過労死
「こちら今週が期限の資料です」
「おぉ、やっぱりすみの君は仕事が早いなぁ」
「いえいえ、私はまだ勤め始めて2年くらいですし先輩の皆さんには叶いませんよ」
「そうかい?あぁ、そういえばこの資料任せて良いかい?この通り量が多くてね…」
「任せてくださいよ先輩、すぐ終わらせますよ」
「助かるよ、それじゃ、先上がるからね」
「はい、お疲れ様です」
渡された資料の分厚さは約15センチ。はぁ、今夜も徹夜コースかな…。エナドリ、君だけが私の相棒だよ…。
そんな泣き言を心の中で呟いたけど、エナドリは人間じゃないから相棒ではない。エナドリが相棒とか言い始めるほどに無理ゲーすぎる人生を歩む私の名前は紅野純乃。ちゃんと大卒のサーバー管理職25歳だ。サーバー管理職なのになんで資料を作ったり任されたりしてるかって?それはね…私が全く断れない性格だからだよ…!今の所1週間連続徹夜コース!会社が最早我が家!そんな可哀想な人間として生きている!!え?自分から可哀想って言うな?遠慮しておくよ。さぁて今日1日、あと5時間ちょっと頑張るぞ〜!
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宣言通り5時間が経過して現在23時な訳だけど、元私の教育担当が急用で帰ったためにサーバーの点検と言う徹夜作業が追加されてしまった。
私達が担当しているサーバーは普通の奴。だから結構時間がかかる。本来なら今日は私が担当じゃないんだけど、代わりに駆り出されたみたいな感じ?
本来なら朝まで続くから手前の時間で寝たりするわけなんだけど、私は今回やる予定もなかったから1人クソ眠くなりながらやるわけですよ。うーん、ロスワやりたい…。
「メンテ頑張ろうな」
「は、はい」
さっきのとは別の先輩に声をかけられた。わたし頑張れない。ただサーバー管理職としてこれは絶対に完遂させないといけない訳で…。
「…──」
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「…?私寝てたっけ…って…ここ森じゃ…」
…んー?待って?空気が違うなー?これもしかしなくても異世界転生じゃない!?私過労死したの!?やったね!あの地獄から解放されたよ!!嬉しさで馬鹿になりそうだよ!そうと分かれば容姿の確認…!水はどこだー?っと、あった。…おん?
「んなんか…翼生えてね?」
翼といえば…。
『よっし、今夜もよろしく頼むよレッドブル!まじで助けられてんだお前にっ!!』
レッドブル、翼を授ける。あれ飲みすぎたかな…。
それによくみたらだいぶ子供だし…。これもしかして結構長生きする説あるよ?やったね!あ、ちなみに容姿の説明をしておくと、下の方が青みがかった銀髪のセミロングで、服装はあまりにも貧相。きっと貧困層にいたんだろうね〜。てかブスくね?…まぁいっか、転生体に文句言っても仕方ないよね。というかこの感じだと転生よりも憑依な気がしてきた。違うかな?まぁいっか。楽しい楽しい転生生活の始まりだぁ〜!
なんてはしゃいでいると近くから物音が聞こえてきた。
「……?」
「グオォ…」
待て待て待て待て何だあの化け物は!!あっ、こっち気付いた…?ちょ、待ってこっち来ないで…!こちとら怖さで動かないんじゃい…!!
グシャッ…ビチャビチャ…
「…ぇ?」
思わず目を瞑っていると唐突にそんな音がした。ちょっと待って?なんか喰われた音がしたんだけど……。目開けるのこわ、えなに?何が起きた感じ…?
「おや、子供…。こんなに可愛いのに…捨てられでもしたのかい?」
…多分今目の前にいる人であろう何かに声をかけられた。けど…。
これ私以外の人に言ってるな。全く可愛くないし。なんなら髪ボッサボサだったぞさっき見た時。
…試しにちょっと目を開けてみよう…この人八重歯凄いな…なんか、襲われそう…そして今大人じゃないからか威圧感が…。
「嗚呼、そんなに怖がらないで、同族を食べるほど愚かじゃないよ」
「どうぞく…」
同族?妙な言い方だな……。
「疑っているのかい?」
もしかしてこの人、私のこと吸血鬼か何かに見えてんのか?だとしたら節穴だね、その目。ばーかばーか!
「そうだ、うちで匿ってあげよう。そうすれば仲良くもなれると言うものだろう?」
そう言われて、私はついていくことになってしまった。ちなみに一言も喋っていません。くそー、ゆうかいされちまったー。なんちゃって。