ミレニアム・ピンクアーカイブ   作:ウサギの化身

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感想、結構みんなミドリが開発済みなの常識みたいなふいんきでビビる。うちもそれで行くか!


ファイル② 粛○!! ロリコンレクイエム☆

 

 

 

シャーレ当番、というものがある。読んで字のごとくとは言えないもののほぼその通り、連邦捜査部シャーレの顧問である先生の補佐をする当番のことだ。

 

各校の生徒会からの推薦やその本人の自薦、先生からの指名を受けた生徒が平日の普通授業の代わりにシャーレで1日働くと言うもの。

 

先生に会いたいから。授業をサボりたいから。処罰のひとつとして預けられたから。様々な理由で集まる生徒たち。そんな中から今日は俺がシャーレの当番を任された日なのである。

 

「いらっしゃいませ〜」

 

近未来的なビル、シャーレビルの1階。自動ドアをくぐった先で来店を告げるチャイムと幼げな少女の声が出迎える。

 

コンビニのようでコンビニではないお店、“エンジェル24”。お菓子から銃器まで幅広く取り扱うこのお店のシャーレ支店。そして声の主はそこでバイトに勤しむ中学生のソラだ。

 

商品の陳列でもしていたのだろうか、手にお菓子の袋を持ったままの彼女は反射的に下げたであろう頭を上げて俺の顔を見つめると。

 

「あっ、ネライさん!お疲れ様です」

「おつかれ、ソラ」

 

左右にピンと伸ばしたおさげと小さな身体を揺らして駆け寄ってくる彼女。澄んだ青色の瞳が照明の光にきらりと光るが、その目の下には微かにクマが主張していた。幼さに見合わない不健康なそれに、思わず眉を顰める。

 

「……まさか、また夜通し店にいたのか」

「そのぉ……」

「休憩しただけじゃないだろうな」

「あ、あはは……。一応、裏の仮眠室で寝てはいるんですけれど……」

「それじゃ仮眠だろ。しっかり寝ないと大きくなれないぞ」

「……それ、実際に大きいネライさんが言うと説得力が凄いですね……。じゃあ、やっぱりネライさんも睡眠は……」

「─────いや、気にしたことないな」

「説得力消えた!?……まぁ、でも」

 

チラリと彼女が振り返るのは関係者以外立ち入り禁止のコーションマークのあるドア。スタッフルームへと繋がるそこにはスタッフ用の個室の仮眠室があるのだが。

 

とはいえそれも簡易的なもので、お粗末なパイプベッドに古びた扇風機がひとつだけという最悪なものだったのだが。

 

「うん。ネライさんが協力してくれたお陰で前よりもかなり快適になりましたから、ちょっとの休憩でもばっちりです!」

「……うん、そうか。なら頑張った甲斐があったな」

「ふかふかベッドに綺麗なテレビ、夜間用セルフレジ、それにエアコンまで用意して貰っちゃって……」

 

何度あっても死んだ目をしていた彼女に問いただした時のことだ。何度本部に掛け合っても改善されない環境、劣悪極まりない彼女の対偶に腹が立った俺は先生の協力を得て仮眠室を整備することにした。

 

幸いなことに金ならたらふくある。1年生とはいえどもC&Cでのお給料がそれなりに振り込まれ、最近だと部屋を爆破された際におりた保険金でかなり得をしている。

 

とはいえ先生からのストップがかかった為にそこまでの設備を用意してやれたわけではなかったのだが、彼女的にかなり満足してくれている様子だ。

 

「ほんと、ありがとうございました!」

「ヤラシイことを言うが、金なら腐るほどある。丁度いい使い道だ」

「それは、まぁ……。で、でも、大切なお金を私なんかの為に」

「だから気にするな。ソラが喜んでくれるのならそれでいいんだから。それに、男の子はカッコつけたがりなんだ。」

「……そ、そうですか。……カッコつけ…………」

 

もじり、頬と額を赤らめた彼女は人差し指を付き合わせながらそっぽを向いてしまう。どうしたのだろうか。

 

─────そういえば、先生への差し入れは何にしようか。

 

すぐそこにある陳列棚からスルメかジャーキーを、あとは炭酸水辺りでも適当に買っていこうか。その先の一角にある先生専用コーナーは、俺には買っていくことができないのが残念だった。

 

「その、ネライさん!」

「む……?」

 

ジャーキーを取ろうと差し出した右手を、ソラの小さくて柔らかい手がひっさらう。何事かと首を傾げる俺を他所に、ギュッと目を瞑ったソラは覚悟を決めた様子でひとつ頷くと。

 

「ネライさん、すごくカッコイイです!」

 

そう言っていつもの笑顔(営業スマイル)より眩しくはにかんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────あっ、ネライ先輩だ!」

「ん?」

 

聞き覚えのある元気な声。シャーレの廊下を歩いていた俺はその声に半身で振り向く。金色の髪と黒い大きな帽子に小さな体躯。袖の大きく余った帽子と同系のコートを着た少女だった。

 

「イブキ」

「えへへっ。お久しぶりです、ネライ先輩!」

「あぁ、久しぶりだな」

 

丹花イブキ。ゲヘナ学園に通う生徒で、その非常に幼げな見た目の通り飛び級なんだとか。そして左腕に巻かれた腕章とそのコートはゲヘナにおける生徒会、“万魔殿”のものとなっている。それが意味するものは。

 

─────この子、俺より上の立場なんだよなぁ。

 

不思議そうに首を傾げる彼女を撫でててやるとよく懐いた猫のようにそっと目を細める。そんなかわいい彼女は“万魔殿”の幹部、生徒会役員なのだ。

 

対する俺の立場はセミナー(生徒会)直下とはいえエージェント部隊の予備戦力。そう、彼女の方が偉いのである。

 

そう思うと頭を撫でるなんてとんでもない無礼を働いているような気がしなくもないが、帽子を取ってさらに頭を突き出す彼女を見ると途端にどうでも良くなった。

 

「んふふ〜。ネライ先輩の手、やさしくてあったかいね!」

「そうか?ゴツゴツして硬いだろ」

「確かに、ちょっと痛いけど」

「わ、悪い」

 

髪を梳いていた手を咄嗟に上げる。が、その手を彼女の柔らかい手が静止した。

 

「あっ、やめないで!」

「だけど、痛いんじゃ……」

「別にイブキ、嫌じゃないの」

「そうなのか……?」

「うん」

 

モモイやユズよりもまた一段と温いイブキの手に導かれ、俺の手は顕になったイブキの頭頂部に再び着地する。

 

少し屈んでもなお見下ろすイブキの顔は少し頬の上気した赤ら顔。愛くるしい上目遣いで俺を見上げてにこりと笑い。

 

「なんだろ……。お兄ちゃんみたいで安心するの」

「─────お兄ちゃん」

 

思わぬ言葉に復唱してしまう俺に、何かを思いついたようにパァっと笑うイブキはぽんと袖に包まれた手を打ち合わせた。

 

「うん!ネライ先輩、イブキのお兄ちゃんみたい!」

「そ、そうか?」

「すっごく強くて、イブキのこと守ってくれて。優しくてカッコよくて。あとねあとね─────」

「─────いやいい。ストップだ」

 

思わずニヤけそうになる頬を空いた手で覆い隠す。

 

─────カッコイイ、か。

 

本日二度目。年下の子からの“カッコイイ”。あぁ、なんて甘美な言葉なのだろうか。

 

なにもモテたい訳じゃない。クロノスに書かれているようなハーレムだなんて微塵も興味はないし、今すぐに彼女が欲しいと言うわけでも無い。ただゲーム開発部やみんなと楽しくやれて、外で見たことの無いもの触れたことの無いものを知りたい、ただそれだけだった。

 

だが当然ながらに俺も男だ。粗暴な口調は矯正して、憧れたクールな男性像を目指している。そんな俺に異性から、年下からの純粋な“カッコイイ”の言葉は非常に心に響いた。

 

「どうしたの、ネライ先輩?」

「いや、なんでもないさイブキ」

「そう……?」

「それよりもだ。今日は何しにシャーレに来たんだ?」

 

名残惜しいながらも撫でる手を止め、そっとしゃがんで目線を合わせる。イブキはあぁと声を漏らすと慌てた様子で。

 

「忘れてた!マコト先輩から先生にお手紙渡してってお願いされてたんだった」

「そうか。なら、一緒に行くか」

「え?」

 

肩にかけたクマさんのバッグを焦った様子で探り出すイブキにそっと手を差し出し、彼女の目を見つめる。

 

「俺は丁度シャーレ当番なんだ」

「ネライ先輩が?」

「あぁ。すぐそこまでとはいえ、お兄ちゃん(・・・・・)と一緒に行かないか?」

「お兄ちゃん……」

 

小首を傾げるイブキだったが、やがてその右手を俺の差し出した手へ元気よく乗せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────だからね、ネライ先輩はお兄ちゃんみたいだなぁって!」

「ほう」

「そ、そうなんですか……」

「お兄ちゃん……」

「あの時も、悪ーいヘルメット団をドカン!バタン!って倒しててね─────」

「す、凄いんですね、ネライさんって……」

「あの人が……」

「戦闘力も申し分ない、というわけだな」

 

自信満々といった様子のイブキに、驚いたようにソラが相槌を入れる。一緒になってそれを聞いていた銀髪の少女と白い髪に白い付け髭の少女がそれぞれの反応を見せる。

 

一方はチラリチラリと能天気にコーヒーを啜っているネライを覗き見て、もう一方は感心したようにうなづいている。

 

「ネーライ」

「む、先生か」

 

マグカップを置いたネライがそっとこちらを見る。イブキと手を繋いで仲良く現れたかと思えばコーヒーを挽き始めた彼。シャーレのカフェで休憩しているその顔はいつもより輝いていて、より一層自信に満ち溢れていた。

 

「どうした。コーヒーのおかわりか?」

「それもお願いしたいけど……」

 

ネライのコーヒーは美味しい。インスタントなんかとは比べ物にならないほど香ばしくてコクがあるのだ。確か、ミレニアムに入学する前、お世話になっていたカフェのマスターから学んだとか何とか。

 

─────じゃなくて。

 

「あれ、なに?」

「なにって」

 

やたらとテンションの高いイブキ。“万魔殿”からの書類を届けるというおつかいにきた彼女は、甘く作られたカフェオレを飲みながら万遍の笑みを浮かべている。

 

そんなイブキを囲うみんなは彼の知るところではないようで。

 

「……誰だろうな」

「やっぱり、知らないのね」

「イブキとソラなら。あっちの子は見覚えはあるが、髭……?」

「あぁ、ココナちゃんとチェリノね」

「─────今、ココナちゃん(・・・)って呼びましたか」

 

一向に量の減らないコーヒーを手にしたココナちゃんがムスッとした顔でこちらへ振り向いた。

 

「言ってないよ」

「……本当ですか?」

「うん。あっ、紹介するね。山海経の春原ココナちゃん」

「初めまして。山海経高級中学校、梅花園の教官をしている春原ココナ……。やっぱり今ちゃん付けしましたよね!」

「やべっ」

「先生っ!……もう、貴方は、是非ココナ教官(・・)とお呼びください!」

「あぁ」

 

非難がましいココナちゃんから目を逸らす。なんと言われようとココナちゃんはココナちゃんなのだ。

 

─────自信満々にコーヒー頼んだけど苦くて飲めないところとか。

 

「ミレニアムサイエンススクールの鷹目ネライだ」

「よろしくお願いします、鷹目さん」

「ネライでいい。こちらこそよろしくな、ココナちゃ─────」

「─────む」

「ココナ教官」

 

ニヤリと笑うネライは自身の胸元ほどの彼女と握手する。そこに少しドギマギとするココナちゃんがかわいい。

 

「─────わぁ、ほんとに大っきい……」

「でしょ!」

「ん……?」

 

─────あー、確かに。

 

目をまん丸にするココナちゃん。きっと彼の身長と手にびっくりしているのだろう。

 

彼女にとって背の高い人物といえば、姉である春原シュンなのだろう。背は170cmの半ばほど、私より少し高いくらいだ。そこからさらに10cmは高いうえ、性差ゆえの肩幅や線の太さもあって非常に物珍しいのだ。

 

「うむ、確かに大きいな」

「わっ」

 

いつも間にか隣へやってきた白ひげの少女、連河チェリノに呆けていたココナちゃんが驚き飛び退いた。再びひげと小さく呟いたネライが流し目でこちらを見る。

 

「その子はレッドウィンター連邦学園の生徒会長と、あとは環境美化部長兼、書記長兼、運動部代表兼、清掃部部長兼、風紀委員長兼、給食部部長。今年と今週と今日のMVPのチェリノだよ」

「うむ、流石はカムラッド。おいらのことをしっかり把握しているようで感心するぞ」

「……よく、わからんが」

「まぁいい。鷹目ネライ、ミレニアムから我が偉大なるレッドウィンターに─────」

 

そのまま自己紹介をするネライに、早速と言わんばかりに勧誘を始めるチェリノ。何かが彼女の琴線に触れたのか、鼻息荒く彼の手を引いていた。

 

わたしはその横で再びネライの全身を流すように見ているココナちゃんに近づき。

 

「ネライのこと、気になるの?」

「うぇ!?」

 

ビクリとココナちゃんの肩が揺れる。しばらくワタワタと忙しく手を動かす彼女だが、やがてひとつ息を吐くと

 

「お、男の人って初めてで、ちょっと、気にはなりますけど……」

「あー、だよね」

「……とても背が高くて手も足も大きくて。体つきも全然違って、声もすごく低くて。あと髪の毛もすごく硬そうですよね」

「ネライのはとくに髪質硬めだね。撫でたら指に刺さりそうなくらい」

「撫でたこと、あるんですか……?」

「ちょっとだけね」

 

不思議そうな顔をするココナちゃんにウインクをしたあたりで、それぞれのコップを給湯室に戻したイブキとソラのふたりがこちらへやってくる。

 

チラリと彼の方を見ると、またなんとも言えない顔でチェリノの勧誘をそれとなく断り続けているネライの姿が。

 

そろそろ助け舟を出してあげよう。この後のスケジュールは確か─────。

 

「─────よし、これから周辺の見回りがあるからみんなで行こうか!」

「そうか、なら……」

「イブキ、行きまーす!」

「私もご一緒しますね」

「うむ、おいらも行こう!」

「私はバイトが……」

「気にするな。そのためにセルフレジを導入したんだからな」

「……な、なら、私もぉ……」

 

そっとネライの左手を握るソラ。その逆の手をイブキが引っ張るとどんどんと歩き出していってしまう。

 

目的地も何も知らないはず、そんな3人の後ろを私はココナちゃんとチェリノと一緒に歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『─────次のニュースです』

「あれ、お姉ちゃんニュースなんかみてるの?」

「うん。ちょっとネタになるものがないかなぁって」

「珍しいね」

「なにおぅ!」

 

珍しくゲームではなくクロノスのニュース番組が流れる部室のテレビ。その前で頭を抱えているお姉ちゃんがいた。

 

どうせネタなんて見つからないだろうな。そんなことを思いつつ、お姉ちゃんの横に座ってテレビを見る。

 

『先程、ヴァルキューレ警察学園への通報が相次ぎ、1人の生徒が逮捕されました』

「へぇ」

「通報されるとか何したんだろ」

「……露出とか?」

「ネライじゃん」

「あれ、脱ぎたくて脱いでるんじゃないけど……」

『通報により児童誘拐罪で逮捕されたのはミレニアムサイエンススクール1年、鷹目ネライ容疑者。本日未明、他校籍の女児複数名を誘拐していたとされています』

「─────ネライじゃん!?」

「─────ネライだ!?」

『容疑者は先生を呼んでくれ、と繰り返し主張しているとのことで、現在も容疑を否認しているようです』

 

まん丸に目を見開いたお姉ちゃんと顔を見合せ、そして。

 

「ついにやった!?」

「やってないし、児童誘拐ってなに!?せ、先生に連絡を─────」

 

 

 

 

 

 





ネライ:当番できてた。この後先生とユウカが迎えに来た。
ソラ:バイト。何故か色々してくれるネライに困惑してる。
イブキ:おつかい。このあと万魔殿のみんなにめちゃくちゃ心配される。
ココナ:ちゃんづけ。梅花園(?)の教官なんですけど!
チェリノ:遊びに来た。風呂上がりのコーヒー牛乳係に来い!
先生:この後ネライを迎えに行った。めちゃくちゃ謝った。
キリノ&フブキ:通報受けてネライを捕まえた。デッカこっわ……いや優しいんかい!ってなった。
児童誘拐罪:キヴォトスにおける未成年誘拐罪。ユウカはまだ捕まったことがない。
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