星9が100人超えたのでR-18投稿しました。えちなの初心者なんで甘めに評価ください♡
よかったらこれ読んだら次に読んでくださいね♡リンクは……流石にアウトそうだから貼れないかも……。
というわけで本編どうぞ!
「─────と、言うわけでだ」
ゲーム開発部、部室。ひとつの台の上に、私は立たされていた。
横に立つのは鷹目ネライ。台に上がっても更に見上げるほど大きな彼は、ひとつのタスキを手にしている。
「部長のユズに代わって、空崎ヒナさんに“ゲーム開発部名誉部員”の称号を授与する」
頭髪と角をさけるようにして肩にかけられる大きなタスキ。ゲーム開発部名誉部員と書かれたそれは、彼女達の手作りだ。
ことりと小さく音を立てるロッカー。そしてモモイとミドリの双子がにこにこと笑い、その横でアリスが瞳を輝かせている。
「よっ、新部員大歓迎っ。よろしくねー」
「改めて、よろしくお願いします」
「えぇ、よろしく」
「ヒナさん、その衣装も似合ってます!」
「そうかしら……?」
アリスの言葉に袖を見る。見慣れた紺色のそれではなく、真っ白な、それも生地の薄いワイシャツ。スカートもサイドスリットのないノーマルなもので、その下のタイツとブーツもシンプルなデザインのものになっている。
そしてなにより上に羽織るコート。いつもの重苦しいブラックのコートとは真逆の、羽のように軽い純白のものになっている。普段から着る分にも、どころか仕事に着るにしてもいい服だ。
「凄くかっこいいです!」
「ふふっ。悪くないわね」
「ヒナさんのミレニアム制服!完璧じゃない!?」
「デザインは私が担当しました」
「流石にマイシスター」
どこからか取り出したサングラスを装着し、グッドサインを送るミドリがニヒルに笑う。そんな彼女をモモイとアリスが抱きしめた。
似合っているぞと笑う彼。それにしてたって、よくもまあ仕立てあげたものだ。まだ私が来て半日、夕方にだってなってない。そんな短時間で、見るからにワンオフの制服を仕立てあげるとは。
「……これも、ミレニアムの技術力なのかしら?」
「そうだ。エンジニア部に相談したらオートクチュール部に話を通してくれてな」
「オート、クチュール部?」
「制服の改造許可を正式にミレニアムから発行されている部活の一つでな、特にこういったオーダーメイド品に強いんだ」
「制服の改造なんて入学してすぐにしかみんなやんないし、結構高いから今は閑散期なんだよねぇ」
「言ってやるな」
だがその分早く仕上がった。そう笑う彼だが、それにしたって普通じゃない。仕様書に目を通しているだけでも、その機能性の高さに驚かされる。
だが、彼ら彼女らの様子を見ていると、本当にこれが当たり前なのだろう。
「……ん、今結構高いって」
「あー、気にしないで。私たちからのプレゼントだから!」
「一銭も出してないお姉ちゃんがそれ言う?」
「んぐっ。み、ミドリだってそうじゃんか!」
「だって……」
「お金は全部ネライが出してくれました。なのでヒナさんは気にしないでください」
「全部……」
「気にするな。金には困っていないからな」
けろりとそう言う彼だが、だからといって一方的に奢られるのもなんだか癪だった。
「もう払ったんだ。気にするな」
「なら、先生経由でいいから領収書をゲヘナ学園風紀委員会宛に送ってちょうだい。“万魔殿”にはバレないよう、上手くやっておくから」
「知らん。絶対送らん」
「送って」
「やだ」
「送りなさい」
「やだ……っ」
胸の前で腕を組み、ふんと顔を逸らす彼。少しむっとなる私に、3人が微笑ましそうにしていて。
「そうなったネライは頑固でめんどくさいぞぉ〜」
「年上の美人なお姉さんにカッコつけたいばっかだもんね」
「はい。ネライは随分と張り切ってました」
「うるさいぞお前ら─────」
「…………そう」
3人の言葉に、もう一度彼を見上げる。
日に焼けていてわかりにくいが、頬と耳が微かに赤くなっているように見えて。そう思うと、意固地な彼の行動が照れ隠しのようにも思えてきて。
「─────ふふっ」
「……何を笑うことがある」
「いえ、なんでもないわ」
「……?」
段々と、この大きな後輩が可愛く見えてきた。
△
「─────先生!」
耳障りな音を立てて無理やり開かれる電動ドアのアラートが、シャーレ執務室に響き渡る。
何事か。そんな心境を他所にすぐさま身体は反応する。長時間のデスクワークに訛った身体を解す暇もなく、タブレットを手に椅子から立ち上がった。
「先生!」
「……アコ!?」
ずんずんと足を鳴らして歩くのは、青い髪と特徴的な服装をした1人の生徒。顔なじみになりつつある、ゲヘナ学園風紀委員会でナンバー2を務める行政官の甘雨アコだ。
なんで、どうして。随分と憤った様子の彼女は鼻の穴をかっぴらき、歩み寄るその勢いで執務室の机を叩く。
「先生、どうなっているんですか!?」
「……なにが?」
ばるん。大きく揺れる胸から視線をずらすと、そこにくっきりとクマを作ったアコの顔。
「─────どうしたの!?」
「どうしたもこうしたもありません!」
どこからか取り出されたアコのタブレットが私の目の前に差し出される。そこにはSNSや掲示板の書き込みがいくつかをピックアップして表示されており。
そして、真ん中に大きく表示されるのは定期新聞“週刊万魔殿”という生徒会発行の新聞のとある見出し。
「なになに。空崎ヒナ、失踪。3日も戻らず……?」
ほうほう、ヒナが3日も。ならアコのクマは忙しさから来るものなのだろうか。
「大変だね……?」
「ええ、それはもう大変ですよ!土曜日はまだいいです。しかし昨日、日曜日ですよ!ヒナ委員長がいない事に気がついた連中があっちこっちでどんちゃん騒ぎ……っ!」
「おつかれさま」
「はぁ!?」
派手に髪を掻きむしるアコ。余程疲れているようだ。しかし、3日前。今は月曜日だから、土曜日から姿を見せていないという訳か。
何かあったのかな。一瞬そう思い、踏みとどまる。はて、なにか引っかかるような─────。
「─────ん?」
「あーもう!土曜日!ヒナ委員長は!シャーレ当番だったんですよ!?」
「当番……?」
あっと思い出した。そうだ。あの日朝早くにシャーレに現れたヒナが酷く淀んだ目をしていて。そしてその直後、たまたま遊びに来たアリスを見て閃いた私は─────。
『ヒナ、アリスと一緒にゲーム開発部に行ってみたら?きっといい気分転換になるよ』
『えっ』
『ナイスアイデアです、先生!』
『でも、お仕事は……』
『気にしないで。慣れてるから!アリスも、ヒナと遊びたいでしょ?』
『はい。アリスはヒナさんと仲良くなりたいです!』
『じゃあ、決まりだね!』
『決まりなの……?』
─────そうだ。
「思い出しましたか!?」
「ヒナは、ヒナは」
「どこですか。どこにいるんですかヒナ委員長は!」
「─────ゲーム開発部に、いる」
「ゲーム、開発部?」
すぐさまネライに送ったモモトーク、30秒ほどで既読が着き、帰ってき返答はひと言。
─────ヒナ様なら俺の膝の上に。
△
「ヒナ委員長!」
音を立て勢いよく開けられた扉。息付く暇もなく、アコの足元に1発の銃弾が撃ち込まれる。
「ひぃ!?」
「─────誰だ」
思わず後ずさるアコとその背後から入室しようとする私に、室内から声がかけられる。キヴォトスに余りいない低い声、ネライの声だ。
「やっほ。ネライ」
「先生か」
薄暗い部室。見ると彼は向こう側を向いてソファに座っていた。そこから振り向いてリボルバーを放ったのだ。
その左右には金髪に色違いの猫耳ヘッドホン。モモイとミドリがそれぞれ彼の肩に頭を乗せている。そんなモモイの隣にはアリスの頭が、ミドリの隣にはケイの頭が見えており。
しかし、ヒナの姿は見えなかった。
「ヒナ委員長は!?」
「見ての通り、みんな寝ている。静かにできるか?」
「振り向きざまにリボルバーぶっぱなしておいて何を……っ」
「まぁまぁ、アコ。落ち着いて」
「ですが」
「いいから」
「……はい」
随分と立て付けの悪いドアを音に気をつけながら閉め、肩を落とすアコと一緒に中へと入る。相変わらず、足の踏み場に困る部室だ。
「こんなゴミ屋敷みたいなところにヒナ委員長を送るだなんて、何を考えているんですか先生!」
「なにがゴミ屋敷だ。これでも宝の山だぞ」
「整理整頓されていない時点でゴミじゃないですか?」
「なら、その整理整頓された環境より、ゴミ屋敷な方が余程居心地が良いらしいぞ」
「はぁ!?何を根拠にそんなことを!」
激昂するアコ。しかし至って冷静な彼はほらと自身の膝元を指さす。不思議に思ってソファの全面に回ってみると。
「ひゅ─────」
「アコ!?」
アコが膝から崩れ落ちた。仕方がない。この景色は、アコへのダメージがデカすぎる。
「……ネライ」
「なんだ」
「なんで、ヒナを膝の上に……?」
そう、姿の見えなかったヒナはネライの身体の影に隠れていたのだ。ネライの身体と正面向いて抱き合うような形で。
「まぁ、色々あってな……」
「何があったの……」
「色々だ」
「それでまかり通ると思ってるのかなぁ!?」
説明をそれで端折るにはすこし厳しい状況ではないのだろうか。
そして私の横で、コードにまみれた床に四つん這いになったアコが涙を流しており。
「うぅ……。うぅ……っ」
「……なんで、泣いてるんだ?」
「羨ましいんじゃない……?」
「……その人、ゲヘナの行政官だろう。なら、ヒナさんの側近じゃ」
「─────ヒナさん!?」
「むっ」
「わっ」
ネライの発言にがばりと身を起こすアコ。薄暗い中でもわかるほどに顔を赤くした彼女はネライに詰め寄ると。
「ヒナ委員長で着せ替え楽しんで!対面座位でお昼寝して!挙句の果てにヒナ委員長を下の名前で!?」
「着せ替えはまだいい。対面座位とか言うな」
「じゃあその状況はなんて説明するんですかぁ!?」
「……パンダ?」
「ぶー!可愛く言ってもダメなものはダメですからね!?」
「何がだ」
ぶるん。揺れたアコの胸に視線を座れるネライだが、珍しく今回は真剣にアコのことを見ていて。
「ヒナさん、余程疲れていたんだろう。休みは取れているのか」
「……それは」
「ここに来て、ゲームを楽しんで。しばらくしたらぐっすりだ。だから、俺は引き止めた」
「なっ。貴方が、委員長をっ」
「俺だけじゃない。モモイもミドリも。アリスもユズも。ケイや他のみんなだってそうだ」
「数を並べればなんとかなる。そんな問題じゃないんですよ!?」
ネライの眉間にシワが寄る。しかし、アコの言い分も仕方の無いものではある。現状、ゲヘナを何とかするにはヒナという存在が必要不可欠なのだから。
「だったらなんだ。死んだ目で帰ろうとする彼女をそのまま見過ごせというのか」
「ええ、そうです。なにせ貴方がたは部外者なのですから。ヒナ委員長には私が着いています」
「着いていたって、何になる!」
「何をっ!」
「─────2人とも。落ち着いて」
みんな起きちゃうよ。そう言うといつの間にか構えていた拳銃をお互いに下ろす。
だが、流石に騒ぎすぎたらしい。ネライの体に身を預けていたヒナが、目を擦りながらそっと上体を起こした。
「……ん」
「起きたか」
「……ネライ」
「おはよう。ヒナ」
「先生……」
「ヒナ委員長!」
「アコ……?」
寝ぼけ眼の彼女はネライの顔を認識し、そして気配で勘付いたように私たちへと振り返る。私を見て不思議そうに首を傾げ、そしてアコを見て。
「……やっ」
「む」
「ヒナ……委員長……?」
ヒナの顔がネライの胸へと埋まり、それを見たアコの肩がビクリと跳ねる。
「アコ。帰って」
「帰ってって。一緒に帰りましょう、ヒナ委員長」
「何を言っているの」
「何をって、それはこちらのセリフです!」
近ずくアコだが、ヒナは顔を埋めたまま動かない。それどころかネライの背へと手を回し、ぐっと身体を密着させた。
「なぁ─────」
「とにかく。私はしばらく戻らないから」
「何を言って─────」
「あぁ、そうだ。その方がいい」
ヒナが誰かに甘え、自ら抱きつく。半ば脳を焼かれ始めたアコは絶句し、しかしここで諦めてなるものかと震える膝に力を込める。
そしてそんなアコの努力を嘲笑うかのように、ネライがヒナの背に手を回し、大きな手をそっとヒナの頭を乗せた。
「今まで頼る相手も、甘える相手もいなかったんだろう。でも、ここでそんなことを気にするな」
「うん……」
「ヒナさんは、これまで頑張ってきたんだ。だから今は休憩する時」
「いっぱいがんばったの。だから、休憩……」
「そうだ。それに─────」
ネライが何かを右手に握る。タスキだろうか。シワになっていて読みにくいが、そこに書かれているのはゲーム開発部名誉部員の文字。
「ゲーム開発部の仲間を、苦しませたりはしない」
「あー……」
ネライの優しいところと言うべきか、悪いところと言うべきか。彼は、身内にとことん甘いのだ。
モモイが部費が足りずにネライの貯金を使っても、ミドリに私物を持っていかれても、アリスが不注意でネライのゲームを壊してしまっても。
コユキがネライの名前で勝手にギャンブルをしたり、参加もしていないC&Cの任務の報告書を大量に押し付けられたりしても、彼はそこまで怒らない。
それどころか、ケイの私物や私服を全て自費で購入し、ソラのセルフレジや休憩室も自費で賄い、最近だとアビドスに寄付までしているんだとか。
そんな彼の懐に、ヒナはがっつり入り込んでしまっているわけで。
「ヒナ委員長!」
「違う。ここにいるのは、ゲーム開発部の空崎ヒナだ」
「えぇ、アコ。私はゲーム開発部の空崎ヒナよ」
「ヒナ委員長!?」
「あぁ、大切な仲間だ」
「んっ、ちょっと強いわ」
「すまない」
「ヒナ委員長─────」
思わず力が入ったのか、抱きしめられてはにかむヒナから手を離すネライ。それを見て、アコが真っ白になって崩れ落ちる。
ヒナの頭をゆっくり撫でるネライだが。ともするとすっと細めた目でこちらを見て。
「先生も、ヒナさんを連れ戻そうと?」
「んー、無理強いはしないけど」
「けど、なんだ」
「ゲヘナも大変だってのは、わかってあげてね」
「……それもそうか」
気持ちよさそうに目を細めるヒナをみて一瞬微笑む彼だが、しかし瞳の奥には炎が立ち上っているようで。
「なら、まずはヒナさんを苦しめている原因を潰しに行こう」
「……え?」
△
─────あの1週間のことを、誰も忘れることは出来ない。
いつもと違う白いコートをはためかせた空崎ヒナ。これまでにないほど上機嫌なヤツは悠々と空を飛び、いつものように重機関銃で全てを木っ端微塵にしていく。
そしてそんなヤツの元に、見たことの無い1人の
高い背丈にガッチリとした体。そして、素顔を隠すシルバーの仮面に趣味の悪い赤のコート。それを見てゲスた笑いを浮かべる者もいる中、彼は動き出す。狙撃銃をもった
そんなふたりが1週間、ゲヘナ学園で暴れ回った。
たったの3日、空崎ヒナがいないと聞いて暴れ回ったヤツらは、風紀委員会と万魔殿の混成部隊を押しのけたものの、軒並みこの1週間、たったの2人によって鎮圧。
3日の自由の代償は、地獄の1週間。ゲヘナの白い悪魔に正体不明の赤い彗星の大立ち回り。それは、あの時ゲヘナにいた全員の脳裏に忘れられない悪夢として深く刻まれることとなった─────。
たくさんの星9星10ありがとうございます。まだまだ高評価待ってます♡
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