D&D 虚空の神vs死竜王   作:ディミーアの鉄砲玉

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6話

その日の夜には集落の外、マラーに贄を捧げるための広間に決闘場が作られた。

 

戦士に逃げ場は不要。そう告げる様に、たった四方30ft程度の空間が区切られ、

その周りは木彫りのマラーの偶像、皮飾り、角、牙、その他の骨で飾り立てられる

合間から戦士たちが逃げ出そうとする臆病者を突き殺す為に、槍を突き出している。

 

二人は決闘場の中央に立ち、向かい合っている。

その間に立つ様に、族長ヤヌルが佇んでいた。

 

Wo!Wo!Wo!Wo!

戦士たちの声が響く。

 

Wo!Wo!Wo!Wo!

ランドルフも決闘場の中央で、煽り立てる様に吠える。

 

Vo!Vo!Vo!Vo!!!

ラズヘニスはうるさそうに顔を顰めている。

声が最高潮に達した時、

ス…と族長が手を挙げると、

戦士の吠え声(ウォークライ)はピタリ…と止んだ。夜空に反響だけが残る。

 

 

「今宵、狩人ランドルフの決闘の挑戦を、戦士ラズヘニス・プカーパが承諾した。」

 

「偉大なる黒血の王の名において、ここに神聖なる決闘の儀が成立した。」

 

「常であればどちらかが相手を狩るまで続けられる儀だが……

マラーの徒でないものに、このランドルフが無理を言って成立させた経緯を鑑み、互いの死までは要求しない。」

 

Booo!!Booooo!!

 

ギロリ。族長が周囲を睨む。

「マラーに捧げる闘いではあるが、武器は刃引きした物を使う。命を奪わず仕留めるも、狩人の業の現れだ。その事を肝に銘じよ」

 

「では互いに決闘場の東西に立てい!」

 

 

それぞれが所定の位置に立ち、武器を構える。

 

「西の者!名乗りをあげよ!!」

 

「我が名は鋭歯の森がランドルフ!ヤヌルの孫にして、ランバルサの子!

マラーに血を捧げし黒血の狩人なり!!」

 

「外の戦士よ!黄金都市への道筋を知りたくば、俺を倒して力を示すがいい!!」

 

ランドルフがラズヘニスを挑発する様に、そして周りにアピールする様に叫ぶ。

 

「東の者!名乗りをあげよ!!」

 

「我が名は"明けの明星"、アズヘニス=プカーパ!

ゴールドドラゴンボーン、アズラエル=プカーパの子にして、火精を斬った精霊殺し也!!」

 

その名乗りに周囲のライカンスロープ達がざわついた。

ファイアー・エレメンタルといえば、並の戦士では触れることもできない強敵である。

 

「正確には、ウルスが延々水ぶっかけまくって弱らせたところを斬ったんですけどね」ラグニルが髭を撫でながら呟く。

 

そのウルスは「やってしまいなさいアッズ!!その無礼者の皮を剥いで私のケープにしましょう!!」と拳を振り上げて吠えていた。下手をすれば部族の野次馬より声がでかい。この女、基本的に治安が悪かった。

 

さしものランドルフもこの名乗りに少し気圧された様だが、すぐに気を取り直して不敵に笑う。敵は強ければ強いほど誉れ高い。

 

「両者、構えよ」

 

静まり返り、空気はひりついた、

 

ランドルフは両手に斧を構え、ラズヘニスはロングソードを八相に構えた。

互いに号令と同時に飛び出せるよう、重心を傾けていく。

 

周囲が目に入らなくなり、互いの姿勢、筋緊張から最初の出方を予測する。

 

羽虫の羽音、周りで篝火の薪が弾けるだけが響き渡る。

 

パチ…パチ…バチン!

一際大きく火の粉が舞ったとき。

「────始めェイ!!」

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