魔法少女リリカルなのは Desert punk 作:15ブロック
001/迷子探し
第87管理世界……砂漠と墓標のように建っている遺跡が特徴の世界だ。
数百年前に事故か何かで文明は滅んで世界は砂漠に覆われた。
昼は摂氏50度をゆうに超え夜は氷点下を割る。
そんな環境でも俺たちは魔法を駆使してしぶとく一生懸命ゴキブリのように生きている。
のうのうと生きている魔法生物どもを狩り、喉が渇けば泥水だって啜る。
管理局や遺跡を発掘する為にこの星にやってくる奴らには食料を落としてもらう。
もちろん別の世界に行く奴らだっている。
だが俺には移り住む金が無いし転移魔法も使えないし養う家族がいる。
だから俺は金を稼ぐ為に仕事をする。
俺は依頼されたらなんでもしちゃう便利屋。
今日も迷子のガキを捜してテクテク砂漠を歩いている。
依頼主はスクなんとかって一族、なんでもこの世界の遺跡に珍しいもんがあって発掘してたら責任者の子供が行方不明だとよ、水を飲みに行ったら居なくなったって……
……あ、笑ったな? 今コテコテのフラグ乙って思っただろ?
俺は受けたく無かったんだよ? 責任者のガキの捜索なんてさ?
あきらかに何かヤバイ匂いがプンプンするんだよ?
でもさ、うちのババアがいい仕事来たってホイホイ前金受け取ったんだよ……
んなもん管理局にでも任せろってんだ! あのババアなんで依頼受けたんだよ!?
あーでもいい仕事なんだよなぁー……たしかにその金があったら妹に勉強道具買ってやれるよ? 良い学校に通わせれるよ?
まあ下手したら俺の命が危ないと思うんだけどね? 便利屋の経験的にね?
つーか、ババアはババアらしく家でおとなしく茶を啜って煎餅でも食って養われろよ……
なんで仕事に口出すかなぁ? だいたいこの前のs
「くうおらぁあぁぁぁぁぁ!!」
「おわっ!」
愚痴を垂れ流して歩いていたら怒声と共に魔法弾を足元に撃たれた。
威嚇射撃? 俺何かしたっけ? つーかセンサーには反応なかったが……あっ今出たよ遅ぇもう目の前に居るし。
「おい! ここがどこだか知っているのか?」
「勝手に縄張りに入るんじゃねーよ」
「ヒヒ……ヒヒヒ」
筋肉モリモリマッチョの男三人組に囲まれたよむさ苦しい。
えーっと頭半分隠す覆面に胸にはゴツイ顔に似合わないデフォルメの蛙のワンポイント、緑のテープを巻いた銃型デバイスってぇと……
あーしまったぁー……ぼーっとしてて縄張り入っちゃったよ。
「おい、聞いてるのか? 」
「殺されないうちに早く帰んな」
「まあ、帰ろうとしても殺すんだけどねヒヒヒ」
あー……撃退するのは簡単なんだが、後が怖いんだよなー……
まあとりあえず時間稼ぎにちょいと聞いてみるか。
「おめーらスクなんとかって部族のガキ見なかったか?
なんか責任者の子供が行方不明なんだとよー」
『ハァー!?』
口を半開きにして異口同音で答えやがったキメェ
つーか、スクなんだったっけ? スク……スク……スクミズ? じゃねーな。
金髪のガキってだけは知ってるが、それ以外あんま詳しく聞いてないんだよなー
ババアにイラつきながら依頼主の話を聞いたのが裏目ったな……
おっと……よーし、準備が終わったしさっさと逃げy
「あー? スクライア一族の餓鬼なんてしらねーよ」
「金髪のガキなんて攫ってねーからさっさとどっか行けよ」
「逝くのはあの世だけどなヒャハハ」
こいつら馬鹿だろ……探す手間が省けたのは良いけどね。
「まあいいや、お仕事開始ですよー」
『
腰に携えた俺の銃型デバイス――ウィンチェスターM1897――から微かに機械的な声が聞こえると、足元に淡く光る四角い物体が設置された。
突然出現した物体に驚いた筋肉三人組は……
「ああ?」
「ん?」
「ひょ?」
などとマヌケな反応を見せ、それに答えるような形で四角い物体が展開して中身を晒すが中には何も入っていない。
三人組はなんだどうしたと周囲に異常がないか見渡し警戒している。
おっと、鼻の穴がヒクヒク動いているという事は臭いも嗅いでいるな? 残念、コイツは無臭だぜ?
「……おどかしやがって、なにも起こらないじゃないふぁ……!?」
「もうゆりゅさぬえ! 殺しゅ……!?」
「ヒャハハ……あ? アガガ……!?」
地味に効き難かったな、分量ケチって薄めたのは良くなかったか? 次から気をつけよう。
これ超強力なのは良いけどちょーっと高価なんだよな。
「フフフ……」
「かっ体がうごかにゃい」
「うっううう……」
「にゃっにゃにしやがった!!」
「強力な麻酔を魔法で散布しちゃった☆」
俺はヘルメットを被っているので問題ないが、こいつ等は今ごろ手足が痺れて動けないだろう。
まあ口は動くみたいで口々に罵声を言っているが知ったこっちゃねーよ!
汚い? 卑怯? はっ! 生き残る為には何だってやるのが俺のモットーだ。
まだ喚いている男達に歩み寄り、愛銃を構えた。
「さーて、攫ったガキの居場所をおしえろ」
「ひぃ!!」
……まあ、動けない相手に弾を撃ち込むのは魔力の無駄になるので、愛銃のストックで頭や尻を思いっきりぶん殴るという拷問まがいの尋問をした結果、痛みに耐えかねて涙混じりに白状してくれた。
スクライア一族のガキは近くにある遺跡に監禁しているそうだ。
うん、今日中には終わらせれそうだな。
居場所をゲロった手下は用済みになったのでロープでグルグル巻きに縛って大柄な二人は適当な場所に放置。
その遺跡には親分が居るから一筋縄ではいかないような事を言っていたが……
「べつに戦うってのが選択肢じゃねーよ?」
「~~~~~~!!」
三人の中で一番小柄な奴を引きずって遺跡へと向かう事にした。
さーて、上手く誘導できれば良いんだが……
・
・
・
・
遺跡は三階建の広い建物だが、手下の話だと最上階のどこかにガキが監禁されているらしい。
引きずって来た奴はうるさかったので薬品で気絶させヘルメットの魔力感知を起動、スクライア一族から貰った攫われたガキの生体魔力のデータを照らし合わせて索敵っと……
「……やっぱ最上階に居るな」
攫われたガキが居る三階には魔力反応が三つ、幹部クラスが一人に親分、攫われたガキって所かな?
他の手下は一階に数人と二階は……奥のほうに数人。
出入り口に二人、建物の周囲を巡回する男が一人。
裏口は無いが屋上にも一人居るっぽいので屋上からの進入は微妙に難しい。
ん? 一階に居る奴の一人が無駄に魔力高いぞ? どうなってんだ?
うーむ……まあいい、とりあえず行動開始だな。
慎重に建物に近付き、タイミングを見計らって背中に背負ったロケットウインチでフックを射出、三階付近に魔方陣を展開しフックを固定。
筋力を魔法で強化し手下を担ぎ、ワイヤーの巻き取りを利用してゆっくりと上昇しひとまず三階へと向かいガキが監禁されている部屋を確認してみる。
中は意外と綺麗で、部屋の隅の方に口を塞がれ後ろ手に縛られた金髪の……少年? 少女? まあいいやガキが寝かされている。
そのすこし離れた所で二人の手下が食事っと。
ガキの近くにもトレーに置いた食べ物があったので、それなりの待遇はされてそうだな。
こりゃ身代金か何かの目的で攫った可能性も考えられるな。
ただ、この階に居るのは親分じゃねーな。
食い物はどちらも粗末だし、どちらが偉いって感じでも無さそうだ。
……という事は一階に居る無駄に魔力が高い奴が親分か?
よし、一階に……っと思ったが、巡回していた手下が立ち止まっている。
建物の影側なのでこちらには気付かれにくいが、しくじったな……最初に覗いておくべきだった。
一階はあきらめて、二階を確認するか。
……よし、この部屋には誰も居ないな。 鍵は……不用心な事に鍵は開いている。
これは運が良いな、そろそろ担ぐのも疲れたしコイツはここに放置しよう。
あとはここにちょっとした仕掛けを設置してっと。
「んじゃあ頼むよ、合図したら発破して」
『
愛銃が応えると魔法が発動して、手下を放置した部屋の窓に四角い物体が張り付く。
さっきの魔法とは違い、今度は小規模な爆発が起こる術式だ。
「さーて、蛙一家ちゃーん? 上手く引っ掛かってくださいよ?」
俺は上手く引っ掛かってくれる事を祈りつつ、ウインチを操作して三階へと昇り屋上の状態を確認してみる。
見張りは一人、上手い具合に俺のちょうど真上か。
空ばっかり警戒しているのでこちらには気付いていないようだ。
(チャーンス)
フックを限界まで巻き取り固定を解除、すかさず射出し上昇。
射出音に反応して見張りが振り向くが、俺は既に見張りの視界から逃れていた。
そして頭上から音も無く襲い掛かり背後から首を絞めて落としにかかる。
その数秒後、見張りは声を上げる事無く気絶した。
「ふう、上手くいった」
見張りの武器を奪って縛り上げ、三階へと侵入。
ガキが監禁されている部屋の隣にひとまず隠れる。
さーて、上手くいってくれよ?
「十秒後に発破、良いな?」
『
成功率は五分五分だが、上手く撹乱できればこちらが有利。
さっさとガキ助けて逃げて後の事は管理局に任せるか。
(3……2……1……0!)
キッカリ十秒、下の階からガラスの割れる音が聞こえた。
隣の部屋から怒声が聞こえ、ドタドタと慌しく動き回る音が聞こえる。
『俺が見に行ってくる! お前はここでガキ見張ってろ!』
『おう! 任せとけ!』
そして二人のうち一人が出て行ったのを確認すると俺は行動に出た。
廊下に誰も居ないことを確認してドアをノックしつつフックを射出し固定、天井に張り付くとドアが開いた。
「おう、早かった……グハッ!」
手下の頭が見えた瞬間、銃のストックでぶん殴って気絶させ襟首を掴みゆっくり寝かせる。
「よし、制圧完了」
早くしないと下の階に行った手下が戻ってくるので足早にガキに近付く。
モゾモゾと動いている所を見ると、意識があるようだ。
「助けに来た」
「~~~~~ぷはっ! 君は?」
何を言っているのか判らないので猿轡を外してやった。
……うへぇ、ヨダレでベトベトじゃねーか。
つか男か……残念。
「俺? 俺は便利屋さ、縄解くからちょっと待ってろ」
「う、うん……」
ガキの質問に答えて縄を解こうとするが、ドタドタと慌しくこちらに向かってくる足音が聞こえる。
チィ……! 気付かれたか!
「間に合わねぇ、おい、担ぐぞ?」
「……え? うわっ!」
答えを聞かずにガキを肩に担いで、窓に向かって走り出す。
そのまま窓を蹴破って外に飛び出し出来るだけ遠くにフックを射出し移動を開始する。
「すごい……こんな原始的な装置で空を飛べるなんて」
「おい、あんま頭起こすな落ちるぞ?」
「あ、ゴメン……」
つーか、なんか微妙に失礼な事言いやがったなコイツ。
……まあ、暴れないだけマシか。
「とりあえず安全な所まで逃げるから我慢しろよ?」
「うん……あ、僕はユーノ、ユーノ・スクライア」
「へぇ……お前、意外と根性あるな。 俺は……そうだな、『砂ぼうず』とでも呼んでくれ」
「それって偽名?」
「うんにゃ、団体名だな」
「へ?」
『くおらああああああああああああ! 待ちやがれえええええええええええええ!!!!』
「おっと、怖いおっさんが来てるからスピード出すぜ?」
「うん!」
……これがユーノとの出会い。
この事件をキッカケに大事件に巻き込まれる事になるとは思わなかった。
この作品はにじふぁんに掲載していた「リリカルでマジカルな世界に砂漠妖怪」を修正した作品です
にじふぁん閉鎖とともにしばらく沈んでいましたが懲りずに執筆活動を始めてしまいました。
筆が遅く駄文になるかと思いますが、これからよろしくお願いします。