ミレニアム・ピンクアーカイブ   作:オサシミの化身

3 / 29
才羽モモイの野球拳

 

 

「あれは今から36万……いや、1万4千年前だったか……」

「お姉ちゃん、今そういうのいいから」

「あ、そう?」

「だってそんな、いきなりエロいとかムラムラとか何言ってるのってなるじゃん。経緯を説明して経緯を。というかネライのことそんな目で見てたの?どうなのお姉ちゃん」

「ミドリ、どうしたんですか?」

「お、落ち着いて」

「詳しく話して。私は今、冷静さに欠けるから」

「先生、なんだかミドリが怖いです!」

 

キメ顔のモモイに顔を赤くしたミドリが早口でまくし立てた。アリスは変わらず平然とした様子だが、その横でユズも顔を真っ赤にしている。

 

「いや実はさ、前にマキとネライと3人で野球拳をしたことあってさぁ」

「は?」

「や、野球拳……?」

「いや何やってるの!?」

 

さすがの私も驚いた。ゲーム開発部内で話し合うだけで終わるかと思えば教師として聞き逃せない内容がでてきたからだ。

 

過去を思い出すようにモモイが語る。

 

「マキと野球拳やろうって話になった時、誰かもう1人くらいいた方が楽しいかなって話になってさ。私なんも考えずにネライ誘っちゃったんだよね」

「なんで野球拳……?」

「テレビで見たとかだったと思う」

「少し考えたらわかるじゃん」

「そりゃそうだけどさー。その時とか別にネライが異性って感じで接してなかったし、ちょうど部室で一緒にゲームしてたから勢いでさ」

 

そう言われてみると確かにモモイとネライの距離感はすごく近い。どちらも特に意識せずに接しあっていたからだろうか。仲がいいのはいいことだが、高校生にしては珍しい関係だとは思っていた。

 

話が進むにつれてどんどんとミドリのハイライトが無くなっていく。ユズがその横で肩をふるわせる中、アリスが質問した。

 

「ところで、野球拳ってなんですか?」

「それネライにも言われた」

「アリスちゃんはともかく、ネライも知らなかったの!?」

「アリス、野球拳っていうのはね、みんなでジャンケンをして1番負けた人が1枚服を脱いでいくっていう卑猥で不健全な遊びだよ」

「先生は野球拳になんか恨みでもあるの!?」

 

学生時代の飲み会を思い出してしまった。同性しかいない飲み会だったとはいえ、あまりお酒が得意じゃない私はベロンベロンの状態で野球拳に参加させられてひん剥かれた悲しい過去があるのだ。あれ以来飲み会には参加していない。

 

「とにかくお姉ちゃん、もっと詳しく話して」

「わ、わかったよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思い出すのはつい先月、ネライとふたりで部室にいた時のこと。何を思ったのかその日の私はネライを野球拳に誘ったのだ。

 

元々はマキと盛り上がった話しで、もしやるならもう1人くらい欲しいよねという言葉から、なぜかわたしはネライを誘った。

 

その頃はまだマキと同じ友達だと思っていた。性別は違うが、そんなこと欠片も意識していなかったからかもしれない。

 

後になって「あれ、もしかしてやばい?」とは思ったけれど、マキもサプライズ参戦者がいると伝えたらとても喜んでいたし、ネライも聞いた事のないゲームにワクワクしていた。今更やめようなんて言い出せず、後には引けなくなっていた。

 

そして野球拳当日の放課後、校舎空き教室に私とマキが揃った。

 

「あれ?モモ、サプライズ参加者はまだ来てないの?」

「うん、ちょっと遅れるってー」

「てか誰誘ったのさ。私の知ってる人とか友達?」

「多分、けっこう仲いいと思う。うん」

「えー、誰だろ。こういうのに参加してくれてモモが誘える私の友達……?」

 

頭を悩ませるマキに背を向けてモモトークを確認する。ネライから「今校舎に着いた」と連絡が来ていた。

 

「もうすぐ着くって」

「おおー!一体誰だっ!」

「だ、だれだろー」

「……モモ?」

「─────あっ」

「えっ、来たッ!」

 

そんな言葉と同時に、教室の自動ドアが開く音がした。ワクワクとした様子のマキと段々と気まずさを感じ始めていた私が揃って音の方を見ると、そこに立っていたのは身長が高く私たちとはかけ離れた体型のネライだった。

 

「すまん、遅くなったな」

「……ね、ネライ?」

「や、やっほーネライ。遅かったじゃん」

「…………え?─────え?」

 

申し訳なさげに謝罪する彼の額には僅かに汗が滲んでいる。恐らく校舎に着いたと連絡を入れる前からずっと走っていたのだろう。呼吸が乱れていないのはさすがと言うべきだろうか。

 

マキはといえばワクワクとした顔から一転して顔を真っ赤にして固まっている。わなわなと手をふるわせたあと、こちらに詰め寄ってきた。

 

「ちょっと待っててネライ!」

「……?わかった」

「モモ、どういうこと!?今からやるのって野球拳だよね!?なんでネライがっ……。いやどういうこと!?」

「あはは〜。だ、誰でもいいかなって、誘っちった」

「だからってネライはダメでしょ!」

「ま、まぁまぁ」

 

明らかに混乱している状態で襟元を掴みあげてくるマキに段々といたたまれなくなってきた。

 

「で、でもほら、スリルあるじゃん!?」

「苦しいよその言い訳っ!」

「俺がいると不味いのか、野球拳ってゲームは」

「知らないの!?そりゃもちろん……」

「だ、大丈夫だよネライ〜」

「ちょっとモモっ!」

「だってぇ」

 

明らかにしょぼくれているネライを放っては置けず、ついついそんなことを言ってしまう。

 

マキはどんどんと顔を赤くしているし、私も段々と異性と野球拳という状況を意識して顔に熱が集まっていくのがわかる。

 

「ち、ちなみにどんなゲームなんだ?調べようとは思っていたんだが、C&Cの仕事が忙しくて調べられなくてな」

「えっとぉ……モモっ」

「私ぃ?んー、野球拳っていうのは3人で一斉にジャンケンしてさ」

「あぁ」

「負けたひとりが1枚、着ている服を脱ぐってゲーム」

「…………」

 

多分、私の顔は真っ赤になっているだろう。マキなんて俯いたまま動かないし、ネライも珍しく顔に動揺が出ている。

 

「それは、俺じゃなくてエイミを呼んだ方がよかったんじゃないか?」

「すぐ終わっちゃうじゃん。なんなら勝っても脱ぎそうだし」

「なら、ミドリとかユズとか」

「あのふたりが来てくれるわけないじゃん!」

「アリスは」

「アリスをこんなゲームに誘えると思う?」

「俺ならいいのか。いや、よくないだろ」

「─────いやっ」

 

私とネライが言い合っていると、俯いていたマキが声を上げた。

 

「やろう、野球拳!」

「マキ!?」

「正気か。いや、無理はするなよ」

「大丈夫!とりあえずやってみよう!」

「……お、おぉー!よーしネライ、ジャンケンだ!」

「あ、あぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……また負けか。じゃあ脱ぐぞ」

「う、うん」

「どうぞ……?」

 

そう言ってネライはポツポツとシャツのボタンを外し始めた。

 

野球拳は10回目にしてネライが6回目の敗北を喫していた。私とマキが上着とネクタイを脱いだのに対し、ネライは既に上着、靴、靴下、ネクタイ、ベルトを失っており、ついにシャツへと手をかけたのだ。

 

オシャレなカフェの店員ぐらいでしか見たことの無い黒のワイシャツのボタンはゆっくりと外されていき、その下に着ているアンダーシャツが姿を現した。

 

「う、うわぁ」

「なんか、見ちゃダメなもの見てる気がする」

「そ、そうか」

 

脱いだシャツをシワにならないように畳んで置いたネライの姿を直視する。

 

アンダーシャツはエンジニア部の特製だと言っていた。なんでも吸汗性と防刃防弾性能の高い特殊繊維の試作品らしい。だが、本当にそんな性能があるのか不安になるほど薄く見える。肌に張り付いて筋肉の線がクッキリわかるほどだ。

 

「こ、こうして見るとネライって結構凄いカラダしてるよね」

「うわー、うわぁー」

「一応、トレーニング部でも鍛えているからな」

「うっわ」

 

右腕で力こぶを作るネライ。アンダーシャツ越しにむくりと二の腕の筋肉が盛り上がった。私も真似してやってみるが、当然ながらなんの変化も起きない。

 

「じゃあ、11回目いこっか」

「あぁ」

「うん」

「じゃぁ─────」

 

掛け声とともに私とマキがチョキを、ネライがパーを出す。また、ネライの負けだ。

 

「また負けか」

「ね、ネライこれ以上どこ脱ぐの!?」

「……ズボンとか?」

「そ、それは流石に不味いってモモ……っ」

「ふむ」

 

もはやゆでダコのようになったマキの横で、私はネライから目を離せなくなっていた。はたして上裸になるのか、それともズボンを─────。

 

─────ネライはおもむろにズボンを掴み、普通に脱いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「脱いだの!?ズボンも脱いだの!?」

「み、見てみたかったかも」

「ユズ、大丈夫そう?」

「ネライの装備品が下着だけになってしまいます!」

「いやそれがさ、ネライってタイツ履いてたんだよね」

「……タイツ?」

 

全員の視線が私の下半身に集まる。

 

「いや先生みたいなのじゃなくて、いかにも男性用みたいなやつだったけど」

「でもそれも肌にピッタリなんじゃ……」

「うん、くっきりしてたよ」

 

くっきり。思わず想像してしまい少し顔が熱くなる。

 

「そう、それですっごいもっこりしてた」

「も、もっこり!?」

「もっこりって、その、あれが?」

「もっこり……」

「アリスわかります!ネライだけが装備しているという伝説の武器、ち○ち○ですね!」

「ぶっ」

「だ、ダメだよアリスちゃん……っ」

 

アリスの言葉に思わず吹き出してしまった。あとでそういう言葉をあまり口にするものではないと教えなければ。

 

想像してしまったのか、ミドリとユズは顔を赤くしている。

 

「いや、アレ見て改めて思ったね。あっ、ネライって男の子なんだ、私たちとは全然違うんだって」

「お姉ちゃん?」

 

モモイが顔を赤くしながら続ける。

 

「その後ユウカが来て3人揃って説教されて終わっちゃったからそれ以上脱ぐことはなかったんだけどさ、パンツ越しとはいえネライのち○こ意識しちゃったらもうダメで。思い出すと体が火照るというか、ムラムラするんだよね」

「お姉ちゃん、ブレーキ」

「なんか性別の違いっていうの?これまで全く気にならなかったことがすごく気になるようになってさ。あれ脱いだらどんなんなんだろとか実物どんな形してるんだろとか」

「も、モモイ……」

「あとあれっておっきくなるんでしょ?最終的にやっぱミドリのやってるエロゲくらいにはなるのかな」

「お姉ちゃん……っ!」

「どわっ」

 

耳まで真っ赤になったミドリがモモイに襲いかかる。かなり聞き逃せない事を聞いた気がしたが、思春期なのだからそういうことのひとつやふたつ、誰にでもある。少なくともわたしは言及しないことにした。

 

暴れるミドリに取り押さえられるモモイ。赤面してロッカーに篭ろうとするユズと不思議そうな顔をしているアリス。なかなかカオスな状況になってきたゲーム開発部部室に、更に爆弾が投下された。

 

「アリス、まえにお風呂で見ましたが、ミドリの持っているゲームみたいにはなっていませんでしたよ?」

 

 

 

 

 

 

 

つぎにみたいのをさんこうまでに

  • ○○○TS編
  • ゲヘナ編(ゲヘナピンク無関係)
  • しないと出られない部屋再来編
  • シャーレ当番編
  • NLP編
  • なんかとりあえずイチャイチャピンク
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。