リアルの事情とPCぶっ壊れ事件が重なって投稿が遅れてしまいました。
時刻は夕方。授業を終えた生徒達は、部活動に参加したり、帰宅して勉学に励んだり、友人と共に切磋琢磨しながらデュエルの腕を上げたりと、各々が思い描く学園生活を謳歌していた。
そんな中、俺は何をしているのかというと……
「ほら、小南君!ちゃんと聞いてるの?」
「……はい」
お説教を受けていた。
「確かに小南君は小テストなんかの成績はいいけど、だからって授業を蔑ろにしちゃダメよ」
「はい……」
「デュエルのことも大事だけど、それと同じくらい他の勉強も大事なんだから」
「はい……」
いつもいつも授業を聞き流してデッキを弄っていた俺を見るに見かねた先生は、ついに俺を放課後に呼び出したってわけだ。アキは『身から出た錆よ。これに懲りて少しは真面目に授業を受けなさい』とか言ってさっさとどこかに行っちゃったし、今回の件は完全に俺の落ち度なので、おとなしくお叱りを受けている。
とはいっても……そりゃあ、知らない授業内容ならいざ知らず、俺は前世知識っていうある意味チート能力のお蔭で、高校生の範囲くらいなら勉強しなくてもそれなりにわかるんだよなぁ。だから、知ってる内容を改めて説明されても途中で聞くのに飽きてデッキの構成とかに思考が逸れて、突然の質問に答えられないっていう悪循環に陥ってる。まあ、単に俺が不真面目っていうのもあるけど。
「まったくもう……」
それでも、俺みたいな不真面目な生徒にわざわざ時間を割いてるあたり、面倒見のいい先生ってのがわかる。だからこそ、こうして毎回お説教を甘んじて受けているわけだ。
え?なら最初から真面目に授業を受けろって?ハハッ、俺の嫌いなことは1番目が(勉強のための)努力で2番目が(勉強を)ガンバルなんだよ。
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「失礼しました」
そんなこんなで長い説教は終わり、だいぶ傾いた夕日を背に職員室を後にする。さて、結構遅くなっちゃったし、今日はこのまま帰るかな。
「あ、コナミさーん!」
いざ帰ろうと昇降口の方へ歩みを進めようとしたところで、向こうからゆまが手を振ってやってきた。
「おお、ゆまじゃないか。どうしたんだ?こんな時間に」
「いや~、この前受けた小テストについて先生に呼び出されてしまいまして、あはは」
小テストか……どうやら、あっちはあっちで大変のようだな。
「そういうコナミさんはどうしたんですか?」
「ああ、俺も授業のことで呼び出されてな。それより、新しいデッキの調子はどうだ?」
「もう、ばっちりですよ!今では2回に1回以上は勝てるようになりました!」
なん……だと……!デッキを組み直しただけで勝率3割増しってどんだけだよ!
まあ、相手のレベルが低いだけかもしれないけど、それでもデッキ一つでここまで変わるとは……やっぱりゆまにはデュエリストの才能があったってことか。
「そうか。上手く使いこなせているようでなによりだ。これからも頑張れよ」
「はい!」
ゆまは満面の笑みで嬉しそうに答える。この笑顔が見られただけでも手伝った甲斐があったってもんだな。
「あら珍しい。こんな時間まで校舎に残ってる人が居るなんて」
すると、俺達の立っている通路の奥から人の声が聞こえてきた。
「あっ!雪乃さん!」
ゆまは声の主を確認すると、トコトコと近付いていった。
「あら、ゆまじゃない。先生に呼び出されでもしたのかしら?」
「えへへ……実はそうなんです」
「もう、最近デュエルの調子がいいからって、他を疎かにしてはダメよ」
「はい、すみません……それはそうと、雪乃さんも先生に呼び出されたんですか?」
「いいえ、図書館で今日の授業の復習をしていたのよ。ほら、こういうのは熱の冷めないうちにシておいた方がいいでしょう?」
「ほえー、雪乃さんは偉いですね。私なんか後日再テストを受けないといけなくて……」
「それなら、私が手取り足取り教えてあげてもいいわよ?」
「本当ですか?わーい!」
……なんというか、こう、独特な人だな!うん!
薄い紫の髪を耳の上へ結び目がくるように結い上げたツインテール、アキにこそ劣るもののアカデミアの制服をきつそうに押し上げるバスト、さらにウエストとヒップを加えた黄金比。そしてなにより、その身体から醸し出される妖美な雰囲気。
端的に言えばエロい!
「それで……アナタは誰かしら?ゆまと仲の良さそうに話していたけれど」
俺が思わず固まっていると、目の前の少女が人差し指を自らの唇に当て、俺に艶やかな視線を向けて話しかけてきた。
「あ、雪乃さん。この人は小鳥遊小南さんです。コナミさん、こちらは藤原雪乃さん。私の友達なんですよ」
俺が答えるよりも早く、ゆまが返事を返した。すると、雪乃と呼ばれた少女は俺を見定めるかのような視線に切り替えた。
「へぇ、アナタがゆまの話によく出てくるボウヤね。
私は藤原雪乃。アナタと同じ1年生よ」
おぅふ。ボウヤ呼ばわりとか初めてされたわ……
何と言うか、実年齢以上に大人びて見えるせいか、同年代にボウヤと呼ばれてもまったく違和感を感じないのはいかがなものか。
「お、おう。俺はコナミだ。よろしくな」
「ええ、よろしく」
雰囲気に圧倒されながらも自己紹介を返すと、艶めいた笑みを浮かべた。
なんか、行動のひとつひとつがエロスに溢れてるな、この人。ある意味で一番会話しにくいタイプの人間だわー、緊張して喋れない的な意味で。
「ねえ、ボウヤ……」
「な、なんだ?」
「私、アナタに興味があるの」
すると藤原は色香をふりまきながら俺の元へ近づいてきた。
「ゆまから話は聞いてる。彼女を助けてくれたこと、私からも礼を言わせてもらうわ」
「あ、いや、別に」
「相手の男の獣のような荒々しい攻めにも動じずに、逆に攻め勝ったそうね」
確かに力こそパワーな相手だったけれども!その言い方だと在らぬ誤解を生みそうなんでやめてほしいんだけど!
「アナタのすべてが知りたいの。ねえ、その時のアナタの激しい攻め、私にも見せてくれないかしら」
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イイ女に弱い俺が誘われるままにホイホイとついて行ったら、そこはデュエル場でした。といっても、ゆまも一緒だけどね。
まあ、言い回しは置いておいて今の流れで勘違いのしようもなく、別に落胆するとかそんなことはなかった。……なかったんだからね!
「さあ、デュエルをしましょう」
そういうと、藤原はデュエルディスクを構える。
といってもなぁ。先生の説教の後で疲れてるから、正直乗り気がしないんだよな。まあ、断れなかった時点で俺が全面的に悪いんだけど。でも、あんなこと言われて思考停止してる間に連れて行かれたんだからしょうがないじゃないか!
「それとも、なにかご褒美が出ないとやる気が出ないのかしら?」
俺が乗り気でないのを察したのか、藤原がなんかとんでもないことを言い出した。
「そうね……なら勝った方が負けた方を自由にシていい、というのはどうかしら?」
うわぁ……。これ、勝っても負けても面倒臭いパターンじゃないっすかー。負ければ言わずもがな、勝ったとしてもプライドの高そうな藤原相手だと『やっぱり無し』とか言っても聞かないだろうし。かと言って、何かする度胸なんて俺には無いし。
どうしよう……
「ねえ、どうかしら?」
……まあ、難しいことはデュエルが終わってから考えるか。
最初の印象は『変わった人』だった。
新入生の実力を見る為に入学試験デュエルを覗いていたら、『幻想召喚師』なんて珍しいカードを使っているデュエリストを見かけた。
でも、それだけ。試験官を倒したところを見るにデュエルの腕前はあるみたいだけど、彼が私の求める男かどうか分からない。一応名前だけ確認し、私はその場を去った。
次に彼の名前を耳にしたのは、私の友人である宮田ゆまからだった。
何でも、同級生のボウヤ達に絡まれていたところを助けられたらしい。彼女いわく『まるでお話の中のヒーローみたいなんですよ!』らしい。彼女らしい抽象的な説明だったけれど、デュエルの腕は確からしいというのは分かった。1度会ってみるのもいいのかもしれない。
そして、その機会は意外にも早く訪れた。
私が図書館を出て帰路に着こうと歩いていたとき、ゆまと仲の良さそうに話しているボウヤを見かけた。案の定、彼がゆまの言っていた人らしい。
実際に話した印象は、今まで会ってきたボウヤ達と大して変わらない、というものだった。私と話すときの男の反応は決まって、卑しい視線を向けるか萎縮するかの2通り。そして彼も例に漏れず後者だったというだけ。それを証拠に、いつものように私が色目を使ってデュエルを持ち掛けたら、否も言わずに承諾した。
それなのに、少し落胆したのはきっと、ゆまの言葉に少し期待をしていたのかもしれない。
『ヒーロー』
私も小さい頃は、自分だけの王子様に憧れていた時期はあった。でも現実はそんなことはなく、私に向けられるのは慈愛ではなくて……いえ、今は関係ない。
デュエル場に着いてもまだ縮こまっている彼に、私はいつもの『約束』を持ち掛けた。これを言えば、どんなボウヤだってたちどころにやる気を出す。
でも、彼が見せたのは、あからさまに困っただった。今までさまざまな反応を見てきたけれど、そんな顔をされたのは初めてで……どうやってその気にさせようか悩んでいると、彼はおもむろにデュエルディスクを構えた。
その瞬間、彼の纏う雰囲気がデュエリストのそれへと変化した。一切の雑念を捨て、彼の目に映るのは自分と目の前にいる相手だけ。
そう、私はこれを求めていた。今までのボウヤ達のような邪念の混じったものではなく、ただ純粋にデュエルにのめり込む情熱。
「さあ、アナタのすべてを私にぶつけてみなさい」
そして願わくば、私の求めている男であらんことを。
「「決闘!!」」
コナミ LP8000 手札5枚 先攻
雪乃 LP8000 手札5枚 後攻
「さあボウヤ、あなたのターンからよ」
決闘が始まった途端、何となくだが藤原が生き生きし出した気がする。クールな見た目の割にデュエルが好きなのか?まあ、いいか。
「俺のターン、ドロー!
俺はモンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンド」
コナミ LP8000 手札4枚
雪乃 LP8000 手札5枚
「私のターン、ドロー。
私は"リチュア・アビス"を召喚するわ」
リチュア・アビス Lv2 AP800
「このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキからアビス以外のリチュアモンスターを1体手札に加えることができる。
私は"ヴィジョン・リチュア"を手札に加えるわね」
リチュア、儀式デッキか。シンクロの陰に隠れがちだけど、結構サポートが豊富なカテゴリだな。
「そして今、手札に加えたヴィジョン・リチュアの効果発動。手札からこのカードを捨てることで、デッキからリチュア儀式モンスターを1体手札に加える。私は"イビリチュア・ガストクラーケ"を手札に加えるわ」
これは……早速来るか!
「手札から儀式魔法"リチュアの儀水鏡"を発動。手札のリチュア儀式モンスターを儀式召喚するわ。
私は手札の"シャドウ・リチュア"をリリース。このカードは自身の効果により、1枚で水属性儀式モンスターのリリースの代用となることができるの」
儀式カードのサーチに加えて、リリースの代用やそれを可能にするリチュアモンスターのサーチ、さらに水属性のシナジー。リチュアはこれがあるから厄介だ。
「儀式召喚!現れなさい、私の可愛い僕"イビリチュア・ガストクラーケ"」
イビリチュア・ガストクラーケ Lv6 AP2400
「ガストクラーケのモンスター効果。それは、このカードが儀式召喚に成功したとき、相手の手札をランダムに2枚選択し、その内の1枚をアナタが選んでデッキに戻すのよ。
さあ、選んで頂戴」
デュエルディスクによって俺の手札からランダムに2枚が選択される。ていうか、デュエルディスクにはこんな機能もついてたのか。スゲーな。
しかし、序盤のデッキバウンスはキツイ。手札を減らされるだけじゃなく、再利用しにくいデッキに戻されるのはこの上なく厄介だ。
「バトルよ。ガストクラーケでセットモンスターに攻撃ね」
ガストクラーケの触手が俺の場のモンスターに襲い掛かる。
ガスタの希望 カムイ Lv2 DP1000
「"ガスタの希望 カムイ"のリバース効果発動!デッキからガスタと名のついたチューナー1体を特殊召喚する。俺は"ガスタ・ガルド"を守備表示で特殊召喚!」
ガスタ・ガルド Lv3 DP500
そして、ガストクラーケの攻撃によりカムイが破壊された。
「なるほどね。それなら私は、リチュア・アビスでガスタ・ガルドに攻撃するわ」
アビスの持つ長槍に貫かれ、ガルドが破壊される。
「ガスタ・ガルドの効果発動!このカードがフィールドから墓地へ送られたとき、デッキからLv2以下のガスタモンスターを1体特殊召喚する!"ガスタ・イグル"を特殊召喚!」
ガスタ・イグル Lv1 DP400
ガスタのリクルート能力でなんとか場を繋げたか。
「そうでなければ張り合いが無いわ。私はこのままターンエンド」
コナミ LP8000 手札3枚
雪乃 LP8000 手札3枚
「俺のターン、ドロー!」
相手の場には上級モンスターが1体、そして伏せカードは無し。それなら……仕掛けるか!
「手札から"ガスタの静寂 カーム"を召喚!」
ガスタの静寂 カーム Lv4 AP1700
「俺はLv4"ガスタの静寂 カーム"にLv1"ガスタ・イグル"をチューニング!」
イグルの身体が1つの光となり、それらが輪となってカームがその中央を通る。やがてカームは光に包まれ、新たなモンスターが現れる。
「シンクロ召喚!出でよ"ダイガスタ・ガルドス"!」
ダイガスタ・ガルドス Lv5 AP2200
ガスタの巫女が騎乗して操る、刺々しい武装に包まれた巨大な鳥が、その巨大な羽を羽ばたかせて現れた。
「なるほどね。でも、せっかくシンクロ召喚しても、その攻撃力じゃガストクラーケは倒せないわ」
「そんなことは百も承知だ。
ガルドスのモンスター効果発動!自分の墓地のガスタモンスター2体をデッキに戻すことで、相手フィールド上の表側表示モンスター1体を破壊する!俺は墓地のカムイとカームをデッキに戻し、ガストクラーケを破壊!」
ガルドスが巻き起こす旋風が相手フィールドを包み込む。
「きゃっ!」
そして、荒れ狂う風によりガストクラーケが破壊される。
「バトルだ!ガルドスでリチュア・アビスに攻撃!」
「あぁ!」
雪乃 LP8000→6600
「ターンエンドだ」
コナミ LP8000 手札3枚
雪乃 LP6600 手札3枚
「ふふ、いいわ。アナタのすべてを見せて頂戴」
先制攻撃をくらったにもかかわらず、まだ余裕を見せる藤原。その口調こそ変わらないけど、その目はまるで子供のように輝いている。もしかしたら、さっきまでの大人びた感じではなく、今の姿が素なのかもしれない。
「私のターン、ドロー。
手札から魔法カード"サルベージ"を発動ね。これは、自分の墓地から攻撃力1500以下の水属性モンスターを2体、手札に戻すの。私はヴィジョン・リチュアとシャドウ・リチュアを手札に加えるわ」
ヴィジョンとシャドウ。確かあのカードは、それぞれリチュアと名のつく儀式モンスターおよび儀式魔法をサーチする能力と、水属性儀式モンスターのリリースの代用になれる共通の効果を持ってる。こいつはやばいかも……。
「さらに、墓地のリチュアの儀水鏡の効果発動。墓地に存在するこのカードをデッキに戻すことで、墓地のリチュア儀式モンスター1体を手札に戻すことができる。私はガストクラーケを手札に戻すわ。
そして、さっき手札に加えたシャドウ・リチュアの効果を発動。このカードを手札から捨てることで、デッキからリチュア儀式魔法を手札に加えることができる。これで、今戻したリチュアの儀水鏡を再び手札に加えられるわね」
げっ、またガストクラーケが出てくるのか。
「ふふ、残念だけどこれだけじゃないわ。
私は手札からリチュアの儀水鏡を発動。今度はヴィジョン・リチュアをリリースの代用にするわね。現れなさい、私の新たな僕"イビリチュア・ソウルオーガ"」
イビリチュア・ソウルオーガ Lv8 AP2800
「私はここで魔法カード"儀式の準備"を発動。デッキからLv7以下の儀式モンスターを手札に加え、墓地から儀式魔法を手札に戻すことができる。私はデッキから"イビリチュア・マインドオーガス"を手札に加え、墓地からリチュアの儀水鏡を手札に戻すわ。
そして、手札から"リチュア・ビースト"を召喚」
リチュア・ビースト Lv4 AP1500
「このモンスターは召喚に成功したとき、墓地のLv4以下のリチュアモンスター1体を守備表示で特殊召喚できる。私はシャドウ・リチュアを特殊召喚するわ」
シャドウ・リチュア Lv4 DP1000
「私は再びリチュアの儀水鏡を発動。フィールド上のシャドウ・リチュアをリリースし、イビリチュア・マインドオーガスを儀式召喚」
イビリチュア・マインドオーガス Lv6 AP2500
1ターンで上級儀式モンスター2体+αを並べられた……これはまずいな。
「マインドオーガスの効果発動。このカードが儀式召喚に成功したとき、互いの墓地のカードを合計5枚まで選択してデッキに戻す。私は自分の墓地のアビス、シャドウ、ヴィジョン、儀式の準備、サルベージを選ぶわ」
藤原はこのターン消費したカードをデッキに戻したか。
「さらに、ソウルオーガの効果発動。手札のリチュアモンスターを1枚捨てることで、相手の表側表示のカード1枚をデッキに戻すことができるの。ここまで言えばわかるかしら?」
こ、こいつは冗談抜きでやばい!
「さっきのお返しよ。手札のガストクラーケを捨てて、アナタのフィールドのガルドスをデッキに戻すわ」
ソウルオーガが咆哮を上げ、それに呼応するかのように背後から現れた津波にガルドスは飲まれ、そのままフィールドから姿を消してしまった。
「これで、アナタのフィールドにモンスターは居なくなった。
バトルよ。リチュア・ビーストでダイレクトアタック!」
「くっ!」
コナミ LP8000→6500
「まだ終わらないわ。マインドオーガスでダイレクトアタック!」
「ぐっ!」
コナミ LP6500→4000
「これでフィニッシュよ。ソウルオーガでダイレクトアタック!」
「ぐぁッ!」
コナミ LP4000→1200
3連続ダイレクトアタックを食らって、俺のライフはもはや風前の灯だ。
「……これでもう終わりね。ターンエンドよ」
コナミ LP1200 手札3枚
雪乃 LP6600 手札0枚
藤原がさっきとは打って変わって、落胆したような表情を向ける。それは、俺のこの醜態に対するものなのか、それともこのデュエルが終わってしまうことのに対するものなのか。だが、いずれにせよ言えることは……
「藤原、何そんな目をしてるんだ」
「……え?」
「デュエルは面白い。たった1枚のカードで逆転することだってあるんだからな」
「……だからなんだと言うの?」
「勝負はまだ終わっちゃいない。今から見せてやるよ、逆転勝利ってやつを!」
今の俺の手札じゃ、逆転は愚か次のターンをしのぐことさえ出来はしない。でも、あのカードさえ呼び込むことができれば!
「俺の、ターン!!」
今回は骨のありそうなボウヤだったのに―――
最初の期待値が高めだっただけに憂鬱な感情を隠し切れないでいると、件の彼は突然こんなことを言い出した。
『今から見せてやるよ、逆転勝利ってやつを!』
今時アニメの主人公でも言わないような臭いセリフ。でも私は、彼の言葉を無視することができなかった。
いや、もしかしたら心の奥底で期待していたのかもしれない。どんな強敵にも屈せず、最後には必ず勝って囚われの姫を救う、王子様のような存在を。
「俺の、ターン!!」
彼の勝負の明暗を分けるドロー。勝利の女神は―――
「よし、来た!」
彼に微笑んだようだ。
「俺は手札から"ガスタの神官 ムスト"を召喚!」
ガスタの神官 ムスト Lv4 AP1800
「さらに手札から速攻魔法"緊急テレポート"を発動!手札またはデッキからLv3以下のサイキック族モンスター1体を特殊召喚する!俺はチューナーモンスター"クレボンス"を特殊召喚!」
クレボンス Lv2 AP1200
チューナーとそれ以外のモンスターがそろった。何を呼ぶつもりなの?
「俺はLv4"ガスタの神官 ムスト"にLv2"クレボンス"をチューニング!」
クレボンスが2つの光の輪となり、ムストを囲う。
「シンクロ召喚!現れろ!"ダイガスタ・スフィアード"!」
ダイガスタ・スフィアード Lv6 AP2000
シンクロモンスター、あれが彼のキーカード。
「ダイガスタ・スフィアードの効果発動!このカードがシンクロ召喚に成功したとき、墓地のガスタと名のついたカード1枚を手札に加えることができる。俺はムストを手札に加える。
そして、ここでリバースカードオープン!永続罠"リミットリバース"!自分の墓地の攻撃力1000以下のモンスター1体を、攻撃表示で特殊召喚する!再び現れろ!ガスタ・ガルド!」
ガスタ・ガルド Lv3 AP500
「このままバトルフェイズに移行!」
バトル?わざわざ低級モンスターを出して、何のつもりなの?
「バトル!ガスタ・ガルドでソウルオーガに攻撃!」
「ッ!自滅するつもり!?」
「まさか!」
ガスタ・ガルドがソウルオーガへと特攻し、ソウルオーガの起こした激流によって返り討ちとなり破壊され
た。そして、その余波が彼へと襲い掛かる。
「この瞬間、スフィアードの効果発動!」
スフィアードが彼をかばうように前に立つと、その手に持つ杖を前に掲げた。
「このカードが表側表示で存在し、自分フィールド上のガスタモンスターの戦闘でダメージが発生したとき、そのダメージを相手に跳ね返す!」
「なんですって!?」
スフィアードの持つ杖から発生した風が盾となり、激流から彼を防いだ。
「ソウルオーガとのバトルで発生したダメージは2300!そのダメージをそのまま相手に返せ、スフィアード!」
「きゃっ!」
雪乃 LP6600→4300
スフィアードが起こした風が激流を巻き込んで竜巻となって私に襲い掛かった。
「まだだ!ガルドの効果により、ガスタ・イグルを特殊召喚!」
ガスタ・イグル Lv1 AP200
「ガスタ・イグルでソウルオーガに攻撃!
そしてスフィアードの効果により、発生した戦闘ダメージ2600を相手に与える!」
「あぁぁっ!」
雪乃 LP4300→1700
ああ、そうだ。きっと……
「さらに、イグルの効果発動!戦闘で破壊され墓地へ送られたとき、デッキからチューナー以外のLv4以下のガスタモンスター1体を特殊召喚する。俺は"ガスタの巫女 ウィンダ"を特殊召喚!」
ガスタの巫女 ウィンダ Lv2 AP1000
「これで最後だ!ウィンダでソウルオーガを攻撃!
そして発生した戦闘ダメージ1800を跳ね返す!」
「きゃあぁぁぁッ!!」
雪乃 LP1700→0
彼こそ私の―――
ふう、危ない危ない。大量展開されたときはどうなるかと思ったけど、伏せカードがなかったのが幸いしたな。
「すごいです、コナミさん!雪乃さんも倒しちゃうなんて!」
デュエル場の横で見学してたゆまがパタパタと歩きながら寄ってきた。てゆうか、デュエルのことで頭いっぱいになっててすっかり存在を忘れてた。しかし、相変わらず子犬のような奴だな、ゆまは。
あははははー、とりあえず撫でてやろう。
「えへへ、くすぐったいですよ~」
突然触られたのにも関わらず、嫌な顔をするどころか嬉しそうに目を細め、あたりがふわふわした空間に包まれる。これが子犬オーラか……。
「ふふ、負けちゃったわ。強いのね、アナタ」
ゆまとじゃれあっていると、向こうから藤原が歩いてきた。
「あんなにも燃えるように激しいデュエルは久しぶりだった。私の激しい攻めにも動じずに、逆に私がからめ捕られちゃうなんて思ってもみなかったわ」
相変わらずの言い回しな藤原。でもその言葉からは、なにか憑き物が落ちたような、そんな感じがした。
「さあ、勝者のご褒美よ。私のコト、好きにしてもいいわよ」
うわーい、ゆまとのじゃれあいで忘れようとしてた現実を突き付けられたー!どうしよう。いや、マジでどうしよう……。
「どうしたの?なんでも行ってみて。それとも……こうやって私を焦らして楽しんでるのかしら?」
えーとえーと……そうだ!
「とりあえず保りゅ「まさかとは思うけど、先延ばしにしてうやむやにしようなんて、思っていないわよね?」ハイ、ソウデスネ」
やばいよやばいよ!完全に退路がふさがれたよ!どうするよ俺!こうしてる間にも、藤原は色香を振りまきながら俺との距離を縮めてゆく。ああ、なんだかほんのりといい匂いが……って違う!こんなとこダチにでも見られたら―――ダチ?この学校のアキ以外の友達と言えばゆまと、ええーっと……。
そういえば、ゆま以降友達が増えてねえ……。ああ、前世の学生時代のトラウマががががが
「……友達」
「え?」
あ、やべ。少しトリップしてたら無意識のうちに言葉に出でしまった。ええい!こうなればヤケクソだ!
「俺と、友達になってください!」
「……」
あ、藤原がポカーンとしてる。いや、そりゃ当たり前だよな。この流れで友達になれって、空気読めないにもほどがある。
「ええっと、藤原。つまりだな―――」
「ふふ、ふふふふふ」
な、なんだ!?
何とか弁解しようとしたら、突然藤原が笑い出した。
「今まで私に言い寄る男は星の数ほど居たけど、そんな口説き文句を言ってきたのは居なかったわ」
は?え?口説き文句?
「
え?何?どうなってるの?俺はただ友達になりたいって言っただけで………………もしかして、『友達になりたい→お友達から始めてください→交際を前提に友達になってください』ってことか!?どんな曲解してるんだよ!と、とりあえず誤解を解かないと!
「あー、えっとな、藤原。さっき言ったのはそういう意味じゃ―――」
「あら、藤原なんて他人行儀はやめて頂戴。雪乃って呼んで。私とアナタは
「お、おう、そうだな……いや、そうじゃなくて藤わr、雪乃!さっきの言葉は―――」
「あら、もうこんな時間だわ。パパとママに怒られちゃう。それじゃあ、コナミ、ゆま。また明日」
「ちょ、ちょっ―――」
「はい!雪乃さんもお気をつけて!」
弁解する間もなく、藤原は帰ってしまった。
「コナミさん、私もそろそろ帰りますね」
「……おう、気を付けて帰れよ」
「はい!」
そう言うと、ゆまもデュエル場から出ていき、この場には俺1人になってしまった。……マジで、これからどうしよう。
「ふふ。絶対に手に入れてみせるわ。やっと見つけた、私のカワイイ人」
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リチュア・アビス
効果モンスター
星2/水属性/魚族/攻 800/守 500
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから「リチュア・アビス」以外の守備力1000以下の「リチュア」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。
ヴィジョン・リチュア
効果モンスター
星2/水属性/海竜族/攻 700/守 500
水属性の儀式モンスターを特殊召喚する場合、このカード1枚で儀式召喚のためのリリースとして使用できる。
また、手札からこのカードを捨てて発動できる。
デッキから「リチュア」と名のついた儀式モンスター1体を手札に加える。
イビリチュア・ガストクラーケ
儀式・効果モンスター
星6/水属性/水族/攻2400/守1000
「リチュア」と名のついた儀式魔法カードにより降臨。
このカードが儀式召喚に成功した時、相手の手札をランダムに2枚まで確認し、その中から1枚を選んで持ち主のデッキに戻す。
リチュアの儀水鏡
儀式魔法
「リチュア」と名のついた儀式モンスターの降臨に必要。
自分の手札・フィールド上から、儀式召喚するモンスターと同じレベルになるようにモンスターをリリースしなければならない。
また、自分のメインフェイズ時に墓地のこのカードをデッキに戻す事で、自分の墓地の「リチュア」と名のついた儀式モンスター1体を選択して手札に戻す。
シャドウ・リチュア
効果モンスター
星4/水属性/海竜族/攻1200/守1000
水属性の儀式モンスターを特殊召喚する場合、このカード1枚で儀式召喚のためのリリースとして使用できる。
また、手札からこのカードを捨てて発動できる。
デッキから「リチュア」と名のついた儀式魔法カード1枚を手札に加える。
ガスタの希望 カムイ
効果モンスター
星2/風属性/サイキック族/攻 200/守1000
リバース:デッキから「ガスタ」と名のついたチューナー1体を特殊召喚する。
ガスタ・ガルド
チューナー(効果モンスター)
星3/風属性/鳥獣族/攻 500/守 500
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、デッキからレベル2以下の「ガスタ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。
ガスタ・イグル
チューナー(効果モンスター)
星1/風属性/鳥獣族/攻 200/守 400
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキからチューナー以外のレベル4以下の「ガスタ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。
ガスタの静寂 カーム
効果モンスター
星4/風属性/サイキック族/攻1700/守1100
1ターンに1度、自分の墓地の「ガスタ」と名のついたモンスター2体をデッキに戻して発動できる。
デッキからカードを1枚ドローする。
ダイガスタ・ガルドス
シンクロ・効果モンスター
星5/風属性/サイキック族/攻2200/守 800
チューナー+チューナー以外の「ガスタ」と名のついたモンスター1体以上
1ターンに1度、自分の墓地の「ガスタ」と名のついたモンスター2体をデッキに戻して発動できる。
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して破壊する。
サルベージ
通常魔法
自分の墓地の攻撃力1500以下の水属性モンスター2体を選択して手札に加える。
イビリチュア・ソウルオーガ
儀式・効果モンスター
星8/水属性/水族/攻2800/守2800
「リチュア」と名のついた儀式魔法カードにより降臨。
1ターンに1度、手札から「リチュア」と名のついたモンスター1体を捨てて発動できる。
相手フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して持ち主のデッキに戻す。
リチュア・ビースト
効果モンスター
星4/水属性/獣族/攻1500/守1300
このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地のレベル4以下の「リチュア」と名のついたモンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚できる。
イビリチュア・マインドオーガス
儀式・効果モンスター
星6/水属性/水族/攻2500/守2000
「リチュア」と名のついた儀式魔法カードにより降臨。
このカードが儀式召喚に成功した時、お互いの墓地のカードを合計5枚まで選択して持ち主のデッキに戻す。
ガスタの神官 ムスト
効果モンスター
星4/風属性/サイキック族/攻1800/守 900
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。
自分の墓地の「ガスタ」と名のついたモンスター1体を選択してデッキに戻し、フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択してその効果をエンドフェイズ時まで無効にする。
緊急テレポート
速攻魔法
(1):手札・デッキからレベル3以下のサイキック族モンスター1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは、このターンのエンドフェイズに除外される。
クレボンス
チューナー(効果モンスター)
星2/闇属性/サイキック族/攻1200/守 400
このカードが攻撃対象に選択された時、800ライフポイントを払って発動できる。
その攻撃を無効にする。
ダイガスタ・スフィアード
シンクロ・効果モンスター
星6/風属性/サイキック族/攻2000/守1300
チューナー+チューナー以外の「ガスタ」と名のついたモンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分の墓地の「ガスタ」と名のついたカード1枚を選択して手札に加える事ができる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上の「ガスタ」と名のついたモンスターの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける。
また、このカードは戦闘では破壊されない。
ガスタの巫女 ウィンダ
効果モンスター
星2/風属性/サイキック族/攻1000/守 400
このカードが相手モンスターの攻撃によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから「ガスタ」と名のついたチューナー1体を特殊召喚できる。
というわけで、ゆきのん回でした。
一応補足すると、最後の方の『お友達に~』の件、雪乃はわざと曲解してます。要するに既成事実バッチこいというわけですね。コナミ爆発しろ。
雪乃といえばデミスドーザーのイメージが強いですが、TF6のパートナーデッキではリチュアになっており、せっかくだから変えてみました。