VOCALOID界隈では本人が配達されるのが流行りなのかもしれません…
まだ気怠い体に鞭を打ち、屋敷の玄関まで向かう。
「こんな朝早く…宗教勧誘とかだったらマジでキレるぞ…」
そして、ドアを開けると_
「おはようございま〜す!」
「それよりはじめましてが先でしょ、リン…」
「……???」
この上ないデジャヴ感。確かに
「落ち着け…これは夢d」「夢じゃないよ!?」
「まぁ、気持ちは分かりますよ…昨日ミクが来たばかりでしょ?」
「う、うん…いやそれより!なんでこんなに本人が来るの!?」
「「えっ?…気分?」」
口を揃えて言う2人を可愛いな、と思いつつも、それはそれとして気分で来るもんじゃないだろと思う彼がいた。
「…はぁ…取り敢えず、2人とも上がって…板チョコ用意するね…」
「えっ、いいの?私甘いもの好きだから嬉しいよ!」
リンは目を輝かせてはしゃいでいる。
「僕もチョコは好きだから嬉しいね…!…それじゃ、お邪魔しま〜す…」
レンも笑みを浮かべながら、なんだか申し訳なさそうな表情をして屋敷に入る。
「…カップラーメン生活どころかもやし生活になりそうだな…」
そう言う彼の背中は、19歳とは思えないほど悲しげだった。
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居間に2人を呼び、座ってもらう。
「はい、板チョコ…分けて食べてね。」
「えへへ、ありがとう!」
「いただきまーす…」
「やっぱりチョコは美味しいねぇ〜」
「おい待てなんでミクまでいる?」
彼が板チョコを取りに2人から目を離して僅か数秒。なんという速さだろうか。
「え?板チョコって単語が聞こえたから…」
「この食いしん坊め…」
そう言いながらも、彼の口元には笑みが浮かんでいた。
「ん〜甘くて美味しい……そう言えば、ミクも居たんだ!」
「あはは、私も昨日来たばっかりだけどね〜」
「…ミクとリン、かぁ……絶対制御出来ない」
なんだか一人だけ
「マスターが言ってたのって、リンちゃんとレン君の事だったんですね!」
「うん。最近のボカロは2人以上で歌う曲も多いからね。」
「…マスター、で良いですか?呼び方…」
「それでいいよ、レン。それにそんな硬くしなくて大丈夫だよ?設定上5歳しか離れてないし。」
「…分かった、これから宜しくね、マスター!」
「うん、こちらこそ!」
「あ〜、レン抜け駆けズルい〜」頬を膨らませて言う。
「抜け駆けって…これからお世話になるんだから挨拶しただけでしょ?」
「まぁね?でも私が先が良かった〜。」
「…別に先でも後でも、挨拶してくれるだけで嬉しいよ?俺からしたら好きな人が3人も目の前にいる事が信じられないからね…」
「「……!」」2人はその言葉に少し驚いたような反応をした後、笑顔になって言う。
「…そうだよね、僕達に歌ってほしいからこそ、僕達を選んだんだもんね?」
「その通り!…期待してるよ?レンも、リンも…」
「うん!宜しくね、マスター!」リンは笑顔で彼に手を伸ばす。
彼はその手を握り、笑顔で言う。
「宜しくね、リン!」
そんな中、ミクはチョコを食べながら言う。
「二人にもベッドとか服とか買ってあげるの?」
「うん、そのつもりだよ。まぁオンラインショップはインストールしたから通販で買うつもりだけど…」
その言葉に、二人は驚いたように言う。
「えっ、私達そこまでしてもらっていいのかな…」
「マスター、そんなに手厚くしてもらわなくても大丈夫だよ?」
「…二人ともミクと似たような反応するじゃん…、ここに住むのに二人の寝場所とか着替えがないと…少なくとも俺のプライドが許さないね!」
「そうだよ、ベッドとか最高だから!確かにバッテリー付ければ私達生きてられるけど…いや〜、あの気持ちよさは体感しないと分からないよ…」
ジト目で彼は言う。「そりゃちょっと高いやつ買ったからねぇ…」
ミクは微妙な顔で返答した。「あ、あははは〜…」
「でもその前に、部屋決めなきゃね。二人はどうするの?一緒の部屋かそれぞれの部屋か…」
この時、彼もミクも回答は何となく分かっていた。『別々の部屋』と言うだろう、だって精神年齢14歳の男女だぞ?流石に恥ずかしいだr…
「まず部屋が貰えるのが私、びっくりなんだけど…」
「まぁ、選べるなら…」
「「一緒の部屋で!!」」その顔はあまりに純粋無垢で、汚れを知る大人からすればまさに太陽そのものだった…
「…えっ!?一緒に!?」ミクは驚いた後に、二人に聞き返す。
「…二人一緒で、恥ずかしくないの…?」
「えー?別にレンと一緒にいても何にも恥ずかしくないよ、むしろ楽しい!」
「まぁ今更リンに対してそうは思わないかな…、創られた時から一緒だったし!」
「…なぁ…ミク…俺、自分が恥ずかしくなってきたかも…」
「…奇遇ですね、私もです…」
杞憂な事だったか、と考えながら、2人は部屋を選びにいった。
「……俺もチョコ、食べるかn」
「だ〜か〜ら!!こっちの部屋のほうが日当たりが良くて過ごしやすいの!」
「い〜や!!こっちの部屋のほうが広くて過ごしやすい!」
「確かに部屋が広いのはいいけど〜、この分からず屋〜!」
「カッチーン…なんだと〜、そっちこそ分からず屋でしょ!」
「「ぐぬぬ……!!」」
「…マスター、やっぱり私心配になって来たんですけど…」
「…ま、まぁ…喧嘩するほど仲が良いって言うし…」
やっぱり精神年齢14歳の男女なのだろう。
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彼は2人が部屋を選んでいる間に、ある物を見て悩んでいた。
「うーん…取り敢えずスネアは必要で…ドラムも欲しいな、それだけあれば細かい表現が出来るはず…」
ミクはそんな彼を見て、ひょこっと顔を覗かせる。
「マスター、何を読んでるんですか?」
「ん、これ?俺の働いてる楽器店のパンフレットだよ。最初はミクだけで歌ってもらおうと思ってるんだけど、そのベースの為に楽器を買いたくてね…」
「打ち込みじゃダメなんですか?」
「まぁそれでもいいけど…、俺的には人間が演奏した物をなるべく使いたいからね。管楽器は演奏出来ないから使うなら打ち込みだけど…」
「ナルホド…」そこまで言って、ミクは彼に聞く。
「…予算、大丈夫なんですか?」「ヴッ」
昨日ミクの為に買ったベッドや衣類で、彼の貯金の5割は吹き飛んだのだが…今日更に2人増えたせいで、恐らく彼の貯金は底を尽きる見込みである。
「…ま、まぁ働くし……それに、ミクもこれからもやし生活してくれるでしょ?」満面の笑みだ。
「えっ!?聞いてないですよ!?」
「昨日は『バッテリーとコンセントだけで良い』とか言ってたくせに〜」
「だ、だってあんなに美味しいお団子とか、牛丼食べちゃったら…ぬ〜!」声にならない叫びを出すミク。それだけ美味しかったのだろう。
「あはは、冗談だよ冗談。明日働いたら給料貰えるから、多分どうにかなるよ…」
ミクは一瞬目を輝かせた後、すぐに頬を膨らませて言う。「……!………もう〜!マスターのイジワル〜!」
「はいはい、悪うござんした〜」
昨日来たばかりの時は割と丁寧だったのに、デレるの早いな。
…とか思いつつも、声には出さない。出したら腹パンされる気がしたから。
そんな事をしていたら、レンが疲弊したようにこちらに歩いて来る。
「…はぁ……はぁ……マスターァ…決まりましたよ…」
「なんでそんなに息が荒いの、レン君…」
「暫くリンと口論して、最終的に歌バトルで決めたから…」
「…あはは…それは、大変だったね、レン…」
結局、2人はスペースの広い部屋にしたようだ。リンは少々不満げな顔をしていたが、文句は言ってこなかった。
「…それじゃ2人とも、ベッドとか服とかを、これで選んで?」
そうして、2人の前にiPadを置く。昨夜オンラインショップをインストールしたのだ。
「そこまでしてもらうのは申し訳ないなぁ…」
「だから遠慮しなくて大丈夫だって、リン。見返りは2人の笑顔で充分だよ!」
「…良いこと言うじゃん、マスター…そのドヤ顔が無ければね…」
「エッ」
何故だ。めちゃくちゃ良いこと言ったはずなのに。
「…ねぇレン、二段ベッドとかどうかな?」
「あ、良いんじゃない?どっちが上でどっちが下とか、毎日言い争いそうだけど…」
「えへへ、それはその時その時で交代制にすれば良いんじゃないかな?」
そんな微笑ましい会話が続く中、見守っていたミクは言う。
「仲良しだね〜、2人とも!」
「え、そうかな〜…?」「仲良し…というより相棒?みたいな…」
「俺からすればとっても仲良さそうだけどね、2人とも…」
「…あ、あんまり言われたら恥ずかしいな…」
「2人とも、そんなに僕達にちやほやされても…」
2人は少し照れているようだ。
「あ〜…照れ顔で死ねるわ〜」ミクは満たされたような顔で言う。なお周囲3人のジト目には気づいていない模様…
そんな中、彼のお腹が鳴る。
「あっ……腹減ったかな〜…ちょうど12時だし、何か作るか!」
そう言って立とうとすると、リンに止められる。
「マスター!せっかくだし私達がお昼ご飯、作るよ!ちょっとでも住まわせてくれるお礼をしたいの!」その顔には一切の陰りも打算も無かった。
「まぁそうだな、僕達今からお世話になるんだし、その分何かしないと…」
「じゃ、2人とも頑張ってね〜、私は味見係だかr」
「「え?」」「あっ、やりま〜す!」
「…皆…」そのあまりの優しさに彼は軽く泣いた。ミクの言葉で一瞬涙が止まったが泣いた。
はたして、彼女達は無事に食事を作ることが出来るのか?
ミク→一番ズボラ。最初は本当にバッテリーとコンセントだけで良かったのだが団子と牛丼により陥落。ミク単体ならまだまとも寄りなのだが、そこに他の人物が合わさるとあら不思議。リンと共にレンの胃(とマスターの貯金)を追い詰める。なお、そんなミクのお金使いは荒い。
リン→生真面目。行動や言動よりは常識人で優しい…が、レンや慣れている人に対してはツンデレになりがちである。その行動力と明るさで多くの人々を元気づけてきたが、時にはしゃぎすぎでトラブルを起こすことも。なお、お金使いは慎重である。
レン→胃痛枠&生真面目。リンの暴走により面倒な事になった経験が多々あり(なお3割くらい自分が悪い事もある)少々疲れ気味だったのだが、それにミクが加わる事が確定し、レンの胃が天国へのカウントダウンを始めている。ただ根っこはリンと似たりよったり。お金使いは計画的だ。
はい。ちなみにまともっぽく書いてるレンですが此奴も大概だったりします。まぁリンの鏡写しの存在だからね、しょうがないね!
この3人をどう可愛く描くか考えた結果、取り敢えず料理して貰うことに…
次話ヒント:ミクの料理の腕前は…「グッドテイスト or バッドテイスト?」