ALICE   作:オンドゥル大使

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あとがき

 

あとがき

 

どうも、はじめましての方ははじめまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。オンドゥル大使と申します。

この度、拙作『ALICE』が完結し、そしてHEXAシリーズ第十一部が終わったことに関して少しばかりお話ししたいと思います。

そもそもの話、HEXA9とHEXA10が止まっているのに何故、いきなり十一部? と思われたかもしれませんが構想自体はコロナ禍前からあったものを膨らませた形となります。

『ALICE』を書き始められたきっかけは586さんの主催する「第三回ホワイティ杯」の存在と、そして最新作『ZA』の存在が大きいです。

 586さんのホワイティ杯は以前も参加したことがあったのですが、この度ZAのミアレを舞台をするにあたって最新作をプレイして一番収穫だったと思えるのはポケモンの四つの技を自由自在に切り替えられるシステムでした。これが初代からずっとポケモンのナンバリングタイトルはプレイしている自分にとっては衝撃的で、ではこの設定が可能なら、以前から温めていた『ALICE』に着手できる、と思ったのです。

 元々、『ALICE』はタイトル通り、『不思議の国のアリス』を構想の下地としたのですが、まぁ皆さん読めばわかる通り、大きく影響を与えたのは『魔法少女まどかマギカ』ですね。

 まどマギが来年終わるので(書いていた当時ですが)、それなら自分なりに答えを出しておこうと思ったのが始まりです。ただ自分なりにまどマギをやってもそれは誰かの二番煎じでしかないので、ではポケモンでやってみようと思ったのは……ある意味では自分の悪癖でしょう。

「それってポケモンでやる必要ある?」っていういつものアレです。

 ただ今回はまどマギだけではなくエッセンスとしては六作品、七作品くらいの別作品も混ぜています。元ネタ作品が分かる方がいらっしゃいましたら、それはそれで嬉しいですね。

 さてさて、ここから先は本編のネタバレ、及び作品に関しての深堀となりますのでまだ真新しい状態で読みたいと思っていらっしゃる方はブラウザバックか、あるいは最後まで飛ばしていただいて大丈夫です。

 

 

 

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 はい、では本編に関して。

 この作品、現実に既に『ポケモン』と言うタイトルがあり、異世界からポケモンが現れそれを操る者達を「転生者」と呼ぶ――という触れ込みであったと思うのですが、そもそも因果の逆転と言うか、異世界である鏡面界にエネルギーのようなものがあり、それが流れ着き命を宿したのが現世、つまるところ現実世界という風になっていました。

 シンオウの神話の「ポケモンを食べて骨を川に流すとまた戻ってくる」的な記述があったと思うのですがそれをスケールアップして現実に適応した感じですね。

 なので「転生者」及び「転生」タグは実は相応しくはなく……と言うか転生と銘打っておけば多少読みやすいかなという打算ありきで設計しました。

 あとは自分のほか作品でのノウハウを活かし、最初は転生者同士の戦いのはずだったけれど実は世界との戦いで~みたい風に持っていきたかったのもあります。

 またHEXA10から大分ポケモン二次創作から距離を取っていましたので、リハビリも兼ねてやりやすい設定を使いたかったのもあります。

 そう……HEXAシリーズを書くのはもう随分と久しぶりで、何ならポケモン二次自体がかなり久しぶり……なので、探り探りと言いますかかつてのように上手くは描けなかったのかもしれません。

 ただ、とっかかりと言うかフックは簡単にしようと言う意識はあったので、常に視点は主人公である篠崎有栖のものにしたかったのはあります。

 有栖視点で基本的に進むことで視点があっちに行ったりこっちに行ったりを防ぎ、なおかつ等身大の女子高生であるので、下手な風には話は転ばないだろうと思ったのもあります。

 この作品、基本は三つの視点で成り立っています。

 主人公である篠崎有栖、そしてミステリアスな転校生、姫宮綺咲。そしてトリックスター的な役割を果たす、第三の少女、早谷兎真。

 この三人を主軸にすることで作品のぶれを少なくしたかったのです。

 ここ近年の自分の作品はとかく視点が多いのでそれで読みづらさに繋がっているのかなと思ったので、ここいらで一旦シンプルに回帰しよう、と。

 ただ、実際にはそれこそが罠と言いますか、有栖視点にすることで綺咲のたった一つの願いの秘匿と、そして兎真の底知れなさを演出することを狙いとしていました。

 そう、最後まで読まれたのなら分かると思いますが、綺咲の願いはとっくの昔に叶っており、「アーキタイプアリスともう一度だけ会いたい」――それがこの物語が発生した原因であり、きっかけであったのは我ながらまぁまぁ最後のほうまで隠し通せたのではないかと思います。

「そんな単純なことで殺し合っていたのか?」をやりたかったので、綺咲の願いを隠し通せたとすればそれは作者冥利に尽きますし、もし分かった方がいらっしゃったとすれば、それはそれで作者としては嬉しい限りです。

 そうそう、アーキタイプ、と言う存在に関しても触れねばなりません。先述した通り、全てのきっかけである魂の創造権利は鏡面界側にありますので、鏡面界で生まれたものが現世へと持ち込まれる、つまるところ無印『鋼の錬金術師』の扉の向こうみたいなアイデアなのですが複雑にしすぎるとややこしいですので、アーキタイプとは三つあったと考えてくださって結構です。

 一つがハートの女王の核であるアーキタイプ、エムリット。これはあえて深掘りしなかったのですが、この作品の主人公格である三人はそれぞれユクシー、アグノム、エムリットに対応しており、ユクシーこと知識の神であり「全知全能」が早谷兎真、アグノムこと意志の神がアーキタイプアリス、そしてエムリットの感情を司るのがハートの女王。

この作品、最初こそハートの女王率いるトランプ兵団こそが敵、としていたところ、実際にはトランプ兵団は敵でさえなく、本当の敵は転生者に覚醒した人類同士、と言うのも最初から考えていました。

 そっちのシンプルな筋に誘導しておいて、実のところはこういう真相がある、というのも好きな展開なので。

 ハートの女王も『不思議の国のアリス』のキャラかと思いきやその真髄は感情を操る、即ち“感情(ハート)”の女王なり、と言うのもうまく機能していればと思います。

 綺咲のことを有栖が一切疑わないのも、それは願いの被造物だから――割と残酷な真実ですが、これも狙いのうちでした。と言うよりも有栖をこれまでのHEXAシリーズに出てきたような非凡なキャラにしなかったことである意味このオチが読めた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 明らかに普通の少女でしかない有栖、しかしながら見た目は全く母親にも姉である妙子にも似ていない、と言うのもミスリードですね。そして「ここには居ない父親」――。

金髪碧眼なのはもちろん『不思議の国のアリス』からなのですが、金髪なのにはもう一つ理由があり、それは父親の正体こそがアルセウス――つまり神の寵愛を受けているという設定ですね。

 思えばアルセウスをこき下ろして(と言うかアルセウス創世神話を否定して)きた自分にとって何故アルセウスを前向きに描こうと思ったかなのですが、やはりこれもレジェンズシリーズ一作目『レジェンズアルセウス』が影響していまして、あの作品においてアルセウスは手に入るのですがそれはあくまでも本物の神の「分霊」でしかない。この設定が『ALICE』において決め手となりました。

「なんだ、これまでのアルセウスって本物じゃないのか。なら、凝り固まったアルセウス=神に固執する必要はないな」とここに来てポンっと、まるで憑き物が取れたかのようにアルセウスの全能性を肯定する感じになったのです。

 自分の作品では第一部からアルセウスなど神ではないと言い続けてきましたが、ここに来てまさかの逆転。そもそも「神たるアルセウス」を誰も持っておらず、なおかつ知覚不可能であるのならばまぁいいか、と言う……何なのでしょう。諦め、なんですかね? それともこれこそ欲しい答えだったと言う納得だったのかもしれません。

 お陰様で(?)、『ALICE』を書くきっかけになりました。アルセウスフォンというものをまどマギのソウルジェムのように扱ったのもアルセウスが神ではないからという設定に起因するものもあります。

 あとは……そうですね、『ALICE』と言うタイトルには「11」が隠れていたり、兎真の真の正体に関しても……まぁこれは言うも野暮かなと思います。

 あ、それと綺咲の瞳のまばゆいまでの緋色と言うのはちゃんとUMAトリオのコアの色を意識しています。

 あとはそうですね……あまり本編で伝わり切らなかったことをあとがきで雑語りするのも好きではないのですが、触れるとしたら三点ほど。

 一つは「レジェンズアルセウス」のキャラであるカイなのですが、これは完全に趣味で出しました。しかしアルコスの登場は予想外に映ったのではないかと思います。

 アルセウスが神であるのなら神の寵愛の証であり、そしてその力の真髄であるところのアルコスが出てきても何らおかしくはない。それと、もしかしたらこの作品がポケマスのアルコスやレジェンズアルセウスの要素、それにポケモンレンジャーやスナッチなどの要素を全部入れた作品では初なのでは? と思います。もし先行作があったら勉強不足ですので申し訳ない限りではあるのですが……。

 さてさてキャラも多いようで少なく、どっちかと言えば色々な作品からちまちまと取った要素の強い本作なのですが、一つの指針として決めていたのは「最後はハッピーエンド」と言うものです。

 ただこれには議論の分かれる余地がありまして、最後のまるで夢のような桜色の季節の到来は、ともすれば数億年あるいはもっとの時間をかけて世界創生をやり直している有栖の見た、ほんの刹那の夢なのかもしれない……という、嫌な含みを持たせておきました。本当に世界創生が終わってあの世界戦になったのかあるいは残酷な夢の片隅なのかはあえてぼやかしておきます。

 最終的に一番規模の大きかったHEXA第三部よりも規模の大きい、「世界そのもののやり直し」というラストに繋がったわけなのですが、これに関しては別にそこまで大したことではないと思っています。

 ただただ綺咲が願い、有栖がそれを叶えたに過ぎないのですから。

 そう、ただただ単純な話なのです。

 これは「アイと勇気の物語」であると最初に綴った通り、綺咲の「愛」と有栖の「勇気」で成り立っただけの話なのです。

 そして一応、HEXA12『Wizard』がHEXAの最新作として続くのですが……こちらは完全に別作品ですね。『ALICE』と同時並行したのは終わらせてからやると肩透かしに思われるかも、と考えたのですが、存外受け入れられているようでびっくりです。

 あまり長ったらしく作者が出しゃばるものでもないので、ではでは、次なる作品の舞台でお会いしましょう。

 少女らの夢に永劫の輝きを願って。

 

2026年10月15日 オンドゥル大使より

 

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