結局、本編ストーリーじゃなくてゲーム開発部の成り立ちみたいなのにしたぜ。
─────あの頃ってさ、ネライに関していい噂って、けっこう少なかったんだよね。というかなかったかもしれないし、悪い噂しかなかったのかもしれない。
まぁでも仕方ないよね。顔めちゃくちゃ怖いし、無口無表情で何考えてるのかわかんない時あったし、背はみんなよりずっと高いし。そして何より、
見た目も違う。体格も違う。共通の話題がない。話しかけづらい。だからかどうにも恐れられてたんだよね。隣のクラスの私たちの間でも話題になるくらい。
でも、私は友達のマキから彼のことを聞いていた。今のところミレニアムで唯一彼の友達だと笑うマキは、彼が噂に流れているほど恐ろしくない人だと言った。
曰く、元ヤンで暴力的。しかしそんなことはなく、たしかにそういった経験はありそうだけれど、何も理不尽に怒ったり、ましてや暴力を振るうようなタチではない。
曰く、性に奔放で、ハーレムのためにキヴォトスに来た。しかし彼から話しかけることがまずないのに、そんなことを目的にこんな危険地帯に来るか?
曰く、外の世界からミレニアムに遣わされたスパイ。これにマキはお腹を抱えて爆笑していた。なんでも、彼は地頭こそいいものの、そういった専門的な知識は皆無で、技術実習ではいつも首を傾げているんだとか。
怖くて、大きくて、私たちとは違う。けれど、友達になれるかもしれない。マキから聞いている限り、私はそう思っていた。
─────だが。
「─────しばらく匿ってくれ 」
あの日、ネライは私たちの前に突然現れた。何かに追われていたのだろうか、扉に背を預けたまま額の汗を拭い、少し荒い呼吸を整えるネライに、正直私はビビってしまった。
彼の容姿は、おおむね聞いていたものの
そしてわたしはその
「ひ、ひぇ」
「な、なんですか突然!」
「っ!」
「うおっ。銃を向けるな」
「─────ちょ、ミドリ!?」
部室に響くミドリの声。気がつけば、腰を抜かしロッカーへと這いずるユズを他所に、ミドリは彼に
「ちょっ、やめなってミドリっ」
「でも、お姉ちゃん。あいついきなり部室にっ」
「それには事情がある。まずは聞いてくれ」
「ほら、だから少しだけ話聞こう!?」
「そうだ─────」
ミドリは珍しく余裕がなかった。完全にテンパってしまって、いつもの冷静さは微塵もない。そんなミドリを止めていると、彼は1歩前に踏み出す。
そして恐らくそれが、ギリギリのラインにあったミドリの何かを決壊させた。
「まずは話を……」
「─────動くな……っ!」
「うぐっ、だっ」
「─────っ!」
鳴り響く銃声、元がアサルトライフルであるミドリの銃は、立て続けざまに銃弾を吐き出し、それはネライの腹部を強かに打ち付ける。
無防備な腹部に銃弾は効いたのだろう。彼は腹部を抑えて膝を着いた。
「─────ちょ、大丈夫!?」
「お姉ちゃん!?」
私は慌てて彼に駆け寄った。流石に出血等はないようだが、少し当たり所が悪かったようだ。片手は腹部を抑えたまま、片膝を着い てこちらを見ていた。
─────片膝ついて、ようやく同じ視線の高さなんだぁ。
その時私は、呑気にそんなことを考えていたのをよく覚えている。
「大丈夫?妹がごめんね」
「あ、あぁ。大丈夫、だ……が」
無表情、というかしかめっ面だろうか、これまでのその顔では打って変わって、心底不思議そうに両目を見開く彼。そんな彼に、私は手を差し出した。
「私は才羽モモイ。マキから、きみのこと聞いたことあるんだ」
「マキから……?そうか。モモイ、
差し出した手をそっと握られる。いったい私の何倍あるのだろうか、この手のひらは。こちらがグーで彼がパーなら、簡単に覆われてしまう。
そっと握られ、しかしこの手に体重がかかることなく彼は立ち上がる。改めて、大きかった。間近で見上げれば首が痛くなりそうだ。
「……お姉ちゃん」
「大丈夫だって!ほら、ネライくんってマキの友達なんだよ?」
「マキちゃんの……?」
「ユズも、大丈夫だよー!」
「……ぅ」
ようやくミドリは銃をおろし、バタリとユズがロッカーに引きこもったものの、微かな隙間からこちらを覗いている。
正直いって割といっぱいいっぱいな私、警戒心からキツく睨みつけるミドリ、ロッカーごと震えるユズ。それが私たちの、ファーストコンタクトだった。
△
「いやぁ、あの時のミドリは怖かったなぁ」
「あんまり言わないでよ、お姉ちゃん……」
「何気にキヴォトスに来て初めて受けたクリティカルだったな」
「ぅっ……。ごめんね……っ。本当にごめんね……っ」
どうにもまだここが痛いとお腹を押えたネライがそう嘯けば、顔を青ざめさせながらやってきたミドリがオロオロとネライの周りで謝り出す。今となってはすっかりトラウマになっているようで、この話題になるとミドリは途端に顔色を悪くしていた。
「へぇ、あのミドリが、ね」
「すごい剣幕だったぞ」
「だ、だって、突然ネライが入ってきたから、びっくりしちゃって……」
「でも、モモイは意外と冷静だったのね。双子とはいえ、そこは姉の意地、ってやつかしら?」
意外そうな、それでいて感心したように頷くユウカの姿に、私は思わず爆笑した。
「そんなわけないじゃん!」
「そんなわけないの!?」
「ぶっちゃけあの時は私も怖かったしいっぱいいっぱいだったよぉ。だいぶ溜まってたおしっこ漏れるかと思ったもん」
「そ、そうなのね」
「……漏らしてなかった、よな?」
「ううん、ちょっと出てた」
─────途端、みんなの私を見る目が変わった。
「ちょ、ちょっとそんな目で見なくてもいーじゃんか!」
「……いや」
「うわっ」
「……お姉ちゃん?」
「モモイ……」
「パンツっ、パンツに染み込んだから、下に垂れてないからノーカンだよ!」
「アウトだろ」
「いやアウトよ」
まぁたしかに怖いけど、漏らすほどではなくないか。そんなことを平然と言うユウカに、同じ場面を味あわせてやりたい。きっとユウカだっておしっこちびるはずだ。
「で、でも、その時だよね。ネライが
紙コップのインスタントコーヒーを片手にユズがはにかむ。気がつけば、周りに人がいてもある程度話せるようになっちゃって……。なんて密かにそう感動しつつ、思い出す。
たしかに彼はその後、ここがゲーム開発部の部室だと知って驚いて、そして自分の好きだというゲームについて話し出したのだ。
△
「ゲーム開発部……。そうか、俺、ゲームは好きだぞ。英雄神話とか、フルゼリー大戦とか」
ガタリ、と部室の奥のロッカーが震えた。ユズ、そう呼ばれていた赤髪の女子が引きこもったそれだ。
「え、英雄神話知ってるの!?」
「あぁ、
「なにそれ激アツじゃん!」
モモイ、そう名乗った金髪の少女が握られたままの手をブンブンと勢いよく振り回す。そしてその様子を見てか、銃口を下ろした双子であろうもう片割れ、ミドリがキツイ目のまま。
「……フルゼリ、やるの?」
「あ、あぁ。ポヨポヨVSテトニスもやってた」
「……ふーん」
まだ疑っているようではあるが、一応銃をソファに降ろした。すると今度はロッカーから控えめな声が響く。
「……ほ、他にも、好きな、ゲーム……ある、の?」
「好きなゲームか。RPG系はだいたいやってるし、パズル系もそこそこ。……あとは、格ゲーだな」
「っ!」
再び大きく震えるロッカーに若干引きつつ、痛みの引いたお腹から手を離す。キヴォトスに来てから
─────いや、銃弾でなんともないのはどうなんだ……?
生物として、だがこれがキヴォトスのノーマルで。そんな葛藤はそれとして、と俺はゲーム開発部という名前を頭の中で反芻させる。
俺がミレニアムに来た
そう思えば、ゲームを開発する部活、何とも興味深い、そして面白そうじゃないか。
「─────なぁ」
「─────ねぇ!」
はたり、とお互いの声が重なって、お互いの動きが止まる。俺の低い声はモモイの高い声に掻き消えるが、彼女には届いていたようで、離した手で先に話すよう合図した。
「ゲーム開発部について、教えて欲しい」
ロッカーが揺れ、ミドリが目を見開いている。そして目の前のモモイはと言うと。
─────やれやれ、といったいやに大袈裟なリアクションを取っていた。
「違う。違うよネライ!」
「なにがだ……?」
彼女の中でなにかが起きたのか、どんと薄い胸を張って、渾身のドヤ顔を披露して。
「ネライは、ゲーム開発部を知りたいんじゃない。ゲーム開発部に、入部したいんだよねっ!」
「……は?」
△
「それで、そのチビの勧誘は受けたってのに?あたしの勧誘は蹴ったってのか?」
「めんどくさ」
「─────何がめんどくさいってんだ、コラァ」
その反応、とネライが目を逸らして言えば、ネル先輩は飛んでくる。
ただでさえトキさんとアリスちゃんにぼろ負けした挙句、ボロクソに煽られて気が立っているネル先輩は止まることを知りない。今にも蹴りを放ちそうなネル先輩は、はるか上にあるネライの顔目掛けてメンチを切っていた。
「ふふっ、ネルとネライは本当に仲良しだね」
「……先生、なんかズレてない?」
「あれ見て仲良しって、なかなか出てこないと思うけど」
「……あれ?」
先生が微笑ましそうに見ているのは、強引に肩を組まれ、身長差から中腰以下の体勢を強要されるネライの姿。しかし、それがどうしてもカツアゲのようななにかにしか見えない。
「純朴な後輩にダル絡みするヤンキー」
「こいつ純粋じゃねぇだろ。ほら、ロリコンだし」
「ロリコンじゃねぇ─────っ!」
「うるせぇ耳元で騒ぐな」
「ごふっ」
なんという理不尽。自分から肩を組み、彼の頭を自身の肩へと抱き寄せているというのに、声をあげれば煩いと腹へ拳を叩き込まれた。
そして、拳を叩き込まれたことよりもナチュラルにロリコン扱いされている事実にネライは涙を流す。無情である。私としてはその方が助かるのでぜひロリコンでいて欲しい。
「んで、チビ勇者が合流するまでになんか面白いエピソードとかねぇのかよ」
「ネライがヤンキーに捕まってメイド部に勧誘された」
「そういうんじゃねぇ。ハプニングとかそういうのだよ」
「あとはマキが部室に来て4人でゲームして、その結果紆余曲折を経て、今のミドリがあんなにデレデ─────」
ネライの煎れたコーヒーに砂糖をドバドバ投入しつつ、とんでもないことを抜かす愚姉のレバーをすぐさまブローする。
「モモイ、何を言ったモモイー!」
「何やってんだお前ら」
「い、いやぁ、お姉ちゃんが、変なこと言い出したから、……つい?」
「モモイ、何故死んだ!」
「し、しんで、ない……」
「ガキだからです」
「クソ、が頭に着くだろこいつ」
「わぁー、揃いも揃って酷い言い草……」
背中の右腰の上の方、レバーの裏になる辺りを抑えて立ち上がるお姉ちゃん。しかしそれにネライも、ネル先輩も、突然現れたトキさんも酷い言いざまだ。
「んじゃ次、こいつとミドリの馴れ初め語れや」
「……うぇっ!?な、馴れ初めってそんな、か、カップルになった訳でもないし、付き合ってる訳でもないし……。そ、それにほら、そういうのって結婚式とか、披露宴とか、そういう所で思い出の写真のムービーを背景にふたりで幸せに語るのであって、こんなところで私とネライの馴れ初めなんて……」
「なんだこいつ、早口で気持ちわり」
「し、辛辣だな……」
「多分この作品で1番長いセリフですね」
「トキ、多分それ触れちゃダメなやつ。触れていいの○魂ぐらいだから」
「○玉だなんて、そんな。恥ずかしいです先生、彼の前で」
「トキ、明らかに今言葉が歪められたよね」
「─────金タマ?」
「そんでもってネライは急に食いついてくるしっ。微妙にガキだよねネライ!」
「そりゃおっきいおっぱいばっかみてるエロガキだもんねー」
「うるせぇクソガキ」
「呼んだ?」
「─────呼んだ」
「呼んでねぇよ。何乳袋ガン見してんだこのバカ」
のっそのっそ、たぷんたぷんと大きなおっぱいを揺らしながらやってくる
「誰も聞いてないし─────っ!」
「ネライー、あんまりおっぱい凝視しない」
「私のようにクールぶる癖に、割と普通にエロガキですよね」
「なに、見たいの?なら、ほら」
「……エイミ、顔赤くない?」
「……気のせいじゃない?多分、暑いだけ」
汗に濡れた
─────そのあまりの卑しさに、私は唾を吐き捨てた。
「かーっ!見んねユズ!卑しか女ばい!」
「えぇ……(困惑)」
つぎにみたいのをさんこうまでに
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○○○TS編
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ゲヘナ編(ゲヘナピンク無関係)
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しないと出られない部屋再来編
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シャーレ当番編
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NLP編
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なんかとりあえずイチャイチャピンク