魔法少女リリカルなのは Desert punk 作:15ブロック
最近、砂ぼうずという便利屋に出し抜かれた。
誘拐していたスクライア一族は逃がされて管理局には目をつけらちまった。
デカイ面した管理局の奴らをぶっ潰せる口実ができたってのには感謝するが、金ズルを持っていかれるのは勘弁ならねぇ……
唯一の戦利品といえばスクライアのガキが持っていた首飾りだけ。
それに管理局の拠点を襲った時に見つけたブツ……
いま、俺様の前には皿に盛られた黄色くプルンとした食べ物が置かれている。
そうだ、これが管理局から奪ったブツだ。
皿を揺らす度にプルプルと震えるので思わずニヤリと口元が緩む。
「……いただきます」
スプーンで一口食すと蕩けるような甘味が広がってくる。
「んまーい!!」
ああ……甘い、トロトロでうまい。
これが、プリンか!!
「それは良かった……では、親分そろそろ聞いてくれますね?」
俺様は手下に目で合図をして、プリンを食す事に集中する。
もちろん手下の話は聞いているが、俺様に喧嘩を売る奴らは少ない。
安心してプリンを食せるというものだ。
「……という事で、管理局は問題ないと思います。ですが気になる情報が」
「ん? 何だ?」
しばらく長々とつまらん話を喋っていたが、興味をそそられる話を振ってきた。
……砂ぼうずのアジトでも見つかったのか?
だがコイツの顔からして良い情報では無いな、俺様はプリンを食すのをやめて真面目に聞く事にした。
「どうやら最近、管理局が傭兵を雇ったそうです。」
「ほう……あの管理局が……」
「本部からの応援が来るまでの一時的な処置らしいのですが、すでに成果をあげているそうです」
「やるじゃん……だが、関係ないね俺がそのうちぶっ殺すから」
その瞬間、部屋全体がどよめく。
俺様を畏怖し称える声だ……ふふふ、プリンがうまい。
「流石親分」
「ふっ……それに砂ぼうずもそろそろ見つけてくれよ? 殺すから」
そこで俺様はふと気が付いた、手下が一人足りない。
「おい、お前たち数が少ないじゃないの? 俺様あやうくだまされる所だったぜぇ?」
俺様に隠し事は通用しないんだぜ?
するとどうだろう、手下どもは何か事情を知っているのか表情が曇った。
「そ、それが今朝の管理局との戦闘で、アキオの奴がはぐれちまったようでまだ見つかっていないんです」
「あーん? 捕まったのか?」
「……わかりません」
「心配しないでくだせぇ、そのうち帰ってきますよ!」
……フム。
まあ、遅れた奴には何かペナルティがあっても良いな。
「なら、アキオのプリンは俺が食う!」
「とうぜんです!!」
すばやく出されたプリンを見つめるとまた思わず口元がにやけてしまう。
「ハハハハ! おいしい! おいしいよこのプリン!」
そしてそのまま高笑いに変化し、プリンを味わう。
その時だった、正面の扉が勢い良く開き巨漢の男が現れた。
「ボスー!! 大変ですー!!」
「あん? どうした騒がしい……」
プリンタイムを邪魔されて不機嫌になった俺様を察したのか、巨漢は青くなりつつもすばやく口を開いた。
「アキオを探してたら、素っ裸でのびてましたぁー!!」
「なにぃ……!?」
「それで、この手紙が……股間にっ!!」
巨漢が震える手を持ち上げるとその手には、手紙を持っていた。
よく見るとなにやらばっちぃ液体が付いている。
そんなモノを見せるな、プリンが不味くなる。
「……手紙ぃ? 誰からだ」
「それがぁ……あの砂ぼうずからでさぁ!!」
ほう……面白いじゃん。
わざわざ喧嘩ふっかけにきたのか。
「……読んでみ」
「は、はい……でっでは、拝啓、蛙の馬鹿親分(蛙誠 32歳 独身)様
あんたが盗んだ宝石、取り戻しにきました。
逃げても無駄だクソヤロー、勝負しろこのバカ野郎。
必ず殺すからなこのタコ。
バカ子分は手ごたえが無かったぞボケ。
地図用意したから来いよハゲ。
逃げるなよバカ親分。
……以上です」
小学生の悪口かよ。
こんなんで俺様を怒らせれる訳がないだろ。
まあ、地図の場所に行ってやるか、軽く殺してやるよ。
「あ、追伸、お前のかーちゃんでーべそだそうdブグア!!!」
久しぶりにキレちまったよ。
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狙撃形態にした愛銃のスコープを覗くとそこには砂ぼうずが映っていた。
砂ぼうずは落ち着かない様子でキョロキョロと周囲を見渡している。
【クーゴ、本当に来るの?】
【ああ、来るさ、絶対】
まあ、バレバレなんだがあれは俺のメットを被ったユーノだ。
炎天下の中で待っているが、あのヘルメットは被ると外気との温度差をコントロールできるスグレモノなのでしばらくは大丈夫だろ。
俺はといえば耐熱シートでカモフラージュしているだけなのでちと暑い。
予備のメットを用意しておけば良かったぜー……
【そうだユーノ、弾除けの岩とか逃走経路を考えておけよ?】
【え? なんで?】
【そりゃオメエ……催眠ガスの効果が現れるのには時間が掛かるんだよ】
【なるほど……わかった、考えておくよ】
あぶねぇ……あやうくボロがでる所だった。
ん? ユーノに向かってなにかが土煙を出しながら突撃して来ているな。
【ククククっクーゴォ!! なにかきたよぉ!!】
【焦るな! どっしり構えとけ!】
しばらくするとユーノに向かって来る土煙から雄叫びが聞こえてくる。
間違いない、蛙一家の親分だ。
「砂ぼうずううううううううううううう!!!!!」
【~~~~~~!!】
数秒後、スコープから覗く俺にはハッキリと見えた。
ユーノにも見えているのだろう、念話からは声にならない悲鳴が伝わってきた。
そして、ユーノとの距離を五メートル残して、蛙の親分とユーノ(砂ぼうず)が対面する。
「やってくれたな砂ぼうず」
【お前はしゃべんなよ?】
『あんたが蛙一家の親分かい?』
ユーノに喋らないように念話で伝えヘルメットに取り付けたマイクで親分と思わしき巨漢に問い掛ける。
「ママはでべそじゃねぇ」
「へ?」
ユーノが思わず声を漏らすが親分がには気付かれなかったようだ。
しかし……ご先祖様の言うとおりだったな。
蛙一家には代々NGワードが存在しているのだ。
それを聞くと身体能力を強化して魔力が無くなるまで暴走状態になるんだとよ。
しかし……コイツ本当に……いや、宝石を首にかけてるから親分か。
『あ、怒ちゃった? メンゴメンゴ』
「てめぇ……殺す」
蛙の親分とユーノ(俺)が喋っているうちに追いついたのか親分の後ろには大勢の手下が控えている。
『おいおい、勝負って言ったら正々堂々、サシで勝負だろ!』
「お前が言うなあああああああああ!!」
【ユーノ作戦どおり逃げろ】
【うん!】
『
ユーノに合図をした瞬間、愛銃が囁きユーノの足元に四角い物体――
メットとのリンクは良好、魔力はユーノ持ちなので魔力の消費に関しては問題無し。
後は……
「同じ手はくわねぇ!!」
蛙一家はそれを想定していたようで、親分の合図で全員がマスクを着用しやがった。
あー……やっぱバレてるよね。
前に手下三人を行動不能にしたのはその技だしね。
「うそぉ!!」
【マズイっ! 指定ポイントまで逃げろ!!】
ユーノが驚いて立ち止まってしまったので、逃げるように伝える。
あわてて逃げるが砂に足をとられて走りにくそうだ。
「逃がすかよぉ!!」
「親分に続けー!!」
蛙一家は逃げるユーノを銃を撃ちながら追いかけてくる。
親分に限っては質量兵器まで持ち出している。
ってオイオイ、ありゃあRPGじゃねぇか!? どんだけ怒ってんの!?
【親分の攻撃には当たるなよ】
【質量兵器なんて聞いてないよ!?】
【うん、まあ、頑張れ】
【クーゴ!?】
俺の無責任な応援に応えるかのように、爆発や銃撃に襲われながらユーノは走り続けている。
「ひいいいいいいいい!!」【クーゴォ!! 見てないで助けてよ!!】
【それ無理、まだ射程外】
叫び声をあげながらも岩を盾にして器用に動き回り指定のポイントまで逃げている。
たまらず俺に助けを求めるが……まだだ、まだ全員範囲外だ。
その間にも愛銃の魔法が続いているのか箱を出し続けている。
「まてやゴルァアアアアアアアアアアアアア!!」
「クーゴォォォォォ!!」「あっ!!」
親分の迫力にたまらず叫んだユーノ、その瞬間、石につまずいて転んでしまった。
慣性の法則に習ってゴロゴロと転がり停止した時にはヘルメットが脱げる。
「あ?」
「あっ……」
あーあ、バレちった。
まあ上手いこと誘導できたので良しとするか、手下は全員範囲内だ。
俺はバラ撒かれている箱に狙いを付けた。
「どういう……ことだ」
「あっああ……」
呆気にとられた親分が、恐怖で動けないユーノへと一歩を踏み出す。
その瞬間を狙って俺が愛銃の引き金を引くと、愛銃から魔力の弾丸が撃ち出され射線上の箱へと向かい着弾。
すると玩具箱に内包されていた魔力が弾丸を起爆剤にして激しい爆発を起こした。
爆発を確認すると俺はすぐさま次の箱へと狙いをつけて発射し続ける。
次々と爆発が起こり、手下を巻き込んでゆく。
「なっなんだこりゃあ!?」
【ユーノ、転移しないと巻き込まれるぞ?】
「ふぇ!?」
狼狽する親分を尻目にユーノに念話を送る。
すると彼は素っ頓狂な声をあげたがヘルメットを回収すると転移魔法を発動した。
良し、ヘルメットを忘れずに回収してくれるのはありがたい。
「おのれぇ! 砂ぼうず!! おのれぇ!!」
蛙一家の親分の断末魔を尻目に最後の弾丸を撃ち込むとあらかじめ目的地に仕掛けられていた特大の玩具箱に命中し大爆発を起こした。
いくら蛙の親分とはいえ耐えられまい。
「ふいー……任務完了っと」
「クーゴ……初めからコレを狙っていたんだね……」
俺が安心してため息を吐くと、背後から冷たく暗い声が降りかかる。
恐る恐る振り向くと、ユーノが佇んでいた。
足元にはヘルメットが転がっており、まるで生首のように俺を見つめている。
「あー……ユーノ、君?」
なにやら只ならぬ気配に気圧されるが、どうにか軽口をたたこうと頭を捻るも……
「グスッヒック……」
目に涙をためているユーノに何も言えなくなった。
「怖かった……怖かったよぅ……」
「すまねぇな……時間が無かったから地雷も仕掛けれなかったんだよ」
愛銃はマスターは悪くないと点滅する。
ありがとう……でもこれ逆効果だよな?
その直後、右の頬に鋭い痛みが走り、何事かと見るとユーノが俺の頬を抓っていた。
「本当に怖かったんだからね!」
「イテテテテ! ごめっゴメン! ゴメンなさい!」
必死に謝ること数分、やっと開放してくれたが右のほっぺは赤く腫れ上がってしまった。
でもいいもん、メット被るから。
いまだに膨れているユーノを尻目にメットを被り愛銃を元の形態に戻した。
さて、ユーノの奪われたデバイスを回収しますかねぇ。
俺達は親分が埋もれている場所を目指した。
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……この辺かな?
俺とユーノは蛙の親分が埋もれていると思われる場所に立っている。
「ねえクーゴ、デバイスは大丈夫なの?」
「その辺は大丈夫だな、ちゃんと計算してあるよ」
信用してないな、ユーノはジト目で睨んでいる。
ともかくデバイスを探そうとキョロキョロ見渡すと地面がキラリと光った。
近寄って確認すると、蛙の親分が首にかけていた宝石が転がっていた。
「コレか?」
「ああ! それだよ! ありがとうクーゴ!」
さっきまでの膨れっ面はどこへやら、ユーノはパアっと明るい顔で俺に駆け寄って来た。
大切なデバイスってのは本当のようだな。
受け取ると大事そうに両手で包み込んでいる。
「さーて、取り戻したし帰るか」
「うん!」
後始末は管理局に任せる事にして俺達は帰る事にした。
そこでユーノがふと気が付いたようだ。
「そういえばクーゴ、なぜ蛙一家の親分はあんなに怒っていたんだい?」
「ああ、NGワードを言ったからな」
「NGワード?」
「お前のかーちゃんでーべそってな!」
すごく嫌な予感がした。
ユーノも同じような表情なので同じような心境なのだろう。
「まずくない?」
「ああ、まずいな」
ユーノと一緒に振り返ると、地面が盛り上がり土煙が噴出す。
そして飛び出してきたのは、
「ぬおおおおおおおおお!!」
「うあああああああああ!!」
蛙の親分だ。
雄叫びに驚いたのかユーノが叫び声をあげる。
「……ぶっ殺す!」
あやーやっぱまだ怒ってるよ。
愛銃を元に戻していて良かったぜ。
「クーゴ、どうしよう……」
「どうしようってそりゃあ「小細工使ってんじゃねぇー!!」
俺の声を遮り親分が突撃してくる。
狙いは、俺か!
「ユーノ、逃げろ!」
「うわっ!!」
親分の標的にならないように俺はユーノを蹴飛ばし、後退する。
「逃げるなぁ!」
よし、上手いこと俺を追ってきた。
逃げながら愛銃を地面に向けて発砲すると着弾地点から白い煙が噴出する。
その煙は俺を包み込んで親分の視界から姿をくらます。
「むう!!」
親分が唸り立ち止まった。
そう、俺が発射したのは煙幕弾。
これくらいの芸当は瞬時にできる。
【かーらーのー】
『
愛銃が応えると同時にロケットウインチを射出して上空に逃げる。
「どこ行きやがったぁぁぁぁ!!」
直後、親分が煙幕を掻き分けて突っ込んで来きた。
それを狙ったかのように術式が発動、親分の背後の砂が盛り上がり俺とそっくりの人形が襲い掛かる。
「そこぉ!!」
蛙の親分はその不意打ちに反応して早撃ちのガンマンのように弾丸を撃ち込む。
「クーゴ!!」
蚊帳の外だったユーノがたまらず声をあげるが、次の瞬間には驚愕で目を見開く。
弾丸を撃ち込まれた人形はサラサラと形を崩し地面に戻ってゆく。
「えっ!」
「なにっ!!」
きょろきょろと周囲を見渡す親分に向かい俺はウインチの固定を解除して急降下。
愛銃のストックに魔力を集中させる。
そこで親分が気が付き、見上げるがもう遅い。
「「うおおおおおおおおおおおおお!!」」
俺と蛙の親分の雄叫びが重なり、親分の脳天にストックが直撃。
その反動で一回転、着地すると同時に蛙の親分が気絶して倒れた。
「まっサシならこんなもんだ」
「すっすごいよクーゴ!」
ユーノが駆け寄ってくる。
蛙の親分は……ああ、あれは魔力切れだな。
空気が抜けるように体が萎んでいった。
「クーゴが撃たれた時はどうなるかと思ったよ」
ユーノが興奮気味に喋っている。
なんかヒーローもののテレビを見た子供のような興奮っぷりだな。
まあともかく大将を倒したし、これで一件落着かな?
そう思った瞬間、足元に銃弾が撃ち込まれた。
「あ?」
どうやら今度は手下に囲まれたようだ。
「よくも親分を……」
「生きて帰れると思うなよ……」
「ク、クーゴ!」
ぎゅっと俺にすがり付くユーノの姿にドキっとしてしまった。
って今はそれどころじゃねーっつーの!
愛銃を構え、周囲を牽制するが数が多い。
クソっこれはヤバイ。
「いくら妖怪でもそのガキを庇って戦えないだろ?」
「っち」
囲まれて絶体絶命。
手下は引き金をひく寸前。
「シネ……!」
手下達の銃から弾丸が飛び出す瞬間、何かに引っ張られるように銃が上を向き空に向かって銃弾が吐き出された。
「え?」
俺の胸に顔をうずめていたユーノが疑問の声をもらす。
「なっなんじゃこりゃあ!」
慌てる手下達を尻目に俺はある一点を見つめる。
そこには黒いマントを纏った帽子の男が居た。
「あー……嫌ぁーな奴に助けられた」
「砂ぼうず、これは借りにしておくぞ?」
マントの男がつぶやいた瞬間、周囲に居た手下達が重力に逆らい引っ張り上げられる。
数秒後に落ちてきた手下達は、全員仲良く亀甲縛りになっていた。
相変わらずえげつねぇ……まあ、挨拶くらいはしてやるか。
「これは……バインド魔法?」
「よう、久しぶりに依頼がかち合ったな、取り立て屋の
「
「あーヤダヤダ、ご先祖様が大事にしていた名前と仕事を捨てちまうなんて恥知らずだなぁー!」
「なんだとぅ!? カビ臭ぇ名前と仕事なんて貰って嬉しいのかよぉ!?」
「ああ!? やるか!?」
「やるぞ!?」
「ちょと! 待ってよ! 何で喧嘩してるのさ!」
「……なんだこの穣ちゃんは? 砂ぼうずのコレか?」
黒雨がユーノを上から下までじっくり見つめた後、俺に向かって小指を立てて聞いてきた。
まあ、そうなれば良いかなって思った時もあるがユーノは男なので対象外だ。
「違ぇーよ、というかユーノは男だ」
「ハァ? こんな可愛い子が男の子なワケなーいじゃん」
「……なんか、クーゴに会った時からいつも性別を間違われてるんだけど」
泣くなよユーノ、アメちゃんあげるからさ。
まあともかくこれで本当に奪われたデバイスの奪還任務は完了だな。
非常に残念なのは、最後に黒雨に助けられてしまった事だ。
「まあここら辺りはガタイの良い奴が多いからな、諦めろ」
「ううっ酷いよ……」
「泣き顔も可愛いね君、おじさん興奮しちゃうよ」
……これがユーノと黒雨の出会いだった。
コイツも俺と同様に大きな事件に関わってくるのだが、それはまた別のお話でってか?
最後が急ぎ足になってしまいました。
後日、修正するかも。
※11/23追記、ちょいと修正しました。