ミレニアム・ピンクアーカイブ   作:オサシミの化身

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めっちゃお気に入りと評価貰えてるのにびっくりする……。もっとほちい!


セミナーとすれ違い

 

 

─────あれから数日、私は彼に声をかけることができないでいた。それだけではなく、ノアともぎこちない状況が続いていた。

 

正直、彼とノアが付き合っているとしても、私がそれに何かを言える立場ではない。だが、どうにもモヤモヤとしたものが晴れない。

 

それどころか─────。

 

「ネライ〜」

「なんだ」

「これ、飲んでみませんか!」

「ふむ、コーラみたいな炭酸コーヒー」

「すごい名前ですよねぇ。というわけでどうぞ!」

「あぁ……。って、飲みさしじゃないか。飲めなかったんだな」

「に、にははっ」

 

─────なんでコユキと一緒なの……っ!

 

校則違反や何かしらの問題を起こした生徒を一時的に収容しておくための反省部屋。いくつかあるうちの一つに収容されている元セミナーの黒崎コユキの反省文を受け取りに訪れた。

 

本来は飾りっけのない必要最低限の生活必需品が置かれているだけのはずが、イエローとピンクで彩られた家具にそこそこ大きいテレビ、お菓子やボードゲームなど彼女の私物が持ち込まれている。

 

もはやコユキの専用ルームになっていて、コユキ自身も私室のように寛いでいることもあるほどだ。そんな部屋で、何故か2人はボードゲームをしていた。

 

「……これは、二度と飲むことはないな」

「ですよね〜」

 

ナチュラルに間接キスしてるし。

 

以前から仲がいいというのは聞いていた。あまりの問題の多さにC&Cを差し向けられる彼女だが、最近はネライが担当しているらしい。

 

そう思えば今回コユキを捕まえたのもおそらくネライなのだろう。だが脱走しないように一応様子を見に来ている。それなら自然なことだろう。

 

「それにしても暇ですね。このゲームも飽きてきましたし」

「これだけ私物があってか」

「持ち込んでるのはここで快適に暮らすためのものだけで、ほとんどのゲームとかは没収なんですよぉ」

「暮らすな。帰れ」

「帰る間もなく捕まえるんじゃないですか!おかげでこっちの方が居心地いいんですよーだ!」

「問題がおきなければ捕まえん」

「起きるんじゃなくてなっちゃう(・・・・・)んですよ〜」

「そのせいで仕事が増えては叶わん」

「頑張ってくださいねゼロフォー!」

「ふざけろ。それと、チェックだ」

「あれ、あれ。……なんでー!?」

 

どうやらひと段落したらしい。コユキの抗議する声がしつこく聞こえてくる。

 

「もうゲームは嫌になりましたー!」

「なら帰ってもいいか」

 

席を立つネライを見て、コユキはすかさずその腰に縋り付いた。

 

「だめですぅ。眠たくなってきたし、今度は一緒にお昼寝しましょうよ〜」

「自由か」

 

ネライから離れて身を翻したかと思えば、ぼふん、という音ともにコユキが上着を脱ぎ捨て、通常のものより上質なベッドに身を投げる。

 

ネライはあまりにフリーダムなコユキに溜息をつきつつ、脱ぎ捨てられたコユキの上着をハンガーに掛け、そして思案していた。

 

「お昼寝か……。悪くない」

「ですよね!」

「なら、邪魔するぞ」

「どうぞ〜」

 

そう言って、上着とネクタイを脱いで襟元を楽にしたネライとコユキが、共に布団の中へと消えていく。

 

その光景を覗くことしかできない私は、消えていく照明を見届けて、暗くなった反省部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その、ネライ?」

 

遠くに見えた長身の影についつい駆け寄り、思わず声をかける。

 

ネライは足音の時点で振り向いており、こちらを見て不思議そうに首を傾げていた。

 

「ユウカ先輩?」

「あっえっと、その」

「……何か、問題でも?」

「いや、その、そういうのじゃないというか、なんというか」

「?」

 

彼の顔を見上げて、そしてテンパる。セミナーとして用があった訳ではなく、かと言って個人的に用がある訳でもない。何せ、内心ではなぜ自分が声をかけたかわからなかったから。

 

どう見ても挙動不審であろう私を見て、彼は少し心配そうに眉を顰めた。

 

「本当にどうかしたんですか?体調が悪いとか……」

「体調は大丈夫、元気だから!」

 

─────何やってんのよ私っ。

 

思わず顔が熱くなってきた。震えそうになる足を必死にこらえ、両手を強く握りしめる。

 

─────ここで逃げてどうするの、私!

 

たまたまとはいえ、あんな光景を見てしまったのだ。ここまできて、ノアとの関係を聞かないなんてことはできやしない。覚悟を決めた。

 

「その、ネライ!」

「はい」

「ノ、ノアとは一体どういう─────」

『〜〜〜~~~~~~~♪』

「ん?」

「あっ」

 

覚悟を決めたその刹那、彼の懐からアップテンポな音楽が響いた。聞き覚えのある、彼の携帯の着信音だ。

 

「えっと」

「で、電話に出てあげて」

「……はい。ネライです。どうしました?」

 

一瞬躊躇ったが、私が電話に出るように促すとあもうもなく通話を始めた。

 

「はい、はい」

「……」

「コユキが脱走?了解です。コールサイン・ゼロフォーが行きます」

「あっ」

 

手短に電話を切り、懐へとしまった彼が再びこちらを見ている。だが、今ので全部すっこんでしまった。

 

「早くコユキのこと捕まえてきてちょうだい。反省が足りないわね、あの子は」

「はい。ですが」

「私のことはいいわ。ほら、C&Cとしての仕事、果たしてきなさい」

「……では、失礼します」

 

一礼して、彼はものすごい速さで走り去っていく。その背中が小さくなるのを、私はただただ見送った。

 

ぽろりと、涙がこぼれた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、ユウカちゃんに渡せたんですか?」

「……いや」

 

気まずげに視線をさ迷わせる彼に、思わずため息が漏れた。

 

デート、もといユウカちゃんへのプレゼントを買いに行ってから、すでに1週間が経っている。だが、ユウカちゃんの反応を見るにまだ渡されていないと察した私がネライくんに確認すると、案の定だった。

 

「もう、何をひよってるんですか」

「む……」

「あなたが感謝の贈り物をしたいと言うから買いに行ったのに、渡せないのでは意味が無いですよ」

「……む」

「そもそもユウカちゃんと会えないほど忙しかった訳じゃないですよね。どうして渡さないんですか」

 

今週の彼はゲーム開発部としてもC&Cとしてあまり忙しくしていなかった。コユキちゃんの捕縛と監視がメインだったはずだからだ。

 

にも関わらず渡せていない。それについて問い詰めると、彼は頬を赤らめながら空を見上げ、やがて観念したようにぽつりと呟いた。

 

「……恥ずかしい」

「……はい?」

 

何を言っているのだろうか、この男は。

 

いざ買い物の当日、その時点でも彼は恥ずかしがって中々本題であるプレゼント選びを先伸ばした。だがようやく向き合い、あれだけ悩んで、悩んで、悩み抜いて選んだプレゼントだと言うのに、いざとなってやっぱり恥ずかしいから渡せないと言うのか。

 

「じゃあ、なんでそんなもの買ったんですか」

「に、似合うかなと」

「えぇ、えぇ、それはもう似合うでしょう。なにせ5時間と42分16秒も悩んだんですから」

「……」

 

懐に入っているであろうそれを手で弄りつつ、ネライは無言で顔を背けるばかりだ。

 

こうなれば。

 

「今度の土曜、ユウカちゃんを誘ってお出かけしましょう」

「む」

「そこで貴方とユウカちゃんが2人きりになるタイミングを作ります。そこで必ず渡してください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「む……」

 

新しく開かれたモモトークのトークグループ。ノア先輩が俺とユウカ先輩を招待して立ち上げられたそこで、早速ノア先輩が3人で遊びに行く約束を取り付けようとしている。

 

ノア先輩のゴリ押しに押され気味のユウカ先輩だが、結局は行くことになったらしい。

 

「むぅ」

 

トーク画面を開いたままのスマホと机の上においた小包を手に、返事を考える。まだこのグループが立ち上がってから何も発言していない。そろそろ何かしら言わないとノア先輩から電話がかかってきそうだ。

 

どうにか頭を回して返事を考える。そして結局、その日は暇だということと、是非行きたいとだけ発言した。

 

「ふぅ」

 

10:00に駅前集合というノア先輩の文字に了解してスマホを閉じる。ノア先輩にはほんとうに感謝しかない。

 

それと同時に、なんだか自分が情けなくなる。強くなってもこれじゃあ、ガキのままだ。

 

「足を向けて寝られんな」

「なんでですか?」

「なんでもだ」

 

俺のつぶやきに机の上に寝転びながらゲームをしているコユキが反応した。

 

脱走したという報告を受け、放課後に速攻で捕獲した彼女は何故か、こうして俺の部屋で寛いでいる。反省部屋だけでも十二分に充実しているだろうに、時たまこうして俺の部屋に来るのだ。ここじゃなきゃ脱走するぞという脅しを付けて。

 

「それで、筋トレは終わりました?部屋ん中汗臭いし、気になってゲームに集中できないじゃないですか」

「気になるなら反省部屋に連行してやろうか。あとはプランクをやって柔軟だな」

「え〜。というか今、誰とモモトークやってたんですか?」

「ユウカ先輩とノア先輩」

「へ?」

 

2人の名前を聞いて、寝転んでいたコユキがガバリと状態を起こしてこちらを見上げてくる。

 

「なんでですか」

「今度の土曜、3人で遊びに行く予定なんだ」

「なんですと」

 

分かりやすくびっくりしたコユキが、今度は一転して考え込み始めた。

 

そんなコユキをひとまず放置してプランクを始める。

 

こちらに来て肉体強度が上がった(・・・・・・・・・・・・・・・)が、ここにはまだまだ俺より優れた人がいる。男として、負けたくないがためにこうして体を鍛えている。

 

少しでも強く。そんなことを考えながら体勢をキープしていると、背中の上にコユキが飛び乗ってきた。

 

不意をつかれ、さすがに驚いて崩れそうになる体幹を整えつつ、ゆっくりと身体を下ろす。

 

「なんだコユキ」

「にははっ。その日、私も行きますねっ」

「は?」

「うわっ、汗ビッチャビチャじゃないですかぁ。きちゃない……」

「汚くない。というかなんだ。なんて言った今」

「というわけで、ノア先輩には話しておきますね!」

 

そう言ってコユキはカバンから着替えである見慣れた着ぐるみパジャマを取り出し、風呂の方へと向かい始めた。

 

「それじゃ、シャワー浴びますね〜」

「あっ、おい」

 

返事に答えることなく、廊下へと消えていったコユキを見送って、俺は1人床に寝転んだまま、首を傾げるばかりだった

 

 

 

 

 

 

 

 





つぎにみたいのをさんこうまでに

  • ○○○TS編
  • ゲヘナ編(ゲヘナピンク無関係)
  • しないと出られない部屋再来編
  • シャーレ当番編
  • NLP編
  • なんかとりあえずイチャイチャピンク
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