隣の君と日を向いて   作:ジェイヌ

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更新サボっちゃったぁ……

元々語感合わせて造語で艶人(えんじん)のつもりだったけど、艶然って言葉あるじゃん、で軽率に採用しました。
本来は『あでやかに微笑む』というニュアンスだから今回のストーリーのニュアンスとは微妙に違うんですねぇハイィ。
まぁええっか、この物語微妙に間違った言葉選びをわざとやる時もあるし(カス)


EP11.炎天爽快・エンジン全開・艶然近い

昼休み、教室の一角ーー主たちは、悪友が垂れ流していた友人の彼女の話から、恋愛談義へと発展していた。

「まぁあれこれ語ったとて、ジブンには無縁ですからなぁ〜」

「オタク、そこで諦めちゃったら終わりじゃねーのよ…」

「最悪自分で作るのがベストかもね〜」

「お前は黙ってろロボケン!」

全く話にならない面々の雑感をヨソに、当然次の的は主となる。

「ぼ、僕…?」

 

うーん…主は頭を掻く。

思うところが無いわけではない。

思い返せば肌がむず痒くなることだってあった。

それでも…今は波立てず、平穏にいたい、それが彼の答だった…

 

 

「僕は、その…こんな性格だし、恋愛とかよくわからないし、今はお前らとアホなことやってたほうが性というか、たのし」

そこまで言いかけた途端、即座に悪友が彼の頭を教科書ですっぱたき、オタクとロボケンが続く。

 

「いって!ハァ!?」

突如の理不尽に困惑する主だが、苦い顔で申し訳なさそうに悪友は言う。

「すまねぇ、男にゃあな、ダチを殴らにゃならん時もある…!」

 

そう、悪友は見た。

遠くから、固唾を飲んでこちらに視線を向ける顔馴染みの女子四人…更にその中で特に、どこか物憂げで複雑そうな表情を浮かべる葵。

そうしていつになく真剣な顔を見せた悪友からただならぬ空気を察し、オタクとロボケンは同調したのだ。

二人、よくわかっていないままウンウンと頷く。

 

ったく…頭を掻いて主はため息を漏らす。

「勘弁してくれ、ただでさえ最近は変な連中(某月とか某星)に絡まれ…オッ!?」

瞬間、主は喉が塞がるような感覚と共に倒れる。

「主ーー!?」

「主くん!?」

「おいおい、だいじょぶか!?」

葵と茜まで慌てて駆け寄る姿を尻目に、ゆかりは呆れ交じりに隣を見る。

「貴女ねぇ……」

「ふふ〜ん」

視線の先ーーあかりはどこ吹く風と呑気な面持ちで袋から取り出した飴を口に放り込んだ……

 

〜EP11.炎天爽快・エンジン全開・艶然(えんぜん)近い〜

 

夏ッ!!!!

なんつったかな、確か環境委員だかとかその辺のやつから、不幸にも主達はダボ暑い中、鉢植えの整理を頼まれてまう。

日が落ちた放課後だから、で許されると思うなよ。

 

どうにか作業も一区切りで本日分を終え、葵と主を待つ一同のうち、女子達は木陰のベンチで深く息を吐く。

「ふえぇー、暑いぃ……」

「う゛あー、ほんま地獄やなぁ…」

「・・・」

体操着の襟元をバタバタと扇ぐあかりと記録帳のバインダーをうちわにする茜、そして頭を腕で囲うように膝に伏すゆかり…

こりゃ葵も心配やなぁ〜…三者三様なだらけぶりに茜が内心苦笑を漏らしながらも、ふと違和感を抱く。

延々文句を垂れ流していそうなオタクや悪友すら静かだ…

オタクはともかく、体育バカの悪友はこの程度で音を上げるタイプじゃないやろ…そんな事を考えていると…

 

「ご…ごっふ……」「ふぉおお……」

 

背後から何やら異音……

茜は首だけを曲げて視線を向ける。

その先では豚のような声を漏らし、充血した眼差しを見開く悪友に、声になるかならないか微妙な奇声を上げるオタク……

このベンチから距離を取り身体の角度こそ逸らしているが、つま先立ちをしながら、襟元をいじるあかりとゆかりの体操着越しの背中に必死にさり気ないように視線をチラチラと向けているのが目に見える。

 

・・・ブチッ

 

眉根をつり上げた茜はすっくと立ち上がるなり、

「いって!?」「ぎゃっふ!?」

バインダーを縦に構えた彼女から手刀の感覚で頭に叩き付けられた愚かなオス共は撃沈する。

「ええ加減にせぇやアホ。暑いから全部赦されるんちゃうぞコラ…」

「も、申し訳ございません……」

「ご、ごめんて…」

いつも陽気な彼女からおよそ想像し得ぬ茜の声色に竦み上がる二人…

当然、その奇妙な光景は程なくして戻ってきた主と葵にも知るところとなる。

 

腕を組み仁王立ちで見下ろす茜、羞恥の熱を感じさせながらも口を尖らせた顔を逸らして腕を組むあかり、膝に頬杖をつきながら、じとりと冷徹な眼差しで2つの影を睨むゆかり…

その目線の先では膝も手も額も土に躊躇いなく貼り付けた友人二人の姿…ことを察するなりやれやれと主はため息をつきながら、

「ったく、みっともないことしてんじゃねぇ。」

「決めつけ!?」「おぅふ!?」

悪友とオタクの無様で無防備な尻を軽く蹴りつける。

「『勘違い』なら謝るけど?」

う゛っ……抗議すら受け流す、主の煽るような言い分にたじろぎ、二人してすごすごと引き続き土下座に戻る。

そんな姿を尻目に主は頭を下げる。

「あかり、ゆかり…、茜も。友人として僕からも謝る。処遇は任せるから程々にしてやれないか…?」

 

その言葉に茜たちもしばしキョトンとするが…

「しゃーないな、主に免じたるか。立てや。」

「ありがとなぁ主っ!」

「このご恩は必ずや…!」

さ、て、と!浮かれる二人へ警告するようにわざとらしく茜が言う。

「あかり、ゆかりん、どーする?」

促された二人は表情を和らげ、顔を見合わせる。

どうやら数秒の後決まったようで、そうねとゆかりが口を開く。

「なら、この作業残ってるし、明日やる分は貴方達にお願いするわ。」

う゛っ……(2回目)、淡々と言い渡すゆかりに悪友とオタクも顔を見合わせ、萎れた顔で頷く。

「温情に感謝いたします…」「お、仰せの、ままに……」

まーまー、二人に肩を叩いたあかりが軽やかに笑いながら続く。

「こないだ火薬暴発させたロボケンもソレに因んで明日行ってもらうからさっ。」

・・・

「ちょ待て!?オレら二人で良いぜ!?」

「あら、提言できた義理かしら?」

「ひぃ!?お慈悲〜!」

押問答を繰り広げる男女四人にいつもの調子を戻してケラケラと笑う茜は二人に向き直る。

「やったな主、葵。明日は室内やで。」

「わ、悪いなぁ。私は関係ないのに…」

「何を言うてるん、アイツラと組ませても餌食になるわ。」

「待てよ…?・・・ッ!!」

隣で言葉を交わす姉妹を脇に、茜の言葉を聞いた主は硬直する。

その脳内では、爆速の勢いで数式が組み上がっていくビジョンがよぎっていた。

 

もんだい

男の子が4人と、女の子が4人、それぞれでおくがいとおくないでのさぎょうをします。

男の子のうち3人が、おくがいで作業をすることになりました。

おくないでさぎょうをする男の子はなん人でしょう?

 

しき

男の子は4人、そのうち3人がおくがいでさぎょうをする。

 4 − 3 = 1

 

こたえ:おくないでさぎょうをする男の子は1人

―――――――――――――――――――――

 

・・・

 

「待った異議ありッ!!」

うわぁ!?突如大声と顔を上げる主に姉妹が小さな驚きを見せる。

「ど、どうしたの主くん?」

「なんやぁ?」

彼はズカズカと悪友とオタクの肩を叩くと引き攣った笑いを浮かべながら言う。

「し、仕方ないから明日は僕も回ってやるよぉ、特別に…なぁ!?」

「え?主くん何言ってるの!?」

あかりが困惑と共に首を傾げ、ゆかりが眉間を寄せて諭すように言い寄る。

「甘やかしちゃダメよ、罰は罰なんだから…」

「待て、僕の方が罰みたいになってんだけど!?」

二人を制すると、そこにいた一同が男子も姉妹も揃って不思議そうな顔を見せる。

「な、何言うてんねん主?」

イヤ、あのさ…肩を小さく震わせた主が拳を握りしめ顔を上げる。

「悪友もオタクもロボケンも外行きます!」

・・・うん。一同が頷く。

「他は室内作業です。茜、葵、ゆかり、あかり、僕。」

・・・うん。一同が頷く。

「室内作業の『男子』が『僕』『ひ と り』で す !!」

 

・・・

 

「ぶはは、アンタ今更ンなことほざいとんか!?」

口火を切るように激しく笑い出したのは茜、続くように口角を歪めた悪友が彼の肩に腕を回し、

「テメェこのヤロー、クソムカついたからオメェはコッチくんな!」

「なんでだよ!手助けになって嬉しいだろ!?」

「うるせーこのヤロー!」

「ヤサ男はんたーい!ですぞー!屋外作業は野蛮児の砦!!」

「なんだこのインドアオタク何ヌカしてやがる!?」

 

「…ふっ、あははは!もぉ何それ〜」

「ふふ、随分切実な問題を抱えてるみたいね、主くん。」

取っ組み合う男子3人に、あかりとゆかりもやがて吹き出す。

「こらぁいよいよ主には室内で頑張ってもらわんとな、葵〜」

「へっ!?う、ウン…?」

得意げな茜から投げかけられた言葉に、葵はまたしても勢いで頷くことを余儀なくされてしまった……

 

 

「お疲れ様、主くん…」

「あぁ、葵もありがとね…」

最後に、環境委員だったかとの諸々の確認事項を終えた主と葵は二人、並んで歩く。

 

・・・ふと、主は隣の葵になんとなく目を向ける。

体操服姿自体は別に珍しくもない…

しかし、暑気の中で活動し、微かに熱気を帯びた女子がこれだけ近くにいるのは、少しの緊張を感じてしまう。

若干普段よりも距離を感じるのは…葵も恐らく汗を気にしているのだろう。

「明日大丈夫…?」

「あ?あぁ…まぁ、あかりもゆかりもわからないことあるだろうし、僕もいた方が…と思って溜飲を下げるよ。

どうせバカトリオはあそこまで行くと聞き入れないだろうしな…」

「そっか…」

こころなしか、嬉しそうに葵が答える……が、やがて彼女は立ち止まり、

「ふぅ、疲れちゃったな…」

後ろ手を組んでから肩甲骨を伸ばすように腕の角度を上げる。

「んっ…」

胸を反らせ…瞬間、主は咄嗟に顔を逸らす。

 

「はぁ…。どうしたの?」

「…イヤ。なんでも、ないよ……」

「じゃあ、私はお姉ちゃん待たせてるし、また明日ね。」

手を振り、女子の簡易更衣室へと走る葵に主も手を振って返す。

あの瞬間ーーゆとりを持った体操着が張り、葵の細身な線を際立たせる光景はとても見られたものではなかった…

数秒、気付かずに見届けてしまった光景がどうも焼き付いて全身に更なる熱気を帯びる。

それはまるで、無理やり塗料を塗りたくられたようにベットリとした暑さ……

 

しかし、アレだ…主はどこか苦々しく不服な表情で吐き捨てる。

「こんなことでいちいち反応してたら、僕も悪友達(アイツラ)のことをとやかく言えた立場じゃないな……」

「おー主〜」

やれやれと首を振ると、男子の簡易更衣室から件の悪友が姿を現す。

「んだお前、顔赤いな?」

「暑いし疲れたからだよ…僕これから着替えだし、先帰って良いよ。」

「バカ、付き合うっつうの。」

ニタニタと悪戯めいたウィンクを向けて言う姿に呆れ交じりに口元を緩める。

ドツキ合いも茶飯事だがなんだかんだ良い奴だ…

そんな事を考えていると、悪友は返す。

「しっかしオメェもアレだ、疲れてんだろ?色々慣れないことあるからよ…」

慣れないこと、なぁ…困ったように笑い、返す。

「まぁそうだな…慣れないと言うか、『知らない』ようなことと言うか…」

だろーなー…からかい半分にニヤついて悪友は続けた。

「ま、うだうだ悩んでても、最後にモノ言うのはオメェ自身が何をどうしたいかだからな、そこ忘れんなよ。」

「あぁ、そうだな。」

軽く手を叩き合い、主は更衣室に向かう。

 

はてさて、ソレを踏まえるとするならば、先ほど感じてしまった『熱』にはどう折り合いをつけるべきか、先が長い問題だな。

主は独り、改めてため息をついた……

 

 

 

EP11ーーE N D

 




さて、肝心のエピソードまでどんどん進めていくのも良いけど、5話から派生して隣向日葵の姉妹ちゃんの過去に関わる特別補完長編もやりたいところですがどうなるやら……
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