――なんの為に生まれてきたのか。
回答可能。
戦うため。あの憎きスウォーム、
――なんの為に生きるのか。
回答不可。
――なんの為に死ぬのか。
回答可能。
栄光ある我が
天上の花であるティタニア女皇陛下のため。
――いかなる
――花は蒼穹にて
――
――
――冥土をば
――
聞こえる声はいつも変わらない。
そして声が語る内容もまた変わらない。
生まれて、学び、戦い、そして死ね。
そう作られ、そう
ごぼり。
何かを話そうとすれば、
――サイレンが鳴っている。
急速排水によってポッド内の水位が下がっていく。
周りを見渡せば、
自分はそれに巻き込まれなかったことに、
少しだけホッとする。
――サイレンが鳴っている。
『ただちに迎撃に移れ。繰り返す、 第183波
次第に覚醒した
これは演習でないことを悟り、
それぞれの
それに
コア神経接続ポート、
――
マテリアル強化外装甲、
――
全関節アクチュエータ、
――
エーテライズ推進炉、待機出力まで
――
姿勢制御スラスター
――
発光し始めた手を滑らすようにし、
「――ファイアフライ-
身を包む装甲に刻まれた、それ。
――AR - 26710
それが、あたしに割り当てられた
あたしという存在を表す、
全てだったんだ。
★ ★ ★
――ゼイン。今回の”脚本”と、プレゼントだ。
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あなたの道中にハプニングはつきもの。
決して、振り返ってはいけない。
活路は常に前にしかない。
多く、と出会いがある。
しかし、誤るな。
本当の出会いは一つだ。
嘘と偽り。
誰もが幸せを夢見て絶望する。
その手に握るのが希望だと
気づくことなく。
闇は深い。
夜明け前は特にだ。
だからこそ、その果てで
あなたは、星よりまばゆい光を得る。
=====================
今一度、朝にエリオから渡された脚本に目を通し、
「改めて、これ……脚本なんか? 黒歴史ノートと違う?」
謎解きしてるんじゃないんだけど。脚本なんだよな? こんなんじゃ仕事になんねーよ。考察班に任せてーわ。
あのー手抜きすぎなんじゃないすかー、”ねぐら”区在住のエリオさーん? 聞こえますかー?
とはいえ、
今回はノリでと書かれるより数億倍マシな気もしているのが、よく教育されたブラック社員ぽくて、かなちい。
だいたい光を得るってなんだよ。仲間探しにきたんじゃねーのか。
「まぁ書いてある意味はいつも通り結局よくわかんね……って、重いっつーの!」
宇宙艇内の操縦スペースにあぐらをかく俺の肩の上に頭を載せて脚本をのぞき込んでくるおチビ改め、
――
「やめやめっ、…………あ~くっそ、帰りたすぎる……」
ガキのお守りに加えて、大して情報もない星の探索とかドMプレイ以外の何物でもない。
ましてや、だ。
普通のマイナー星なら、カンパニーの市場開拓部と呼ばれる連中がビジネスチャンスを求め、血眼で出張っていく対象だ。
そん中である程度ビジネスしかも、ほぼ独占に近い形で利益が確保され、なおかつ数年安定稼働されたら、ようやく公益のためと称してその星の情報の一部が民間に開示されるのだ。
無論、カンパニーにとって不都合な事実は
というわけで、こちらにありますグラモス。そんなカンパニーがすぐに撤退した、あるいはあえて手をつけていない
早い話が、
このグラモスは
普通に一人でもかなり覚悟していかないといけないのにー、えーん。
……かといってなぁ、
世に言う、小さい子を車内に一人で残してはいけないというやつだ。思わず舌打ちし、
「おい、
正面まで引っ張ってくると、腰を落とし目線を合わせて、
「これから降りるけど、このグラモスはマジで危険な事が起きるかも知れねぇ。……下手したら死ぬかもしれない。だから、絶対に、ずぅうぇ〜ったいに俺から離れんな。あと言うこともちゃんと聞け。あとあと、無事帰れたらカフカさんの前で俺を全力で持ち上げろ。いいな? 約束しろ。それさえ守れば、
――俺が死んでもお前を守る」
じゃないと、俺がカフカさんに嫌われちゃう。
「……って、おい、聞いてる?」
なんかキュウ~ンって感じで胸を押さえて、瞳を輝かせてるけど、この子本当に大丈夫なの? 今のお願い三つ目が一番重要なんだけど、そこんとこ理解してる?
……降りる前から疲れるわ。
ぼやいて、
俺はエリオが脚本と一緒にプレゼントと言って寄越してきた、黒と黄色の二色を基調としたローブを羽織る。
まるで採寸したかのようにジャストフィットで、手触りもよく、動きやすい。
そして何よりいいのがフードがデカく、
これで、パルサーエッジを振るうことを考えると大変具合がよろしい。
おーーーといった感じの顔をしている
「へっへん、いいだろ~。
コクコクとうなずく
これで着陸した場所からやむをえず移動しても、自動運転で現在位置まで迎えに来てくれるようになった。まぁ万能ではないと思うが、帰りの足が三日歩き続けた先にありますみたいな状況は避けられる。
よし。さぁいよいよ、お待ちかねの、
「っし、じゃ行くべ!」
出発だった。
「あああああああああああああああああああああああああああああ、何アレ何アレ!!!!」
……数時間後、そこには、元気に荒野を走り回る俺の姿があったのでした。
時間を戻すと、
荒廃した渓谷に降り立った俺と
案の定というべきか、
人のいたような痕跡も特段なかったが、
そもそも近隣に街のような人の居住エリアっぽいものが見当たらず、やむを得ず降下したのだから仕方ない。
だが灰色の空と赤茶けた大地が延々と続く景色に、はたして本当にお仲間候補がいんのかと疑問を覚える。
ぺんぺん草すら生えてなかったら、仲間もクソもないわけで、やっぱり猫が上司なのがいけないのでは? 今後キャリアアップを図れないのでは? なんもかんも政治がいけないのでは? と様々な
「ん? どした?」
急に脚を止めた
――羽音だった。
瞬間、
前方から現れたのは
ハチとカブトムシを悪魔合体させたような頭部から伸びる凶悪極まりない
ならなきゃいいだけ。別に、戦ったことはあるからな――、
「よっと、」
足下に転がっていた石ころを蹴飛ばし当て、ヘイトを稼ぐ。
赤いネオンサインのように怪しく光る複眼が俺を外敵として認識。
すぐに
こっちを飛んで火に入る夏の虫とでも思っているのか、刺針で
頭上を鋭利すぎる針が通過。自分で選択しときながらタマヒュン。
たたんでいる方の脚で急ブレーキかつ軸に、
伸ばした脚を回した遠心力を活かし、同時に手元でもパルサーエッジをくるりと回転。
背後から飛びかかり、
頭部と胸部をつなぐ関節目がけて、
光剣を振り抜く!
着地するとほぼ同時のタイミングで、
唇を震わしながら息を吐けば、
お~~~といった感じの眼差しで
「はっはっは、見たか。たかが昆虫一匹程度、俺の敵じゃ――」
言葉の途中で、あ、と目を見開いた
……あーあれね。はいはい、よくあるよくある、
「おかわりあざま――――」
大群。
ざっと見積もって百匹以上。
向こうの方からまだ距離はあるものの、確実にこちらに向かってきていた。
……よし、決めた。もう終わり。ここまで!
「さすがに続行不可! よーし、おうち帰るぞ!」
え、経験値たちが来てるよ? と言わんばかりの顔をしている
俺は全力疾走を開始する。
「カンパニーさんが正しいやあああああああああああああああああああつ!!!」
そう、叫びながら。
サム描写たのしすぐる
執筆時BGM: Ash Like Snow / the brilliant green