隣の君と日を向いて   作:ジェイヌ

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納得性のある『過程』って考えるの難しいよね。

今回をお読みいただけばお察しの通り、本アカはシレッとロクでもねぇスラングミームを仕込んどくタイプの創作者です。

ご了承くださいませ。



EP2.任されたなりに頑張ってみます。

委員会定例ミーティング。

「さぁ〜、とりあえず今日は文化祭で使える教室のリスティングをするぞぉ、準備しろぉ〜!」

上機嫌に言うのは担任だ。

 

「イヤイヤイヤ、むしろそういうのこそ『文化祭委員(ゴホンケサマ)』の役割じゃねんすか?」

素朴な疑問を口に出す。

不本意な以上遠慮も無用とさせてもらう。

「どうせ本番近くまでそんなにやることがないんだ。

文化祭委員の連中はそうでなくても優先的にやること沢山あるんだから、先付け実行委員が動きやすいように手筈を整えるのも立派な支援で良いんじゃないか?」

上機嫌に笑うその姿はどこか腹立たしい。

そもそも……

 

「つーか顧問アンタかよ!!こないだかなり他人事感覚で『飛び入り歓迎〜』とか言ってたじゃねーかオイ!?」

オイオイ、呆れたように首を振って担任は返す。

「俺だって新しい委員会をいきなり任された訳だからな。お前らと事情は同じ、お互い様だ!ハッハー!」

やかましいわ、内心で吐き捨てるがすぐにハッと身を強張らせる。

案の定びっくり顔で固まる茜と葵…琴葉姉妹コンビだ。

 

やべぇやらかした…ただでさえそんなに好印象とは言えないのに、こんな反射で声を荒らげたら一発嫌われコースだ。

1年間肩並べて委員会活動しろっつぅ話なのにそれはそれはマズイ。

マズスギィマズマズ…

 

「すごい…!」

 

いや待てよ?これで人間関係拗れた結果うまく行かず降板、なんてのもワンチャン…そう逃げ道がよぎったタイミングで透き通った声が感心を示す。

最初に口を開いたのは意外にも葵、本当に意外なのは軽蔑的なニュアンスがこもっていないことだけどな。

「主くん、そんな大声出せるんだね…」

・・・はい??

「テンポ感もバッチリ、アンタ才能あるで!」

軽蔑どころか文字通り無駄に褒めそやす茜に至っては嬉しそうですらある。

えぇ……困惑する気持ちを抑えながらも、なんとか平静を繕って主は返す。

「う〜ん…そんな才能は、要らない、かなぁ〜……」

だっていらないんだもん(確信)

 

 

〜EP2.任されたなりに頑張ってみます。〜

 

 

「んまぁ結局こうなるよねぇええ、知ってた。」

教室のリスティングと言っていながら、何やら割り振られたと思えば一部の行事支援委員もとい主達は今、倉庫の整理をしていた。

思った通りだ、このテの『ご都合主義組織』のお約束だーーただそれだけでなんとなく許す気になれる自分がいた…

ボケカスがよ。

「美化委員会とかねぇのかよ。」

「その『美化委員会』の『支援』なんじゃね?」

「行事ですらねーじゃねーかー!」

委員の一人がボヤキを指摘するが、一層この不条理感を刺激されるばかりだ。

『行事支援委員会』どころか『委員会支援委員会』なのかよ…(涙)

まぁ良いけど!想定内は想定内だし。

 

ふと次の荷物を見定めようと振り返ると、ひとつの光景が目に付く。

「うわ…いっぱい入ってる。」

「こんなガラクタ何に使うねん…とにかく息合わせてくれな、葵。」

「うん、お姉ちゃん。」

せぇの…

 

「あー待て待てキミたち。」

大きな段ボールを挟んで、華奢な身体を屈め、箱の下に指を差し込む二人の少女に割って入る。

「あ、主くん。」

「お、なんや、手伝ってくれるんか?」

やれやれと首を振りながら主は応える。

「そんなもん女子2人でやらなくていいから。手伝う…つーか僕らがやっとく。男子誰かお願いできますか〜?」

そんな声を上げて人を募り、ちょうど今の作業を終えて戻った男子生徒に頼むなり引き連れて戻ってくる。

「コトノハサン達…というか女子は一人で抱えられるくらいの箱やってくれれば良いと思うよ…」

主…驚きを交えた声で茜が小さく漏らす。

「言うて主も割かしモヤシなんやろ?」

 

・・・

 

「ちょっとお姉ちゃん!?」

葵が咎めるがもうヤケクソだ。

「うん、それはそう。」

因みに体育の通信簿は勿論下位です。

 

ともあれ男二人、大きな箱を持ち上げて去っていく姿を暫し見つめていた姉妹だったが、やがて茜が口を開く。

「あの子、やりはるなぁ〜」

「うん、そうだね…」

 

※ ※ ※

 

数人でペンキ塗りの補修作業だ。

「だぁからこんなことまでやんのかってオイ!?」

「主くんよ、全部突っ込んでたら持たんぞ…」

誰ともなく委員の一人が肩を竦めて呟く。

何も言わずにいられるか、じゃんけんで負けたような奴が充てがわれるわけだわ。

さてと、何はともあれそろそろ別働隊もちらほら戻ってくるだろうか……

「あっ、このブラシ壊れてる…私注文票書いとくね…」

立ち上がった葵にそうだと主は呼び止める。

「コトノハサン、えと…オネエサンはどこ行ったかわかる?」

「えっと…さっき向こう掃いてたから、そろそろ戻ってくると思うよ…」

ありがとうと返し、歩き去る姿を確認すると同時に、

「なー主クン〜、そろそろ言いたかったんやけど、そのコトノ「あ、コトノハオネエサン。」ハっ・・・」

程なく声が聞こえてくるなり主は彼女の言い分より早く用件を切り出した。

「戻って早々に誠に悪いんだけど、ちょっとホース持ってきてもらって良いかな。」

 

・・・

 

「おっけ!」

応じながらもどこか刺々しい語調…頬を膨らませ、口をも尖らせながら踵を返してズカズカ歩き去る姿に主は頭を掻く。

「んー…流石に矢継ぎ早に頼むのは良くなかったな。後で謝らなきゃ。」

お前マジか……的外れな自省を取り囲む空気を、少年はまだ知らない。

 

※ ※ ※

 

「葵ちゃん、大丈夫なの…?」

うん…正直自信はないのだろうが、他の女子の呼びかけに彼女は何でもないように応える。

「委員会は、委員会だからね……ヨシッ…!」

釘を摘んで固定し、金槌をゆっくりと持ち上げ…

「ちょ、ストップストップ。」

説明不要、割って入ったのは紛れもなく(ヤツ)さ。

相も変わらず厭世的な腑抜けまなこが葵を制する。

「コトノハサン慣れてないんでしょ。僕がやっとくよ…」

「主くん…!大丈夫だよ、これくらいなら。」

「本場の委員会ならともかく支援だけで無理に危ないことしなくて良いよ。況してコトノハサン自身は厳密な委員て訳じゃないし、さ…」

「えー、でも委員会的にそれで良いのかな?」

「そうそう、仕事は仕事だし、男子に任せ切りも悪いし…」

他の女子が疑問を浮かべる。

ヤレヤレ、言い分に首を振って主は言う。

「真面目か。コトノハオネエサンみたいに楽しそうつってやってる人には悪いけど、こんないきなり生えてきた委員会なんて、みんながみんなそういう訳じゃないっしょ。

適材適所って言葉もあるし、なにも不得手な分野を真面目腐って向き合おうなんて…」

そこまで言いかけた主は視線を上げ、立ち上がる。

「待ち給えよ、ソレ運ぶのにあと二人はいるだろ。誰かもう一人お願いできますか〜?」

・・・誰が真面目だ。

テキパキとーーそれでいて足腰に若干の無理を感じるがーー対応する姿にその場にいた委員は異心同音に呟きを飲み込んだ。

やがて用事を終えると戻ってきた主が釘と金槌を取り、また口を開く。

「だからさ、ほぼ成り行き委員会で仕事だからって無理してケガなんてしたら敵わんでしょ?この辺は僕とか適当に男子で済ませとくから…」

 

「おーう、精が出るな〜主!イイトコドリか?」

如何にもヤンチャ系の男子が不意に快活な声で呼び掛ける。

体育祭委員もやっており、主の腐れ縁な友人である『悪友』、そして、

「いやはや、新天地でポイント稼ぎ。異世界ハーレムの基礎ですなぁ〜流石の主ドノ。」

メガネを掛けた癖毛の男子は如何にもなコテコテの口調で笑う。

やはり主の友人の一人である『オタク』だ。

因みに図書委員。

 

二人がけらけらと茶化す姿を背に、主の表情から、場を潤滑させようとしていた緩やかな笑みがスンと消える。

「え?」「主くん??」「あのバカども…」

葵を筆頭に不思議そうに首を傾げる女子と対照的に男子は苦笑いを浮かべる。

その様子をヨソに、主は金槌を握りしめた手を一瞬緩めて逆手ーーつまりは金属部(アタマ)を握りしめて持ち直し、

「バカ言ってないで…」

踵を返すなり秒速の勢いで詰め寄り、

「仕事をしろ!」「あっで!?」

「バカタレ!」「うげぁ!?」

柄の先で二人をすっぱたき、ズッコける姿に目も向けず戻ってくる。

と、やがて彼は先と同じ穏やかな表情で続けた。

「ともあれ、女子は工具とかの借用書を整理してもらっていいかな?そろそろ終わって片付けになるだろうし。」

えぇ…一同の困惑すら気づいていないらしく、主は背後で頭をさする影に向けて言う。

「二人とも悪り、もうちょい掛かりそうだから先帰ってて良いよ〜」

「おう、悪りぃな。」

「では、ジブンもお言葉に甘えますぞ〜…」

 

※ ※ ※

 

お疲れ様でした!声が響き、影が散り散りに去る中、茜と葵も帰るかと、缶ジュース片手に並ぶ…と、

「おぅお疲れ琴葉姉妹!ど〜よ、(アイツ)。変な奴だろ?」

「へ、変だなんて!?すごく気配りしてくれますし…」

「ウチに言わせりゃ先生(アンタ)も大概変なヤツや。」

ブハッ、突如のカウンターストライクに担任は堪らずフき出す。

「おぅ容赦ねぇな琴葉姉。妹も、やたら『気配り』してんだろ、アイツ。俺ぁ1年の時も担任だったんだけどよ、コミュ症みてぇなツラしてる割に変に気も利くしやたら優しいんだよ。」

まぁ、なんだ…?琴葉姉妹の反応を気にもせず得意げに語る担任は続ける。

「経緯はともあれ、せっかく同じクラスになって、同じ委員会になったんだ。たかだか去年も担任だっただけの俺が言うのも何様だけどよ……ちょっとノリとか喋り方とか面倒くせぇ奴だけど、仲良くしてやってくんねぇか?そういや委員会の顧問サマか、ハハッ!!」

一人自己完結する姿に微妙な表情で笑い合う姉妹だが、すぐに茜が自信を込めた笑顔になる。

「もっちろんそのつもりやで!」

「私も、折角だから仲良くなれると良いなって…」

「そうか、俺も顧問としてもこれからよろしくな。呼び止めてスマン、気をつけて帰れよ!」

上機嫌に笑って去っていく姿に義理で手を振っていると…

 

「あ、いたいた!」

聞き慣れたと呼ぶには早すぎるが、流石に1日中聞いていれば馴染む声が呼び掛け振り返る。

「あ、主くん。お疲れ様。」

「なんや、まさかウ、チ、ら、と「ごめんコトノハオネエサン!!」

 

またしても遮るように主が頭を下げる。

人懐っこい笑顔の消失した茜、隣であわわと気不味そうな葵にすら気づく気配は無い。

 

「作業終えて戻った矢先にすぐ『ホース取ってきて』は失礼だったよね!ほんとゴメン。それじゃお気をつけて!」

呆気にとられる二人をヨソにそそくさと速歩きで去る主。

 

・・・

 

「おねえ、ちゃん…?」

しばしの沈黙を葵が破ると…

 

「でりゃぁーッ!!」

茜が突如腕を振りかぶり、飲み干した空き缶をゴミカゴ目掛けて投げつける。

お見事ホールインワン。

「『ホース』なんざっ!どぉーっでもえぇ~ねんこのダボぉ!!」

力いっぱいの咆哮を上げた茜が肩を揺らして息を整える。

暫し静観していた葵がくすくすと笑った。

「お姉ちゃん、楽しそうだね。」

んあ?首を傾げながら茜は返す。

「アンタも、やろ?」

「私も楽しい、かも…」

うんと頷く葵の姿に茜は目を丸くする。

いかにも優等生然とした静かな微笑みではなく、姉の自分や共通の一部親友にしか見せないような、無垢な笑顔……

 

「そっか。」

優しく微笑んだ茜は葵の手を取り、今度こそ二人で帰路を踏み出した……

 

EP2ーーE N D

 

 

 




『主』…本作の主人公。
基本的にはコミュ症寄り、のハズ。
『行事支援委員会』に入ってから何かが変わりだした男子。
変に真面目で不器用な一方、それならそれなりにユーモアを学ぼうとする面もある(が、的外れにボケる) 。
また、少し神経質なシバキ体質であり、体育はドベだがギャグ補整のドツキにかけては化け物フットワークを誇る(?)

『担任』…主たちの担任であり、主が所属する『行事支援委員会』の顧問。
キャラとしてのピークは恐らく今。
恋愛パートのフォーカスが強まるとともにたぶん委員会ともども空気と化す。

このシリーズの男たちはボイロ二次としての世界観のノイズになりすぎないように敢えて名前をつけておりません(大事なことなので2度目書きました。)
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