4話後半として出した話でしたが、なんか2倍くらいの文字数あったのとボイ劇化を視野に入れてるので、独立させました。
相変わらず美少女が織りなす青春会話劇にロクでもねぇ構文を落とし込んでるアホ作者です。
放課後、その日は久し振りに珍しいほど何も無かった。
どうにも静かで落ち着かない感覚だ。
否、別にいつでも静かというわけではない。
寧ろ悪友達とつるんで喧しくくだらない時間を過ごすこともある。
だが、『彼女達』ーーと言ってもほとんど姉だがーーに絡まれることは不思議とくだらないとは感じない。
勿論中身があるとも思わんが。
思いの外自分は姉妹が取り巻く喧騒に慣れているのだろうか。
ともあれ、用事もないのだ。
友人達も用事と聞いたし、こんな日くらいはさっさと帰ってしまおう。
そう渡り廊下を歩いていると、目の前にどことなく見覚えのある2つの影を見かける。
あれって確か…そう思い返しているうちに、二人の目線はこちらを捉える。
え、なんかコッチ来てない…?すれ違うだけだよね?
そんな脆い期待は、所詮脆い。
〜EP5.訪問、尋問、詰問〜
「すみません、ちょっとお話をよろしいですか?」
近寄ってきた影ーー二人の女子生徒が門番のように目前の両脇を陣取る。
一人はもみあげだけを長く結いたショートヘアの少女。
怜悧な目を向ける姿は、所謂切れ長美人だのクールビューティだのと言ったところだろうか。
その印象的な容姿から確信すら抱いた主に、追い打ちをかけるように、もう一人が案の定の言葉を投げかける。
「最近茜ちゃん葵ちゃんと仲良い男の子ってのはキミか〜。」
紙パックジュースを片手に悪戯っぽい笑みと共に覗き込むのは、かなり重そうなロングヘアを2本の三つ編みでまとめた、朗らかな少女だ。
『結月ゆかり』『紲星あかり』
口ぶりからお察しの通り、琴葉姉妹の親友たちだ。
というのも、そもそも双子姉妹自体ーー愛らしければ尚更に目立つわけでして、そんな人物が連れ立っているのであれば目に付くたびに印象に残るというものだろう。
尤も、彼女らに関しては自身の存在感の強さも存分に活きているのだろうが。
ともあれ何を言うかと思うれば、心底ご勘弁願いたい。
「な゛…なんすか?」
「怖がらないで頂戴。二人の友達だから気になるのは仕方ないでしょう?」
腕を組みながら澄ました顔で言うのはゆかりだ。
「だってだって、二人がお気に入りの男の子だもんねぇ〜」
お気に入り、なぁ…頭を掻きながら主は返す。
ともあれどうにかあしらうしかあるまいか…
「アカネ、アオイと友達かと言えば疑問があるな…」
・・・
は???
素っ気なく返した言葉に、二人は一瞬固まる。
なんだコイツ。
穏やかな笑みは保ってこそいるが内心は眉間に亀裂のひとつでも生まれそうな勢いだ。
考えてもみてほしい、好意の有無など不問で女性の機微など概念すら知らない男は、またしてもぐだぐだと垂れ流すではないか。
「そもそも、二人との出会いは元をたどれば支援委員会だ。最近はなんだか昼休みに話すことも、下校を共にすることもあるが、根底的には支援委員会絡みありきと言って過言ではない。」
うっわぁ……穏やかな笑みの裏では歪みそうな表情筋との過酷な闘いがあるが、この男子はソレすら知ったこっちゃない。
「(茜ちゃんの言った通りね…)」
「(この人めっっちゃ面倒くさいこと言ってる〜!?)」
つまりだ…友情テレパシー(?)などそっちのけで主の減らず口は寧ろ増えるばかりだ。
「この状況下を以てして…委員会という共通の話題を成り行きとして関わることが増えただけの僕なんぞを、軽率に『友達』と言う枠「えいっ」おぐぅ!?」
瞬間、口内ーー喉の奥に目掛けた強い衝撃に思わずえずき、口の中で情報を整理する。
気付けば何かを投げつけたらしき手つきのあかり、そして口内には甘みが広がり…コレはどうも、縁日で売っているようなザラメまみれの大ぶりな飴玉のようだ……
・・・
ッて!?
「アンタ人様をコ□す気かオイ!?」
スイッチが入ったような怒鳴りように、ほぅとゆかりが的外れな関心を見せる。
「この切り替えの速さも茜ちゃんの言った通りね。」
「急にごめん、話に聞いた通り、すっごいヘンな喋り方するから…なんかウザくってぇ〜」
「なんかウザいでコ□すな!?誰でもよかった通り魔か!?」
「まぁ〜まぁ〜、あんま簡単に友情を否定するもんじゃないぞ少年。」
「どの立場の目線だよ。」
眉をつり上げ、咎めるようにあかりが言葉を続ける。
「キミ、葵ちゃんから直接仲良くなりたいって言われたんだよね?」
「茜にしたってすごい執念で名前呼びにさせたって聞いたし、そこまでするのは充分な友情よ、受け止めなさい。」
諭すようなゆかり…なんかサマになるなこの人。
…暫し勢いに気圧され黙りこくっていたが、やがて主は落とし所をつけるように口を開く。
「そうだね、アカネもアオイも立派な友達だよ。以上、閉廷。」
すごすごと二人に手を振りながら通り過ぎ…
「あー、オイ待て〜い!」
「なんだよ!?」
すぐに襟元を掴まれて引き寄せられる。
「肝心なことを、ね…」「聞き忘れてるゾ〜!」
えぇ…困惑気味に首を捻る。
「キミたちの友達の友達としてどんな奴かってのはもう充分だろ?」
「何とぼけてんの?大事なのは次!主くんキミ、二人のことどう思ってる!?」
・・・そんなことか、やれやれとため息をひとつ。
言葉を探るように息を吸った。
「そう、だね…アカネは行動力が素晴らしいね。向いてる向いてないを1回やってみてから自分で決める。その姿勢はすごい。
それに、あの対人力で誰とでも打ち解けて打ち合わせなんかも円滑に動かせる。僕にはカケラも無い力だね…」
「」「」
なんとかそれらしい所感を展開するも、二人はキョトンとしてまるでリアクションが無い…まぁいいか。
「アオイは…気配りが天才的だと思う。元々アカネの手助けをするつもりだって言いながらも書類の書式ミスとかいち早く気付いて教えてくれる。助かっているよ。二人とも支援委員会において強い人材だと、僕は思っている。」
それじゃ…豆鉄砲を食ったような顔のまま突っ立っている二人に満足だろうと手を振り、今一度歩を踏み出した。
がっ。
「ハイ???」
ゆかりが手首を掴んでいる。無言の笑顔だ。
「ちっがう!!そういうのは良いの!」
代弁のようにあかりが声を上げた。
「ワッツ他に何を思えば良いんだよPeople!?」
思わず声を荒らげて応酬すると、あかりも負けじと声を張る。
「だからぁあ〜、茜ちゃんと葵ちゃんどっちがタイプなのさ!?」
「ファッ!?」
ド直球な質問に、主はもはや何度目かもわからないフリーズに陥る。
イヤ、待ってほしい、それこそ勘弁してくれ……
「まったく…、委員会を通しての関わりもそんな経ってないんだから、そんなもの言える段階でもない。況して友達に優劣を付けるようなタチでもない。」
えぇ!?あかりが抜けた声を漏らす。
「タイプってそういうのじゃなくて、もっとパッと見の印象とか直感的なものじゃん!?」
「友達に優劣をつける行為でもないわよね、別に。」
でもまぁ良いわ、ゆかりが締めるように続けた。
「もうやめてあげましょ、あかりちゃん。あんまりやり過ぎると私たちまで『カラい』目に遭わされかねないしね。」
それに、ゆかりが携帯電話をあかりに見せる。
「クラスのトークになんか来てるわ。」
そう言いながらも映っているのは彼女が打ったメッセージ。
『目線が揺れた』
その一文を確認したあかりは小さく笑いながら携帯電話を取り出した。
「あれーほんとだー!邪魔してゴメンね?」
「思ってもいないよねぇ?」
わざとらしく話を切り上げる姿に思わず刺々しい声を出すが、
「からかったりして悪かったわよ、また会いましょう?」
「今度は5人でお話したいね〜」
そう連れ立って歩き去る姿は見届けるしかなかった…
全くもって嵐のような…というか完全に『荒らし』そのものだ。
なんだアイツラ。
友達の友達だからといってなんでも許されるわけじゃねぇぞ。
「おっ、主じゃーん!まだ帰ってなかったの?」
軽薄な声が後ろから響き、振り返ると腐れ縁の悪友がパタパタ手を降っているではないか。
「ああ、まぁ色々と…」
「つぅかアレ、ユヅキとキズナじゃん。オレユヅキこえーんだよな。何考えてるか分からねぇつぅか何でも知ってるようなツラしてるっつぅか…」
?彼の言い分に首を傾げる。
「そんなに、かな…?なんか違う気もするけど。」
そうか?妙な口ぶりの反論に、逆に悪友が首を捻った。
「しっかしオメ、今度は姉妹ちゃんの友達かよ。ただでさえ姉妹ちゃんの時点でうらや…じゃねぇ、とにかく大変そうだな!」
言い淀みながらも適当に誤魔化して笑う姿にしかし、首をすくめて主は苦笑する。
「大変なのは同感だ。本当に厄介な話だよ。」
「つって満更でもなさそうじゃね?」
「できればもっと平穏に過ごしたい。」
「オレらはあのロボケンヤローがいる時点でムリっしょ。」
「それはそう、クソ…」
悪友に調子を合わせながらも、先程の二人の質問を思い返す。
そして芋蔓で呼び起こされるのは、ここ最近の二人との日々だ。
自分のような変な奴相手に友達になりたいなどと言われたこと。
呼び名を巡って、茜から齎された葵の話。
お近づきの印などとのたまって好きな場所を教えてくれた茜。
そして、あの日の葵の無意識らしき行動……
追い打ちのように、キズナサンとユヅキサンは何が言いたかったんだろう…
いや、やめよう。
余計なことは考えるほど綻びとなる。
「あ゛ーくらくらする…おぶれ体力バカ」
「んあ!?てめっ、風邪かよ。」
「もっと複雑で精神的なモノかもしれない…」
「なん〜だそりゃ」
『今日はもう帰ろうぜ。』
悪友の軽口に調子を合わせながら、そう自分に言い聞かせた。
EP5ーーE N D
『結月ゆかり』…鋭い視点を持つクールビューティなんだろうけど多分作風の都合もあってそこまで活かされない。
あと多分尤もらしく適当なこと言ってるタイプ。多分
『紲星あかり』…天真爛漫で人懐こい。
ある意味一番常識ツッコミポジになりそう。
大衆の認知ほど極端な食い意地も胸囲もない想定だが概ねそういう感じになってると思う。