仮面ライダーW ~魔法世界に吹く風~   作:オレンジタロス

4 / 5
頑張って当時投稿していた3章まで出したいです。
わがままをいうならフォーゼ以降のライダーも4章的な内容で出したいです。


EP4/覇王との出会い

目が覚める翔太郎。

 

「あぁぁぁ」

 

起き上がるためにベッドに手を置く。

 

「ん・・・、んふ」

 

置いたはずであった。

変な擬音が鳴る上やたらと柔らかい。

相当高級なベッドでもここまでの触感はない。

 

(? 何だ? ・・・はっ!)

 

翔太郎は昨日の夜を思い出す。

 

「つ、つい疲れているとはいえ若い女とおんなじベッド・・・で・・・」

 

そのまま疲れ果てて寝てしまった翔太郎の顔から一気に血の気が引く。

 

恐る恐る手先を見る翔太郎。

その手はが見るワイシャツしか着ていないスバルの胸を鷲掴みにしていた。

 

「んむ〜〜〜、駄目だよ翔太郎さ〜ん。そんなに激しいと私壊れちゃうよ〜〜」

 

(どんな夢見てんだお前はぁ!)

 

内心突っ込む翔太郎の気も知らないスバルが寝言を言いながら寝ぼけていた。

 

「・・・証拠隠滅・・・」

 

あまりの状況で元探偵らしからぬ発言をする翔太郎は静かにスバルの身体に毛布をかける。

 

そのまま翔太郎は無言のまま起き上がり洗面台に向かった。

顔を洗う兼、夢にしか思えないこの非日常から醒めるために。

 

「頼む・・・・夢なら醒めてくれ」

 

 

~~~~数分後~~~~

 

 

「・・・・・」

 

「あ、おはようございます翔太郎さん♪」

 

「お、おう・・・」

 

がっくりしながら寝室に戻ってきた翔太郎のことも気にせず、スバルが背伸びをしながら前かがみに挨拶を交わす。

それにより見える谷間に翔太郎は呆れながらため息を吐く。

 

「お前・・・、ちゃんとかくせ、スバル! 見えんだろうが!」

 

「見せてるんですよ?」

 

「ああああああああああああああああ!」

 

わざとらしく谷間を見せるスバルに対して頭を抑え自己嫌悪するのは翔太郎。

はたから見たら中々カオスな現状である。

 

(全然ハードボイルドじゃねええええええ! 何か、何かこの状況から離れられることを! ・・・あっ!)

 

翔太郎の頭にこの現状を切り開く切札が浮かぶ。

 

「おう、そうだ! 犯人の連中はどうなったんだ? メモリをどうやって手に入れたのか気になるんだが・・・」

 

「あ、そうだったね。犯人の人達の事情聴取は108部隊に任せてて。あそこにはお父さんやギン姐がいるよ」

 

「わ、分かった。じゃあ俺はその、108部隊ってとこに行ってっからな」

 

「え? 今日休むんですか? 報告書は?」

 

ちなみにスバルは未だにデスクワークが苦手であるため、正直翔太郎の補佐は二重の意味で嬉しかった。

 

「あ〜、じゃあ今夜手伝ってやるから、部隊長には言っといてくれ! な! 頼むぜ!」

 

「ん〜〜〜、じゃあ・・・、今後はデートしましょう。ね? 約束してくれたら、仕方ありませんが今日は一人で頑張ってあげます」

 

(このぉぉぉぉ。人が下手にでてりゃあ・・・。つーかプロセス逆だろが! 何でデートを通り越して同じベッドだぁ!? だが・・・)

 

「まぁ、いいか。いずれな」

 

「やった♪」

 

スバルは抱きつく。

ワイシャツ一丁なせいか胸の感触がほぼダイレクトに伝わる。

 

(ぐおおおおお。なんつー破壊力だ!)

 

「うおっ! それよりもスバル! ちゃんと服着ろ! それに早くしねぇと遅刻すっぞ!」

 

「・・・・・あっ!」

 

スバルは時計を見て血相を変える。

途端に翔太郎とスバルは服を着て、せわしなく動き始める。

 

「おま、スバル! 着替えんなら言えよ!」

 

「え~~~~。ほんとは見たいくせに~~~♪」

 

「んな! んなわけねぇだろがぁ! 偶然踏んだんだ! そもそもこんなとこにっ・・・ってぇ!」

 

翔太郎は昨晩スバルの脱いだ服で豪快に転ぶ。

 

 

 

こんなドタバタがあったものの、互いに家を出て翔太郎は108部隊の本部に到着し、スバルはギリギリ遅刻せずに通勤できた。

 

 

―――――――――――

 

 

108部隊・退舎・取調室

 

 

「知らねぇよ! 怪物なんざ!」

 

「冗談を言うな! お前が怪物になって人々を襲っていたのは明らかなんだぞ!」

 

「知らねぇってんだろが!」

 

取り調べ室で取り調べが行われており、それを翔太郎とギンガはまじまじと眺める。

行われているのは、昨日翔太郎が捕えたトライセラトップスドーパントだった男である。

 

「こんな調子なんです。しかもこの方だけじゃなくて、他の方々も・・・」

 

「・・・嘘はいってなさそうだな」

 

「? そうなんです。まぁ専門の方が言うには脈数や動悸から嘘は言ってないみたいなんですが、どうしてそう思ったんです?」

 

「ズバリ言えば・・・探偵の勘だな」

 

「また反応の困る答えを・・・」

 

翔太郎の答えにギンガは苦笑いである。

 

「なぁ、ギンガ。壊れたガイアメモリ、もとい凶器はあるか?」

 

「は、はい。こちらに」

 

ギンガはしまってあった袋を差し出す。

 

中には破壊れたトライセラトップスのメモリの残骸が入っている。

ミュージアム製のまがまがしいものだ。

 

ディスプレイは砕け、本体はまっぷたつに折れている。

 

「!」

 

手に取った翔太郎は何かに気づき、目を疑った。

 

「こいつは・・・。そうか。これなら納得がいく」

 

「ど、どうしたんです?」

 

「こいつと比べれば、わかる」

 

翔太郎はジョーカーメモリを出し、メモリの残骸と並べギンガに見比べさせる。

 

「翔太郎さんのは随分しっかりしてますね。こっちは何だか怖い感じなのに」

 

「問題はそこじゃねぇ。先端だ」

 

「先端? ・・・あれ?」

 

ギンガはあることに気づく。

 

「そうだ。そのメモリの接続部分は青いんだ。メモリブレイクされた上、見た目が違うから気づかなかったがな」

 

破壊されたトライセラトップスのメモリの先端が青い。

 

「それとあいつらの身体の何処かになんか変な模様が無かったか?」

 

「? いいえ。これといっては何も・・・」

 

これにより翔太郎の頭の中で一つの結論が現れた。

 

青い先端のメモリとアダプタの存在しない被告。

 

「おそらく、こいつはT2ガイアメモリだ」

 

翔太郎はジョーカーメモリをしまい、メモリの残骸を見ながら言う。

 

「T2ガイアメモリ?」

 

T2ガイアメモリはかつて財団Xが作り出した次世代型のガイアメモリ。見た目は先端が青く、仮面ライダーのメモリに似た純正のメモリ。ブレイクできない強度を誇り、アダプタを介せず人体に直接入り、場合によるとメモリ自体が自立し本人の意思無しに暴れる。

 

実際に翔太郎の知り合い、ウォッチャマンとサンタちゃんはそれにより自我を忘れ暴れてしまった。

 

しかし現在はない。

いや、ある訳が無かった。

 

何故なら以前翔太郎が仮面ライダーWとして仮面ライダーエターナルと戦い、Wサイクロンジョーカーゴールドエクストリームの一撃により全て破壊したからだ。

 

ただし今回はミュージアム製のものと特徴が混同した初めてのケースである。

 

「財団製じゃねぇのか? だとしたらミュージアムが・・・黒幕?」

 

「ミュージアムって翔太郎さんが戦ってたって言う組織ですか?」

 

「あぁ。だがミュージアムは滅んだはずだ。だが実際奴らのメモリがある。つまりは・・・」

 

「その組織が復活?」

 

「もしくは模倣犯みたいな連中だな。どっちしにしろ自我無しに暴れさせられた以上、あいつらも被害者ってことだ」

 

「・・・ひどい」

 

「許せねぇ・・・。この街を泣かせるなんざ、俺が」

 

感情をむき出しにしつつ翔太郎が壁を殴る。

 

「翔太郎さん・・・」

 

「・・・ギンガ、実際俺は一人じゃミュージアムには勝てなかった。これからはスバルやギンガ、ゲンヤさんや皆に世話をかけるかもしれねぇ。力を・・・」

 

翔太郎が言いかけたとき、指さし指を立てギンガが発言を遮る。

 

「行き倒れさんが今更何いってるんですか。もちろんですよ。ねっ、お父さん♪」

 

「ああ」

 

いつの間にかあらわれていたゲンヤが返事を返す。

 

「ゲンヤさん・・・」

 

「お前も頑張ってくれてる。なら俺達も出来る限りをしねぇとな」

 

「・・・ありがとうございます」

 

翔太郎は深々と二人に頭を下げた。

 

二人もそんな翔太郎を見て安心したように笑って顔を合わせた。

 

 

―――――――――――

 

 

「翔太郎、この後どうだ? 男二人で一杯行かねぇか?」

 

廊下を歩きながらゲンヤが誘う。

 

「すんません。今夜はスバルとちょっと約束が・・・」

 

「そうか。そういや昨晩は何かあったか?」

 

「・・・・・」

 

沈黙しか答えを返せない翔太郎である。

 

「な、何かってなんすか?」

 

「若い男女が二人きりで一つ屋根の下だぜ? 何かあったって不思議じゃねぇだろ?」

 

にやけながらゲンヤが言う。

 

(楽しんでね―か、この人? とはいえあんなことがあったなんざ・・・口が裂けても言えねぇ!)

 

「いやいやいや、何でも無かったッスよ。ホントに、マジで!」

 

「んだよ。何かあったら規制事実で一つ肩の荷が降りるんだがな・・・」

 

「どういうことっすか?」

 

「正直俺はあいつらの相手が誰だろうが構わねぇ。あいつらにはそいつと笑って生きていって欲しいだけだ。きっとお前とならスバルも笑顔で生きていける」

 

「・・・・・中々のプレッシャーッスね」

 

「だからスバルを泣かした時にゃあ、わかってんだろうなぁ?」

 

「もちろんッスよ。一度決めたことは曲げねぇ。あいつがいっちょ前に男作るまで俺がおいつを守るっす」

 

「ま、まぁ頼んだぜ・・・」

 

「とーぜんッスよ!」

 

二人は肩を掛け合いながら廊下を歩く。

 

その後すっかり日が落ちていたため二人は解散しゲンヤは再び仕事、翔太郎は家に戻ることにした。

 

 

―――――――――――

 

 

ハードボイルダーを走らせ帰宅途中の翔太郎。

 

(今日は無理言っちまったからな。夕飯は俺が作るか)

 

その時そんな考えを払拭するかのように近くで爆音が鳴る。

 

「!」

 

(まさか・・・ドーパントか? それともさっき聴いた件か・・・)

 

翔太郎は数時間前を思い出した。

 

 

〜〜~~数時間前~~〜〜

 

 

廊下を歩いていた翔太郎とギンガ。

 

「後、翔太郎さん。怪人もそうなんですが、こちらにも注意を」

 

ギンガはモニターを翔太郎に見せる。

 

「なんだこりゃあ」

 

そこには倒れた大男とその側に立つ仮面を付けた女性が写っていた。

 

「最近起きている連続障害事件・・・といっても被害届けが来ていないため事件ではないんですが。こちらにも気を付けてくださいね」

 

「あぁ」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

(・・・・・そのまさかかよ)

 

翔太郎は到着した現場には人影が二つ。

 

「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ・・・・」

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・」

 

「こいつは・・・」

 

その場にいたのはやたらと飛び跳ねるホッパードーパント。

 

「君は・・・障害事件の・・」

 

そして片方はギンガが見せた映像の仮面の女性であった。

 

肩を揺らして息を切らしている彼女にはあちこちに傷が。

 

(とりあえずはドーパントだ!)

 

『ジョーカー!』

 

「変身!」

 

翔太郎は考えるよりも目の前のドーパント退治を優先し、ホッパーに向け走りながらドライバーにメモリをスロットし展開する。

 

『ジョーカー!』

 

風を翔太郎が覆い、ジョーカーに変身する。

 

「さぁ、お前の罪を数えろ! うおりゃあ!」

 

そのままジョーカーはホッパーに飛びかかり、地面に叩きつける。

 

「なんだぁ、貴様!」

 

「貴方は一体・・・」

 

起き上がるホッパーと仮面の女性はジョーカーに尋ねる。

 

「俺は・・・仮面ライダーだ」

 

「仮面ライダー。貴方が・・・」

 

「嬢ちゃん。君も自分の罪を数えな。君は何でこんな障害事件を起こすんだ?」

 

「それは・・・」

 

「俺を忘れてんじゃねぇ!」

 

「おっと」

 

「くっ!」

 

ホッパーの飛び蹴りを二人は避ける。

 

「そもそもなんでこんなことに・・・」

 

「実は・・・」

 

「言わねぇでもわかる。ストライクアーツの有段者を襲ったらそいつがたまたまあれだったんだろ?」

 

「・・・はい」

 

ジョーカーと仮面の女性は並び立つ。

 

「とりあえずはぶっ倒しとくか」

「え? でも・・・、あの方はとても強くて。私では・・・」

 

「安心しな。俺の専門だぁ!」

 

ジョーカーはホッパーにかかる。

 

「だっ!」

 

「おらぁ!」

 

ホッパーとジョーカーの蹴りが交差し激しくぶつかる。

 

「ふん!」

 

「うおっ! っとぉ! おわっ! っぶな・・・」

 

ホッパーはそのまま連続して回し蹴りを叩きこんでいき、ジョーカーは身を捻らせひたすらよける。

 

かつて翔太郎はホッパーと交戦したことがあった。

 

しかし交戦時間は少なく、当時の相手はスピードを生かしたアクロバティックなスタイルだった。

対し今のホッパーはキックボクシングのように最低限な動きからのラッシュでの戦い方だ。

 

「どうした、どうしたぁ! 仮面ライダぁ!」

 

「うおっ!」

 

ホッパーの横蹴りがジョーカーの腹部に放たれ、ジョーカーは吹き飛ぶ。

 

「いっつ〜〜〜」

 

ジョーカーはぶつけた腹部を擦りながら立ち上がる。

 

「とう!」

 

「てめぇっ!」

 

ホッパーの飛び蹴りをジョーカーは両手で受け止める。

 

「こっちの番だぜ」

 

そのままホッパーの足をもちながら振り回す。

 

「うおりゃああああああ・・・!」

 

「どりゃあああ!」

 

そのあまジョーカーはホッパーを投げ飛ばし、地面に叩きつける。

 

「ぐおっ!」

 

「すごい・・・。あんな素早い蹴りを・・・」

 

「やろぉ! 調子に・・・。 はっ!」

 

少女が感嘆の声を上げる中ホッパーは怒り噴騰で立ち上がり、後ろ飛び回し蹴りを放つ。

 

『ジョーカー・マキシマムドライブ!』

 

「ライダー・・・パンチ!」

 

しかしジョーカーはしゃがんで避けた後、メモリをマキシマムスロットにスロットする。

 

「うおりゃあああああ!」

 

そのままホッパーの顎にアッパータイプのライダーパンチを叩き込む。

 

「ぬおおおおお!」

 

耐えきったのか、ホッパー爆発せずに上に吹き飛ばされる。

 

しかしジョーカーは動じずにメモリを抜き、再度スロットする。

 

『ジョーカー・マキシマムドライブ!』

 

「決めるぜ! ライダー・・・キック!」

 

「うおりぁああああ!」

 

そのまま顎にライダーキックを放ち、ホッパーは爆発。

犯人が落ちてきたがブラスターユニットが激突寸前で砲身に服を引っ掛けて、助ける。

 

「よくやったぜ」

 

変身を解いた翔太郎は局に連絡する。

 

「おい、君」

 

「・・・はい」

 

翔太郎は去ろうとした仮面の少女を呼び、少女は振り向く。

 

「君は一体何者なんだ・・・。どうしてこんなことを・・・」

 

「私は・・・覇王イングヴァルト」

 

「覇王・・・だと?」

 

「・・・私は・・・ただ自分の強さを知りたいんです」

 

「強さを知りたいって・・・それなら・・・こんなとこじゃなく、どっかの道場やらジムでやりゃあ・・・」

 

「あいにく・・・、私の生きる意味は表部舞台にはないんです」

 

振り向いた少女は歩き出す。

 

「お、おい。」

 

翔太郎が呼ぶも、少女は跳躍してどこかにいってしまった。

後には翔太郎と倒れている犯人のみ。

 

「覇王イングヴァルト・・・。ああ、もう! 何なんだよ~~~!」

 

翔太郎はただたちすくむしか無かった。

 

その後局員により犯人は連行されたが、翔太郎の悩みは解決しなかった。

 

 

―――――――――――

 

 

「・・・・・」

 

「・・・・・説明してください」

 

リビングで正座をしている翔太郎にスバルが笑顔で聞く。

 

スバルの手にはさっきのイングヴァルトの髪の毛。

リビングでくつろいでいた翔太郎についていたことをスバルが気づき、今に至る。

 

しかし笑顔のスバルのバックに究〇大獣神と大〇龍が見える。

 

「・・・・いや、だから・・・たまたまドーパントが現れて。そいつから女の子を助けたときに・・・」

 

「・・・・・ついた・・・と」

 

「イ、イエス」

 

「そ・・・」

 

「そ?」

 

するとスバルはバリアジャケットとリボルバーナックルを装備する。

 

「そんな言い訳が通用するほど私はバカじゃな〜〜〜い!」

 

そしていきなり翔太郎に殴りかかる。

 

「うお〜〜〜い!」

 

かろうじて避ける翔太郎。

 

「待てぇ〜〜〜!」

 

スバルは鬼の形相で翔太郎を追いかける。

 

「スバルぅぅぅぅ〜〜〜! お前は〜〜〜!」

 

そんな翔太郎に無情にもリボルバーナックルが。

 

「どわああああああああ!」

 

響き渡る翔太郎の悲鳴。

 

 

その後翔太郎は向こう側に綺麗なお花畑がある綺麗な川を渡りかけたとか、かけなかったとか。

 

ただ一つ確実なのは、ギンガの通信であの映像をスバルが見て寸前の所で止まらなかったら、翔太郎は本当にその川を渡っていたことである。

 

 

―――――――――――

 

 

「すいません!」

 

スバルが半べそで正座。

頭にはたんこぶがひとつ。

 

そんなスバルを翔太郎が見下ろす。

 

「わかりゃあいいんだ」

 

ただし頭からは血がでて、身体はボロボロである。

100中100人が見ても明らかにわかる位に怒りを黒い、いや暗闇の笑顔に表す。

 

「だって・・・」

 

「あ?」

 

「私・・・女っぽくないから・・・ふらっと誰かに翔太郎さんを捕られそうで・・・不安で・・・」

 

スバルが涙目になる。

 

「・・・おまえなぁ、俺ら付き合ってるわけじゃねえんだからそんなオーバーなことじゃねえだろ」

 

「で、でもぉ・・・」

 

「・・・ったく」

 

翔太郎はスバルの隣に座り、頭を撫でる。

 

「安心しろ・・・。ゲンヤさんからは頼まれてっからお前を差し置いててめぇの恋路に走ったりしねぇよ。どんな時も依頼人のために戦うのがハードボイルドってやつだ。おやっさんにもそう叩き込まれたからな」

 

「・・・・・鈍感です」

 

「あ?」

 

そっぽをむくスバルに翔太郎は頭をかしげる。

 

「・・・まぁそう簡単に? 話が伝わるほど? 世の中甘くないですし、あたし変なとこ不器用だからそんなすぐに思いが伝わるとな思ってませんよ」

 

「何の話をしてんだよ一体・・・」

 

「そんなのほほん顔してるのも今のうちです!」

 

「いや話がうまく読めねえんだが!」

 

「ふーんだ! しーらない! お風呂入ってきまーす!」

 

スバルはタオルを手に脱衣所に向かい、リビングに一人翔太郎だけが残される。

 

「・・・あああああああ! わっけわかんねえええええええええええ!」

 

帽子をとり頭をかきむしる翔太郎はそのままソファにダイブし顔を帽子で隠した。

 

「・・・やっぱし女ってのは難しいぜおやっさん」

 

 

--------

 

 

「・・・・ふう」

 

浴槽の中で天井を見つめるスバル。

 

「まったく手のかかる人です・・・。でもあたしの六課時代は問題児だったから人のこといえないかなぁ。参ったなぁ。あたし恋愛経験ないからどう頑張ればいいかわからないなぁ。・・・・でも」

 

口元を湯船につけるスバル。

 

「あたしには真っ直ぐしかないから走り続けないと。でもなんで言えないんだろう・・・。一言・・・、あなたが好きですって」

 

身体以上に顔が熱くなり頬の赤色がより濃くなるスバル。

そのまま頭まで湯船に沈め、気泡が水面に泡立つ。

 

そのまま時間は刻々と過ぎていった。

 

 

その後めまいがするほどのぼせ全裸で脱衣所に逃げるまで、スバルはこの体制を変えることはなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。