陰の実力者になっちゃった!   作:うおw

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お待たせしました。
学園襲撃編です。ご査収ください。




第8話:目覚める

 

 

 

 

「我らは…シャドウガーデン…」

「私、口数が少ない男ってタイプじゃないのよ、ねっ!」

 

夜の王都。

誰の目にもつかない路地裏で、アレクシアはシャドウガーデンを名乗る黒ずくめの男達に襲われていた。

 

とはいえ、複数人でかかってもアレクシアは表情を歪めるどころかむしろ余裕すら見られるのだが。

 

そして、それを何処かから眺める男が一人。

 

(あれ?この時点でのアレクシアってあんなに強かったっけ?)

 

そう、シャドウである。

 

(というかこれアレクシアだけで全員制圧できそうだぞ。無傷だし。割って入るタイミングなくね?……あ、最後の一人が)

 

「ふう…なんか、随分呆気なかったわね。

 

 

 

 

 

 

 

あなたとは比べものにならないわね、シャドウ?」

 

「…貴様は思い違いをしている」

 

 

「何のこと?」

 

「此奴らのような屑と我らが同胞を同列に扱うなど言語道断だ」

 

「こいつらは…偽物?」

 

「愚か者共の考えそうな事だ…我々に罪を着せて悪評を流布させようとしたのだろう」

 

 

「ニュー」

 

 

「はい、シャドウ様」

 

 

(今の女、どこから現れたの!?全く気配なんて無かったのに!?)

 

 

「委細は任せる。抜かるなよ」

 

「かしこまりました」

 

 

 

 

 

 

 

「もう夜も遅いだろう。エスコートが必要か?」

 

 

「ごめんなさい、先約彼氏がいるの」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではこれよりッ!チョコでモテモテ大作戦を決行するッ!」

 

「作戦開始時刻は一三○○ヒトサンマルマル!次会う時は彼女持ちですねぇシド君ッ!」

 

 

そう言って飛び出していった二人の悲鳴を聞きながら、シェリー・バーネットを探す。

 

この前たまたま学校でぶつかったから接点はある!チョコを渡しても不自然じゃない筈だッ!

 

 

…動機だけを見るとさっきの二人著しく恋愛偏差値が低いやつみたいだな。

 

 

 

 

「ねえ、君」

 

「?」

 

「甘い物好きなの?はい、これ」

 

「えっ!?あ、あの、ご丁寧にどうも?」

 

「じゃ」

 

 

「………なんだったんだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それではこれより第一回戦を始めます!」

 

アナウンスが会場に響く。

 

 

「二年生ローズ・オリアナVS一年生シド・カゲノー!!」

 

 

先程のアナウンスの音量を優に超える歓声が響き渡る。

 

ブジン祭の学生枠を決める選抜大会、その第一回戦。

片や芸術の国オリアナの王族にして留学生。

アイリス・ミドガルに次ぐ剣の腕前を持ちながら生徒会長の座に着き、まさに立っているだけで絵になる美貌を誇る才色兼備の言葉が相応しい才女。

 

片や一時期ちょっとだけ名前が広まっただけの一般生徒。

 

「ローズせんぱーい!」

「頑張ってー!」

 

 

(どうしよっかな)

 

さて、このイベントも当然手帳を読んで予習済みだ。

 

[シド、ブジン祭予選に出場。対戦相手のローズにモブ式奥義を何度も披露した事で名前を覚えられるようになる]

 

当初は原作通りモブ式奥義の連発で乗り切ろうとして練習していたのだがそこを見られてしまった。

アレクシアに。

 

そしたらなぜか怒られた。なんでや!

曰く、折角出場できるのに手抜きなんてありえない。

全力で戦わないと許さない、と。

それじゃ優勝しちゃうだろって抗議しても「いい機会じゃない」って。

それで強さがバレたらこの関係師匠と弟子が危うくなるかもっていったらうんうん唸ってた。

かわいいね。

 

とにかくモブ式奥義が封じられてしまった今、俺に残された道はほどほどに戦うくらいしかない。

 

今もアレクシアの方を見たら「わかってるでしょうね」とでも言いたげな目で返されたし。

 

(これ以上の原作ブレイクは)イヤ!イヤッ!!

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

試合が始まって二分程経った頃。

ローズ・オリアナが抱いている一つの疑念は確信に変わろうとしていた。

 

目の前の対戦相手の少年から、一切の魔力を感じない。

 

試合はローズが押している。

幾度となく剣を交わした少年の身体には傷が目立ち始め、動きも鈍重になってきた。

 

そして剣が軽い。軽すぎる・・・・

 

何よりも不気味なのは、今までの攻防の中で、体の損傷を傷が目立つ程度・・に抑えられている事だ。

 

最初こそ少し手加減をしていたものの、中盤からは魔力も十全に使って打ち込んでいる。

並の学生なら一分も持たずに試合が終わっている筈なのに。

出し惜しみはしていないのに。

目の前の少年にあるのは精々剣が掠った時の傷程度。

その程度しか与えられていない。

 

 

「…見事な技術ですね」

「そりゃどうも」

 

また彼が打ち込もうと走ってくる。

何度も繰り返した様に、剣を払ってカウンターを決めようと構える。

次で決めてしまおう。

 

 

 

 

違和感。

 

 

 

──いや、これでいい。

 

 

 

「終わりにしましょう」

 

 

 

剣を受け止め…きれない!?)

 

 

 

直感で理解した。

今までの魔力をまるで感じない攻撃は全てがブラフ。

 

彼はこの一撃に文字通り全ての魔力を賭けている。

剣が途轍もなく重い。

押し返そうと試すが全く動く気配がない。

 

凌ぎ…きれない…ッ!

 

 

 

 

砂煙が上がる。

観客が目にしたのは、壁に叩きつけられなお立ち上がるローズの姿と、力尽きた様に地に伏すシド・カゲノーの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやあ、見事な試合だったよ」

「は、はあ…恐縮です…」

 

試合が終わって歩いてたらなぜかルスラン副学園長が来た。

来て欲しいのはあんたじゃ無いんだけど。

 

「徹底して弱者を装い相手の警戒が薄れた所に最大威力の一撃。見ててとても心地の良いものだった」

「卑怯極まりない手口ですけどね」

「そんな事ないさ。凡人には凡人の戦い方というものがある。誇りたまえ」

 

マズイな。思ったより評価が高めだ。

 

 

「もうじきシェリーがここに来る。あの娘は研究ばかりしていて友達らしい友達もいなくて心配だった。是非仲良くしてやってくれ。」

それだけ言い残すとルスランは去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「…私、手は抜くなって言ったわよね?」

 

やっぱりこうなったか。

俺は校舎裏でアレクシアに正座させられていた。

 

「だから本気でやっただろ?魔力抜きで」

「それも嘘ね。魔力がなくても本気のあなたなら受ける攻撃の数はもっと少ないはずよ」

「バレてたか…」

「当たり前よ!学園であなたの事を一番知ってるのは…私…だもん…」

 

そこまで言うとアレクシアは顔から湯気を出して縮こまった。

かわいいね。

 

 

「勘弁してくれ。お詫びに魔力を使った治癒の方法、教えただろ?」

「それとこれとは話が別よ!とにかく、後日なにか埋め合わせしなさいよ!」

 

それだけ言うとアレクシアは去っていった。

さて、モブ式奥義の練習でもしよっと。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

「おっ!ローズ会長!」

選挙演説のためにローズ会長と候補者が教室に来た。

 

って事はそろそろか。

 

[学園に教団が襲来。シドはローズを庇って殺された振りをしつつモブ式奥義で心臓を止める。]

 

 

 

心肺停止かぁ…

今日に備えて何日も練習を重ねたが、未だ成功率が安定しない悩みの種だ。

 

(しかもそんな日に限って余計な事を…)

 

いっその事休んでしまおうと思ったがそんな日に限ってクレア姉さんが遊びに来たから仮病も使えないし。

 

 

……正直、怖い。

鍛錬不足と言われたらそこまでなのだが、俺の前世はただの一般人。

ヤバいやつ影野実でもない以上死への恐怖は消えない。

 

 

…やるしか、ないのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講堂のドアが爆発によって吹き飛ぶ。

 

 

 

「全員動くな!」

 

 

 

 

「我らはシャドウガーデン!この学園を占拠する!!」

 

 

 

 

 

 

周りがやけにゆっくりに見える。

 

 

テロリストとローズの声だけが脳に響く。

 

 

ローズが剣を取り出す。

 

 

テロリストが剣を振り上げる。

 

 

俺は席から飛び立ち、

 

 

ローズの前に滑り込み、

 

 

斬られた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

生徒の悲鳴が響く。

 

「そんな…嫌あっ!!」

「おい….嘘だろシド!!」

「シド君!!」

 

 

「シド君ッ!!そんな…どうして…」

 

 

ローズ生徒会長を庇った生徒の、心臓が止まった。

 

 

「そいつ、シド・カゲノーって言うのか。なら丁度よかったな」

「さぁ!これで抵抗する気も失せただろう。とっとと歩け!」

 

 

テロリストの誘導により彼を尻目に移動していく生徒。

 

「シド…」

「シド君…」

 

 

 

 

 

そして講堂から人が消えた。

彼を残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ゲボオッ!」

 

講堂に男の声が響く。

 

 

 

「あー痛ったいなくそっ!ハァ…

 

 

 

ここ、どこ?」

 

 

 

男が独り言ちる。

 

 

 

「なんか頭も痛いし…そもそもなんでこんな格好…」

 

「…そうだ、思い出してきたぞ。テロリスト襲撃イベントが起きて…」

 

 

男が立ち上がる。

 

 

 

「なら陰の実力者として、やるべきは一つ」

 

 

 

男の姿が変わる。

 

 

「我が名はシャドウ。陰に潜み、陰を狩る者…うん!良い感じ!」

 

 

 

「テロリスト共、精々楽しませてくれよ?」

 

 

 

 

 

男が、目覚める。




・シド(偽)
努力不足のツケを払う羽目になった。
原作と違う点が多すぎて夜しか眠れない。

・モブ式奥義[十分間の臨死体験]
微量の魔力で脳血流を保ち擬似的に心臓を止める技術。
極力この技を使わない方向を模索していたシド(偽)は熟練度が足りなくて失敗した。

・アレクシア王女
シドの凄さを知って欲しい気持ちとシドの凄さは自分だけ知っていれば良いという気持ちで板挟み。
こころがふたつある〜

・ローズ生徒会長
心根ではなくその戦術を評価した。
原作程ベタ惚れではない。

幕間(日常回)好きかい?

  • うん!大好きSA!
  • 本編書いて、役目でしょ
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