ミレニアム・ピンクアーカイブ   作:ウサギの化身

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まさかのコラボ2話目なり。

ガガミラノさんまぢ感謝♡


コラボ:白い彼女は微笑んで──

 

 

「─────ぶっちゃけさぁ」

 

コントローラーを操作する手が止まり、視線がポーズ画面からソファに腰掛けぼんやりと天井を仰ぐモモイに向けられる。

 

隣で一緒にプレイしたいたミドリも、モモイの横で携帯ゲーム機に夢中になっていたアリスも。そしてロッカーからひょっこりと顔を出したユズもまたモモイに視線を向けており。

 

「どうしたのお姉ちゃん。考え込むなんてらしくないよ」

「……面倒事以外で頼むぞ」

「モモイが悩むなんて珍しいですね。これは、ミレニアムにクラスター爆弾の雨が降ります!」

「……ユズ、ゲヘナの火山が噴火するって予報は出てないか?」

「トリニティのお嬢様がみんなで仲良く肩組んで踊ってるってニュースない」

「3人とも言いすぎじゃない?」

 

暑いからとハンディファンをスカートに突っ込むモモイ。こちらからパンツが見えていようがお構いなしと言った様子の彼女は、細い腿の間にハンディファンを挟んで固定すると、フリーになった手を胸の前で組み。

 

「─────ぶっちゃけ、レイナさんってえっちくない?」

「……むぅ」

「大変です!バッドステータス混乱です。モモイの気が狂いました!」

「な、何言ってるの……?」

「もうっ。わかってないなぁ、みんな!」

 

ソファの肘掛に拳を振り下ろすモモイが吠えた。

 

「いやさ、考えても見てよ!」

「………………ふむ」

「考えるも何も……」

 

静かに目を伏せるネライの横で、うんと首をひねるミドリ。しかし悩むまでもないと心に決めると、なんとも言えない顔で姉を見つめる。

 

ばたりとユズのロッカーが閉まる音を他所に、ピンとアリスが手を挙げて。

 

「はい!」

「アリスどうぞ!」

「わかりません!」

「はい次ー、ミドリ!」

「私もわかんないよ」

「ゆ、ユズは……」

「……ロッカーから、出てくる様子ないね」

 

ならば、と全員の視線が目を閉じ一言も発しないネライへと向けられる。

 

そんな視線に気がついたのか、パチリと目を開けてそっと腕を組むネライ。大きく被りを振ると。

 

「─────俺はそうは思わない」

 

はっきりと、そう言い切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────はぁ、常識的に考えてもらっていいかしら」

 

ため息混じりの凛とした声。ネライの発言に気を取られていた全員が声の主へと振り向く。

 

モモイとアリスの真ん中、部室の中心部であるソファに座っている彼女は眉をひそめ、上気した頬をそのままに。

 

本人(・・)がいる目前で、その話題を切り出すことにだれもおかしいと思わないの?」

 

頭を掻いてたははと能天気に笑うモモイ。そんな彼女をじっとりと睨みつけるのは、話題に上がった西条レイナその人で。

 

「それはそう」

「ごもっともで」

「ナマモノはダメだよお姉ちゃん」

「だから俺も配慮した」

「─────手のひら返したなぁ!」

「返すも何も、あなただけじゃないの」

「そうだそうだー」

「悪いのは全て才羽モモイだ」

「ぐぬぬぅ」

 

固く手を握ってモモイと相対するネライとミドリだが、レイナに同罪だからと切り捨てられればよよよと崩れ落ちる。

 

「当然じゃない。止めなかった時点で同罪よ」

「そんな……」

「くそっ」

「やーい、裏切られてやんのー!」

「ええい、こっちに来るな!」

「お姉ちゃんとは違うから!」

「恥ずかしがらないでよぉ〜」

 

ほんと、仲良いわね。ふたりのあいだに割って入っては左右の手でそれぞれをぎゅっと抱きしめるモモイの姿に、呆れた顔でそんな心の声をこぼすレイナ。

 

言動ではうっとおしがりつつも、そんな彼女を受け入れるネライと無邪気に抱きつくモモイ。それとなくネライと距離を近づけるミドリ。しかし、いつもならここにアリスも混ざるはず。

 

なんどか彼女のレールガンごと押しつぶされる3人の姿を見た事のあるレイナがそう疑問に思って横を見ると、そこには1人首を傾げるアリスの姿があった。

 

「……天童さん?」

「……実は、ナマモノでひとつ思い出しました」

「そんなもの、思い出さないで欲しいのだけれど……」

 

レイナの考えうる限りで最悪の返答だった。彼女まで(・・)こうだったか、ゲーム開発部は大丈夫なのだろうかと不安になる。

 

しかしそんなことは露知らず、じっとミドリを見つめるアリスは言葉を続けた。

 

「以前、ミドリとユズがネライを使って妙なシュミレーションゲームを制作して─────」

「─────うわぁぁぁぁぁ!?」

「─────だ、だめぇ!?」

 

モモイとネライを押しのけたミドリが。閉じきったロッカーを暴力的に開けたユズが。部室の外まで響いていそうな絶叫をあげる。

 

尻もちを着いたままきょとんとするネライだが、その股座に収まったモモイはこれは面白いと笑い。

 

「アリスぅ、どんなゲームだったの?」

「ちょ、お姉ちゃ─────」

「才羽ミドリさん、面白そうだから聞かせて頂戴」

「なんで乗り気なんですかぁ!」

「……確か、以前ネライのプレイしていた“ギャルゲー”と同じ形式のゲームで」

「ほほぉう」

「だめ、ほんとに、だめっ」

「何故かどんどんとネライが服を脱いで、最後には─────」

 

ぼふんとアリスの顔にクッションが直撃する。ユズがロッカーから取り出したものを投げつけたのだ。

 

すかさずアリスに詰め寄り口を塞ぐミドリだが、既に露出を防ぐべき情報は漏れ出したあとなのであって。

 

「─────いっそ、殺して……っ!」

「─────もうむり、ロッカーからでないから……っ!」

「ミドリ?ユズ?どうしたのですか?」

「ぷっ、ふふっ、あっはは─────」

「……俺はコラボでもゲームでも脱がされるのか」

「相変わらずね」

 

未だにネライの上にいるモモイの笑い声に、クッションへ顔を埋めたミドリの呻き声。ロッカーに引きこもるユズを見て不思議そうに首を傾げながらも固く閉ざされた扉をこじ開けようとするアリス。

 

そして恐らくゲームの趣旨を理解していないネライはただ一人、膝の上のモモイを気にもかけず、自身と全裸の関係性について肩を落としていた。

 

しかし、それならばと膝を打って起き上がったミドリはびしりとモモイを指さして。

 

「レイナさんとネライの恋愛もの作ろうとしてたんだっけ。ねぇ、お姉ちゃんっ!」

「ぶっふ」

 

吹き出し、そしてネライの膝から吹き飛ぶモモイ。相変わらず惚けたままのネライは他所に、それをクリティカルだと確信したミドリが立て続けに責めあがる。

 

「どうせえっちな展開にしたんでしょ!」

「し、してないしっ」

「嘘だ!ネライの前腕さわったり、腹筋まさぐったりするんでしょ!?」

「……し、してないよ?」

「それに、チクビつねらて喘いだり、バックでパンパンされたりするんだ!レイナさんに理解らせられるんだ!」

「それはないかな、趣味じゃないし。……ってか、それはこっち(・・・)のアビドススナオオカミじゃん!」

「おい、急にメタいぞ」

「挙句の果てに脱げって命令されたネライがいやいや脱がされてっ!」

「それも大丈夫。いやいやじゃなくて嬉々として脱ぎに行く展開に……」

「それはそれでダメぇ!」

「面倒臭いなぁこの妹!」

 

あまりの圧に後ずさる姉を、詰め寄ったミドリは逃がすことなく追い詰める。

 

そんなふたりに、ネライが咳払いをひとつ。

 

「─────お前ら」

「ね、ネライもなんか言うの!?文句あるのかこらぁ!」

「逆ギレ始めたじゃないの」

「ほらっ、ネライも言ってやって!」

「そうだな……」

「ガツンといっぱつ、いっちゃえ!」

「誰が嬉々として脱ぐか─────っ!」

「いや、そこじゃないでしょうに」

 

ミドリの声を受けて立ち上がったネライの虚しい叫びは、しかしレイナの一言にあっさり消えた。

 

しょんぼりと肩をすぼめるネライを他所にどんどんとヒートアップしていく姉妹は、ついにロッカーから出たところをアリスに確保されたユズを巻き込んでさらに盛り上がっていく。

 

「だいったい、実際にゲーム作ったミドリとユズはアウトでも、私はシナリオだけだからセーフだもん!」

「作ったって言っても私たちだけの秘密だからセーフ!」

「そ、そうだそうだ……っ」

「はぁー?聞いたよぉ?ユウカと内通して予算出してもらったんだってぇ?」

「え」

「……なんで、それを」

「マキが部屋に盗聴器仕掛けてコタマ先輩が音とって、エンジニア部のみんなと人口音声作ってフルボイスに、だっけぇ?」

「ちっ、ちがっ」

「ちょ、情報漏らしたのだれ!?」

「─────ん、この間マキが俺の部屋に上がり込んできたのはそれが理由なのか……?」

「この状況で気にするのはそこなの……?」

 

盛り上がる全員を横に、相変わらずのズレた発言。いよいよ収集のつかなくなってきたゲーム開発部の部室で、アリスは声を張り上げた。

 

「─────注!!もおおおおおおく!!」

「うるさっ」

「えっなにっ……?なんでピ○シス司令……?」

「この間アニメ見てたからじゃないかなぁ」

「突然どうした、アリス」

 

ソファから立って仁王立ち。腕を組んでどんと構えたままアリスはカット目を見開き。

 

「アリスにいい考えがあります」

「うーん、ダメそう」

「聞いてください、モモイ!」

「へぇい」

 

話の腰を折るモモイを注意して声真似のかわいい咳払い。残った全員が顔を見合わせる中、アリスは意気揚々と不敵に笑った。

 

「─────みんなで、ネライとレイナのえっちなゲームを作ればいいんです!」

「─────ミレニアムを地獄にするつもりなのかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に敵わんな」

「そうね」

 

痛む頭を教えると、横でいつもより疲れた声の彼女が微かに笑う。

 

「楽しいけれど、私には少し騒がしすぎるみたい」

「疲れたか」

「えぇ、とてもね」

 

なら今夜はぐっすりだ。そういうと彼女はおかげさまでと返して小さく肩をすくめる。

 

「それにしても、本当にあなたは好かれているのね。シュミレーションゲームを作られるのなんてよっぽどよ?」

「どうだかな。多方、面白がっているだけだろう。それに男物はキヴォトスでよく売れるからな。実績作りにもちょうどいい」

「そういうものかしら」

「そういうものだろう」

「……クソボケも、程々にね」

「なぜ今口撃を……?」

 

実際、以前に俺をモデルにしたキャラの乙女ゲームを作成したところ、意外なことにミレニアム外にもそこそこ売れたのだから驚きだ。

 

見知った顔から新規のプレイヤーまでそれなりのファンを獲得するにいたったそれを、再び俺で再現するつもりだったのだろうか。それならば盗聴なんてせずとも声優ぐらい引き受けるというのに。

 

「多分、またズレたこと考えているわ」

「……そうか?」

「えぇ、顔でわかるのよ」

 

そう言われると、彼女も俺たちに馴染んできたのかとすこし嬉しくなる。だがそんな俺の反応はやはり何か違うようで、呆れたと言わんばかりに大きなため息をひとつ。

 

しばらくの無言。先生のいるというセミナーの元へと共に向かっている俺たちは、広いミレニアムの廊下を並んで歩いていた。

 

「─────そういえば、ひとつ聞かなければ行けないことがあったわね」

「む」

 

手を打つ彼女の方を見ると、彼女もまた妖しい笑顔でこちらを見上げていて。

 

「あなた、さっき“私がいるから配慮した”って言っていたわよね」

「……そう、だったか」

「言ったのよ」

 

断言されれば、言った気がするとしか言いようがない。おそらくはモモイがレイナさんをそういう目(・・・・・)で見るかどうかと話題にした時。面倒な、と思わずこぼしかける。

 

「それが、どうかしたのか」

「えぇ。実際はどう思っているのか、聞かせてもらえるかしら?」

「………………」

 

─────言えるわけがねぇ……っ!

 

シンプルに顔がいい。ドレスの胸元に視線が行かないように必死だ。風にたなびくスカートやおしりのラインが気になる。あげればキリがないのだから。

 

だが、俺はそれをオープンにすることのない紳士だ。少なくとも俺はそう思っている。そう、俺はそういった切り替えのできる男なのだから─────。

 

「いつも胸をよく見てるから、少し気になっていたのよ」

「………………」

「あと、おしりも結構見ているでしょ?」

「………………」

「気がつくものよ」

 

崩れようとする膝を奮い立たせて何とか堪える。

 

バレていた。それも、よく(・・)と言われるレベルで。思わぬ羞恥に顔が熱を持った。

 

そっと横を見る。彼女は前を向いていて、上からだと髪もあってその表情を伺うことは出来なかった。

 

「その、ごめんなさい」

 

不快だっただろうか。当たり前だ。無意識に見てしまうものとはいえ気分の良いものではないだろう。

 

少し前にパンツを脱いでハンディファンを股間に当て始めたモモイや胸元の緩いミドリ。そういった目で見ることの無いという前提はあるが、ゲーム開発部の面々とは違って彼女はそこら辺しっかりした人なのだから。

 

「気にしなくてもいいわ。あなたもしっかり男の子だった。それだけのことでしょう?」

「的確に羞恥が刺激される……っ!」

 

立ち止まって思わず顔を覆う俺に、少し前を歩きだした彼女は振り返ることなく、そしてどこか優しさの感じる声で。

 

「でも、まぁ。悪い気はしないわね」

「……ん?」

「見るくらいなら構わないわ。だって、そういうもの(・・・・・・)なんでしょう?」

「そう言われると非常に困る……っ!」

 

白い髪と黒いリボンを揺らす彼女は、しかし振り返ることなく前だけを見てどんどんと歩いていく。

 

「流石に触るのはNGね」

「当たり前だ。……流石に、突っ込みすぎだろ……」

「突っ込むだなんて、それこそダメに決まっているでしょう。ケダモノにでもなるつもり?」

「随分とこっち(・・・)に染まってないか……?」

「そういうものよ」

「そういうものなのか……。初めてだからわからん……」

「なら、初めてのお相手は私ってことね」

「……本当に大丈夫か……?」

 

彼女の背を追って歩くが、しかし彼女はすぐそこで立ち止まる。

 

向けられる視線は窓の外。エンジニア部の爆発に巻き込まれて少し焦げたトピアリーのそれらを眺めて微笑み、そっとこちらを流し見る。

 

綺麗な横顔だ。後ろで手を組む彼女は、長く続く廊下の中で1枚の絵のようにも見えて、俺の視線を逸らさせないものだ。

 

「……本当に、楽しかったわ」

「そうか。なら良かった」

「えぇ、満足だもの」

 

ふわりと微笑んだ彼女が、くるりと背を向け前を向いて歩き出す。その先、少し離れたところで、先生がユウカさんとノアさんを連れ添って歩いているのが見える。

 

また来てくれるだろうか。次は、先生も一緒にみんなでゲームをしよう。そうだ、お菓子も沢山用意しよう。レイナさんはどんなお菓子が好きなのだろうか。やはり甘いものか。

 

3人に向けて優雅にカーテシーをとる西条レイナの背に、俺は賑やかなまた会う日(・・・・・)を思い浮かべ1人笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 





と、言うわけでコラボ2話目でした。レイナちゃんのエミュ、相変わらず上手くできているといいのですが……。

“ゲマトリア所属生徒『西条レイナ』”の方でもミレニアムピンクコラボを制作して頂けたので、みなさんそちらもよろしくお願いします♡

改めてガガミラノさん。お誘いありがとうございました!

ゲマトリア所属生徒『西条レイナ』はこちらから。
https://syosetu.org/novel/386119/




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