ミレニアム・ピンクアーカイブ   作:オサシミの化身

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お久しぶりです。めちゃくちゃトリニティとゲヘナ書いてた馬鹿です。(自己紹介)


「ごめんなさい」「気にするな」

 

鷹目ネライ宅襲撃事件。これで通算6度目となる爆破事件の犯人を巡り、ミレニアムは大きく荒れる。

 

─────はずだった。

 

そのつもりでセミナー全体へと指示を飛ばし、ヴァルキューレにも協力体制を要請して身構えていたユウカとノアは、事件から2日後に先生の連れてきた4人組を見て拍子抜けすることとなる。

 

「その、彼女たちが……?」

「うん、どうも、やっちゃったみたいで……。ほら」

「はいっ 」

 

ずいぶんとカクついた動き、いかにも緊張していますといった様子で1人の生徒が1歩前に出る。

 

「ユウカたちからの報告の少しあとかな。もしかしたら人殺しにっ、て顔面蒼白で駆け込んできて。もしかしたらと思ったらビンゴだったの」

「べ、便利屋68の社長、陸八魔アル、です……」

 

ピンクブロンドの髪に長く反り立つ一対の角。ワインレッドのファーコートとスラリと伸びる足を覆うスリットの入ったタイトスカート。

 

ユウカには見覚えがある。たしかゲヘナ学園の陸八魔アルだ。以前、先生に騙されてアリスと共に巻き込まれた通称アイドル事件、イタズラストレートと呼ばれたグループで顔を合わせていたからだ。

 

だがあの時に見せていた勝気な笑みはあとかたもなく、執行を待つ死刑囚のように顔を青ざめさせて震えていた。

 

「こ、この度は、うちの社員が誠に申し訳ありませんでしたぁ!」

「……えっと」

 

勢いよく頭を下げるアルに続き、オドオドとした様子の紫がかった髪の女子がさらにその前に出て、その場で膝を着く。困惑を抑えられない

 

「アル様は悪くありませんっ。全て私が悪いんですっ」

「は、ハルカっ」

「ひっ、必要とあらばこの身体を差し出しますのでどうかっ。ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいぃっ」

 

がばりと上体を下げて土下座を始め、床へ激しく頭を打ち付け始めた。異様とも取れるハルカと呼ばれた女子の様子に、セミナーの鬼と悪名高いユウカも動揺を隠せない。

 

「お、落ち着いてくださいっ。ひとまず、ひとまず話をお願いしますっ」

「ごめんないっ、ごめんなさいっ!」

「あははっ、ハルカちゃん必死〜」

「ハルカ、そこまでにしといて。ムツキも笑ってないで止めなよ」

「え〜」

 

先生とアルの助けでなんとかハルカは顔をあげる。ふうと一息ついたユウカは、背後でノアが各方面に連絡を取り始めたのを見て、改めて先生の方に向き直った。

 

「それじゃあ、詳しく話して貰えませんか。先生」

「……あっ、私?」

 

キョトンとした顔で自分を指さす先生の姿に、頭痛を覚えたユウカは項垂れるハルカと彼女を囲う3人の姿を指さして。

 

「あの状態の人たちに、しっかりした説明を求めろと?」

「……うん、そうだね」

「そのっ、ごめんなさい先生。お願いしていいかしら」

「バッチリ説明するよ」

 

口内にショットガンを突き立て始めたハルカと、それに慌てるアル。そして大笑いするムツキの声をBGMに、先生の口から事の顛末が告げられた。

 

冷静に説明する先生に時々修正を入れるアルとカヨコ。その度に謝罪が止まらなくなるハルカと笑いちゃちゃを入れるムツキ。イマイチ進みの悪いそれをユウカとノアは静かに聞いていた。

 

「─────というわけらしいの」

「─────あの引火は想定外の出来事だった、と」

「はい、そうなります……」

 

便利屋68が勤めた依頼は彼に苦汁を舐めさせらた企業からのもの。男子生徒というレッテルを利用しようとし、多額の報酬を条件に引き入れようとしたが、にべもなく断られた挙句そのことをクロノスに知られ、結構な風評被害を被ったのだとか。

 

企業は何をしてでも連れてこい、という依頼であったが、便利屋としてはミレニアム自治区の平和な地域だということとあって出来れば話し合いで終わらせたかった。

 

だが、ハルカが勢いでドアを爆破してしまい、それが部屋の中にあった何か(・・)に引火して連続した爆発に火災へと繋がってしまった。

 

だから彼と巻き込んでしまったケイに謝罪したいのだが、その後の足取りが掴めない。

 

それが、便利屋68の口から語られたこの事件の事実だった。

 

「それでその、おふたりの容態は……」

「あの爆発をまともにくらったんだし、無事じゃすまないと思って」

 

カヨコが目を伏せる。その言葉を聞いて、アルはどんどんと顔を青ざめさせ、ハルカは口に手榴弾を詰め込もうとした。

 

「ちょっ、そっちの人止めてっ」

「ハルカ!?」

「だからやめなって。今ハルカが自傷したってどうにもならないから」

「………………はい」

 

手榴弾を咥えたまましょんぼりとするハルカに周囲が一安心していると、先生があっと声をあげる。

 

今度はなんだと痛む頭を抑えるユウカが先生を見ると、タブレットを手に目を丸くした先生はゆったりと顔を上げて。

 

「─────ネライとケイ、ゲーム開発部の部室にいる、って」

「……はぁ!?」

 

そっと先生がタブレットの画面をこちらに向ける。そこにはモモイとのモモトーク画面が開かれており、1枚の横写真が表示されていた。

 

まずは左から、白い髪に白い肌をした長身の女性に機械的な見た目を持つ3人の少女。たしか、ネライたちの大切な友達だという人達だ。とくに長身の人は最近セミナーにミレニアム自治区内での食品営業許可の申請に来たのでよく覚えている。

 

続いて中央、ボロボロと涙をこぼすミドリに困惑するネライ、そしてその背中にしがみついて泣いているであろうユズの手が。

 

そして右、わんわんと泣くアリスにリボンを結び直されているケイの姿があった。喧嘩しただなんて聞いてはいたが、しっかり仲直りは出来たようだ。

 

「……どういう状況?」

「さぁ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまない。遅くなった」

 

ミドリとアリスの涙と鼻水で湿ったエプロンをパタパタと揺らして乾かしながら入室した俺を、思っていたよりも多い人数が出迎えてくれた。

 

「……もう、心配したんだから」

「無事でよかったです」

「大丈夫だったんだね」

 

目を伏せたユウカさんに、胸に手を当てるノア先輩、2人に呼ばれたのだろうか少し髪の荒れた先生がいて。その向かいに立っていた4人組のうちひとりがその場で跪き。

 

「─────しんで、お詫びいたします」

「─────なんだ……っ!?」

 

そのまま手と額を床に押し付ける、いわゆる土下座へと移行した。意味がわからずその傍に立つ3人へ視線を向ける。

 

「その、本当にごめんなさい。まさかあんなに炎上するなんて思ってもみなくて……」

「……あぁ、どちら様で?」

「便利屋68の社長、陸八魔アルです……」

「社長」

「はい」

 

すると土下座をしているのは従業員なのだろうか。ムツキ室長にカヤコ課長の2人に、ハルカと呼ばれる女子の土下座が止められる。

 

「えっと、学生なのに社長なのは凄いですね……?」

「えっ、あっ。ありがとう、ございます……?」

「ネライそれ違うから。今じゃないから」

「そうですよ。今は爆破事件の解決が優先ですから」

 

ノアさんの一言にビクリと震えるアル社長を見て、あぁと思い出す。

 

「あの爆発は企業(・・)のせいだから気にするな」

「……へ?」

 

見合う以上の損害賠償はぶんどってきたし、報復は充分に済ませてきた。さらにそういうとその場にいた全員がぽかんと口を開け、硬直する。

 

そんなみんなを他所にスマホのネットニュースを開き、この中で一番大きなタブレットを持っている先生へと送信する。すると先生はぼそぼそっと何かを呟き、しばらくじっとタブレットの画面を眺めたと思えば。

 

「─────えぇ!?」

 

驚いてか大きな声をあげた。それに反応してわらわらとみんなでタブレットを囲み、やはり驚きの声をあげる。

 

「速報、○○プロダクションのオフィスビル襲撃事件」

「ゲートと社長室で爆発か」

「長身の2人に小柄な4人が犯人とみてヴァルキューレが捜査」

「被害にあった社長は黙秘を続けている……」

「あっこれ、私たちに依頼してきたとこじゃん」

「そ、そうね……」

「……なにがあったの?」

 

ザワつく便利屋の様子に、何かに勘づいたユウカさんが鋭く細めた目でこちらを見た。まるで何かをやらかしてきたかのような扱いだ。俺はただ、しっかりお礼をしてきただけだと言うのに。

 

「少し前、そこの社長から直接コンタクトがあった。うちの専属モデルになれ(・・)とな」

「なれ、って」

「ならないと言うのならば仕方ない。覚悟はしてもらうぞ。なんて脅し付きでな」

 

俺だけならいざ知らず、ゲーム開発部全員の住所を抑えられていては、俺も迂闊に行動できなかった。

 

それに、C&Cでそれなりに修羅場には慣れたつもりだったが、あのドーベルマンの社長はダメだ。シンプルに顔が怖い。何人も食い殺してるぜ、みたいなルックスであった。

 

「なんで相談してくれなかったの?大人に脅されてたからって、シャーレなら何とか出来たかもしれないのに」

「いや、だって普通に断ったし。まぁ、正直いって報復なんてしてこないだろってタカくくってた」

「そこは警戒しなさいよ……っ!」

 

ごもっともである。そっと目をそらすとユウカさんの大きなため息が聞こえた。

 

そしてその横で社長がまったをかける。

 

「それで、爆発は企業のせいだって、どういうことなのかしら」

「そーそー。だってドア吹っ飛ばしたのは私たちだよ?ならそのあとの爆発だってうちのせいじゃない?」

「いや、ちがう。社長から言質はとってきた。隣室に匂いをつけていない可燃性ガスを放出していたらしい」

 

一般的に事故の原因となる可燃性ガスには、危険に気がつくようあえて鼻につく匂いがつけられている。だが、どこからか社長は匂いのつけられていない可燃性ガスを入手し、爆破とともに引火して俺の部屋に流れ込むようにしていたのだ。

 

「つまり、あの爆発は隣室の可燃性ガスが爆発したもので、火災はその衝撃で抜けた隣室の壁から延焼したってこと?」

「そしてその後続いた爆発は隣室に置かれたままだったガスボンベと俺の部屋にあるカセットガスによるものだ」

 

今度、レッドウィンターの友人と焼き鳥やアヒージョをして楽しむためのものだったのだが、それどころではなくなってしまった。またあの特製ドリンクを楽しみたかったのだが、仕方がない。

 

「つまり、社長たちはアイツらに利用されていただけということだ」

「にっくき男の子には報復はできるし、爆発の原因も押し付けられる。都合がよかったってわけね」

「最初っから手のひらの上だったんだね。だから社長、怪しいからやめといた方がいいって言ったんだよ」

「ホントにね……」

 

がくりと項垂れる社長の肩をハルカさんが支える。それを見て笑うムツキ室長がそれならばと妖しい笑みを浮かべて。

 

「ならさ、今回の件わたしたち悪くないってことだよね」

「ん、それは」

「─────そうはならないわよ」

 

別にいいぞ。そう言おうとした矢先にユウカさんの声が被る。

 

「当然あなたたちにも責任の一端はありますから。たとえネライが許したとしても、それはそれです」

「たしかに、ミレニアム自治区内でハデにやらかしちゃったわけだしね。相応の罰金は免れないよ社長」

「うっ…………。そ、そうよね……。でも、仕方がないわ」

「では後日、今回の1件に対する処罰を先生経由で送らせてもらいます」

「はい……」

 

電卓を叩き始めるユウカさんの姿にしゅんとする社長。同じくしょんぼりとするハルカさんに目を伏せるカヨコ課長。そこで、再びムツキ室長が妖しく笑う。

 

「そういえばさぁ、ネライくん、だっけ」

「……ムツキ?」

「なんだ、ムツキ室長」

「ムツキでいいよ〜。もしくはムツキちゃん」

「そうか、ムツキちゃん」

「よしよし。実はずっと気になってたことかあるんだよねぇ」

 

小さな彼女は後ろで手を組みながらゆっくりと近ずき、小首を傾げてこちらを見あげながら言った。

 

「─────なんでずっと裸エプロンなの?趣味?」

「─────それ、聞いてもよかったのぉ!?」

「聞いていいとか悪いとか、関係なく気になるじゃーん」

「……正直、ずっとなんでだろうとは思ってた」

「その、すこし恥ずかしいです……」

 

ショックからなんとも言えない顔(※Let's go!)のアル社長。そして目線をそらすカヨコ課長とハルカさん。だが、先生やユウカさん、ノアさんはというと。

 

「なんだかもう、いつもの奇行にしか見えなくて」

「新鮮さが足りませんね」

「むしろ露出少なめだよねこれ」

「そりゃまぁ、いつもの全裸に比べたらねぇ」

「ミレニアム、恐るべし……っ!」

 

─────それから、便利屋の4人と連絡先を交換し、あとのことをユウカさんと先生に任せた俺は、再びゲーム開発部の部室へと向かうことにした。

 

周囲の目なんてなんとも思わない、堂々と来た裸エプロンのままで。

 

 





あと1話やります。

別主人公のトリニティピンクとゲヘナピンクもよろしくね♡

つぎにみたいのをさんこうまでに

  • ○○○TS編
  • ゲヘナ編(ゲヘナピンク無関係)
  • しないと出られない部屋再来編
  • シャーレ当番編
  • NLP編
  • なんかとりあえずイチャイチャピンク
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