今年初投稿です。
後感想をなかなか返せずにすいません(m'□'m)
早く返せるよう善処します。
「スバル・・・、これでどうだ?」
「・・・うん。大丈夫です。はぁ〜〜、これでで〜っきた!」
二人は揃って出勤し、翔太郎はオフィスでスバルの書類を手伝っていた。
翔太郎とスバルのことに関して根に持つ多くの男性局員に睨まれるも、逆に睨み返して黙らせたのは秘密だ。
「っても、ほとんど俺がやったけどな。おんまえ、こんなんでよく今まで仕事できたな」
「あはははは。すいません。私デスクワークが苦手で・・・」
「まぁ、人間皆得手不得手あるからな。俺も人のこと言えねぇし」
「そうそう♪」
「調子に乗んな」
軽くスバルをこずく翔太郎。
その後二人は書類仕事、主に七割近くを翔太郎がこなして昼休みになった。
―――――――――――
昼休み。
食堂で翔太郎とスバルは昼食をとる。
「しっかし、制服っつ―のはな〜んか慣れねぇな。堅っ苦しくて好きじゃねぇ」
翔太郎は首元のボタンを第三まで外す。
「まぁ、まぁ。私も着てるんですし。我慢してください。ほら。あたしはどうですか? 制服女子ってムラムラと・・・」
「発言を自重しろよ。まだ昼間だぞ」
「じゃあ夜だったらいいんですかぁ?」
スバルはテーブルに胸を押し付ける。
大きく形を崩すスバルの胸を翔太郎はちらちらとわき見する。
「てんめ~~~。よ~~~し! だったら夜はちゃんと着ろよ。ぐったりするまで攻めまくってやるぜ!」
「え・・・、えええええええ!」
いたずら半分に冗談を言った翔太郎だったがスバルの反応は意外だった。
顔を真っ赤にして椅子ごと思い切り後ろに傾きそのまま床に倒れる。
「お、おいスバル?」
「えっと・・・、だ、だめですよ。制服は仕事で毎日着るんだから外に出しちゃ」
「あ?」
「せめて汚れないように脱いでから・・・。あ、でも着たままのほうが興奮するって確か聞いたことが・・・」
「お、おいスバル・・・」
「そ、それに中に出したほうが後々・・・、ハッ! そういえば今日あたし危険日だったっけ・・・」
「正気にもどれスバル! 頼むから戻ってくれ!」
「はへ?」
こんなバカップルに周りからの視線が突き刺さる。
「もおおおおおおおお! 翔太郎さんのばかぁ! まるであたし〇女じゃないですかぁ!」
「俺関係ねえだろがぁ!」
バカップルの絡みが漫才にシフトする。
「・・・もう! なんだかみせものみたいになっっちゃってますよぉ!」
「いや、俺のせいじゃ・・・、もういい。腹も膨れただろ。屋上で一息入れようぜ」
「あ、待ってくださいよぉ~~~。せめてパンを十個買ってから・・・」
「どんだけ食うんだお前は!」
スバルの胃袋の許容範囲にツッコミをいれた翔太郎をよそにスバルはパンを買いに売店に並ぶのだった。
―――――――――――
屋上で缶コーヒーを片手に景色を見つめる翔太郎。
隣のベンチではスバルが大量のパンと格闘していた。とはいえスバルは苦しげな様子も見せずにパンを口の中に放り込んでいくのだが。
「しっかし・・・。スバルといい、ギンガやノーヴェといい、一体どんな胃袋してんだ?」
スバルは顔を赤らめる。
「恥ずかしいからみないでくださいようぉ~~~」
「いや食べる量を恥じろよ・・・」
「そうですか? いつもこんなもんですよ?」
「マジかよ・・・・・。どんだけ食費がかかんだ?」
「え〜と、ざっと言えば・・・・」
「・・・・・はぁ・・・」
翔太郎はめまいがしたのか目頭を抑え意識を保つ。
「・・・そうだ、スバル。確か今日は残業だよな?」
「え? 残業というより夜勤ですね。翔太郎さんは先に帰ってて大丈夫ですよ」
「いいや。なるべくならお前に無理はさせたくねぇな。俺も付き合うぜ」
「え? で、でも・・・」
「俺もお前が心配だからな。それにいざとなりゃあ、俺も一緒にいたほうが何かといいだろうし、何より今の俺の仕事はお前のサポートなんだからな。嫌ならいいぜ?」
「いやいやいや、嫌じゃないです。・・・ありがとうございます♪」
「お、おう・・・。そうしてりゃ美人なんだけどなお前は」
「ひどいです翔太郎さん~~~」
スバルが見せた笑顔に翔太郎は照れくさそうに鼻をかき景色に視線を戻した。
しかしその後二人は夜勤に入るも、結局アラームは鳴らず暇を持て余す二人だったが、暇つぶしに翔太郎が過去のドーパント事件についての話であっという間に時間は過ぎていった。
後にノーヴェからの連絡までは。
―――――――――――
救助隊の呼び出し帰りでご機嫌に街を歩くノーヴェ。
「ストライクアーツ有段者、ノーヴェ・ナカジマさんとお見受けします」
「!」
いきなり呼ばれたノーヴェは声の元を見る。
そこには仮面をつけた銀髪の女性が電灯の上からノ-ヴェを見下ろしていた。
「貴方にいくつか伺いたい事と・・・、確かめさせて頂きたい事が・・・」
―――――――――――
局のオフィス
向かい合って昔話を話し終えた翔太郎。
「すごぉい。翔太郎さん、そんなに事件を解決してきたんですねぇ」
拍手するスバル。二人きりしかいないため当然と言えば当然である。
翔太郎については過去であっても、他から見ればまるでドラマや小説の話である。
「でもなぁ。これらは俺一人じゃ解決出来なかった。亜樹子や照井、風都の皆、・・・それに・・・相棒がいたからやれてきたことなんだ」
「・・・翔太郎さん」
「それにおやっさんは教えてくれた。Nobody's Perfect・・・、誰も完璧じゃないって。それでもそれを隠して戦う。それがハードボイルドだってな」
「相棒・・・、フィリップって言う人と別れちゃって辛いですか?」
「・・・例え離ればなれでも俺とあいつは永遠に相棒だ。少なくとも俺はそう思ってる」
「・・・・きっとフィリップさんも相棒って思ってますよ」
「ありがとなスバル」
「・・・・・でも」
「あ?」
スバルは椅子ごと翔太郎の隣に移動する。
「・・・・今でも一人じゃないですよ。私達がいますから・・・」
「・・・・・そうだな」
肩に頭をつけるスバル。
翔太郎はほくそ笑みながらスバルの頭をなでる。
「俺は・・・・一人じゃねぇな。今は・・・少なくとも今がお前が隣にいてくれてる。ありがとなスバル・・・」
「・・・・・はい」
スバルも身体を完全に翔太郎に任せようとしたときだった。
「「うおっ(きゃあ)!」」
突如スバルのデバイス、待機状態のマッハキャリバーが鳴り出す。
「な、何だ?」
「ノーヴェからみたいですね」
スバルは通信に出る。
モニターが現れ、そこにはノーヴェが映っていた。
「はい、スバルです。ノーヴェ、どうかした?」
「よう、ノーヴェ」
翔太郎もモニターに顔を出す。
《よう、翔太郎。もしかしてスバルといいところだったか?》
「う、うっせぇ!」
「え〜と、それで何、ノーヴェ?」
《ああ、悪ィ、スバル。ちょっと頼まれてくれ。喧嘩で負けて動けね――》
「ええッ!?」
「はぁ!?」
スバルと翔太郎は唖然とする。
《相手は例の襲撃犯。きっちりダメージブチ込んだし、蹴りついでにセンサーもくっつけた。今ならすぐに補足できる》
「襲撃犯って・・・、覇王って言う女の子か?」
《ああ。頼めるか?》
「おう。スバルはここにいてくれ。一応夜勤だからな」
「は、はい」
翔太郎は局を出るとスタッグフォンを頼りにハードボイルダーで走っていった。
その後翔太郎は疑うものの気絶しているイングウ゛ァルト、もとい彼女であった女の子を見つけた。
また変身魔法について知った翔太郎はかなりのリアクションを現したとか。
―――――――――――
少女を背負いながら家に帰ってきた翔太郎。
玄関には靴はもうひと組・・・。
気にしながら翔太郎は上がる。
「ただいまぁ」
「お帰りなさい、翔太郎さん」
「おお、ティアナ。久々だなぁ」
迎えに来たのはティアナだった。
「翔太郎さんも元気そうで。それにドーパント事件も積極的に協力してくれて・・・。こっちも助かってます」
「ああ、いや、大したことじゃねぇぜ。元々は俺の専門だしな。それにこの街を泣かせるヤツは許せねぇだけさ」
一旦イングヴァルトだった少女を二階に寝かせると翔太郎はリビングのソファに倒れこみネクタイを外し投げ飛ばす。
「ところで翔太郎さん?」
「何だ?」
「仕事でパートナーになったとは聞きましたけど何で翔太郎さんが当然のようにスバルの家に帰ってきてるんです? しかもただいまって・・・」
「!」
ティアナの疑問に一瞬で硬直する翔太郎。
「な〜んだ、そんなことか〜。簡単だよ。翔太郎さんは私といっ・・・、むぐっ!」
苦し紛れの翔太郎は"一緒に住んでいる"と言いかけるスバルの口を電光石化の勢いで塞いだ。
その動きは先輩ライダーの〇クセルフォームにも匹敵した。
「いやいやいや、多分集まるんだったらスバルの家かな〜と思ってな・・・。ははははは、ドンピシャだったろ? 伊達に探偵はしてなかったってことだ。ははははは。それに"ただいま"ってのはあれだ・・・。何だか家に上がると癖でな・・・」
「?」
(・・・・・やべぇ〜〜)
あくまで真顔の翔太郎だが、心の中では尋常でない発汗。
そんなことも知らず、うさんくさそうにティアナは翔太郎を見つめる。
「そ、そうですか」
(っぶねぇ〜〜〜)
翔太郎は心の中で安堵の表情を浮かべる。
~~~~数分後~~~~
「よう、翔太郎」
「おう、ノーヴェ。やりあったんだって? 大丈夫だったのか?」
少女が寝ている部屋の入り口に寄りかかる翔太郎のそばに先ほどやってきたノ-ヴェが歩み寄る。
「まぁな。私もそれなりにストライクアーツやってるからな。受け身はとれる。大したことねぇよ」
「そっか。ならいいんだ」
するとノーヴェが寝ている少女の隣に入る。
「ノーヴェ?」
「気にしないでくれ。起きたときちょっと脅かしてやろうかと思ってな」
「意地がわりぃなぁ。そこんとこ素直な姉貴達を見習ったらどうだ?」
「う、うるせぇ!」
「でっけぇ声出すなよ。その子起きちまうぞ」
「わ、やべっ」
「ったく。じゃあおれは下にいっからな」
「ああ。運んでくれてサンキューな」
翔太郎は帽子を直すように返事を返し一階に降りて行った。
―――――――――――
「しっかし、変身魔法って・・・。やっぱ魔法ってのはなんでもありだよなぁ」
「ま、まぁ・・・」
スバルはキッチンで料理を作っているリビングで翔太郎はティアナと会話をする。
「そういえば翔太郎さん・・」
「ん?」
「スバルの秘書って大変じゃありません?」
「ちょ、ちょっとティア〜〜」
「そうだった。ティアナに聞こうと思ってたんだが、何でこいつこんなに書類仕事が出来ねぇんだ? 何とか士長なんて偉そうな立場なのによぉ」
「そ、それはぁ・・・」
翔太郎の問いにスバルはバツが悪そうに視線を空に向ける。
「お恥ずかしながら・・・、スバルは昔から机に向いてのことが苦手なんです。私も甘やかし過ぎました。以前仕事が一緒だったときもかなり私が代わりにやりましたから。まぁ、人間だれしも得手不得手はありますからね」
「まぁな・・・。しかし甘やかしすぎはだめじゃねぇのか? お陰様で今俺がきついぜ」
「す、すいません・・・」
「うう・・・、耳が痛い~~」
ティアナは情けなさそうにするのに対し、スバルはちょっぴり涙目で手を動かす。
「そういえば翔太郎さんとスバルってどんな関係なんですか? かなり親密な気がしますけど?」
するとティアナは翔太郎がもっとも触れて欲しくない部分に話題を移す。
「そ、それはなぁ・・・」
完全に形勢逆転である。
(やべぇ。どうすっかなぁ。多分こいつはスバルと違って頭がキレそうだからな。スバルを騙せることでも簡単にばれそうだ)
「くしゅん! そういえばティアには言ってなかったっけ? 私達、一つ屋根の下で暮らしてるんだよ♪」
このくしゃみの後のスバルの爆弾発言。
そして約二名が硬直中。
「「・・・・・」」
ティアナは単純にフリーズ中。
翔太郎は右の顔面を押さえながら"やっちまった"感全開である。
「・・・・・はい?」
「・・・・・ああああああああ・・・」
聞き返すティアナと呆然とする翔太郎。
「だ・か・ら・翔太郎さんとは同居していて・・・。大事なことなので二回言いました♪」
「おんまええええええええええええええええええええええええ!」
再び爆弾を投下したスバルに翔太郎が爆発した。
「はあああああああああ!?」
「スバルぅぅぅぅぅぅぅ!」
ティアナと翔太郎の声が響く。
少女が起きなかったのは奇跡ではある。
「事実ですか?」
「あ、ああ。認めたくないが、ホントだ」
(なにかしら・・・。この色々と先を越された感は・・・)
ティアナは妙な敗北感。
「翔太郎さんは・・・」
「あ?」
「スバルのことどう思っているんです?」
この話題になるとスバルもばれないように耳を傾ける。
「スバルについてはな、短刀直入に言えば・・・」
「・・・・・」
「手のかかる妹みてぇなもんだな」
かるくずっこけるスバルにティアナは心の片隅で若干安堵したのは内緒。
「まぁ妹は妹でかわいいもんだぜ?」
直後スバルは弾丸のように飛びかかり押し倒す。
「お、おい。スバル!」
「あ~~~ん! ぐやじい~~~~! い、今に見ててくださいよ! そんな発言撤回させて見せるんですから~~~~!」
「ズ、ズバル離せ~~~~~!」
スバルに肩を掴まれひたすらゆすられる翔太郎。
「スバル・・・あんた強引ね・・・。改めて思うわ」
そんな二人を漫才でも見るかのように顎に手を当てて眺めるティアナ。
ここまで大騒動を起こしながらもまだ少女は起きない。
〜〜〜〜数時間後〜〜〜〜
スバル宅、二階の寝室。
「! !?」
起き上がる銀髪の少女は見慣れない部屋にいることに驚きおもいきり毛布を上げる。
「よう。やっと起きたか」
隣に寝ていたノーヴェがまるで待っていたかのようにいたずらに笑う。
「・・・あの、ここは・・・・?」
少女は状況を理解しようと尋ねかけた時ドアがノックされる。
「はい」
「おはよう。ノーヴェ」
「よう。ドッキリはうまくいったか?」
ドアからはティアナと翔太郎が現れる。
「まぁまぁだったな」
ノーヴェはいたずらに笑う。
「それから自称イングヴァルト。本名アインハルト・ストラトス。Stヒルデ魔法学院中等科1年生。ごめんね。コインロッカーの荷物出させてもらったの。ちゃんと持ってきてあるから」
「制服と学生証持ち歩いてっとはずいぶんとぼけた喧嘩屋だな」
「またすっげぇとぼけ方だな・・・」
翔太郎が笑う。
「学校帰りだったんです。それにあんな所で倒れるなんて・・・」
アインハルトが若干睨む。
「おはよ―。おまたせ♪ あさごはんで―す。」
エプロン姿のスバルが手に朝食を持って入ってきた。
「おお ベーコンエッグ!」
「あと野菜スープね。あ・・・はじめましてだね、アインハルト。スバル・ナカジマです。事情とか色々あると思うんだけど、まずは朝ごはんでも食べながら。お話聞かせてくれたら嬉しいな」
―――――――――――
スバル野用意した朝食をリビングで食べ始める五人はリビングで朝食を取り始める。
「んじゃ、一応説明しとくぞ。ここはこいつ・・・、あたしの姉貴スバルの家。でその姉貴の親友で本局執務官」
「ティアナ・ランスターです。」
ノ-ヴェから紹介されたティアナ。そのままノ-ヴェの紹介は続く。
「それと姉貴の秘書謙同居人をしてる・・・」
「左翔太郎だ。つっても君と会うのは二度目だな、覇王さん」
翔太郎はアインハルトに指鉄砲を向ける。
「貴方はまさか・・・・仮面ライダー・・・さん?」
「おう。よろしくな。」
アインハルトは小さくお礼をする。
「お前を保護したのはこの三人。感謝しろよな」
「でもダメだよ、ノーヴェ。いくら同意の上だからってこんなちっちゃい子にひどい事しちゃ」
「大人気ねぇぞ、ノーヴェ。大人なら加減を覚えろよ」
付けたしたノーヴェにスバルと翔太郎が注意を促す。
「うっせぇ! こっちだって思いっきりやられて、まだ全身痛てぇんだぞ」
ノーヴェは少し反発。
するとティアナがアインハルトに聞く。
「格闘家相手の連続襲撃犯があなたっていうのは本当・・・?」
「・・・はい」
アインハルトは小さく返事をする。
「・・・何か理由がありそうだな」
翔太郎がつぶやく。
「大昔のベルカの戦争がこいつの中ではまだ終わってねぇんだよ」
「?」
ノーヴェの言葉に翔太郎は頭を傾げる。
それもそのはずである。翔太郎はまだこの世界を理解しきっているわけではないからだ。
無論歴史も。
そして過去の事件やスバル達が普通の人間でないことも。
(俺はまたこの世界についてなんも知らねぇな。今後図書館にでも行くか・・・)
翔太郎は自分の無知を悔いる。
引き続きノーヴェの話は続く。
「んで自分の強さを知りたくて・・・。あとはなんだ、聖王と冥王をブッ飛ばしたいんだったか?」
スバルはフォークを進ませながら、ティアナと翔太郎は呆然と聞く。
するとアインハルトが閉じていた口を開く。
「最後のは・・・少し違います。古きベルカのどの王よりも覇王のこの身が強くなること。・・・・それを証明出来ればいいだけで」
「聖王家や冥王家に恨みがあるわけではない?」
「はい」
ティアナの質問にアインハルトは即答する。
「そう。ならよかった」
スバルは微笑む。
アインハルトは唖然とするが、翔太郎もそんなスバルにつられ笑顔になる。
「スバルはね、そのふたりと仲良しだから」
「そうなの」
スバルはニコッと笑う。
「ああ、冷めちゃうから良かったら食べて」
「・・・・・はい」
翔太郎にはアインハルトの肩の荷が少し降りた気がした。
「あとで近くの署に一緒に行きましょ。被害届は出てないって話だし、もう路上で喧嘩とかはしないって約束してくれたらすぐに帰れるはずだから」
「あの・・・ティアナ。今回の事については先に手ェ出したのあたしなんだ」
「あら」
「だからあたしも一緒に行く。喧嘩両成敗ってやつにしてもらう」
ティアナに告白するノーヴェ。
「ノーヴェ。よくわからねぇが・・・、意外と素直でいいやつだな」
翔太郎はノーヴェに笑いかける。
ノーヴェはなんだか照れ臭そうである。
「う、うっせ。お前もそれでいいな」
「はい。・・・・・・ありがとうございます」
アインハルトはフォークを進め始める。
その後は五人は近くの湾岸第六警防署に向かうこととなった。
―――――――――――
署内。
ノーヴェとアインハルトは受付、他の三人はちょっと離れた椅子に座っていた。
すると翔太郎が立ち上がる。
「悪りぃが俺はこっから別行動させてもらうぜ」
「「えっ?」」
「なんで? 翔太郎さん?」
スバルが尋ねる。
「俺はこの世界について全くと言って良いほどなんも知らねぇ。知っとかねぇと何だかかやの外になるからちょっと勉強にな。夕飯までには戻る」
翔太郎が駐輪場に向かって歩きかけたとき。
「え〜〜〜、翔太郎さんもいようよ〜〜〜」
「こら、スバル。翔太郎さんだって一人の時間は必要よ。行かせてあげなさいよ」
「む〜〜〜、わかりました。じゃあ夕飯には帰ってきてくださいね」
スバルが逃がすまいと翔太郎の手を掴んで拒むが、ティアナの一言でやむなく手を緩める。
「おう」
「後・・・」
「?」
「・・・浮気しないでくださいよ」
肩がガクッと下がり呆れる翔太郎。
「・・・お前なぁ、同居人として心配してくれるのはうれしいけど俺だって子供じゃねぇんだから変な女には引っかからねぇよ」
「えっ? いや・・・そういうんじゃなくて・・・・もういいです」
「なんだよ・・・、バツの悪そうな顔しやがって」
「何でもないです・・・。はいはい、行ってらっしゃい」
頬をほんのり赤らめながら不機嫌そうなスバルに見送られながら翔太郎はボイルダーで走り去っていった。
「・・・あんた、早いとこ告白しちゃえばいいじゃない」
ティアナがジト目で言う。
「あははは・・・・。言えるもんならとっくにいってるんだけどねぇ~~~~」
ティアナにスバルは困り顔で返すしかなかった。
―――――――――――
「そういえばあの方・・・」
「あの方?」
一方署内のベンチでアインハルトはノ-ヴェに喋りだす。
「あの左って方・・・、何者なんですか?」
「ああ、翔太郎のことか」
「はい」
「あいつは自分自身が言う通り、仮面ライダー・・・っなんだと。ちょっとしたことでミッドに来てな。あいつは自分が生まれ育った街を愛して守り抜こうとしたらしいぜ。今じゃあ来たにも関わらず、この街のために頑張ってる。正直最初聞いたときは、何だこいつと思ったけどな。でもアイツはなんかな・・・。どこか暗い過去を背負って頑張ってる。そこら辺はちょっとは尊敬してっかな。近いうち、あたしの義兄になるだろうしな」
「・・・守る・・・強さ」
「ああ。街を守るために戦う。それが以前の街に街の人々から名付けられた仮面ライダーの名前の意味なんだってさ」
「・・・かっこいいですね」
「面通してあいつに言うんじゃねぇぞ。どうせ図に乗るのが目に見えてんだから。案外あいつ単純だからな」
笑うノ−ヴェにアインハルトは小さく頷いた。
その後アインハルトとノーヴェの用は済み、アインハルトを学校に送った後、ノーヴェ達三人はヴィヴィオとの待ち時間まで暇を潰すこととなった。
こうしている間にも翔太郎は図書館においてミッドチルダの暗黒の歴史を知ることになる。