陰の実力者になっちゃった! 作:うおw
共通テストがあったので許してください(建前)
SAOおもろい(本音)
それはそうと今回はシドとシド以外の人間の認識の違いも考えながらお楽しみください。
あとモチベになるので感想をください。調子乗って返信したらネタバレとかしちゃいそうで怖いだけでちゃんと読んでるので。
意識がはっきりしない。
「貴様は強い」
振り返れば誰かが倒れた。
視界いっぱいに広がるオレンジ色。
これは…炎?
「うそ…お義父様…?お義父様ぁ!!」
「真実を知るには、まだ幼い。」
目の前で誰かが泣いている。
濃い桃色の髪の少女。
それを見ていると、形容し難い感情が溢れる。
「…時間か…」
結局、これはなんなんだ?
俺は…どうなってるんだ?
「今宵の宴はここまでとしよう」
俺は………
ーーーーーーーーーー
………ッ!」
あれ…?テント…?
「「シド(くん)ーー!!」
ヒョロにジャガ?
「ここは…?僕は…なんで…?」
「お前!!柄にもないことしてんじゃねー!!」
「今度こそいよいよダメかと思いましたよー!!」
「二人とも……」
え?どうなってんだ?
ローズ王女を庇った所までは覚えてるけど…
えっ俺蘇生に失敗してぶっ倒れてたって事?
そもそもここに来るのってローズ王女じゃないのか?
「ロ…ローズ王女は?」
「火事…あぁ、お前は知らねぇか。一から説明するってなると長いな」
ヒョロ曰く。
あの後、学園を占拠したテロリスト(トップが自らディアボロス教団と名乗ったらしい)をシャドウガーデンと名乗る集団が打ち倒した。
テロリストの親玉“痩騎士”の正体はルスラン副学園長で、生徒の魔力を奪って強くなろうとしていたとの事。
テロリストが撤退間際に火を放った事によって建物が燃えていて、ローズ王女は生徒会長として救助や消火に当たっているらしい。
……え?
どうなってんだ?(2回目)
なんでルスラン正体バレてんの?
まあプランの1つとして講堂でトドメを刺すってのを考えてなかった訳じゃないけど…
元々は万一が起こらないように、俺がルスランを闇討ちして、後始末をみんなに頼むつもりだったのに…
ってか俺何もしてなくね?
まあ七陰は全員呼んでたから余程慢心しない限りルスランには勝てるだろうけど…
「しかし気の毒だよなぁあの子も」
「知らなかったとはいえ、父親が行う犯罪の片棒を担がされてた訳ですからねぇ」
あの子…? ……そうだ!シェリー!
「なあ2人とも、副学園長って確か娘がいたよな!?」
「うわっ!黙り込んでたと思ってたら何だよ急に!ってか今丁度その話してたのに聞こえてなかったのかよお前」
「ご、ごめん…それで、その子は今どこに?」
「んなもん知ってると思うか?まあ犯人の身内なんだから事情聴取くらいされてんじゃねえの?ちょっ、おい!」
ヒョロの言葉を聞き終わる前に、俺はテントを抜けて駆け出した。
「…何だったんでしょうねシド君」
「さあ…まあ動けてるって事は少なくとも体は大丈夫だろ。それよりジャガ見たかよ!あのシャドウガーデンのボス!」
「めっちゃカッコよかったですよね!名前は確か…
シャドウ!」
そうだ、シェリー!
すっかり失念してた。
いくらアルファ達と言えど、どの程度かわからないが魔力が十全に使えない状態では苦戦する。
経緯はわからないがガーデンの誰かがシェリーに接触して解析をさせたのだろう。
いや、そんな事はどうでもいい。
頭の中の考えを振り払う様に現実で頭を振り、一旦深呼吸する。
陰実のヒロインは、視点を変えれば各々が主人公とも言える。
例えばアレクシアが王道の冒険奇譚、
ローズが一昔前の少女漫画、という風に。
そしてシェリーはというと、復讐もの。
そこまでは良いのだが、問題はシェリー視点で見た場合、シドの存在がかなり大きい可能性がある事だ。
数少ない(ほぼいないと言い換えても良い)友達であり、ルスラン亡き今復讐に向かうシェリーにとっては唯一心を許せる人間。最早ヒロインと言っても良いかもしれない。
何が言いたいかというと、このシェリーとの接触イベントを逃す事でシェリーにどのような悪影響が出るかがわからないという事だ。
ただでさえ前科1犯なのにこれ以上やらかすわけにはいかない。
周りに人がいない事を確認し、名前を呼ぶ。
「ニュー」
「はい、シャドウ様」
「忙しい所悪いが探し人だ。シェリー・バーネットって今どこにいるかわかるか?」
ーーーーーーーーーー
「シェリー!!」
「…シド君!」
騎士団からの事情聴取を終えて放免された私の元に、シド君がやってきました。
「大丈夫?怪我はない?」
「…はい。騎士団の人達も軽い質問だけで済まさせてくれたので。…シド君の方こそ、大丈夫でしたか?」
「僕…?ああ、シャドウガーデンの人に助けてもらったから大丈夫だよ」
目の前で「よかったぁ」とでも言いたげにため息を吐きながらくしゃっとした笑顔を見せるシド君を見て、私の胸の中のいろいろな物が溢れ出てしまいました。
「シェリー!?」
思わず堪えきれなくなって、シド君に寄りかかってしまって。
「私…わからないんです。
私を引き取って…愛情を注いで育ててくれたお義父様は……いっぱい人を殺した悪い人で…
騎士団の人から聞いた「テロリストのボス」か…私を愛してくれた「父親」か…
どっちが本当のお義父様か…わからないんです…
お義父様は…アーティファクトの為だけに私を育てたんでしょうか…?
私は…本当に愛されていたんでしょうか……?」
お義父様の行いを聞いてから少しずつ胸に溜まっていった気持ちを、全て吐き出してしまって。
「アーティファクトを巡った今回の事件で、少なくない数の人が亡くなって…」
「……」
「私が…アーティファクトを解析しようとしたから…」
「……」
「私が……私のせいで……」
「…………シェリー」
会話とも言えない一方的な私の言葉を黙って聞いてくれていたシド君が、私の名前を呼びました。
「シドく……んっ!?」
私が少し顔を上げると同時に、シド君の腕が私の背中を覆って。
…気づけば私は、シド君に抱きしめられているような状態になっていました。
「シェリー」
「…は、はい」
「少し…聞いてくれないか」
ーーーーーーーーーー
目の前の少女を抱きしめる。
なぜこんな事をしているのか、自分でもわからない。
気づけば、体が動いていた。
人が目の前で泣き出しそうになっていて放って置けない、なんて御立派な動機じゃない。
強いて言うなら「罪悪感」なんだろうか。
最終的にルスランを殺す事が避けられなかったとしても、他に方法があったかもしれない。
開き直って真実を伝えた方が、彼女にとっては良かったかもしれない。
でも、俺は何もしなかった。
そのくせ、目の前で泣いているこの子を一丁前に慰めようとしている。
テロに巻き込まれていた時に側にいる事すらしなかったのに、今更寄り添うフリをしている。
「少し…聞いてくれないか」
そして今も、心にもない言葉を出力し続ける。
原作のげの字も無いような状況になっている癖に、なぜか心は凪いでいた。
ーーーーーーーーーー
「僕、2つ上の姉がいてさ。」
この学園の3年生なんだけど、と言ったシド君の言葉を待つ。
「たまたま僕の友達と会った時なんか、家とは全く違う様子で僕の頭を掴みながら『バカな弟だけど、どうかよろしく』なんて言っちゃって」
「でもそんな時の姉さんは、すごく嬉しそうな顔をしてたんだ」
「副学園長も同じだった。」
「お義父様が…?」
「前に1回会ったことがあるんだ」
ほら、ブジン祭予選の時様子を見に来てくれたでしょ?それのちょっと前にね。と話しながら、シド君が私の背中に回された腕をほどく。
近くのベンチに座り直すと、シド君が口を再び開く。
「『あの娘は研究ばっかりしていて友達らしい友達もいないから、どうか仲良くしてやってくれ』って」
「…もう、お義父様ったら…」
「副学園長…ルスランさんは確かに、大勢死人を出したテロリストだ」
「……だからって、シェリーを愛したルスランさんが嘘だった事にはならない」
「……そう、ですかね」
「…うん、きっと。」
「お義父様、病気であんまり体が強くなくって」
「…うん」
「今度珍しく休みが取れそうで、お医者様にも体を動かした方が良いって言われたから、ピクニックにでも行こう…って」
「…うん」
「……少し、胸をお借りしていいですか」
「………うん」
ーーーーーーーーーー
少し、時間が過ぎた。
「あ…あの、その、ありがとうございました…へへ」
なんて言いながら去っていくシェリーの姿が見えなくなった後、再び近くのベンチに腰掛けていると、どこからか人がやってきて、隣に座る。
「…私、とっても悲しい事があったの」
「…うん」
「……胸の中がいっぱいで、今にも溢れ出しそう」
「……うん」
「胸を借りていいかしら?」
「見てたの?」
制服に袖を通したアルファだ。
「いえ。さっきの事といい、やけに貴方らしくない事をするのね。そんなにあの子が大事?」
「……ごめん。俺が不甲斐ないばっかりに負担をかけた。」
頭を下げる。
それに、と言葉を続ける。
「彼女がああなった原因の一端は俺にある。責任を取る…なんて大それた事は言えないけど、あのまま放っておく事はしたくなかったんだ」
「…わかったわ。今回の行動に関してはこれ以上何も言わないわ。でも、次からはわかってるわよね?」
アルファが念押しをしてくる。当たり前だ。決意を込めるように返事をする。
「ああ。俺──
もっと強くなるよ」
「……そんなに頼りないかしら」
「ん?」
「なんでもないわ」
ーーーーーーーーーー
その後、こちら側の損害等の擦り合わせをして、アルファと別れた。
暫くした後、先生から夏休みを前倒しにする事が告げられ、学園の殆どの生徒は自分の家や寮に帰った。
もちろん俺もその殆どの中に含まれ、こうして寮の自室で天井を眺めていた。
目を閉じると浮かぶのは、シェリーの泣き顔。
ふと、頭の中に響く声。
『もう原作なんてどうでもいいんじゃないか。』
少なくとも方法にこだわらなければあの状況を避けられたは確かだ。
それに、この世界を生きている普通の人は、今後も定期的にガーデンと教団の戦いに巻き込まれるわけで…
それも一理ある。
でも、そうできない理由も確かにある。
再び目を閉じると浮かぶのは、あの日の光景。
俺も彼女達もまだ幼かった時の、苦い思い出。*1
あれは俺の独断が理由になって起きた事だ。
今回の襲撃だってガーデン側に死者や重症者はいなかったが、それは結果論というやつだ。
これから戦いはより苛烈さを増す。「ラウンズ」と相対する機会も増えるだろう。
だが、少なくとも原作をなぞっているうちは、アルファ達は無事だ。
「どうすりゃいいんだ…」
おそらく簡単には答えが出ない問いを抱えながら、日課の修行に赴くべく俺は体を起こしたのだった。
・シド(偽)
俺は!!!弱い!!!(ドン!!)
今回の一件で弱ぇ奴は死に方も選べねぇ事を思い知らされた。
頑張って強くなろうとしている。
・アルファ
ちょっぴりお茶目なメインヒロイン。
嫉妬4割アピール3割お説教3割。
もっと頼って欲しい。
・シェリー
シドの優しい嘘でメンタルブレイクを免れた。
今後の出番は未定。
・ローズ
原作よりシドが起きるのが早かったので見舞いに来れなかった。
つ、次の話では出てくるから…