陰の実力者になっちゃった! 作:うおw
ワイ「いい…」
ワイ「シャドウ、なってみたいなぁ…」
トッモ「え、それは嫌。」
ワイ「なんでや!?」
トッモ「だってあの世界シャドウがいないと4ぬ人多すぎんか?」
ワイ」確かに」
そんなやりとりから生まれた駄文です。ご査収下さい。
その日、男は絶望した。
「可愛い男の子ですよ〜!」
何故か低い目線。
少なくとも170センチあるかないかだった身長にかけられるとは思わない言葉。
こちらを覗き込んでくるハゲのおっさんとその妻らしき人。
「可愛い男の子。」
自分の状況を大体理解した男の脳裏に嫌な予感がよぎる。
ハゲのおっさん。恐らく自分の父親となる人なのだろう。
ハゲのおっさん。
そう、ハゲ。
前世に自分が好きなラノベの主人公の父親は、ハゲ。
おっさんが口を開く。
「お前の名前はシド!シド・カゲノーだ!」
赤ちゃんだが、別の理由で泣きたくなった。
ついでにうんこも漏らした。
ーーーーーーーーーーー
転生してから数ヶ月。
今の暮らしにも慣れた俺は、状況を整理する事にした。
この体は間違いなくシド・カゲノー。
そしてこの家もカゲノー家で間違い無いだろう。
姉のクレアはこの歳から神童と持て囃されているようだ。
「陰の実力者になりたくて!」
陰の実力者に憧れた厨二病のイカれた主人公・影野実が異世界に転生し、偶々救った少女達に語った妄想を元に陰の実力者ごっこを楽しむが、妄想で語った悪の教団は実在していて…という勘違い系ラノベだ。
文面だけ見るとギャグ漫画のようだが、その実この世界はとてもシリアスである。
主人公のシドことシャドウが設立する「シャドウガーデン」が教団の野望を打ち砕いた事で結果的に幸せになった人や死を免れた人は数知れず、何よりシャドウガーデンの構成員は「悪魔憑き」というシャドウの他にはほぼ治療できる者が存在しない病に罹っていた者達だ。
そして重要なのが、シャドウガーデンが教団の野望を打ち破る要因の一つとして、シドの陰の実力者ロールプレイとそれに付随する異常なほどの運の良さが挙げられるという点だ。
では、シャドウにその様な物が無かったら?
シャドウが影野実ではなく、ただの一般人だったら?
そう、この世界は滅亡一直線である。
(どうしろってんだよ…)
そして俺を困惑させるもう一つの要因。
そう、影野実としての記憶と経験である。
この世界にシド・カゲノーとして生まれた事を自覚した瞬間、脳に嵐の様に流れ込んできたこの情報。
つまり前世の俺に何の馴染みもない刀だろうが空手だろうがなんでもござれという事だ。
訳がわからない。
転生モノのあるあるに則って神様がいるとしたら、俺に何をさせたいのか。
何故影野実を下ろさないのか。
下ろせないのか。
もし仮に、何かしらの手違いで俺がここにいるとすれば。
いずれこの身体は影野実の物になるかも知れない。
というかそうなってくれた方が助かる。
ならば、俺にできる事は。
俺の役割は──
いつか訪れるかもしれない時まで、シャドウでいる事。
シャドウのふりをする事。
「プリテンダーってか…?まあやるしかないか…」
ついでにちょっとくらい美少女の面を拝んでも、誰も咎めはしないだろう。
ーーーーーーーーー
そうして月日が流れ、原作で最初のイベントがやってきた。
「シド!盗賊退治に行くわよ!」
昼間にそう言って俺を夜の森に連れ出した姉のクレアは、盗賊に吹っ飛ばされて気を失ってしまった。
「さあ、大人しくした方が身のためだぜ坊主」
俺を取り除くのは数人の盗賊達。
念の為クレアに近づいて気絶しているか確認する。
良し。
「何だぁ?残念だがテメェの姉ちゃんはもう頼りにならねえぜェ?」
俺は剣を構える。
「あぁ?闘うつもりかぁ?勇気だけは褒めてや──
男がそれ以上言葉を発する事は無かった。
「安心しろ。鞘で殴っただけだ。…なんてな。」
(当たった!!よかった〜〜)
「なっ!テメェ!」
「お手柔らかに頼むぜ。」
(いやマジ本当に頼んますマジで)
そうして俺は心の中でビビり散らかしながら剣を構え直した。
ーーーーーーーーーー
攻撃を避ける。
殴る。
攻撃を避ける。
「このガキィ!」
後ろからの攻撃を受け流し、刀の鞘で殴る。
立ち止まるな。
動きを止めるな。
うわっ!ちょっと掠った…漏らしそう
相手は人殺しだ。
止まったらこちらが死ぬ。
そうして内心全く余裕がないまま、気づけば最後の一人になった。
「やれやれ。所詮こんなもんか。」(嘘ですめっちゃ怖いです)
「お前で最後だな。」
「俺を他の連中と同じだと思わない方が良い。俺はミドガル魔剣士学園首席だからな。」
「へぇ…。ならその腕前、魅せてもらおうかッ!」
先手必勝。地面を蹴り、瞬時に間合いを詰める。
「なっ!!」
盗賊の驚く声を何処か遠くに感じながら、思い切りタマを蹴り上げた。
「ああああAAAッッ!!」
某猫とネズミのアニメみたいな声を上げながら剣を手放した盗賊の元へ近づき、袈裟斬りにする。
それで終わりだった。
「これで終わりか…?」
辺りを見回すと視界に否応なしに入る、血、死体、血。
「……おえっ」
嗚咽を漏らす。俺がやった。俺がやったんだ。
──折れるな。
気絶しているクレアを見る。
少なくとも、この寝顔くらいは守れるようになれ。
次は確か5年後。
シャドウガーデン創立の第一歩。
果たしてうまくいくだろうか。
・シドの中の人
陰実世界に生まれた絶望のあまり何の因果か原作シドと同じタイミングでうんこを漏らしたが、影野実の記憶がある事からいずれ彼に体を明け渡す時まで代打を務める事に決めた。
ただのオタク。
陰実ってどの媒体で見てますか?
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