ミレニアム・ピンクアーカイブ   作:ウサギの化身

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サブタイトル通り、ゲストが登場します!さて、誰でしょうか!


スペシャルゲストのしろモップです!

 

「こねこ」

「─────かわいい」

 

脳裏に浮かぶのは先日ネライが拾った白い子猫。手を叩く音が2回響き、全員の視線が私からお姉ちゃんへと移る。

 

「ことり」

「─────かわいい」

「り、りゅう……?」

「─────かわいい」

 

お姉ちゃんが続き、2回。ユズが続いて、また2回。リズムに乗って全員が手を打ち鳴らし、そして視線がネライへ集まった。

 

かわいいものしりとり。どこかの闇金漫画からお姉ちゃんが引っ張ってきたそれは、特に内容のない今日の開発予定を明日に回して楽しむことになったのだ。

 

「─────ウェーブキャット」

「かわ、いい?」

「かわいくない!」

「う、うぅん……」

「なんでだ」

 

ドヤりと笑うネライがウェーブキャットと言うと、揃って全員が首を傾げる。ももフレンズに出てくるいやに伸びた体が特徴的なネコのキャラクター。少し前からそのキャラクターに興味を持ちたびめていたネライだったが、その感性はなんとも理解し難いもので。

 

かわいくない。その言葉が出たということはネライの負け。いつものように罰ゲームだ。

 

「はい、じゃあネライが罰ゲームね」

「仕方ないか……」

 

横に置いていたひとつの箱をすっと差し出す。大きな丸の開けられたダンボールの簡素なそれは、少し前に作った罰ゲームボックス。

 

ネライが中に手を入れると、いくつかの小さな紙に触れる感覚があり、そのうちのひとつをとって掴むと手を引き抜いた。

 

「何が出るかなぁ。ハバネロ?」

「本家はハバネロ一気飲みだよね」

「ハバネロなんてあるのか?」

「ユズが通販で取り寄せてくれてるはず」

「……ごめんね。これ、デスソースだった」

「ガチじゃんっ。初めて見た……」

「当たったら死ぬだろ、それ……っ!」

 

閉じられたままのそれを手にするネライ。ユズの持つデスソースと私の用意したジョッキが顔へと迫る中、お姉ちゃんの下手くそなドラムロールのボイスパーカッションが部室に木霊する。

 

「でれれれれれ─────」

「ええい、まだ決まった訳ではないぞ!」

「れれれ─────」

「でも12枚中9枚はイッキだし……」

「……何?」

「ね、ネライくん以外はみんなこれだから……」

「れれれ─────」

「謀ったな……っ!」

「ご、ごめんね」

「でもその方が面白いってお姉ちゃんが」

「─────疲れてきた。早くしてよぉ」

「あぁ、そうだな」

 

確かにあまり長引かせるのも無粋だ。ここは男らしく、バッチリ決めてやろうじゃないか。そんなことでも考えているのだろうか。

 

ぐっと拳を握る彼は、ついに閉じられた紙の両端に手をかけて一気に─────。

 

「─────ぱんぱかぱーん!」

 

─────刹那、元気なアリスの声と共に部室のドアが勢いよく開かれた。

 

エンジニア部によって強化されている対アリス用ドアが耐用年数を待たずして再び壊れ始めたのではないかという私の心配を他所に、腰に手を当て胸を張る彼女は。

 

「今日はスペシャルなゲストを連れてきました!」

 

ぽかんと固まる全員を見渡し、そう笑う。

 

「─────スペシャルゲスト?」

「はい。シャーレで仲間になりました!」

「シャーレで」

 

イマイチ要領を得ないアリスちゃんの言葉に、はてと首を傾げるお姉ちゃん。

 

しれっとくじを開いて中身を確認していたネライ。既にデスソースの封を開け始めたユズちゃんとツッコミどころしかないこの状況に押し黙る私も同様で。

 

しかし暫くするとそれぞれが手を止めて顔を見合せ、いったい誰だと打ち合わせ始めた。

 

「シャーレってことは、先生じゃないの?」

「今日な土曜だ。先生も仕事で忙しいはず」

「……土曜って休みじゃ」

「やめてやれ」

「意外と先生の所に遊びに行ってたトキかも」

「それスペシャルじゃなくて恒常じゃーん」

「うちにもシャーレにも入り浸ってるもんね」

「先生とトキ。残念、不正解です」

「えー……」

「じゃあ、誰……?」

「ふっふっふっ。早速登場してもらいましょう!」

 

大袈裟にコートの裾を払ったアリスちゃん。誰だ誰だと注目するドアの向こう、アリスちゃんの背後、外から出てきた小さな人影が横切り、そしてひょこりと隠れた。

 

一瞬見えたのは凄まじい毛量の白い髪に紫の制服。そして、左右に広がる黒い翼。

 

─────えぇ。

 

「─────それではっ」

「─────うーん、もう見えてるっ!」

「も、毛量がすごすぎて隠れきれてない……っ!?」

「アリスの両サイドから髪の毛がこんにちはしてるじゃん!」

「でてるよ、アリスちゃん……」

「そ、そんなっ!」

 

慌てるアリスちゃんだが時すでに遅し。そしてひょっこりと顔を出した彼女は、やはりこれまでの要素から思い当たる人で。

 

「……と、言うことでスペシャルゲストの空崎ヒナです!」

「─────どうも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────久しぶりね」

 

─────空崎ヒナ。ゲヘナ学園の風紀委員長。キヴォトスにおける最強格の1人。こうして顔を合わせるのは、先生に頼まれて参加した何時ぞやの遊園地での作戦以来だろうか。

 

そんな彼女がゲーム開発部の部室に来て、緩く腕を組み、しかし少し居心地が悪そうに全員から視線を逸らす。

 

「ど、どうもぉ……っ!」

「風紀委員長さんじゃんっ、おひさ!」

「軽いってお姉ちゃん。お、お久しぶりです」

「……えぇ」

 

わたわたとロッカーへと身を隠すユズを見送り、いつものようにラフに話しかけるモモイをミドリが静止する。

 

それに対する空崎委員長の横顔はというと。

 

─────なんか、居づらそうだな。

 

「お久しぶりです。空崎委員長」

「─────っ、えぇ、久しぶり、ね」

 

なぜかと思って声をかけると、一瞬こちらを見た彼女。しかし彼女の目線はすぐさま右へと向けられて、やがてプルプルと肩を小刻みに許し始めた。

 

─────いったい、どうしたのだろうか。

 

シワにならないよう、脱いだシャツ(・・・・・・)をしっかりと畳んで部室の隅の椅子へと置く。

 

「アリス、空崎委員長はどうしてここに」

「それはアリスと先生との約束なので話せません!」

「……当番だったのだけれど、先生から休んで遊びにいけって……」

「言ってしまうんですか!?」

「別に、隠し立てすることはないでしょう」

 

─────そういえば、随分と忙しいらしいな。

 

よく見れば薄い化粧の下にはクマが見て取れた。ゲヘナ学園の風紀委員長。委員会の圧倒的強者にしてワンマンアーミー。不良の蔓延るゲヘナ学園において、休む暇もなくその制圧に赴いていると聞く。ましてや日の睡眠時間は3時間を下回るという話すらも。

 

─────それで、ゲーム開発部か。

 

「そういうことか。俺が言うことでもないが、ぜひゆっくりしていってくれ」

「……え、えぇ」

 

騒がしいが故にゆっくり出来るかはわからないが、息抜きや気分転換には役立てるはずだ。

 

チラリと俺の使っている棚に目をやると、そこにはまだまだ潤沢な在庫を誇るお菓子に缶ジュースたち。そして恐らく冷蔵庫にも冷えに冷えた多種多様なドリンクにアイスが待っている。

 

ソファはまだ昨日ファブったばかりだし、クッション類やぬいぐるみ、ブランケットも選択したばかり。それなりにはくつろげる空間になっているはずだ。

 

「んー、じゃあ、とりあえずゲームやる?」

「だな」

「ならテレビ使うやつやろう」

「私が選ぶからね!」

「アリス、冷蔵庫から飲み物を頼めるか。空崎委員長は」

「なんでもいいわ」

「かしこまりました!」

「空崎委員長、ソファにどうぞ」

「わ、わかった」

 

それぞれが動き出す中、そっと彼女に歩み寄ってその背中を軽く押す。モモイとミドリと変わらない背丈に華奢な手足だ。これで学園最強を張っているのかと不思議に思う。

 

─────ネル先輩やホシノさんのことを考えるとそうでも無いのか……?

 

翼を小さく畳んだ彼女は俺の手に押されるまま、すこし拙い足取りで散乱するコードと誰かの靴下が落ちた部室を歩き出す。そして部室の中心にある5人がけの大きなソファの真ん中へと腰を下ろした。

 

「………………」

「ねー何やるー?金鉄(金太郎電鉄)100年耐久?」

「100年耐久じゃないならさんせー」

「アリスがジュースを持ってきました!モモイのコーラと、ミドリのゴゼティー(午前の紅茶)をどうぞ!」

「ありがとー、アリスっ」

「ありがとね」

「ネライはジンジャーエールですね」

「あぁ、助かる」

 

どさり、と空崎委員長の横にアリスが座る。この1年でクタりはじめたソファのクッションは少し重たいアリスの方へと深く沈み、空崎委員長の身体がアリスの方へと微かにもたれ掛かる。

 

「アリスはヒナ先輩の隣を確保しました!ふわふわです!」

「ふふっ。くすぐったいわ」

「なら、俺はその隣だな」

「わっ」

「すまんな」

 

続いて空崎委員長の隣へ腰掛けると、今度はその沈みで驚いた声をあげる彼女の肩がこてりと腕に当たる。

 

そしてそそくさと姿勢を正す彼女の目の前に、アリスがそっとジョッキを差し出した。なみなみと真っ赤な液体の注がれたジョッキだ。

 

「─────そして、ヒナ先輩にはこのゲスト用スペシャルドリンクをどうぞ!」

「……随分と、赤いわね……」

「ゲーム前にグビっとどうぞ!」

「なんだか、目が痛くなってきたような……」

「ん……?」

 

真っ赤な液体にグラス。なにか引っかかるなと内心首を傾げ、すぐさまあっと気がついた。振り返って見てみると、ミドリとユズが先程まで持っていて、それでいて隅の机に乗せた物がそれぞれ消えていて。

 

「─────いや待て……っ」

「─────飲んじゃだめぇ!?」

「えっ」

「ん?あー!アリス、それさっきのデスソースじゃん!」

「ダメだよアリスちゃんっ、そんなのお客さんに出したらっ」

「飲ませていいのはネライとお姉ちゃんくらいだよ!?」

「よくない……っ」

「よくないよミドリ!」

「……えぇ」

 

俺とモモイの声に、ミドリが聞こえないよと笑いながらそっぽを向く。しかし流石のアリスも冗談だったようで、デスソースジョッキを俺に手渡すと、スカートのポケットからエナジードリンクを取り出した。

 

「ヒナ先輩にはこれを!」

「ありがとう。これ、よく飲むわ」

「そうなのですか?私たちは徹夜でゲームをする時によく飲むんです!」

「……えぇ、徹夜。私は徹夜で仕事をする時に飲むの」

「そ、そうなんですか……」

 

笑いかけたアリスに向けて微笑む彼女だが、その実背中には重く暗いオーラを纏っていて、俺も思わず気圧される。

 

だがやがてテレビとゲームのセットを完了したモモイとミドリがソファにやって来て、それぞれの手にコントローラーをもってやってきた。

 

「じゃあやろっか!」

「4人プレーだけど、誰からやる?」

「空崎委員長、金鉄をやったことは?」

「……ないわね。そもそも、ゲームはそこまで……」

「なら、3人と俺と空崎委員長ペアでやろう」

「いいねぇ」

「アリスちゃん、横座るね」

「どうぞ!」

 

モモイから受け取ったコントローラーを空崎委員長に手渡した。小さくて白くて、しかしミドリやモモイとは違うなんだか少し大人っぽい細くて綺麗な指が、少しポテチの油っけの乗った白いコントローラーを不慣れに触る。

 

その向こうでアリスの横に座ったミドリを見て、そして彼女専用のピンクのコントローラーを手にしたモモイが俺の隣に飛び込んだ。

 

「なら、私はここー!」

「うおっ」

「きゃっ」

 

モモイの体が左腕に辺り、逆の方が空崎委員長を軽く押す。そしてその衝撃は、左手に持ったデスソースジョッキをたしかに揺らし。

 

─────飛び散った数滴が、むき出しの乳首を襲った。

 

「あっ─────つい……っ!」

「あ、ごめーん」

「うっ、ぐっ、いてっ、あっつ……っ!」

 

乳首から脳へと伝わる凄まじい痛みと熱。思わず大きく捩りそうになる身体を必死に堪え、固く拳を握って大粒の涙を何個か垂らす。

 

「ちょ、大丈夫?」

「大丈─────ぶじゃない。ヤバい」

「うわー、左乳首真っ赤じゃん。ティッシュいる?」

「優しく、拭いてくれっ」

「ふぅ〜」

「─────んっ」

「喘ぐな。はーい、アリスちゃんは見ちゃダメだよー」

「なんでですか?」

「なんでもだよ」

 

袖で乳首のデスソースを擦りとり、そっと息を吹きかけるモモイ。不思議そうに首を傾げるアリスと呆れた様子で彼女の目元を隠すミドリ。

 

不安そうにロッカーから顔を覗かせるユズだったが、そんな俺を見て吠えた空崎委員長に驚き顔を引っ込める。何かと思って空崎委員長を見ると、白い肌を真っ赤に染めた彼女は、先程までと違い真っ直ぐ俺の瞳を睨みつけていて。

 

「─────なんであなた、ずっと上裸なの……っ!」

「罰ゲームだ」

「え、なんの?」

「さっきのだ。紙に書かれていたのは、俺の書いた“脱衣”だったからな─────っ!」

「それ、私たちの誰かに当たったらどうするつもりだったの!?」

「気にするな。どうせ俺が負けていた!」

「開き直った!」

「開き直るな!」

「─────罰ゲームだからって普通は脱がないでしょう!?」

「脱ぐぞ。なにせ、罰ゲームだからな」

「いじめじゃないでしょうね……?」

「ちがうぞ」

「違いますよ!?」

 

─────ままならんな。

 

彼女の楽しめる空間をと思ったのだが、どうにもそうはいかないようで(原因は彼です)

 

忌々しいジョッキを片手に、俺は1人天井を見上げた。

 

 

 

 

 

 






というわけでヒナちゃんでした!かわいいですね!

評価、感想、お気に入りありがとうございます!もっとください!(貪欲)

星9が100人行ったら頑張ってるR-18投稿したい(!?)
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