今回はほのぼの料理回です。
果たして、無事に料理を作り上げる事は出来るのか?
そして3人の中に潜む裏切り者(意味深)は誰なのか?
真実はいつも一つ!!
縁側から真上を見上げれば、そこには確かに煌めく太陽が。
彼はミク達の作る料理を待ちながら、青空を見上げていた。
「…あいつら、大丈夫かな…、でも外で待ってろって言われたし行くわけにもなぁ…」
事の発端は単純。リンが「せっかくだしサプライズって事で、何が出来たかは出来上がってからのお楽しみ!」と言ったのだ。
「…ま、そう言うからには何を作るか決めてるんだろうし…心配しなくていっか……調味料とか大量に使われたら困るけども。」
彼は風鈴の音色を聴きながら、おとなしく外で待つ事にした…
ミク達はエプロンを着て、三角巾を被り、キッチンへと向かう。
「…ねぇリン、サプライズって言ってたけど…何を作るかは決めてるんだよね?」
「え?そんなの全く決めてないよ?ノープラン!」
「え〜……」
「…じゃあ、取り敢えず冷蔵庫とかにある物を使って作ろうか!ノープランでも大丈夫だよ、きっと!」
「そ、そうかな…まぁ取り敢えず、何があるか探さないとね。」
そうしてミクは冷蔵庫を開け、中を見渡す。
「…ふむふむ…、生姜とニンニクがあるよ!小麦粉とみりんもあるかな?」
リンは下段の冷凍庫を開けている。
「えーっと…これは…豚肉かな?結構分厚いのが2枚ある〜!」
そしてレンは調味料棚を漁っていた。
「塩に胡椒、サラダ油に醤油か…」
リンは少し考えた後、笑顔で二人に言った。
「生姜と豚肉があるならさ、豚肉の生姜焼きとかどう?」
「良いんじゃない!?」
「確かに材料は揃ってるし…4人分あるね。いいと思うよ!」
「よし、それじゃあ頑張って作ろう!」
「「「えいえいおー!」」」
ここまでは良かった。ここまでは。
レンはまな板と包丁を用意し、言う。
「じゃあ取り敢えず、豚肉を薄切りにしないとね。20枚ぐらいあれば丁度良いんじゃない?」
「分かったよ、レン!」豚肉を並べて
「結構大きいね〜…もうちょっと多めに切ろうかな〜♪」
そしてレンとミクも同じように切り始めるが…
「………あれ、切れないなぁ…」
「まぁちょっと分厚いからね、力を入れないと…ってミク!?」
彼女は包丁を大振りに振りかざしていた。
「…あれ、これでも切れない?」
「そりゃそうだよ、ミク!お肉は繊維があるでしょ?だからこんなふうに、繊維に対して横に置いて、垂直に切らないといけないんだよ!」
「あ、ありがとう、リンちゃん…」
(…大丈夫かなぁ…ミク…)
開始20秒、早くもレンはミクに対して不安を覚えていた。
「よーし、切れたね、レン!」
「うん、ちょっと多いけど…まぁ大丈夫かな。」
「次は何すれば良いの、レン君!」
「えーっと…切った豚肉に軽く塩と胡椒をふろうか。」
「下味付けてないけどいいの?」
「まぁ後からちゃんと調理すれば問題ないよ!」
ミクはそんな二人の会話を聞いて、感心していた。
「二人とも、料理出来て羨ましいな〜」
「えへへ、そうかな?」
「まぁ得意って訳でもないけどね?」
「じゃ、軽くふろ…ミク!?それ多すぎだよ!?」
彼女は手いっぱいに握りしめた塩を豚肉にかけようとしていた。
「え、そう?」「多すぎるよ〜」「塩分で死んじゃうよ、マスター…」
「はぁ…じゃあ僕が玉ねぎとニンニクは切っておくから、ミクは豚肉に小麦粉を振って、軽くはたいてくれる?リンはミクの監視をお願い!」
「了解!」
「なんで監視されるの!?…まぁいいけど…」
キッチンに、野菜を切る音が響く。
(ニンニクはあった方が美味しいからね。しっかり切って_)
後ろから声が聞こえてくる。
「ミク!?なんでお肉を投げつけようとしてるの!?」
「え?うどんの麺ってそうやってコシを出してるイメージがあるから、これもそうかなー、って…」
何故だろうか。胃のあたりが妙に痛む。
レンはそれを無視し、無心で野菜を切っていく。
「えーっと、私は生姜をすりおろすから、ミクはみりんと醤油を混ぜてくれる?みりんが大さじ3杯、醤油が2杯ね!」
「分かった!…大さじ1…2…」
リンは生姜をすりながら、しっかりとミクを監視していた。
そんな中ふと眠気に襲われ、欠伸をする。
「ふにゃーぁ………ん!?」
器を見れば、真っ黒な液体が満ちた物が2つあるではないか。
「で、みりんも3杯だよね…」
「ち、違うよ!?器を2杯、3杯って事じゃなくて〜!」
レンは瞬間的に胃を押さえてしまう。
「……いや、まぁ…ミクが料理音痴なだけだk」
「ミク〜!!お願いだから生姜にそんな思いっきり汁をかけないで!」
「ウッ」明確に胃が痛い。後ろから聞こえる
(…後で、マスターに胃薬貰おうかな…効くか分かんないけど…)
「それじゃあ…フライパンで肉を焼こうか。」
「はーい、私やりm」「リン、お願い」「勿論だよ!!」
「えー、私は?」
「「………」」二人の目には一言では言い表せない、複雑な感情が籠もっていた。
「……はい。」
リンはフライパンに油を入れ、中火を付けて肉を焼いていく。
「……良い匂いがしてきた〜♪」
「この匂いだけで私、ご飯食べれちゃうかも…」
そんなミクに、レンはジト目で言う。
「食いしん坊…」「なんだと〜!?」
「…あ、そろそろ焼けてきたよ!裏返すね。」
「OK!それじゃあミク、皿を持っててくれる?今からフライパンに野菜、入れていくね。」
「は〜い!」
そうして、着実に生姜焼きは出来上がっていく。その香ばしい匂いに、三人は満足気な様子だ。
「玉ねぎもしんなりしてきたね。それじゃあ…」
調味料を混ぜた汁を加え、箸で全体に絡めていく。
「そしたら、お皿に盛りつけたら_」
「「「完成!!」」」
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彼は居間に座り、料理を待つ。
「上手く出来たの?ミク。」
「はい!とっても美味しく出来ましたよ!」
すると、リンとレンが4人分の料理を持って歩いてきた。
「お待たせ、マスター!」そしてテーブルに並べて、二人も座った。
「豚肉の生姜焼きか…美味しそうに出来てるじゃん!」
香りは勿論、肉の色味や野菜の盛り付けもキレイだ。彼の想像していたよりも、ずっと美味しそうな物が出来上がったのだ。
「えへへっ、そうでしょ?リン頑張ったんだ〜♪」
「僕も頑張ったよ、マスター!」
「ふふ、お疲れ様。」
「私も凄く頑張ったよ〜!」
「「……」」
「だから何、その目は!?」
「あはは…ミクもお疲れ。」彼は概ね察した。というかリン達の悲鳴が僅かながら聞こえてきていたので、ミクの料理の腕前は察していた。
そして別途用意したご飯とお茶を用意し、4人は手を合わせ…
「「「「いただきまーす!!」」」」
「んっ…美味しい!お肉とご飯が絡み合って凄く旨味が出てる!」ミクは興奮気味に語る。
「…確かにミクは、味見係が良かったかもね……でも、我ながら上出来かな。」レンも美味しそうに食べている。
「だね……それにしても、野菜も美味しく炒めれてるし…あっ、マスターはどう?」リンは微笑みながら、マスターに聞いた。
「俺?俺は…」肉を口に入れ、咀嚼し…
4人に緊張が走る。
「…とっても、美味しいよ!」
「「「やったぁ!」」」3人はそれぞれで手を合わせ、ハイタッチしていた。
「やったやった、大成功♪」
「うふふ、マスターがそう言ってくれて良かった!」
「作った甲斐があったね!」
3人は嬉しそうに、各々の気持ちを語っていた。
「…まぁ、今の所やってる事はVOCALOIDじゃなくて、
「あはは、まぁそうですけど…あっ、そういえば私、もう一品作ってみたんですよ!」そう言って、ミクはキッチンに何かを取りに行く。
「えっ、レン。ミクの料理見た…?」
「いや、僕は何…も…」
二人に冷や汗が流れ始める。
「えっ、ミクってそんなに料理下手な__」
「はい!これです!」そうして、料理がテーブルに置かれる。
もしもこれが漫画として描かれていたら、100%モザイク処理されるであろう紫色のその物質を…
「匂いヤバッ…ミク、これ何で作ったの?」
「え?さっきの豚肉の余りと調味料で、フライパンで炒めたよ?」
「いや、炒めてもこうはならないと思うよ…?」
「さ、たんとお食べ!!」
彼とリンとレンは、口に出さずとも分かるほど焦っていた。
そんな中、リンが勇気を出して物質を口に含む。
「はむっ…!」「「リン!?」」
「…ん、結構いけ_うぁああぁぁ!?」彼女は悲鳴を上げる。
「「リンー!!」」
「…み、水……死んじゃうよっ…」そう言う彼女は涙目だった。
「え、泣くほど美味しかった?」
「泣くほど不味かったよ…」「エッ」
「…リンが食べたなら、僕も…」そうして、レンも物質を食べた。
「っ…ぐぅぅっ…!!」即座に水を飲み干し、流し込む。
「…はぁ……はぁ……これ、人殺せるよ、ミク…」
「そんなに美味しかったんだ…!私も食べよ!」
ミクは何もないように咀嚼嚥下し、満足気な表情を浮かべる。「ん〜、とっても美味しい〜」
「「「なんで?」」」「エッ?」
コイツの舌はイカれているのか…?教えはどうなってんだ?
「…俺も…食べるよ。」彼は意を決し、食べる。
「マスター、骨は拾うよ。」
「勝手に殺す_……ごめんトイレ行ってくる。」
彼は早足で、口元を押さえてトイレに向かう。
「あれ、マスターどうしたのかな…」
「…ミク、今後1人でキッチンに入るの禁止ね?」そう言うリンの声に一切の迷いはない。
「えっ、なんで!?」彼女は納得いかない様子だ。
「…じゃあ聞くけどさ、ミクはあの料理をどうやって作ったの?」
「え?まず豚肉にサラダ油をかけて、水で濡らした後にフライパンで焼いて_」
「「ごめんもうそこまでで!」」
「え〜……?」
そして、戻ってこないマスターを置いておいて、3人は食事を完食した。
「「「ごちそうさまでした!」」」
「いやー、でも何だかんだ美味しくできたね、レン!」
「うん!中々美味しい生姜焼きになったと思うよ!」
「それじゃ、お皿の片付けは私に任せてよ!」
「「絶対に任せられない!!」」
「なんでぇ〜!?」
以降、ミクがキッチンに入る事は殆ど無くなったらしい…
ミクだけで調理すると暗黒物質が出来上がってしまいます。
ちなみにもしもリン達が片付けを手伝わなかった場合、家のお皿は全部割れて更にマスター君の財布が傷を負っていました。良かったね!