初音ミクと始めるシェアハウス!   作:難聴系以下略

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ミクが家に来てくれて共同生活とか、至福以外の何物でもない…

鏡音二人は多分3話辺りまで登場しないと思われます。



1.初音ミクをお届けに参りました

 

ある涼しい夏の日。まるで映画の舞台(サマー◯ォーズ)にありそうな古い屋敷にて、

 

(デスクトップPC、Wi-Fi、キーボードetc…必要な物は殆ど揃った。後は_)

 

彼は19歳のどこにでもいるような一般人。高校を卒業して近くの楽器店に就職し、社会人の第一歩を歩み始めたばかりの人間だ。

 

彼には目標があった。それは作曲家になる事。沢山の人々に、自分の音楽を届けたい!という想いを、彼は抱いていたのだ。

 

さて、音楽を作る…と言っても沢山の方法がある。自分で楽器を演奏したり、楽譜を作ったりする方法から、PC上で音を組み合わせて、一つの音楽にする方法…これ以外にもあるのだが、所謂「ボカロP」と呼ばれる人物達が必ずしているのは、後者である。

 

(わざわざ高いWi-Fiまで買って、動作確認までした。お陰で頑張って働いた半年分の給料の殆どが消えたけどね!)

 

彼の住む屋敷は東京にあるが、いくら東京とてどこも高層ビルが立ち並んでいる街ではない。都心からは少し離れた、田舎寄りの場所に住んでいた。その為、生半可なWi-Fiでは常時電波接続が出来ないのである…

 

(あとは、初音ミク。注文しておいた初音ミクのパッケージ版が届けば、曲を作り始められ_)その時、呼び鈴が鳴る。

 

「宅配便でーす!」その声は妙に高く、聞き覚えがあった。

「…?何か知ってるような…まぁいいや。はーい、今出まーす!」

 

何はともあれ、後はミクのデータをPCに打ち込めば、ボカロPとして活動する事は出来る。彼の目標はそれだけではないのだが、ひとまず第一歩を踏み出せるのだ。

 

そして、家の襖を開けると__

 

 

 

「ふふっ♪始めまして、初音ミクだよ!」

 

目の前に、ミクがいた。

 

「………えっ?」彼は暫くフリーズする。そして、何事も無かったかのように襖を閉めた。

 

「……あれ、おかしいな…幻覚かn」

「ちょ、ちょっと!?なんで閉めたの?」ミクが家の襖を開けて顔を覗かせてくる。その顔は不服そうだ。

 

…てっきり、宅配員さんが初音ミクのデータが入ったパッケージを持ってきてくれると思ったのだが…「…コスプレ、お上手ですね…」

「コスプレじゃないよ!?私、本人だよ!?」

 

そして、彼は自身の頬をつねる。「…痛い。………ええぇぇぇぇ!??」そう、これは夢ではない、現実なのだ。

 

「せっかく注文されたから来たのに、受け取ってもらえないだなんて…そんな事、しませんよね?」ミクは上目遣いで彼に話す。

「い、いやそんな事しないけど…え?なんで?なんで本人が?」

普通はこの反応になる。いや、ならない訳が無い。

 

「そんな細かい事気にしてても良いことないですよ?」

「ま、まぁそっか…じゃなくて!?」

 

そうして暫く考えた後、とりあえずミクを屋敷に入れる事にした。流石に外で立たせたままは失礼だろう。

「お邪魔しま〜す…わぁ、立派なお屋敷だなぁ…」

 

ミクが目の前で、しかもリアルにいる。数分前の自分に言っても絶対に信じないであろう。

そうして居間に連れていき、座布団に座ってもらう。

「い、今は板チョコ位しか出せないけど…ってかそもそも食べれる?」

「え、チョコですか?全然食べれますよ!ください!」

ミクに板チョコを渡すと一口サイズに分けた後、喜んで食べ始めた。

 

美味しそうに食べるミクを見て内心可愛いな、などと思いながらも、聞かなければならない事を聞く。

「…ねぇミク…もしかして、ここに住む?」

「え?はい、そのつもりですよ?」

 

大抵の人ならばまずガッツポーズをするだろう。あのミクと一緒に住めるとは至福以外の何物でもない。…だが、彼の頭に最初に過ぎったのは先立つもの()の事だった。

 

「…1日3食、俺が食べてるのと同じメニューだとして1月約3万…それから着替えとか物資とか揃えるのにだいたい_」

「え、えっと…コンセントとバッテリーさえあれば、私は別に大丈夫ですよ…?最悪、外で野宿でも_」

「ダメー!それは俺のプライドと人権に掛けてダメです!」

彼は財布を持ってきて、中身を確認した後改めてミクの生活費を考えていた。

 

その後、息をついた後にミクに話しかける。

「ミク。とりあえず部屋は余りに余ってるから、好きな部屋を使っていいよ。この屋敷、無駄に広いから…」

「えっ、いいんですか!?ありがとうございます♪」

「で、部屋決めたらベッドと服買いに行こう。今日はとりあえずそこまでかなぁ…」

 

時計をみれば、針は間もなく12時を回る所である。今からバスに乗って家電量販店と服屋を回るとなると、すぐに夜になってしまうだろうから。

 

「それじゃ、部屋を決めてきますね♪」

そうしてミクは家を周り始めた。

「…我が家でミクが歩いてる…違和感が凄いな…」

そう思いながらも、彼の心には微かな期待が滲んでいた。

 

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注文されて、心を躍らせながら指定された家に行ってみて。

まさかコスプレイヤーだと勘違いされるとは欠片も思っていなかった。

 

昔ながらの木材の香りが漂う床を、ミクは歩いていた。「…変わった人だなぁ…まさか来て最初にするのが部屋決めなんて、思わなかったな…」

 

歌う機械として創られたVOCALOIDである彼女は、まさか自分自身を大事に扱う人がいるとは創られた時は思ってもいなかった。彼女は歌う為に使い潰され、本人もそれを良しとしているのだから。

 

(でも、せっかくそんなふうに扱ってくれるなら私も期待に応えないとね!)

部屋のサイズや間取り、位置や日の差し方を彼女は見ていく。その姿はまるで新居に心躍らせる人のようだ。…まぁ間違ってないのだが。

 

「…こことか良いかも!あのー!…あれ、何て呼べばいいんだろ…

「…お、決まったの?」彼はミクの声に反応し、歩いて来る。

「はい!この部屋がいいなって…所で、君の事は何と呼べば良いでしょうか…?」

 

彼は少し考えた後、ミクに言う。「ミクが呼びやすいように呼んでくれて大丈夫だよ。」

「私の呼びやすいように……うーん…男の人が呼ばれたら嬉しい名前…」

「い、いや別に呼び捨てでもなんでm」

「…マゾとか豚とか、ダーリンとか旦那様とか…?」

「うん違うね…ってちょっと待てぃ!?それアウトだから!」

 

「えー…なら単純にマスターと呼ばせてもらいますね!」

そう言うミクの顔は笑顔だった。そんなミクを見て、彼は内心戦慄していたが…

 

 

 

「…それじゃ、取り敢えず家電量販店から行こうか。と、その前にミク、これ来て?」そう言って、棚から畳まれた衣服を取り出す。

「これは?」

「変装道具っていうか…、だってミクがそのまま道を歩いてたら誰だってびっくりするでしょ?今からバスに乗ったりするから、人には会うだろうし…」

「…まぁ、確かに…?私は別になんとも思わないんですけど、所謂お忍びってやつですね?」そう言いながら、その場で着ていた服を脱ごうとする。

 

「ちょっと!?今まだ俺いるよ!?」着替えろと言ったとはいえ、まさか自分がいる中着替え始めるとは思ってもいなかった。

「え、ダメですか?私別に人間じゃないですし…」

「そういう問題じゃなーい!…あぁもう、着替え終わったら呼んでくれよ?」そう言って足早に部屋を出て、襖を閉める。

 

「はぁ…、ミクに恥じらいはないのか(の姿ちょっと見たかったな)…?」一応16歳の少女に恥じらいが無いとは、教えはどうなっているのだろうか…

「…ま、VOCALOIDと人間じゃ価値観が違うもんか…?…いやまぁミクが天然なだけな気も__」そうこう考えている内に、ミクが呼ぶ。

 

「終わりましたよー」

「はーい……凄いね、思ったよりぶかぶかだった…」

ミクと彼には身長差があるので、服もその分ぶかぶかである。…まぁ着ている人の容姿が良いので絵になるのだが…

 

「じゃ、行きましょう、マスター!」

「よし、じゃあ近くのバス停まで歩こうか。」

そうして彼らは歩き始める。

 

 

最初の一歩を、歩みだした__

 

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「…よし。ここだよ。」10分ほど歩き、バス停に到着する。

「次のバスの予定は何時ですか?」

「んーとね…20分ぐらいかな。やっぱ田舎だなぁ…」

「そこそこ時間がありますね〜……」そんな時、ミクがある物を見つける。

「あっ、マスター!あれは何ですか?」ミクはある店を見て言う。

 

「あれ?あれは…団子屋さんだね。食べたいの?」

「はい!是非とも!」食わせ気味に目を輝かせて彼を見つめる。

「…分かったよ、それじゃ行こうか。付いてきて。」

 

二人は団子屋に向かって歩く。辺りには木々や草むらが生い茂っていて、何人かが草を狩ったりしているのが見える。

「…にしても、自然豊かですね、ここ…」

「でしょ?東京とはいえ地方の田舎と大して変わらないよ、ミ_」

 

「___♪」ミクの透き通った歌声が辺りに響く。声だけで奏でられたその旋律は美しく、人を引きつける力のある物だった。

 

そして、それを歌うミクの仕草、表情…一つ一つが揃い、【電子の歌姫】の音が辺りの人々の耳に届く。

「…綺麗な声……ミク、その歌は…?」

「_♪」彼女は歌を止めない。まるでそれ以外の世界を全て切り捨てたかのように、集中していた。

 

彼はミクに再び話かけようか迷ったが…集中している事を止めさせるのは失礼だと思い、止めた。それに…

 

「……やっぱり、歌って良いですね!スッキリした気分です、マスター!」歌を歌いきった歌姫(ミク)は、満足気な様子でこちらを見る。

 

「…そうだね…流石だよ、ミク。…感動しちゃった。」その目元には僅かに涙が溜まっていた。

それを見たミクは笑いながら言う。「そうですか〜?ならこれからいっぱいマスターを泣かせますね!」

「いや〜…どうなるかなぁ…」泣かせられたくないし、泣かせられたいし…そんな相反する気持ちが渦巻いた。

 

「…ほら、歌ってる間にもうついたよ。どの団子がいい?」

「そうですね〜…みたらしで!」

「いいよ。…みたらしを1つお願いします。」

 

そうして、近くの椅子に座り彼女は団子を食べ始める。

「ん〜…おいひい…」

「…ねぇミク!あのタンポポとみたらし団子…どっちが好き?」

「え?それは勿論団……あっ!?マスターズルいですよ!」頬を膨らませながら言う。まさに「花より団子」というやつだろう。

 

「面白い歌姫なこった…」彼はこの先の人生に、一つの希望を見いだした。無論、その希望を掴み取れるかは彼次第だが…

 

 

「…美味しかったです〜…まだ食べたい…」

「良いよって言いたいけど金が足りなくなるかもしれないからなぁ……また来るから今回は我慢してくれる?」

「全然大丈夫ですよ!また来ましょう!」

 

そうして、二人はバス停へ向かった_

 





主人公君はそれなりに頭は良いです。ただしトラブルに巻き込まれやすい悲しい人物でもあります…

屋敷は親が維持費だったりを払ってくれていて、彼はまずはそれを自分で払えるようになるべく働いてます。まぁミクが来たせいで出費が増えるので…まぁ…
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