魔法少女リリカルなのは Desert punk 作:15ブロック
奪われたユーノのデバイスを取り戻す為にユーノとコンビを組んだ俺は、夜遅くまで作戦会議を開いた。
アジトに潜入して盗み出すとか奇襲して手下の数を減らしながら機会を待って親分を倒すとか考えたが、前者は二日前に出し抜いているので警戒レベルが半端無く進入は難しい、後者はそれなりに安全な方法なのだが時間が掛かりすぎるという理由からボツになった。
それからあーだこーだと色々考えてみたが時間が経つばかりで良い案は浮かばず、最終的に親分と手下を誘い出して一気にまとめて倒す方法で良いや! ……というなんとも投げやりでごり押しの結論になった。
まあ、時間もないし妥協なラインじゃねーかな?
仕掛けさえしっかりしていれば大丈夫だ。
とりあえず誘い出してからの作戦はあらかた考えてる。
あとは誘き出す為の素材だけなんだが……それは管理局の働きに期待するという事で。
ここニ日間の情報だと、この世界に駐在している管理局員は蛙一家逮捕に動いているようだ。
実際もう何人かは逮捕されているし、そろそろ本局からも応援が来るそうだ。
……こりゃあほっといても親分が捕まるのも時間の問題だな。
とはいえ親分が逮捕されるのは困るので、俺が局員に情報を流して上手く誘導して戦局を操作してやろうと思っている。
んでその間に、親分一行を俺達が捕まえれれば任務完了と。
「……とまあここまで考えたが」
目の前に座っているユーノは机に突っ伏し、静かな寝息を立てている。
まあ朝から走り回っていたし寝かせた方がいいだろ。
「……ゆっくり寝かせてやるか」
起こさないようユーノに近付き、背中と膝裏を腕で支えてそっと抱き上げる。
所謂、お姫様抱っこだ。 男だけど……というか意外と軽いな。
「んっ……」
おい、狙ったように良い声出すなよ。
……ともかく近くにあったベットに寝かせて一段落。
そして明日の準備をする為に、装備の点検と弾丸の補充をする事にした。
席に戻ると、今まで被っていたメットを取って腰のポーチからコードを取り出し愛銃の接続端子に繋げる。
するとコアが点滅し、索敵機能に問題が無いか点検を始める。
「さてと、次は……」
次は弾丸の補充をする事にした。
この世界で使われているデバイスは魔力を込めた弾丸を使う事で射撃魔法が使用できるタイプのデバイスだ。
魔力の貯蔵ができたり、魔力の消費量が少ないってのが魅力だな。
この厳しい世界では魔力切れ=死なので出来るだけ魔力消費は抑えたいのだ。
まあその分、弾丸の補充は欠かせないので寝る前にはこまめに補充しておかないと弾切れになる事がある。
弾丸は互換性があるので最悪の場合は他人の弾を奪ってしまえばなんとかなるんだけどね。
……俺の場合はかーちゃんやババアが弾丸作ってるんでそんな状態にはならないが、今回は話をするだけだったからあんま持ってきてないんだよ。
空の薬莢さえあれば弾丸を増やす事はできるので問題無いが、魔力の消費や手持ちの弾数が辛いんだよね。
とはいえ一発一発に注ぎ込むのは面倒なので専用の器具を使って魔力を注入する事にする。
俺は胸のポーチから空の薬莢を出し、腰のポーチからも専用のケースを出し空の薬莢を取り付ける。
ケースにはコードが繋がっており、その先にはリストバンドのようなものが付いている。
それを俺の手首に付けて魔力を込めると、取り付けた薬莢が淡く褐色に光り魔力を溜め込んでいる事が判る。
言い忘れたが、俺の魔力光は赤褐色だ。
赤く輝く褐色色だ。
茶色ではない、赤褐色だ。
断じてウ○コ色ではない。
……子供の頃はそれをネタに弄られたが今となっては良い思い出だ。
仕返しにからかった奴の家に爆弾仕掛けて便所爆破したなぁ……今となっては懐かしい思い出だ。
しばらくすると魔力の補充が終わったようなので補充された薬莢を取り出し、また新たに薬莢を取り付けて繰り返し魔力の注入をした。
『
「終わったか、異常は無かったか?」
『
しばらく弾丸補充をしていたら愛銃がメットの点検を終えたようだ。
特に異常が無いようなので、繋がっていたコードを抜いて次の行動を伝えた。
「そうか、んじゃあ次は、狙撃形態に移行して点検」
『
愛銃が応えるとコアを中心に分解が始まり、バラけた部品がコア内部に格納されていく。
ほとんどの部品が格納されると、次は別の部品が次々に展開し形を変化させていく。
『
その数秒後、目の前には狙撃形態に変形した愛銃――M40A1狙撃銃――が現れた。
コア付近の装甲が展開していたので、端末を接続してやるとすぐに点検モードへと移行した。
相変わらず見事な手際だ可愛いやつめ。
まあ見つめていると恥かしそうに点滅するので、今度は腰に携えているナイフを取り出す。
ナイフと言っても刃は付いておらず、愛銃とのリンクで動いているのでコアも無い。
俺は接近戦とかは苦手なんであんま使わねぇが、メンテナンスをしないとうるさいんだよ。
『
……おっと、愛銃が急かすのでメンテすっか。
ナイフの柄と刃を持って強く引っ張ると、柄の部分がスライドして中から一発の弾丸が飛び出す。
コレがコイツの電池みたいなもんだな、だいたい半分くらい減っていたので素手で握って直接魔力を流し込んだ。
んで柄を元にもどしてハイ、終了。
どうだと言わんばかりに愛銃を見えるとこちらも点検が終わったようで満足げに点滅している。
「その様子だと調子は良いみてーだな」
『
さて、点検はこれで終わりだ。
愛銃はひとまず元に戻して、今日は寝ることにした。
持ってきていたリュックから寝袋を取り出し、適当に服を脱いで愛銃と一緒に潜り込み眠った。
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「……おはようクーゴ、ヘルメットは取って良かったの?」
朝になり俺が目を覚ますとユーノがいきなり聞いてきた。
ああ、そーいや正体隠してたな。
「あー……おはよう。 ユーノにならバレても良いかなと」
「クーゴ……」
『
「え? あ、おっおはよう、えーっと……何でそんなに光っているんだい?」
突然喋った愛銃に驚いてアタフタしているな。
俺がインテリジェントデバイスを持っているとは思わなかったんだろう。
ボーっとしばらくユーノと愛銃の会話? を見ていたがこれじゃあ収拾がつかない。
……助け舟渡してやるか。
「ああ、コイツは点滅で感情表現してんだよ」
俺の声に反応してか愛銃が点滅で応える。 ……警告? ユーノに? 何で?
「か、変わったデバイスなんだね……この子の名前は?」
「ああ、ターリアって名だ」
「ターリア……可愛い名前だね」
あ、恥ずかしそうに光ってる。
まあ微妙に偽名だけど愛銃が可愛いのでそのままにしておくか。
その後、軽く朝食をとりつつユーノに作戦を伝える。
俺が考えた作戦は管理局と蛙一家の小競り合いに乗じて手下を捕まえるか何かして手紙を親分に届け、俺に扮したユーノが親分と対面して愛銃の術式を発動、催眠ガスを散布しつつ俺が狙撃して攻撃する。
その間にユーノは安全圏まで逃げてそこで転移させるので問題は無いと思う。
作戦の内容を聞いたユーノはしばらく難しい顔で悩んでいたが、覚悟を決めたような表情で快く引き受けてくれた。
「ちゃんと守ってくれよクーゴ?」
「わかってるよ」
この作戦はユーノに安心して囮になってもらう事が重要だ。
蛙一家の親分にはNGワードがあるから判断力を削げるはずだ。
問題は管理局の連中だが、土地勘が無い奴が多いからおそらく大丈夫。
……さて、そろそろ動きますかね。
繋ぎっぽい話になったので、次話は今日中に投稿する予定です。