アカデミアで送る学園生活 in 5D's   作:作者B

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今回の話には、デッキ構築に関する作者の独断と偏見が入っています。あらかじめご了承ください。
それと、『おまけが本編』と化しています。ご注意ください。



場繋ぎ的な閑話休題+if的決闘なおまけ

「それでは第1回、ゆまの為のHERO講座を始めまーす」

「いえーい!」

 

俺の言葉にノリノリで返すゆま。

先日の一件以来、ゆまと仲良くなった俺は、昼休みなんかはアキと一緒に3人で居ることが多くなった。だけど、放課後は中々お互いの予定が合わず、ゆまとの約束を今の今まで出来なかった。それで今日、こうして教室で教えることになったってわけだ。

 

「主にコナミが受けた、先生からの有り難いお話のせいだけどね」

「うっ、悪かったって。

 それはそうとアキ、別にわざわざ付き合わなくたっていいんだぞ?アキには退屈かもしれないし」

「そんなことないわ。それに、この前のデュエルを見て私も興味が出たの」

「ならいいけど……まあ、気になることがあったら遠慮なく言ってくれ」

 

それと、変わったことと言えばもうひとつ。アキとの距離が心なしか縮まった気がする。いや、心の距離とかではなく、物理的な意味で。傍から見たらわからないだろうけど、話すときも一緒に歩くときも何となく近い気がするんだよね。しかも、この前みたいに躊躇いもなく俺の手を掴んだりするようになったし。それに、ゆまも純粋なのか世間知らずなのかやけにボディタッチが多いし、年頃の女子ってガードが硬いんじゃなかったのか?それとも、今時これくらいが普通なのか?でも、中学の頃の同級生の女子はいかにも思春期って感じだったし……うーん、謎だ。

 

「それで、まず何から始めるの?」

 

おっと、いかんいかん。思考が脱線するところだった。

 

「そうだな。講座っていっても、別に勉強会みたいな堅苦しいことするつもりはないし……取り敢えず、ゆま。デッキを見せてくれるか?」

「は、はい!」

 

そして、渡されたデッキを机の上に広げてみる。

うん。何と言うか、こう……

 

「ロマンに溢れるデッキだな」

「本当ですか?ありがとうございます!」

「ゆま、多分それ褒められてないわよ」

 

俺の皮肉に気付かず、笑顔で返すゆま。こういうところも彼女の魅力なんだろうけど、何だか見てるこっちが心配になってくるな。

ゆまのデッキは言うなれば、アニメ版ガッチャさんを意識した純HEROデッキだ。ただ、"フェザーショット"や"バーストリターン"みたいな使用が限定的なHERO関連カードも沢山詰め込まれてるせいで、殆どのカードがピン挿し。そのせいで、HEROと直接関係ない"沼地の魔神王"のような汎用性の高い融合サポートが入ってない。さらにエクストラデッキも15種類15枚の融合モンスターで埋めつくされてる。エクストラのピン挿しはまだ良いんだが、正直"E・HERO セイラーマン"とか"E・HERO スチームヒーラー"見たいな召喚条件に見合わない効果の奴らも入ってるんだよなぁ。

 

「それで、どんな感じなの?」

「……もし、このデッキで勝ち続けられるんだとしたら、ゆまは今頃伝説のデュエリストとかになっててもおかしくないな」

「どういうこと?」

「それだけセオリーから掛け離れてるってことだ」

 

王様しかりガッチャさんしかり、所謂主人公のデッキは構築が大変なことになってるからな。それで勝てるってことは、それこそ運命力の為せる技だろう。

 

「まあ具体的に言うと、初手に"E・HERO フェザーマン"、"E・HERO バーストレディ"、"融合"を持って来れないようじゃ、このデッキは使いこなせないぞ」

「そ、それは無茶ですよぉ」

「だろうな。俺も無理だ」

 

さて、ここまで常識外れなデッキだと、最初から組み直した方が良さそうだ。となると……

 

「取り敢えず、デッキの構築の話から始めた方がいいな」

「デッキ構築?」

「そうだ。一口にHEROといっても、幾つか種類がある。まあ、これはどのテーマデッキにも言えることだけど」

 

そう言って、俺は先日ゆまとアキの前で使って見せたHEROデッキを出す。

 

「まずは【正規融合】。俺の使ってるHEROや、一応ゆまのそのデッキもカテゴライズされるな。これは至ってシンプルで、"融合"やそれに類するカードで融合召喚して戦うデッキだ。そして―――」

 

俺は鞄から、1枚のバニラのカードを取り出す。

 

「あ、ネオスですね」

「ネオス?」

「そうだ。"E・HERO ネオス"と(ネオスペーシアン)を軸にした【コンタクト融合】。こいつは、ネオスと任意のネオスペーシアンをフィールドからデッキに戻すことで融合召喚する、ちょっと変わったデッキだ」

「フィールドからデッキに?そんな融合もあるのね」

 

一応、剣闘獣もそうなんだが、絶対数が少ないからあまり知られてなくてもしょうがないか。

 

「後は、融合サポートを減らして除去やメタ系の魔法罠を増やして大量展開で戦う【HEROビート】とか、ネオスを軸に専用サポートを駆使して戦う【ネオスビート】。派生を上げたらキリがないけど、こんなもんか」

 

ネオスの正規融合に特化させたデッキとか、ヴォルカニックや水属性デッキにHEROを出張させたやつとかもあるしな。

 

「またネオスが出てきたけど、さっき言ってた【コンタクト融合】と、どう違うの?」

「ああ、【ネオスビート】はその名の通り、ネオスをコンタクト融合させないでそのまま戦うデッキだ。後で言うけど、コンタクト融合のデメリットを気にしなくていいし、なによりネオス専用サポートの他に『HERO』『戦士族』『通常モンスター』の3つのサポートを受けられるのが利点だ。まあその分、Lv7攻撃力2500のバニラモンスターを扱うのはコツがいるけど」

「なるほどね」

「ゆま、ついて来てるか?」

「あうあうあう~……な、なんとか」

 

一応大丈夫……なのか?

 

「じゃあ、話を続けるぞ。まずは【正規融合】だけど、このデッキは強力なモンスターを手札だけで呼び出せ、さらに召喚権を使わないのが利点だ。シンクロの場合はフィールドにモンスターを出す関係上、召喚権を使うことが多いからな」

「召喚権?」

「毎ターン、ターンプレイヤーに与えられる、通常召喚を行う権利のことよ」

「そう。普通は1ターンに1体しかモンスターを呼べないデュエルモンスターズにおいて、特殊召喚は自分を優位にする。ただ、手札融合はメリットと同時にデメリットでもある」

「デメリット……手札消費かしら?」

「そのとおりだ」

 

そもそも融合召喚は、墓地肥やしの概念がない最初期からある召喚方法だから、強力なモンスターの召喚の代償として手札が減るっていう利点欠点で成り立ってた。昔はそれでもよかったけど、今はシンクロ、更にこの世界には無いみたいだけどエクシーズなんてものが出てきて、融合よりも少ないコストで召喚出来るようになっちゃったから、まともに扱えば融合は損しかないんだよな。

 

「基本的に融合召喚はアド損、手札アドバンテージの損だ。これを如何に最小限に抑えるか、またはコストに見合うモンスターを呼び出せるかが【正規融合】の鍵となる。まあ、HEROは融合召喚のサポートが充実してるから、アドバンテージを取りやすいけどな」

「"ミラクルフュージョン"のこと?」

「そうだ。あれは融合先をHEROに限定してる代わりに手札やフィールド以外から融合できるカードだから、墓地に素材が居れば実質手札1枚の消費で融合モンスターを召喚できる。他にも、除外されているモンスターをデッキに戻すことで融合召喚を行う"平行世界融合"なんかがある。

 ただし、ミラクルフュージョンは素材を除外するから再利用しにくいし、平行世界融合は融合素材が除外されていてかつ、そのターンに特殊召喚を行っていないっていう限定的な状況じゃないと発動できないから、ただ3枚積みすればいいわけじゃない」

 

まあ、前者の問題は"除外HERO"に、後者の問題は"フュージョンゲート"軸の構成にすればたちまちメリットに代わる。要はデッキの構築次第だ。

 

「次は【コンタクト融合】だな。こいつは融合素材をフィールドに揃えないといけない代わりに、融合カードなしで融合を行うことができる」

「さっきも聞いたけど、すごいわね。融合カードが必要ない分、手札消費も少ないんじゃない?」

「そうだ。ただし、Lv7攻撃力2500通常モンスターであるネオスを如何にしてフィールドに呼び出すかがポイントになる。それに、ネオスペーシアンは総じてステータスが低いのも問題だ」

 

何せ、6種類居るネオスペーシアンで最も攻撃力の高いのは"N・ブラックパンサー"のAP1000だからな。守備力も最大値が900だし、"N・グランモール"を除けば効果もぱっとしないのもなぁ。

 

「だから、むしろ問題なのはネオスを召喚するまでの場繋ぎだ。ネオスのサポートは充実してるから、こいつが出れば一気に戦況は動くと思うぞ。ネオスのコンタクト融合体は、総じて強力な効果を持ってるしな」

 

エアーネオスなんか専用構築すれば1killだって簡単に狙える。トリプルコンタクト融合体は言わずもがなだ。

 

「そんなに強いの?」

「【正規融合】のHEROと比べても、同じ2体融合なら【コンタクト融合】の方が総合的に優秀だな。ただ、こいつにも致命的なデメリットがある」

「デメリット……さっき言ってたやつね」

「ああ。コンタクト融合体は、エンドフェイズにエクストラデッキに戻っちゃうんだよ」

 

前世で『モデルの光の巨人だって3分活動出来るんだから、ネオスももうちょっと頑張れよ!』と思ったのは内緒だ。

 

「え!?それじゃあ、折角呼び出してもフィールドががら空きになっちゃうじゃない!」

「そうなんだよなぁ。一応、一部のコンタクト融合体は戻ることで効果を発動する奴もいるし、エクストラデッキに戻らな維持ようにするフィールド魔法もあるんだが、どう扱うかはデュエリストの腕の見せ所だな」

 

実際、"ネオスペース"を使わない構築もあるし、戻ることもデメリットばかりじゃないから、維持が絶対条件って訳でもない。個人的には、がら空きになる方がまずい気がするけど。

 

「まあ、ここまで長々と喋ってきた訳だけど、要するに今のゆまには選択肢があるってことだ」

「あうあう~……せ、選択肢?」

 

まだ、あうあう言ってたのか……

 

「選択肢の幅を広げる意味でネオスのことも話したけど、それを踏まえた上でゆまが何をしたいかっていうのが重要だ。こだわりと言ってもいい」

「こだわり……」

「そうだ。同じカテゴリのデッキでも、作る人間によって構築は変わってくる。デッキに何を求めるのか、何をしたいのか。それが一番重要だからな」

「私は……ええと……」

 

俺の質問にゆまは黙り込んでしまった。そんな難しく考え無くてもいいんだけどなぁ。俺なんか、フィールドに幻魔3体並べてアーミタイルを正規召喚するデッキとか、結構なロマンデッキも作ったことあったし。なお、戦績は思いの外よかったとだけ言っておこう。

 

「それじゃあ、ゆまの好きなカードはなんだ?」

「好きなカード、ですか?」

「ああ。別に好きなカードで勝ちたいっていうのも、立派なこだわりと言えるしな」

「好きなカード。それなら私は―――」

 

ゆまは広げていたカードから1枚のカードを指差した。

 

「"E・HERO フレイムウィングマン"?」

「はい!マイフェイバリットカードです!ピンチの時には、いつも助けてくれるんですよ」

 

おお、フレイムウィングマンとは、中々目の付け所がいいな。それにしても、ピンチの時に出てくるって、まるでガッチャさんみたい―――

 

「……ゆま。ちなみに、今までのデュエルの勝率はどれくらいだったんだ?」

「え?勝率ですか?恥ずかしながら、あまり良くなくて……3割くらいだと思います」

 

なん……だと……!

あんな目茶苦茶な構成で5回に1回以上勝てるのか!そりゃ、相手にもよるだろうけど、俺には出来る気がしないな……

それに、定期的にデュエルの試験だってあるんだから、進学出来てるってことはそれなりの成績を残してるってことだろ?

……これ、デッキを調整したら一気に化けそうだな。

 

「コナミ。急に難しい顔して、どうしたの?」

「ん?ああ、なんでもない。それより、フレイムウィングマンを使ったデッキならいい考えがあるぞ」

「本当ですか!?」

 

ゆまはまるで餌をねだる子犬のように目をキラキラさせて俺を見る。なんだか、ピンと立った犬耳とブンブン振っている尻尾が幻視できるな。

思わず萌え悶えそうな心を抑えつつ、俺は再び1枚のカードを取り出す。

 

「フレイムウィングマンの融合素材である"E・HERO フェザーマン"、こいつを軸にデッキを組む」

「攻撃力1000の通常モンスター?そんなに強いカードだとは思えないけど」

 

まあ、普通はそう思うよな。

 

「フェザーマンはE・HEROの中で最も融合先の数が多いモンスターだ。その数は21種類にもなる」

「21種類!?エクストラデッキの制限枚数よりも多いじゃない!」

「ああ。さらに言えば、フレイムウィングマンのもう一つの融合素材"E・HERO バーストレディ"とフェザーマンで融合した場合でも、融合先は6種類もいる。これに、融合先が2番目に多いスパークマンを加えて融合の幅を広げる。

 後はサポートをいくつか入れて―――」

 

 

 

―――――――――――――――

 

――――――――――

 

―――――

 

 

 

「よし、こんなもんかな」

「できたー!」

 

あれからおおよそ1時間。アキやゆまと相談しながら、遂にデッキが完成した。

 

「本当ならデュエルして調整するところなんだが、もう日が暮れてきたし今日はここまでにするか」

「はい。今日はありがとうございました」

「いいって別に。それよりも、後で使ってみた感じとか教えてくれ」

「はい!」

 

そう言って、ニコニコしながら出来立てのデッキを大事そうに持つゆま。これだけ喜んでくれるのなら、手伝った甲斐があったってもんだ。

 

「それにしても、雰囲気が随分と変わったわね。専用サポートカードを殆ど抜いちゃうし」

「ああ、HEROのサポートカードは尖った性能の奴が多いから、今回は汎用性の高いカードだけを採用したんだ。他にやったことと言えば、モンスターの種類を絞ることで、コンボに安定性を持たせたぐらいか」

「……確かにあの1枚挿しは、私の目から見てもとんでもなかったわ」

 

まあ、やりたいことを詰め込みすぎた結果なんだと思うけど、これでデッキの回し方が理解できれば、自分で構築できるようになるだろ。

俺はまだ満面の笑みで小躍りしているゆまを眺め、ヒラヒラと揺れるスカートから見える健康的な太ももで目の保養をしながら、今日1日を終えるのだった。

 

 

 

え、オチ?そんなもんは無い。強いて言うなら、アキに思いきり足の小指を踏まれたことぐらいかな。

……何故視線がばれたし。

 

 

 

 

 

―――ネットで情報を見てたら何か電波を拾ったのでおまけ―――

俺は今、旧モーメントで5000年に渡る戦いの場に立っている。

目の前に居るのは、祭壇の上で俺を見下ろす治安維持局局長にしてダークシグナー、レクス・ゴドウィン。その風貌は、かつての温厚そうな様子から一変し、禍々しいオーラを放っている。

赤き龍の力を奪われ、再起不能にさせられた遊星、ジャック、クロウの3人から後を託された俺は、奴の操るシンクロモンスター『太陽龍インティ』とダークシンクロモンスター『月影龍クイラ』の破壊と再生の力に苦しめられていた。だが、太陽龍インティをエクストラデッキにバウンスすることに成功し、2体の龍の無限コンボを打ち破った。

しかし、それもつかの間、ゴドウィンは魔法カード『地縛神の復活』の効果によりフィールド魔法『死皇帝の陵墓』と地縛神を手札に加えたのだった。

 

「我は永続罠"リビングデッドの呼び声"を発動!墓地より"太陽の神官"を特殊召喚」

 

 

 

太陽の神官 Lv5 AP1000

 

 

 

リビングデッド?奴の手札には既に地縛神と、その召喚を可能にする死皇帝の陵墓がある。それなのに、どうしてわざわざモンスターを……

 

「今の行動が腑に落ちないようだな。ならば見るがいい!

 我は手札よりフィールド魔法"死皇帝の陵墓"を発動!このカードは、上級モンスターを召喚する際に召喚に必要なモンスターの数×1000ライフを支払うことで、リリースなしで召喚することができる。

 我は2000のライフと引き換えに、ここに神を降臨させる!」

 

奴の遥か上空に黒い心臓のようなものが出現し、人々の魂を吸い上げながらその力を増していく。

 

「ふん。どういったカラクリで貴様が魂を吸われないのか知らないが、いっそここで朽ち果てられなかったことを後悔するがいい!

 現れよ!そして究極の破壊をもたらせ!"地縛神 Wiracqocha Rasca(ウィラコチャ ラスカ)"!」

 

 

 

地縛神 Wiracqocha Rasca Lv10 AP100

 

 

 

攻撃力100。だが、あいつの能力は確か……そうか!奴の狙いは―――

 

「Wiracqocha Rascaは召喚時、自分フィールド上のカードを3枚までデッキに戻す。我はセットカード1枚と太陽の神官、リビングデッドの呼び声をデッキに戻す。

 そして、その数と同じ枚数、相手の手札をランダムに墓地へ送る。Polestar Obey(ポーラスター・オベイ)!」

 

やっぱり!リビングデッドによる蘇生はこの効果を最大限に生かす為か!

 

「さらに、Wiracqocha Rascaは墓地へ送った枚数×1000攻撃力をアップさせる!」

 

 

 

地縛神 Wiracqocha Rasca AP100→3100

 

 

 

「地縛神は相手プレーヤーにダイレクトアタックができる。もっとも、フィールドにモンスターが居ない貴様には意味のないことだがな。

 いけ!Wiracqocha Rasca!Death Singularity(デス・シンギュラリティ)!」

 

Wiracqocha Rascaが放った攻撃が俺の全身を貫く。

 

「ぐッ!がぁぁぁぁぁッ!!」

 

肉が引き裂かれ、血の1滴まで燃やし尽くされる感覚。ソリットビジョンによる演出じゃない、これが、本物の闇のデュエル……

 

「シグナーでもない、凡百の1人にすぎない貴様では、この我に勝つことなどありはしない!

 我はこれでターンエンド!」

 

薄れそうになる意識に自ら喝を入れ、俺は何とか持ち直した。

確かに、今の俺に奴の攻撃を防ぐ手段は無い。だが―――

 

「俺のターン……カードを1枚セットし、ターンエンド」

「ふん、もはやこれまでのようだな。我のターン、ドロー!

 いけ!Wiracqocha Rasca!奴にダイレクトアタックだ!」

 

Wiracqocha Rascaは再び攻撃の態勢に入る。この攻撃を受ければ、LPはともかく俺の身体が持たない。

 

「奴の息の根を止めろ!Death Singula―――ッ!」

 

だが、Wiracqocha Rascaはゴドウィンの命令に反し、その攻撃を止めた。

 

「どういうことだ……貴様、一体何を―――」

 

焦燥の表情を浮かべたゴドウィンが俺の方を向き、そして俺の場のカードに気付いた。

 

「それは"スクリーン・オブ・レッド"!?相手の攻撃宣言を封じるカード!馬鹿な、そのカードは!」

「そうさ……これはジャックから託されたカードだ!」

 

これは、俺がゴドウィンとの決戦へと向かう前、ぶっきらぼうながらもジャックが渡してくれたカード。

 

「ちぃ!だが、その永続罠は貴様のエンドフェイズに1000ライフを払うデメリットがある。所詮はその場しのぎにしかならん!ターンエンドだ!」

 

その場しのぎ?違うな。これは勝利への足掛かりだ!

 

「俺のターン、ドロー!

 俺は、俺のフィールドの表側表示のスクリーン・オブ・レッドを手札に戻し、墓地から"BF-精鋭のゼピュロス"を特殊召喚!」

 

 

 

BF-精鋭のゼピュロス Lv4 AP1600

 

 

 

「ゼピュロスは自身の効果で特殊召喚したとき、俺は400ダメージを受ける」

「BF!?それは―――」

「そう。これはクロウから託されたカード。そして!」

 

俺は手札からモンスターを召喚する。

 

「現れろ!"ジャンクシンクロン"」

 

 

 

ジャンクシンクロン Lv3 AP 1300

 

 

 

「ジャンクシンクロンの効果発動!墓地のLv2以下のモンスターを、効果を無効にして守備表示で特殊召喚する!俺はレベルスティーラーを特殊召喚!」

 

 

 

レベルスティーラー Lv1 DP0

 

 

 

「合計レベルは8……まさか!」

「そのまさかだ!

 俺はLv1レベルスティーラーとLv4精鋭のゼピュロスにLv3ジャンクシンクロンをチューニング!」

 

ジャンクシンクロンは背中に付いているリコイルスターターを引っ張り、バックパックのエンジンを始動させる。そしてそのまま、3つの輪となってレベルスティーラーとゼピュロスの周りに展開する。

 

「集いし願いが新たに輝く星となる。光さす道となれ!」

「馬鹿な!貴様ごときがシグナーの龍を!?」

「シンクロ召喚!飛翔せよ、スターダスト・ドラゴン!」

 

 

 

スターダスト・ドラゴン Lv8 AP2500

 

 

 

俺の呼びかけに答えるように、スターダスト・ドラゴンは眩い光を放ちながらその姿を現した。

 

「これが、遊星から託されたカード。このカードで、お前を倒す!」

「ふん!いくらシグナーの龍を呼び出そうとも、我が神 Wiracqocha Rascaの攻撃力は3100。更に攻撃対象に選べない以上、貴様に為す術はない!」

 

甘いな。いくら神と言えど、万能ではないことを教えてやる!

 

「手札から速攻魔法"禁じられた聖杯"を発動!エンドフェイズまで、モンスター1体の攻撃力を400アップさせ、効果を無効にする!」

「何だと!?」

「俺が選択するのは、当然 Wiracqocha Rascaだ!」

 

 

 

地縛神 Wiracqocha Rasca AP3100→500

 

 

 

「これで、地縛神にも攻撃ができる。いけ!スターダスト・ドラゴン!地縛神 Wiracqocha Rascaに攻撃!

 シューティングソニック!」

「馬鹿なぁぁぁ!」

 

スターダスト・ドラゴンの放った攻撃が Wiracqocha Rascaの胴体を貫き、Wiracqocha Rascaを、奴の操る地縛神を破壊した。

 

「これでお前を守るモンスター達はすべて倒した。形勢逆転だな」

 

俺の言葉に反応したのか、ゴドウィンはピクリと肩を動かす。しかし、それは次第に小刻みに揺れ、遂には笑い声を発した。

 

「何がおかしい!」

「愚かな!我はまだ、力の全てを出してなどいない!」

 

こいつ、ここまで来てまだそんなことを!

 

「虚構などではない!貴様は気付かなかったのか!地縛神とはダークシグナーの力。そして、今の我にはシグナーの力が宿っていることを!」

 

シグナーの力、だと?

 

「見るがいい!かつて地縛神達を封印した龍の力を! 我のターン、ドロー!

 相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しないとき、"DT(ダークチューナー)スパイダーコクーン"は手札から特殊召喚できる」

 

 

 

DTスパイダーコクーン Lv5 AP0

 

 

 

「ダークチューナーだと!?それにそのカードは……」

「そう。これは我が兄『ルドガー・ゴドウィン』のカード。

 そして、我は手札から"アポカテクイル"を召喚」

 

 

 

アポカテクイル Lv4 AP 1800

 

 

 

「このモンスターは自分フィールド上にチューナーがいるとき、Lv5として扱う」

 

 

 

アポカテクイル Lv4→5

 

 

 

これでダークチューナーとチューナー以外のモンスターが揃った。だが、ダークシンクロモンスターは、チューナー以外のモンスターのLvからダークチューナーのLvを引くことでシンクロする、レベル(マイナス)のモンスター。この2体じゃLvは5-5=0。Lv0のモンスターなんて……

 

「ふん。大方、ダークシンクロするにもレベルが足りないとでも思っているのだろう。

 だが違う!今から呼び出すのは、シンクロでもダークシンクロでもない!デュエルモンスターズという枠をも超えた存在!

 我はLv5となっているアポカテクイルにLv5のDTスパイダーコクーンをダークチューニング!」

 

DTスパイダーコクーンが5つの黒い星となり、アポカテクイルの星と交わり、そのすべてが消滅した。

 

「混沌の次元より沸き出でし力の源!!

 原点にして全ての頂点!!

 この現世(うつしよ)でその無限の渇望を暫し潤すがよい!!

 神降せよ!!究極神"アルティマヤ・ツィオルキン"!!」

 

 

 

アルティマヤ・ツィオルキン Lv0 AP0

 

 

 

「Lv0、AP0!?いや、それよりもそのモンスターは!」

「そうだ!これはシグナー達を導いてきた、赤き龍だ!

 我はカードを1枚セットし、アルティマヤ・ツィオルキンの効果発動!」

 

ゴドウィンの言葉に反応し、赤き龍が咆哮をすると、背後の空間が歪み始める。

 

「自分フィールドに魔法・罠カードがセットされた時、我は(しもべ)たる龍を1体呼び出すことができる。

 再び現界せよ!"太陽龍インティ"」

 

 

 

太陽龍インティ Lv8 AP3000

 

 

 

背後の歪みから、さっき苦労してバウンスした、太陽龍インティが現れた。

 

「そんな……」

「これで終わりだ。焼き尽くせ、太陽龍インティ!」

「ぐあぁぁぁぁッ!!」

 

太陽龍インティの攻撃がスターダスト・ドラゴン共々、俺をを飲み込んだ。

 

 

 

 

~次回予告~

やめて!アルティマヤ・ツィオルキンの能力で特殊召喚された太陽龍インティの攻撃で、スターダスト・ドラゴンを焼き払われたら、闇のゲームでダメージが現実のものとなってる今、コナミの精神まで燃え尽きちゃう!

お願い、死なないでコナミ!あんたが今ここで倒れたら、アキや遊星との約束はどうなっちゃうの? ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、ゴドウィンに勝てるんだから!

 

次回「コナミ死す」。デュエルスタンバイ!

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

太陽龍インティ

シンクロ・効果モンスター

星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2800

「赤蟻アスカトル」+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、このカードを破壊したモンスターを破壊し、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える。

また、フィールド上のこのカードが破壊された場合、次のターンのスタンバイフェイズ時、自分の墓地の「月影龍クイラ」1体を選択して特殊召喚できる。

 

 

月影龍クイラ

ダークシンクロ・効果モンスター

星6/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

チューナー以外のモンスター1体-ダークチューナー

このカードはシンクロ素材とするチューナー以外のモンスター1体のレベルからダークチューナーのレベルを引き、その数値が-6に等しい場合のみ、シンクロ召喚する事ができる。

自分のエンドフェイズ時、このカードを破壊する。

フィールド上に存在するこのカードが破壊された場合、自分の墓地に存在する「太陽龍インティ」1体を特殊召喚する事ができる。

 

 

地縛神の復活

通常魔法

手札を1枚捨てて発動する。

自分の墓地に存在する「地縛神」と名のついたモンスター1体とフィールド魔法カード1枚を選択して手札に加える。

 

 

死皇帝の陵墓

フィールド魔法

お互いのプレイヤーは、アドバンス召喚に必要なモンスターの数×1000ライフポイントを払う事で、リリースなしでそのモンスターを通常召喚できる。

 

 

リビングデッドの呼び声

永続罠

(1):自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。

そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。

このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。

そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

 

太陽の神官

効果モンスター

星5/光属性/魔法使い族/攻1000/守2000

相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

フィールド上のこのカードが破壊され墓地へ送られた時、デッキから「赤蟻アスカトル」または「スーパイ」1体を手札に加える事ができる。

 

 

地縛神 Wiraqocha Rasca

効果モンスター

星10/闇属性/鳥獣族/攻 100/守 100

「地縛神」と名のついたモンスターはフィールド上に1体しか表側表示で存在できない。

フィールド魔法カードが表側表示で存在しない場合このカードを破壊する。

相手はこのカードを攻撃対象に選択できない。

このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。

また、このカードが召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールド上のカードを3枚まで選択して持ち主のデッキに戻し、戻したカードの数だけ相手の手札をランダムに捨て、このカードの攻撃力を捨てたカードの数×1000ポイントアップする。

 

 

スクリーン・オブ・レッド

永続罠

このカードがフィールド上に存在する限り、相手モンスターは攻撃宣言をする事ができない。

このカードのコントローラーは自分のエンドフェイズ時に1000ライフポイントを払う。

この時に1000ライフポイントを払えない場合はこのカードを破壊する。

フィールド上に「レッド・デーモンズ・ドラゴン」が表側表示で存在する場合、このカードを破壊し自分の墓地に存在するレベル1のチューナー1体を選択して特殊召喚する事ができる。

 

 

BF-精鋭のゼピュロス

効果モンスター

星4/闇属性/鳥獣族/攻1600/守1000

「BF-精鋭のゼピュロス」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

(1):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの表側表示のカード1枚を持ち主の手札に戻して発動できる。

このカードを墓地から特殊召喚し、自分は400ダメージを受ける。

 

 

ジャンク・シンクロン

チューナー・効果モンスター

星3/闇属性/戦士族/攻1300/守 500

(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のレベル2以下のモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 

 

レベル・スティーラー

効果モンスター

星1/闇属性/昆虫族/攻 600/守 0

(1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、アドバンス召喚以外のためにはリリースできない。

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターのレベルを1つ下げ、このカードを墓地から特殊召喚する。

 

 

スターダスト・ドラゴン

シンクロ・効果モンスター

星8/風属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):フィールドのカードを破壊する魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードをリリースして発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

(2):このカードの(1)の効果を適用したターンのエンドフェイズに発動できる。

その効果を発動するためにリリースしたこのカードを墓地から特殊召喚する。

 

 

禁じられた聖杯

速攻魔法

フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。

エンドフェイズ時まで、選択したモンスターの攻撃力は400ポイントアップし、効果は無効化される。

 

 

DTスパイダー・コクーン

ダークチューナー(効果モンスター)

星5/闇属性/昆虫族/攻0/守0

相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上に モンスターが存在しない場合、

このカードは手札から特殊召喚する事ができる。

このカードをシンクロ素材とする場合、ダークシンクロモンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。

 

 

アポカテクイル

効果モンスター

星4/光属性/雷族/攻1800/守1200

自分フィールド上にチューナーが存在する場合、フィールド上のこのカードのレベルは5として扱う。

フィールド上のこのカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地の「太陽の神官」1体を選択して特殊召喚できる。

 

 

アルティマヤ・ツィオルキン

シンクロ・効果モンスター

星0/闇属性/ドラゴン族/攻 0/守 0

ルール上、このカードのレベルは12として扱う。

このカードはS召喚できず、自分フィールドのレベル5以上で同じレベルの、チューナーとチューナー以外のモンスターを1体ずつ墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。

(1):1ターンに1度、自分フィールドに魔法・罠カードがセットされた時に発動できる。

「パワー・ツール」Sモンスターまたはレベル7・8のドラゴン族Sモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。

(2):フィールドのこのカードは、他の自分のSモンスターが存在する限り、攻撃対象及び、効果の対象にならない。

 

 




というわけで、ゆまのデッキづくり回でした。
今回の話で何が言いたかったというと、皆もHERO使おうぜ!(ステマ)
まあ、発売時期の関係でM・HEROとか解説できなかったので、気になる方はストラクチャーデッキを3個買おう!(ステマ)

おまけについてですが、遂に「赤き龍(タクシー)」がカード化されるということで、溢れんばかりのパトスを抑えきれずに書いてしまいました。ちなみにこの話は一応ダグナー編の話で、実際に本編でも遊星さん達とは絡ませるつもりです。(長官と戦うかどうかは未定)
アルティマヤ・ツィオルキンの召喚のシーンについてなのですが、一応(ダーク)チューナーと、同じレベルのチューナーじゃないモンスターを1体ずつ墓地に送って召喚してます。ダークシンクロ言ってるのはただの演出です。
なので、アルティマヤ・ツィオルキンもWiracqocha RascaもOCG使用です。最強の地縛神なんて居なかったんや……
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