告白と聞いたら、何を思い浮かべるだろうか?近所の公園、夕焼けの教室、伝説の木の下etc...
青春の代名詞ともいえる交際イベントに胸高まらない奴なんていないだろう。
何故、俺が突然こんなことを言い始めたのか、その答えはいたって単純だ。
「ま、まさか、机に手紙が入ってるとは……」
そう、登校してきた俺が自分の席に着いたとき、机の中に1通の手紙が入っていた事に気が付いたのだ。しかも、その手紙はご丁寧に封筒にまで入れられていた。
(お、おおおお落ち着け!koolになるんだ、俺!まだラブレターと決まったわけでもないし?こんなんで一々取り乱すほど女慣れしてないわけじゃないし?むしろ今は女友達の方が多いし?あ、でもアキと雪乃に見つかったら……いやいやいや、別にあの二人はただの友達だし?ぶっちゃけアプローチが言い訳できない域にまで来てるけど体感的にはまだ友達だし?)
先日の中間試験での一見以来、アキと雪乃のスキンシップが一層過激になった気がする。ゆまと知り合ったころから何となく兆候の合ったアキだけど、雪乃と出会ってから一気に爆発したのか、さりげなく手をつないだり腕を組んだりとボディタッチが激増した。雪乃は相変わらず俺を誘うような艶っぽい仕草をしてくるのだが、それも段々と扇情的になっているというか、虫をおびき寄せる食虫植物というか。
確かに二人のような美人に言い寄られて悪い気はしない、むしろ最高にハイってやつなんだけど……前世も含めて女性経験皆無な俺には大衆の面前でイチャつく度胸もなく、結局は毎回流されるだけに終わっている。むしろ、周囲からの羨望や嫉妬の視線が突き刺さっており、もしかしてこれの所為で未だに友達少ないんじゃね、と思わずにはいられない。
え?ゆまを助けたときは、自分から仲良くなる気満々だっただろって?バッキャロー!追うのと追われるのとでは訳が違うんだよ!俺の心は永遠の思春期男子なんだぞ!超が付くほどの美人にあれだけグイグイ押されたら、逆に尻込みしちゃうだろうが!
……取りあえず、そんな二人に見つかると厄介なのは目に見えてる。不自然なくらいに周りをキョロキョロしながらアキたちが居ないことを確認した俺は、心の中で言い訳がましい思考を巡らせながら、男子トイレへと向かった。古今東西、男がラブレターを確認する場所と言ったら此処だろう。
(大丈夫大丈夫。会うだけならセーフ。そもそも俺、誰とも付き合ってるわけじゃないし)
駆け足気味に男子トイレに入った俺は個室の中に閉じこもり、勢いよく扉を閉めた。
(と、取り敢えず、差出人を確認しないといけないよな?)
俺は震える手で封筒を開き、中から手紙を取り出す。そして、内容を確認するため恐る恐る文字の書かれた文面に視線を向ける。そこには―――
【果たし状】
―――と掛かれていた。
―――――――――――――――
――――――――――
―――――
「よく来てくれた!小鳥遊!」
放課後、用事があるとアキたちを先に帰し、手紙に指定された場所へとやってきた。いや、別にいいんですけどね?前世だって一度たりともラブレターとかも貰った事ないしね。でも、この世界はデュエルモンスターズが発展した世界。決闘が強ければもしかしたらモテるんじゃないか、と淡い希望を持ってしまうのは致し方ないことなんだ!
「……で、あの手紙は何なんだ?あんたとは正真正銘、初対面のはずなんだけど」
俺はひっじょーに低いテンションで、目の前の男子生徒に手紙の事を尋ねる。果たし状と書かれた手紙には時間と場所は書いてあったが、詳しいことは何も書かれていなかった。
「ああ!それでは単刀直入に言おう!」
俺を呼び出した男子生徒は、いかにも熱血キャラのような太い眉毛をきりっとさせる。
「小鳥遊!俺に……俺に彼女たちを紹介してくれ!」
……は?
「えぇっと、俺はあんたに女子を紹介できるほど知り合いはいないし、第一頼むなら自分の知り合いにでも頼めばいいんじゃ?」
「ああ、すまない。勘違いさせてしまったようだ。オレが言っているのは十六夜さんと藤原さんの事だ」
アキと雪乃?確かにあの二人は美人だから、紹介してくれって言う理由もわかる。それを、いつも一緒に居る俺に頼むってのも、まあわかる。けど……
「それなら直接本人に―――」
「待て!みなまで言わなくてもわかる!そう簡単に紹介するわけにはいかないのだろう?」
「いや、だから本に―――」
「俺もただで紹介してもらえるとは思っていない」
「別に対価とか資格の問題じゃなくて―――」
「だから、決闘だ!決闘で勝ったら話を通してもらいたい!」
「おーい」
こいつ……!人の話を聞かない奴だなぁ!
俺の様子なんて構いなしに、デュエルディスクを構える目の前の熱血少年。果たし状なんて書かれてたから決闘するんだろうなとは思ってたけど、まさかこんな状況になるとは。
……まあ、いいか。勝てば問題ないし。今日持ってきたデッキならよほどの相手じゃなければ余裕だろ。
「さあ!
「勝手に先走んなよ」
コナミ LP8000 手札5枚 先攻
熱血少年 LP8000 手札5枚 後攻
「おっと、俺の先攻か。ドロー!カードを2枚伏せてターンエンド」
コナミ LP8000 手札4枚
熱血少年 LP8000 手札5枚
「よっしゃぁッ!オレのターン、ドロー!
オレは手札から魔法カード"おろかな埋葬"を発動ッ!デッキからカードを1枚墓地へ送る!俺は"黄泉ガエル"を墓地に送ろう!そして、手札から"ジェスター・コンフィ"を特殊召喚だッ!」
ジェスター・コンフィ Lv1 AP0
デュエルでも暑苦しい奴だな……。それにしても黄泉ガエルか。まさかとは思うが。
「ジェスター・コンフィは手札から表側攻撃表示で特殊召喚できるんだ。そしてッ!ジェスター・コンフィをリリースし"地帝グランマーグ"をアドバンス召喚ッ!」
地帝グランマーグ Lv6 AP2400
「グランマーグの効果発動ッ!アドバンス召喚に成功したとき、フィールドにセットされたカードを1枚破壊する!俺はそのリバースカードを破壊させてもらうぜ!」
あぁ、やっぱり黄泉帝か。でもって、破壊されたのは"魔宮の賄賂"。便利なカードを壊されたけど、まあ問題ないな。
「バトル!グランマーグで裏守備モンスターに攻撃!」
「罠発動"炸裂装甲"!攻撃モンスターを破壊する!グランマーグを破壊!」
「なにぃ!?ぐっ……ターンエンドだ!」
コナミ LP8000 手札4枚
熱血少年 LP8000 手札3枚
「俺のターン、ドロー。俺は"コアキメイル・ガーディアン"を召喚」
コアキメイル・ガーディアン Lv4 AP1900
「バトル!コアキメイル・ガーディアンでダイレクトアタック!」
「くッ!」
熱血少年 LP8000→6100
「ターンエンド。そして自分のエンドフェイズ、コアキメイル・ガーディアンの効果発動。手札から"コアキメイルの鋼核"を捨てるか手札の岩石族モンスター1体を相手に見せる。このどちらの効果も行わなかった場合、このカードは破壊される。俺は手札の"コアキメイル・ウォール"を見せる」
コナミ LP8000 手札4枚
熱血少年 LP6100 手札3枚
「コアキメイルか。どんなカードが来ようと、俺は勝って見せる!ドローッ!
スタンバイフェイズ時、墓地の黄泉ガエルの効果発動ッ!自分フィールド上に魔法・罠が存在しないとき、このカードを特殊召喚できる!」
黄泉ガエル Lv1 DP100
「そして黄泉ガエルをリリースし、邪帝ガイウスをアドバンス召喚ッ!」
邪帝ガイウス Lv6 AP2400
よりによって強制効果のガイウスを召喚したってことは、さっきの反応からしてコアキメイルを知らないのか。
「ガイウスの効果発動!アドバンス召喚に成功した場合、フィールドのカード1枚をゲームから除外する!俺はコアキメイル・ガーディアンを選択!」
「この瞬間、コアキメイル・ガーディアンの効果発動!このカードをリリースすることで、モンスター効果の発動を無効にし破壊する!」
「なんだとッ!?」
一々反応がオーバーだな、こいつ。まあ、こいつに限らずこの前の少年ABにも言えたことだけど、この世界の住人はカードの知識が前世に比べて低いんだよな。自分が使ってるカード群はよく知ってるせいか、高等部ともなるとプレイングは大してひどくはないんだけど。そのせいで、少しトリッキーだったり癖のあるカードは知名度が低い。
この【コアキメイル】だって、コアキメイルデッキで組もうとすると種族も属性もバラバラで組みにくく、さらには手札を公開してまで入れたくないといった理由で使われてなかったりする。単体ではこんなに強いのに……
「やむを得ない、ターンエンドだ」
コナミ LP8000 手札4枚
熱血少年 LP6100 手札3枚
「俺のターン、ドロー。俺は"コアキメイル・ウォール"を召喚」
コアキメイル・ウォール Lv4 AP1900
「バトル!コアキメイル・ウォールでダイレクトアタック!」
「ぐぅッ!」
熱血少年 LP6100→4200
「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ。そしてエンドフェイズ時、コアキメイル・ウォールも同様に、手札から"コアキメイルの鋼核"を捨てる、手札の岩石族モンスター1体を相手に見せる、自壊する、のいずれかの効果を選ぶ。俺は手札の"コアキメイル・サンドマン"を見せる」
コナミ LP8000 手札3枚
熱血少年 LP4200 手札3枚
「なんて強さなんだッ!オレのターン、ドローッ!」
「この瞬間、リバースカードオープン!永続罠"群雄割拠"!この効果により、互いのプレイヤーはそれぞれ1種類の種族しか場に出せなくなる」
「なッ!?これでは、黄泉ガエルからアドバンス召喚ができない!」
相手は種族も属性もバラバラのデッキ。こういうデッキにこそ、今回の俺のデッキは力を発揮する。
「ならば!黄泉ガエルの蘇生は行わず、魔法カード"死者蘇生"を発動!互いの墓地からモンスター1体を復活させる!俺はガイウスを特殊召喚する!」
「それにチェーンしてコアキメイル・ウォールの効果発動。このカードをリリースし、魔法の発動を無効にして破壊する!」
フィールドに現れた、古代エジプト語で【生命】の意味を持つ
「またしてもしてやられたかッ!このモンスターたちはまさに、俺の彼女たちとの間に立ちはだかる壁という訳だな。だが、そんなものにオレは屈しはないッ!ターンエンドだ!」
……こいつの脳内では、どんなこともポジティブに変換されてんだな。どういう思考回路してるんだか。
「なあ。さっき聞きそびれたけど、何で俺に頼むような回りくどい真似するんだ?お前みたいなやつなら、そんなまどろこっしいことなんかしなさそうだけど」
話すのが苦手な~とかだったら分かるが、100%前向き思考なこいつなら後先考えずにアタックしそうなもんだけど。
「そんなの決まっている!普通に話しかけたって彼女たち、『黒薔薇の魔女』と『破滅の女神』に相手にされないからだ!」
……え?黒、なんだって?
「あー、ちょっと待ってくれ。えーっと、何?『黒薔薇の魔女』に『破滅の女神』?」
「おお、そういえば君は高等部からだったから知らないのか。文字通り、十六夜さんと藤原さんの異名だ」
いや、文字通りって言われても……それ、モンスターの名前じゃん。
「彼女たちは美貌とデュエルの腕を併せ持つまさにアイドルの様な存在。多くの人に好かれる彼女たちだが、そんな二人にお近づきになろうとして散った男は数知れず」
困惑する俺のことなど知ってか知らずか、おそらく後者だろうけど、熱血少年はなぜか語り口調になって話し始めた。
「未成年とは思えない艶麗な気配を漂わせる藤原雪乃。彼女に心を鷲掴みにされた男たちは、まるで花の匂いに誘われた虫のように引き寄せられる。一度魅力に取りつかれたが最後、たとえ冷酷にあしらわれようとも、彼女から離れることはできない。その無慈悲なまでに男を破滅へと導く様は、正に『破滅の女神』と言っても差し支えない!」
冷酷、無慈悲、ねぇ。そういえば前に……
――コナミ。頬にクリームがついてるわよ。取ってあげる――
――とれたわよ。はい、あーん……何を戸惑ってるの?私の指に絡みついているのは、あなたの頬から拭き取ったクリームよ――
――ふふっ。ほら、口を開けて?貴方の舌で私の指(に付いたクリーム)を丁寧に舐めとって、ね?――
……うん。破滅ってのも、あながち間違いじゃないな!俺の人生が詰む的な意味で。
「対称的に、誰にでも優しく接する十六夜アキ。その求心力は止まるところを知らず、異性同姓問わずに多くの人から慕われている。しかし、彼女は誰にでも一線を引いており、自身の懐に居れようとしない。決して自分を明かさず裏で人心を掌握する様を見て、いつしか人々は彼女を『魔女』と呼ぶようになった!」
魔女ってお前。アキはそんな物騒なもんじゃ……
――コナミ!また授業聞いてなかったでしょ!まったくもう――
――ほら、制服乱れてるじゃない。ちょっとじっとしてて――
――ああっ、ご飯粒こぼしてるわよ!もうっ、まだまだ子供なんだから――
ああ~~これは魔女ですわ~。俺が堕落する的な意味で。
「そんな中、彼女たちと一緒に行動するようになった男子が居た。そう、それが君だ!そうと決まればやることは一つ!君を突破口とし、彼女たちと親交を深める!」
うわぁ、なんか狡い手だな。まあ、それだけ必死なんだろうけど、例え俺が紹介したって最終的な結果はかわらないと思うんだがなぁ。
コナミ LP8000 手札3枚
熱血少年 LP4200 手札3枚
「……そういう訳なら遠慮はいらないな。まあ、元々そんな気はないが。
ドロー!俺は"フォッシル・ダイナ パキケファロ"を召喚」
フォッシル・ダイナ パキケファロ Lv4 AP1200
「パキケファロは、表側表示で存在する限りお互いの全ての特殊召喚を封じる効果を持つ」
「な、なにぃ!?」
これで、相手のデッキに大量に入ってるであろう、リリース要因の特殊召喚モンスターを封じた。
「更に永続魔法"一族の結束"を発動。自分の墓地に存在するモンスターの種族が1種類の時、それと同じ種族の自分フィールド上のモンスターの攻撃力を800アップさせる。俺の墓地にいるのは岩石族のみ。よって俺のフィールド上にいる岩石族モンスターであるパキケファロの攻撃力がアップ!」
フォッシル・ダイナ パキケファロ AP1200→2000
「バトル!パキケファロでダイレクトアタック!」
「ぐッ!」
熱血少年 LP4200→2200
「ターンエンドだ」
コナミ LP8000 手札2枚
熱血少年 LP2200 手札3枚
「くっ!オレのターンだ!ドロー!魔法カード"ハンマーシュート"を発動!フォッシル・ダイナ パキケファロを破壊する!ターンエンドだ」
あらら、早々に破壊されちゃったか。
コナミ LP8000 手札2枚
熱血少年 LP2200 手札3枚
「ドロー!"コアキメイル・サンドマン"を召喚!」
コアキメイル・サンドマン Lv4 AP1900→2700
こいつはさっきの2体同様、自身をリリースすることで罠の発動を無効にし破壊できる。まあ、今回の相手は罠をあまり入れてなかったみたいだから使う機会はなさそうだけど。
「コアキメイル・サンドマンでダイレクトアタック!」
「甘いぜ!手札の"バトルフェーダー"の効果発動!相手の直接攻撃宣言時、このモンスターを特殊召喚し、そのままバトルフェイズを終了させる!」
バトルフェーダー Lv1 DP0
やっぱり持ってたか。バトルフェーダーは攻撃を防ぐだけじゃなく、場にモンスターを出せるからな。リリース要因としては最適なカードだ。
「俺はこのままターンエンド」
コナミ LP8000 手札2枚
熱血少年 LP2200 手札2枚
「オレのターン、ドロォーッ!!」
すると、ドローカードをみた瞬間、カーン☆コーンという幻聴と共に熱血少年の目が見開いた。
「来た!逆転の糸口が!俺は手札から速攻魔法"サイクロン"を発動!群雄割拠を破壊する!そして、コアキメイル・サンドマンを対象に手札から魔法カード"クロスソウル"を発動!」
クロスソウル。確かあれは、相手モンスター1体をリリースの代わりにできるカードか。
「俺は自分の場のバトルフェーダーと相手の場のコアキメイル・サンドマンをリリース!」
ん?2体リリース?
「現れろ!俺のデッキの真のエース"
光と闇の竜 Lv8 AP2800
マジか!そう言えば、帝デッキに光と闇の竜は普通に採用圏内じゃん!
「クロスソウルを使用したターン、オレはバトルフェイズを行うことができない。だが、光と闇の竜の前ではあらゆる魔法・罠・モンスター効果は無意味。これで君の妨害カードはもう怖くない!ターンエンドだ!」
コナミ LP8000 手札2枚
熱血少年 LP2200 手札0枚
光と闇の竜はどんなカード効果でも無効化するモンスター。確かに、あれに居座られると厄介だ。だけど―――
「俺のターン、ドロー!」
運は俺にも味方したようだな。
「俺は2体目のコアキメイル・ガーディアンを召喚」
コアキメイル・ガーディアン Lv4 AP1900→2700
「そ、そのモンスターはッ!」
「こいつの効果はもう知ってるよな?俺はリバースカードオープン!永続罠"御前試合"を発動!そして、カード効果が発動したことにより、光と闇の竜の効果が発動する!」
光と闇の竜が、今発動したカードを破壊せんとエネルギーを頭部の角に蓄積させる。光と闇の竜の効果は強制効果。コントロールするプレイヤーの意思に関わらず発動する。
「光と闇の竜の効果にチェーンしてコアキメイル・ガーディアンの効果発動!自身をリリースし、光と闇の竜の効果を無効にして破壊する!」
そして最大の弱点は、光と闇の竜の効果は同一チェーン上に2回以上発動できないことだ!コアキメイル・ガーディアンの身を挺した効果により、光と闇の竜は効果を発動することなく破壊される。
「オ、オレの光と闇の竜が……だ、だが!君のフィールドにカードは無くなったが、オレは違うッ!
光と闇の竜の第2の効果発動!自分の場のカードを全て破壊して、自分の墓地からモンスターを1体蘇生させる!現れろッ!邪帝ガイウス!」
邪帝ガイウス Lv6 AP2400
「更に、オレは次のターンから黄泉ガエルの効果を使用できる!これで形成は逆転だッ!」
「いや、残念だけど次のターンは回ってこない」
「な、なに?」
この攻防の真の目的は、相手の墓地に最上級モンスターを送ること。それさえできれば、帝が現れようとも関係ない!
「俺は手札から魔法カード"化石融合-フォッシル・フュージョン"を発動!互いの墓地から融合素材となるモンスターを除外し、"化石"と名のつく融合モンスターを融合召喚する!俺は自分の墓地のコアキメイル・サンドマンとお前の墓地の光と闇の竜を除外!」
「なッ!?そんな融合カードが!?」
そうだ。コアキメイル3対で相手の効果を封じつつ、化石融合による高打点モンスターでとどめを刺す。それがこのデッキだ。
「太古の地層より甦れ!"古生代化石竜 スカルギオス"」
古生代化石竜 スカルギオス Lv8 AP3500→4300
大地を裂き、空に轟く咆哮と共に巨大な骨の恐竜が姿を現した。
「こ、攻撃力4300!?」
「バトルだ!スカルギオスでガイウスを攻撃!」
スカルギオスが地面を踏み鳴らしながら熱血少年の前で構えるガイウスへと走り出す。
「この瞬間、スカルギオスの効果発動!スカルギオスが相手モンスターに攻撃するときそのモンスターの攻撃力と守備力を入れ替えることができる!」
邪帝ガイウス AP2400→AP1000
「な、なんだってぇッ!?」
「いけ!スカルギオス!ガイウスを噛み砕け!」
「ぐぁぁぁッ!!」
熱血少年 LP2200→0
「くっ……まさか手も足も出ないとは」
デュエルディスクに『WIN』の文字が表示され、ソリッドビジョンシステムが停止する。おお、珍しく完全試合ができたな。今回はコアキメイルがうまく働いたおかげだ。
「そうだな。まあ、これに懲りたらそういうことは人に頼らず、自分で―――」
「よぉーし!こうなれば特訓だ!今以上に強くなって君に勝って見せる!そして、彼女たちのメアドを教えてもらうッ!」
「おい、なんだか当初よりもハードル下がって―――」
「そうと決まれば山籠もりだ!ドローの素振り1万回だぁぁぁッ!」
「話聞けよ」
相も変わらず人の話を聞かない熱血少年は、全速力でその場から走り去ってしまった。なんというか、嵐のような奴だったな。
その場に誰も居なくなり、虚無感だけが残った俺は、微妙な気分のまま帰路に着くのだった。
なお、その後誰が口コミしたのか『俺を倒せばアキと雪乃を紹介してくれる』という噂が流れ、しばらくは対戦相手に苦労しない日々が続くのだった。チャンチャン。
―――――――――――――――
――――――――――
―――――
「そういえば。ゆま、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
今は昼休み。先日の一件以降急激に増えた連日のデュエルのせいで、俺は机に突っ伏していた。外野が勝手に騒いでるとはいえ、アキと雪乃には関係のある話だから二人にも事の顛末を伝えて、あわよくば事態の鎮静化に手を貸してもらおうと思ってたんだけど……。雪乃が『ふふっ。じゃあ、ちゃんと守ってね?私の
そんなわけで、必要以上に気合を入れ過ぎた俺は気力と体力がボロボロになり、休憩がてら皆と食事をとってたってわけだ。そんなとき、ふと元凶であるアイツの言葉を思い出した。
「はいっ。なんでしょうか?」
「ゆまはさ、『黒薔薇の魔女』って知ってる?」
「~~っ!?ごほッごほッ!」
あっ。隣でジュース飲んでたアキがむせた。
「んんっ!ゴホン。黒薔薇の魔女ってあれでしょ?召喚時にデッキの一番上を確認して―――」
「それってアキさんの事ですよね?」
「ちょ、ちょっとゆま!」
アキが顔を真っ赤にしてゆまを止める。なんだ?黒歴史なのか?自分で名乗っちゃった系のあれなのか?
俺が頭にハテナマークを浮かべていると、アキとは反対側の俺の隣に座っていた雪乃が、笑みを浮かべだ。……これは、誰かをからかうときの目だ。
「よく知ってるわ。あれは中等部の学内トーナメントのとき、場のカードが0の状態から
へー。アキは子供の頃の俺との決闘以来、普段はサイキック族デッキを使ってブラックローズを使わないようにしてたけど、今じゃ人前でも普通に使えるようになったんだな。よかったよかった。
てか、この間も雪乃との決闘で使ってたしな。
「ブラックローズウィッチにブラック・ローズ・ドラゴン。それで誰が始めたのか、彼女の一部のファンは『黒薔薇の魔女』って呼ぶようになったのよ」
「ああ、もう。恥ずかしい……」
「そうですか?二つ名なんてカッコいいですっ」
なんだ、単に恥ずかしがってただけなのか。てっきり意味☆不明なマスクでもつけて、顔芸をしながらブラックローズの鞭で相手をいたぶってるのかと思った。
「じゃあ、『破滅の女神』ってのは?」
「あら、それも知ってたの?私もデミスデッキを使っているから、その関係かしらね」
アキとは対照的に、雪乃は二つ名ってやつを気にした様子もない。それにしてもデミスか。アキとの決闘では使ってたみたいだけど、雪乃は普段リチュアを使ってるんだよな……
そんなことを考えていると、雪乃がほほえましいものを見たような目で俺を見つめていた。
「ふふ、別に貴方との決闘で手を抜いたわけじゃないのよ?ほら、貴方だってデッキを使い分ける。それと同じよ」
……なんだか、姉にあやされる弟のような気分で、無性に恥ずかしくなってきたな。
俺はそんな気分を誤魔化す様に、昼食を再開するのだった。
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おろかな埋葬
通常魔法
(1):デッキからモンスター1体を墓地へ送る。
黄泉ガエル
効果モンスター
星1/水属性/水族/攻 100/守 100
自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、自分フィールド上に魔法・罠カードが存在しない場合、このカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
この効果は自分フィールド上に「黄泉ガエル」が表側表示で存在する場合は発動できない。
ジェスター・コンフィ
効果モンスター
星1/闇属性/魔法使い族/攻 0/守 0
このカードは手札から表側攻撃表示で特殊召喚できる。
この方法で特殊召喚した場合、次の相手のエンドフェイズ時に相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、そのモンスターと表側表示のこのカードを持ち主の手札に戻す。
「ジェスター・コンフィ」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。
地帝グランマーグ
効果モンスター
星6/地属性/岩石族/攻2400/守1000
(1):このカードがアドバンス召喚に成功した場合、フィールドにセットされたカード1枚を対象として発動する。
セットされたそのカードを破壊する。
炸裂装甲
通常罠
(1):相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を対象として発動できる。
その攻撃モンスターを破壊する。
コアキメイル・ガーディアン
効果モンスター
星4/地属性/岩石族/攻1900/守1200
このカードのコントローラーは自分のエンドフェイズ毎に手札から「コアキメイルの鋼核」1枚を墓地へ送るか、手札の岩石族モンスター1体を相手に見せる。
または、どちらも行わずにこのカードを破壊する。
また、効果モンスターの効果が発動した時、このカードをリリースして発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
邪帝ガイウス
効果モンスター
星6/闇属性/悪魔族/攻2400/守1000
(1):このカードがアドバンス召喚に成功した場合、フィールドのカード1枚を対象として発動する。
そのカードを除外し、除外したカードが闇属性モンスターカードだった場合、相手に1000ダメージを与える。
コアキメイル・ウォール
効果モンスター
星4/地属性/岩石族/攻1900/守1200
このカードのコントローラーは自分のエンドフェイズ毎に手札から「コアキメイルの鋼核」1枚を墓地へ送るか、手札の岩石族モンスター1体を相手に見せる。
または、どちらも行わずにこのカードを破壊する。
相手の魔法カードが発動した時、このカードをリリースする事でその発動を無効にし破壊する。
群雄割拠
永続罠
お互いのプレイヤーはそれぞれ種族が1種類になるように、フィールド上の自分のモンスターを墓地へ送る。
このカードが存在する限り、お互いに自分のフィールド上に出せるモンスターの種族はそれぞれ1種類だけになる。
死者蘇生
通常魔法
(1):自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。
フォッシル・ダイナ パキケファロ
効果モンスター
星4/地属性/岩石族/攻1200/守1300
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚する事ができない。
このカードがリバースした時、フィールド上に存在する、特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。
一族の結束
永続魔法
(1):自分の墓地の全てのモンスターの元々の種族が同じ場合、自分フィールドのその種族のモンスターの攻撃力は800アップする。
ハンマーシュート
通常魔法
フィールド上に表側攻撃表示で存在する攻撃力が一番高いモンスター1体を破壊する。
コアキメイル・サンドマン
効果モンスター
星4/地属性/岩石族/攻1900/守1200
このカードのコントローラーは自分のエンドフェイズ毎に、手札から「コアキメイルの鋼核」1枚を墓地へ送るか、手札の岩石族モンスター1体を相手に見せる。
または、どちらも行わずにこのカードを破壊する。
また、相手の罠カードが発動した時、このカードをリリースして発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
バトルフェーダー
効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚し、その後バトルフェイズを終了する。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。
クロス・ソウル
通常魔法
このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。
(1):相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
このターン自分がモンスターをリリースする場合、自分のモンスター1体の代わりに対象の相手モンスターをリリースしなければならない。
光と闇の竜
効果モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
このカードは特殊召喚できない。
このカードの属性は「闇」としても扱う。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にする。
この効果でカードの発動を無効にする度に、このカードの攻撃力と守備力は500ポイントダウンする。
このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。
自分フィールド上のカードを全て破壊する。
選択したモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。
御前試合
永続罠
お互いのプレイヤーはそれぞれ属性が1種類になるように、フィールド上の自分のモンスターを墓地へ送る。
このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのフィールド上に出せるモンスターの属性はそれぞれ1種類だけになる。
化石融合-フォッシル・フュージョン
通常魔法
自分及び相手の墓地から、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターをゲームから除外し、「化石」と名のついた融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
古生代化石竜 スカルギオス
融合モンスター
星8/地属性/岩石族/攻3500/守 0
自分の墓地の岩石族モンスター+相手の墓地のレベル8以上のモンスター
このカードは「化石融合-フォッシル・フュージョン」の効果でのみ特殊召喚できる。
このカードが攻撃した場合、攻撃対象となるモンスターの攻撃力と守備力をダメージステップの間入れ替える事ができる。
このカードが守備表示モンスターに攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
今回は『岩石パーミッション』でした。
化石融合は相手に依存するので露骨にデッキ相性が出るんですよね。まあ、TF6の環境ならシンクロが主流なのでそこまで困りませんが。
今回の話ではやや好戦的な立ち回りをしていましたが、本来は群雄割拠や御前試合で行動を抑制しつつ、伝説の柔術家や番兵ゴーレムでバウンスしてから化石融合で殴るといった戦術になります。
次回はTF屈指のあのキャラを登場させる予定です。ただ、投稿はいつになるのやら……