった。

 

「どうした。心当たりあるのお前か?」

 

男はさらに威圧した。

 

「拓くんが怪しいと思います」

 

手を挙げた人は拓を犯人にでっち上げようとしていた。もちろん拓はやっていない。常に俺と行動を共にしたからだ。

 

「おーそうかぁ。おい。拓立て。立てって言ってんのが分かんねぇかコラァァ!!」

 

空気がさらに痺れた。拓はとてつもない勢いで立ち上がり、椅子をも吹き飛ばしていた。

 

「お前が■■さんをいじめたのか?あ?お前のせいで■■さんはこの学校で生活できなくなったんだぞわかってんのかァァ!!」

 

男は拓の鼓膜を破壊するかのような勢いで言い放った。

 

「ちょ...ちょっと待ってください!俺やってませんよ!ほ、ほら良樹ずっと一緒にいたよな...?お前ならわかるよな...?」

 

拓は俺に助けを求めてきた。男を含め全員の視線が俺に突き刺さる。

 

「おーそうか。良樹、拓はやってないのか?」

 

「いえ、拓とはあまり一緒にいなかったので分かりません。でも、拓は■■さんと一緒にいる時間が長かったように思います。拓が犯人でも納得できると思います。」

 

俺は拓を売ってしまった。そんなつもりはなかったんだ。男の圧と突き刺さる視線で正しい判断をすることが出来なかった。本当に拓を売るつもりはなかったんだ。わかってくれ。周りの視線は俺を憐れむような視線や俺を蔑む視線で満たされ、俺をサンドバックにするかのような雰囲気で満たされた。

 

「は...?何言ってんだよ...!俺らずっと一緒だったじゃねぇかよ!!」

 

「うるせぇ黙れぇ!!教えてくれてありがとなぁ良樹。おい拓。お前親友利用して言い逃れしてまで隠してぇのかテメェェ!」

 

男は拓を黙らせ、拓への尋問を開始し始めた。すまない拓。いくら殴ってくれてもいい。本当に済まないことをした。拓は俺のことを見限るような、妬むような、怒りに満ちた様子でずっと俺を睨んでいた。

 

 

 

うぅ...またこの夢か...。全身から冷や汗が吹き出ている。最近この夢を見ることが多い。いつの夢か分からない。いつもここで目が覚める。朝から気分が下がる。すぐさま洗面所へ向かった。俺はさっきの夢の内容を洗い流すように乱暴に顔を洗った。なんだ。誰だこれ。鏡に映った自分は酷くやつれていて今すぐにでもその場で倒れて死んでしまいそうな様子だった。自分でも気が付かないほど精神がすり減っていたことに今気付いた。こんな思いをするならいっその事死んだ方が楽なんじゃなかろうか。

 

いや、死ぬのは絶対にダメだ。必ずド変態野郎をぶっ殺して地獄に突き落としてから死ぬんだ。

 

自分でもわかるほどふつふつと心の奥から殺意が沸き立ち今にも沸騰しそうだった。俺は顔に傷でも着く勢いでタオルで顔を拭いた。ちょっと傷ができてしまった。だが、少し落ち着いたから良しとしよう。

 

危うく我を失うところだった。腹が減ったな。でも食欲がない。だが食わなければならない。

 

俺は誰かに見られている訳でもないのに心に余裕があるように振る舞い飯を準備した。

 

今日は食パンにジャムを塗っただけの代物だ。しかし、いつもは絶対に食パンなど食べない。

 

今の俺は食パンのような軽い代物じゃないと喉を通らないのだ。

 

俺は牛乳で溺れるように食パンを流し込んだ。

 

最近の自分の荒れように嫌気がさす。スマホを見て時間を確認しよう。

 

しかし、スマホに手を伸ばすが、手が震えてスマホに触れることが出来ない。それに頭痛や吐き気もしてくる。なぜだ。まるで何かを拒絶しているかのようだった。右腕が俺の体じゃないみたいだ。

 

ピコン。

 

その時誰かからメッセージが来た。頭では拓だと理解していた。でも。体が音を拒絶している。息が荒くなり意識を保つことが精一杯になる。俺が俺じゃないみたいだ。俺はこの場から動くことが出来なかった。

 

まるで石像のようだ。今の俺を見た人はそういうだろう。

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