ルキンフォー・エム   作:來馬らんぶ

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#18 ”Be Bird”

 

 

「…………こりゃあ…………」

 

 宇宙空間から見た時点でも、グラモスAの大地には煙が渦巻いており、尋常ならざる事態が発生していることが察せられた。

 

 そして、それは徐々に降下して解像度が上がるにつれて、確信に変わる。

 

 昼か夜かもわからない暗い世界。

 

 火柱が至る所で上がり、真蟄虫(スウォーム)の赤い目をビーズサイズにし、バケツいっぱい満たして思い切りブチまけたらこうなるという具合には空も大地にも転がっている。対する鎧たちも必死に交戦していることが見て取れ、部分的に押しているエリアもあるようだが、全体からすると明らかに旗色は良くない。こっちは鳥瞰(ちょうかん)できる立場といえど、数が違いすぎる。

 

 縁起でもないことは重々承知でも、黙示録(アポカリプス)審判の日(ラグナロク)、要するに人類最後の日という表現しか思いつかない。

 

 脳裏に(よみがえ)るのはあの女子の言葉。

 

 ――あたしたちは真蟄虫(スウォーム)の巣に向かって、総攻撃を仕掛けるんだ。

 

「もう始まっ「――しっかり掴まってて!!」

 

 舌噛むところだった。

 

 行きと同様、帰りも操縦を担当してもらってるシルヴァ大先生が、声を荒げると同時に、前方に現れた真蟄虫(スウォーム)にこの宇宙艇の主武装であるM25-L “フォトンガトリング”を撃ち込みつつ、ローリングで回避する。

 

 急激なGに歯を食いしばり、絶叫マシンが赤子に思えるレベルで上昇降下(アッペンダウン)が繰り返されチンさむどころじゃあばばばばばばばばばばばば……うっぷ……。

 

 

「――でッ、ゼイン戻ってきたけどどうすんの!? 方針は!」

「あ、安全運転で」

「まだ余裕ありそうだね、よーしならもう一度――」

「ごめんなさいごめんなさい! ウソウソ!」

 

 

 冗談の1つも許されない余裕のない時代が憎い。

 

「例の面と向かって会話が出来たあの女子を探して助けたい! それさえ出来りゃ今度こそ、この星におさらばする!」

 

 俺の見立てだとグラモスBのドーム爆破で見張りの……おそらくカンパニーの宇宙船は気を取られていたんだろう。行きに比べて簡単に戻って来ることができた。まだこのタイミングであれば、混乱に乗じて逃げる勝算も高いし、それに保険も思いついた。

 

「探すって……生体反応じゃダメだから……なんかないの、目印みたいの! それさえあれば、まだ――」

 

 再度ローリング。そしてすれ違いざまに放った光弾によって真蟄虫(スウォーム)が爆散するのが視界の端に引っかかり、口笛を吹く。

 

 あー、段々、俺も脳汁がドバドバ出まくってきて冴えてきたぞ。

 

「あれだ! あの鎧たち、それぞれを番号みたいので呼び合ってた。たしか鎧にもその番号があったはずだ!」

 

「わかった、それでいこ! ――で、その番号は?」

 

「え、」

 

「え、じゃないけど!」

 

 

 

 

 沈黙が生まれ、

 

 

 

 

「え、あ? あー…………え?」

 

「は? 覚えてないの!? 無理じゃん!!」

 

「んなん、あんな一瞬会話してたぐらいで覚えてるわきゃねーだろ! むしろお前のほうがかしこい系だろが、覚えとけよ!!」

 

 逆ギレをかましている場合ではないのだが、いきなりの詰み具合に頭を抱える。あーもー終わったわ。ここまで来てかい。さすがに無理だ、眼下に広がるこの地獄の中でたった一人を探すのは無謀極まりない。どうするどうする。なんつってたんだ、あいつ。あの時。ダメだマジで逆立ちしても出てくる気がしねぇ。マジでどう――――、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A()R() ()-() ()2()6()7()1()0()

 

 

「それだーーーー!!! それだった気がしてならない気がするってばする!! おま、ちゃんと覚えてんじゃねーかよぉ、大好き!」

 

 思わず聞こえた声に振り返って叫び、気づく。ん? あれ、シルヴァじゃねーな、

 

 

 

 

 

 ――え、つか、今の、誰の声?

 

 

 

 

 

「わたしも」

 

「――は?」

 

 後方。そこにいたのは、当然たった一人なワケで、

 

 にわかに信じられず、確認をするように、

 

「今の、……お前か? ――(せい)

 

「うん」

 

 すっぽり自分の座席に収まって、当たり前のように声を発しながら、こくんと(うなず)くお子ちゃまがいる。

 

「き、きぇ、」

「き?」

 

 

 ――キェェェェェェェェアァァァァァァァァァシャァベッタァァァァァァァァァァァァ!!!!

 

 

「え、ナンデナンデ!? お前、しゃべれんの!? え、どゆこと!?」

 

 失敬。衝撃のあまり、片言になってしまった。

 

「しゃべれるようになった。れべるあっぷ」

 

 むふー、と鼻息荒めにドヤ顔ピースサインをする(せい)

 

 いやいや、さすがの俺でも子供の成長ってホント早いのよね~と近所のおばちゃんコメントで流せないんですけど。

 

「――ちょっと今のでいいの!?」

 

「うぉ、じゃねーわ、そうだった!」

 

 今は初めて言葉を(しゃべ)った日を思い出アルバムに貼り付けている場合じゃなかった。シルヴァ大先生助かります。つーかもうそれに(すが)るしかない。

 

「よく覚えてた、(せい)! 言いたいことはいくらもあっけど、今はお前を信じる! シルヴァそれで頼む、

 ――いけるか!?」

 

「フン、誰に向かって言ってんの。私は――いや、――改めて名乗らせてもらおうか、銀狼(ぎんろう)だよ! 面白くなってきたじゃん! 難易度ってのは、高ければ高い方が燃えるしッ!!」

 

 頼もしすぎる発言の後、

 

 メインビジョンに、補助情報ウィンドウが追加され、この戦場のありとあらゆるものに対してスキャンを実施していくように上下左右に光線がなめていく。引っかかったものの情報が目で追えない速度で流れる。AR - 47139 死亡判定、AR - 27990 生存判定、AR - 3398 生存判定、AR - 53935 四肢欠損、AR - 214 心拍低下中...死亡判定、

 

 固唾(かたず)を飲んで見守る他ない。

 

 この状況だ。

 

 最悪の事態はわざと考えないようにしていたが、あの女子がスキャンに引っかからないことや……引っかかっても物言わぬ形での再会だってあり得る。

 

 だけど、

 

 

 ――あたしたちを心配してくれたことはわかったよ。ありがとう。

 

 

 俺は、

 

 

 ――助けたのが、君たちでよかった。

 

 

 あの女子に、

 

 

 ――だから、できる限り遠くまで逃げて?

 

 

 言ってやらないと、

 

 

 ――それ、と、……ううん……いいや、忘れて、

 

 

 気がすまねぇんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――A()R() ()-() ()2()6()7()1()0() ()()()

 

 

 

「高度下げて、ハッチ開けろ!! あそこだ!!」

 

 シルヴァ改め、銀狼に指示し、

 

 俺はシートベルトをはずしつつ、スマホをある画面にして(せい)に向けて放る。見事にキャッチするのを見た上で、

 

 親指と小指を立てた(こぶし)を顔の横で振ってみせれば、親指を立てた拳を返してくる。

 

 不覚にも嬉しくなってしまい、その頭をぐりぐり撫でて、

 

「ちょっくら頑固者を強行採用活動(リクルート)してくるわ」

 

「――ちゃんと、もどってきて」

「そうだよ、貸し溜まってるんだからね」

 

 そんな(せい)と銀狼の言葉に無言で頷き、

 

 

 

 

 ハッチという地獄の釜の蓋が開き切るのと同時に、パルサーエッジを起動させながら飛び降りる。

 

 そのまま前転するように受け身を取り、勢いを殺さず、全速で走り出す。

 

 そこかしこで爆発と羽音が嵐のようなセッションを繰り広げている。鎧たちの断末魔も骨のひしゃげる音や肉のちぎれる音も合いの手のように紛れ込む。進路に立ち塞がる真蟄虫(スウォーム)は倒しきるより、一撃で切り払ってはじくイメージでとにかく進む。

 

 ここは地獄の一丁目一番地、なんてフレーズが頭をかすめる。

 

 気にしたら負けだ。別に死んでもどうでもいい命なんて1ミリも思ってない。裏の事情を知ってしまった今、全員が悲劇の主人公とすら思える。ただ、全員助けたいなんて綺麗事(きれいごと)がまかり通らない場所なんだ、今、ここは。

 

 ただひたすら前だけを見据えて、脚だけを動かすことだけ考えて、

 

 

 ――そして、砂塵の向こうに、見つける。

 

 

 頭にある進行方向および速度とさっきスキャンしたときに見つけた座標が交わったところ。

 

 そこには今にも突進しようとしていた真蟄虫(スウォーム)がいて、そいつを背後から飛び越えるように前方宙返りで真蟄虫(スウォーム)(あぎと)から逆兜割(ぎゃくかぶとわ)りをして両断する。

 

 叩き切ったばかりの真蟄虫(スウォーム)亡骸(なきがら)を踏みつけて、

 

 ――そいつをかばうように立つ。

 

 顔は鎧に覆われ、当然見えない。

 

 それでも、今にも心がくじけそうになっているのが手に取るようにわかった。

 

 だから、

 

 

「――顔わかんねぇけど、

 ――目ぇ開けろ」

 

 

 やっぱり、 

 

 

 

「良い子は悪い夢から解放()める時間だ」

 

 

 言ってやらないといけない。 

 

 

 どんな事情があろうと、

 どう考えていようと、

 どう生まれて、

 どう死のうと、

 

 全部なんも関係ない。

 

 

 ただ俺は星核ハンターとして、

 

 いや、俺の意志で、

 

 

「待たせたな。

 ――――お前を奪いに来たぜ」

 

 

 

 生きたいように、生きているだけなのだから。

 

 

 

 振り返れば、鎧という屈強なガタイに対して、しなを作ってへたり込む鎧がいて、少し面白かった。

 

 

「――な、なんで、 」

「あ? 独断と偏見でここにいるけど?」

 

 あとついでに加えるなら酔狂と猫のせいってとこか?

 

「ち、違います。な、……なぜ、ここに!? 逃げてくださいと言いました!」 

「あーまぁ逃げたっちゃ、逃げたんだけど……会いたくなって戻ってきちゃったっ☆」

 

 ウィンクと横ピースと舌ペロの三点セットを決めてみたけども、まったくウケを得られずに終わる。おかしい、場は死ぬほどあったまってんだけど。

 

「し、信じられない……死にたいんですか! せっかく、生きられた、のに……ッ」

 

「んじゃ、その言葉、そっくりそのまま返すわ」

 

「…………え?」

 

「そんなに死にてぇのかよ、せっかく生きられんのに。ありもしねぇグラモス帝国と、虹の橋を渡っちまった女皇陛下サマのために」

 

「…………え、どう、いう」

 

 そこに、もう一体の鎧が突如として飛び込んで来る。

 

「AR-26710! 無事か!」

「ちゅ、中隊長!? ご無事だったんですね」

「ああ、なんとかな――」

 

 中隊長と呼ばれた鎧は俺をいったん認識した様子だったが、今は1分1秒を争うかのように、

 

「目標がすぐそこに出現した。包囲を突破しろ!」

「――はッ!」

「あ、ちょま、話おわって――」

 

 ねぇ! と叫ぶより先に、2体とも突風のような速度で駆けだしてしまう。そしてそれに(なら)うように、他のまだ辛うじて生き残っている鎧たちも前に向かって突撃し始めた。

 

 事態を理解している暇はない。

 

 俺もAR-26710の背を追いかけるが、脚の長さだけじゃなく、根本的に強化スーツと前世で小学校の時はかけっこ一番だった俺の脚力では埋まるどころか、差が広がるばかりだった。

 

 おまけに真蟄虫(スウォーム)の数も勢いもどんどん増していっている。

 

 こちらも正直、無理をしている。

 

 熱でほとんど皮膚は火傷(やけど)だらけ、口の中は砂まみれ、気管支も悲鳴をあげている。涙が熱で蒸発し渇くので洗い流せないのに、漂う砂埃(すなぼこり)やゴミでただ開けているだけでも拷問のような痛みが続いている。

 

 地獄めぐりの代償は高くつき、いよいよ三途(さんず)の川の真横まで来た気分だった。一歩間違ったら足が滑って、そのまま流されかねない。

 

 心の中で、(いて)(あち)ぃつれぇ(いて)(あち)ぃつれぇ……をひたすら唱えて、

 

 

 ――気づいた頃には、歩みを止めていた鎧たちの先頭集団に追いついていた。

 

 

 

 

 

 

 そして皆が一様に見上げている何かに俺も視線を上げれば、

 

 ――絶望より先に笑いが出た。

 

 

 

 

 

 

 そびえ立つ台地の上から朧気(おぼろげ)に見える輪郭(りんかく)は視界を埋めつくさんとするサイズで、赤い複眼がこちらを(にら)んでいることがわかる。

 

 本能が訴えてくる。

 

 逃げろと。

 

 絶対的な種族差に意志とは裏腹に、足がすくむ。

 

 比喩じゃなく、山が動いている。

 

 あれは。

 

 グラモスBのスクリーンに投影されていた真蟄虫(スウォーム)親玉(おやだま)

 

 

 ――それがまさに圧倒的なリアリティを伴って、顕現(けんげん)していた。

 

 

 更に、冗談のような数の真蟄虫(スウォーム)が親玉の向こうからこちらに飛来してくる。

 

 「――行くぞ」

 

 中隊長と呼ばれていた鎧が、そこの言葉を残し、一歩ずつ前へ歩み出る。他の鎧たちも既に覚悟を決めているかのように、後に続く。

 

 俺は、痛む目をこすりつつ、AR-26710を探す。

 

 ――違う、コイツじゃない。

 ――違う。

 違う――これも違う。くそっ。

 

 確認が終わったヤツから押しのけるようにして進み、結局、先頭の中隊長から数えて2番目――すなわち最後の1体の前へ両腕を広げて行く手を(はば)む。

 

「――お前だけは絶対に行かせねぇ」

「――通してください」

 

 嫌だった。 

 

「行かせねぇ」

「ッ、通して!」

「行かせねぇッ! ――無駄(むだ)

 

 ()にになんてぜってぇ行かせねぇッ! と口にしかけた時、俺とAR-26710の間に、割って入る手がある。

 

「受け取れ」

 

 そして、その――中隊長の手には黒いリモコンのようなものが握られていた。

 

 三次元投影(ホロビジョン)でウィンドウが浮かび、中央には真蟄虫(スウォーム)の親分と思しき分析結果(アナライズ)

 左上に、”SUICIDE BOMBER ATTACK PROGRAM”(自爆プログラム)と表示されたそれをAR-26710に手渡す。

 

「これ、は……」

「合図したら、起動しろ」

 

 不思議と中隊長と鎧越しなのに目が合った気がした。

 

 ――たった一瞬。それだけ。

 

 あとはもう言葉はなく。

 

 中隊長は真蟄虫(スウォーム)の親玉目がけて特攻を開始する。

 

 追いかける形で、他の鎧たちもなんとしてでもたどり着くという鬼気迫る勢いで、大地を蹴っていく。

 

 だが、真蟄虫(スウォーム)たちも通させはしないと、数に物を言わせて覆い隠すように鎧たちに襲いかかる。

 

 1体また1体と真蟄虫(スウォーム)の刺突および炎熱で、鎧たちが(つらぬ)かれ、(えぐ)れ、(けず)られ、(はじ)け、炭化(たんか)する。

 

 やがて、鎧たちの中で共通意識が芽生えたのか。

 

 最前を位置取る中隊長に全てを託すかのように身を(てい)して進路を確保しようとし始めた。

 

 中隊長はもはや振り返らない。

 

 隣のAR-26710は「あ、……あぁ……」と茫然自失(ぼうぜんじしつ)の声をこぼす。全くの同感だ。

 

 後塵(こうじん)肉塊(にくかい)が混じる血路をついに中隊長は駆け抜け、脚部のブースターが発破(はっぱ)する。

 

 親玉の頭上まで一気に飛翔し、

 顔めがけて突貫しようとし、よしっ! と知らず声を出して、いける――――

 

 

 

 

 ――伸びてきた前肢が中隊長の腹部に一切の容赦なく刺さった。

 

 

 

 

 終わ、った。

 

 そう脳が判断を下したのに、中隊長は残された最後の力を振りしぼって、

 

 はじめて、

 

 中隊長は振り返った。

 

 

 

 

 合図。

 

 

 

 

 その無言の意志を受け取り、AR-26710は震える手で、

 

「協定、採択――焦土作戦(しょうどさくせん)。実行」

 

 リモコンのスイッチを押す。

 

 

 

 

 

 が、

 

「え……」

 

 押した。

 

「え、えっ。今、今やらないと」

 

 確かに押したのだ。

 

 それでも何度も押し直す。

 

 繰り返しスイッチを押し込んだのにも関わらず、――何も起こらない。故障によるものか、この激戦によるものか、原因はわからない。

 

 

 だが迷ってる場合じゃなかった。

 

 

「――要は爆発させりゃあ、いいんだな」

 

「――え?」

 

 俺は懐からそれを取り出す。

 

「ちょっと今、目が頼りねーんだ。照準合わせんの手伝ってくれ」

 

「じゅ、銃?」

 

 ちょっとだけ違う。

 

「いーや、こいつは手に握った希望、さ」

 

 思えば、結局使わずじまいだったカフカさんの時以来か。

 

 片膝をついて構え、なおも困惑しているAR-26710に、とにかく後ろから俺の腕を支えるよう伝えて動いてもらう。

 

 この距離だ。

 

 (せい)もシル、じゃねーや、銀狼も、エリオもカフカさんも、なんなら姫子もヴェルトもパムも、みんなごめん。

 

 俺さ。

 

 わりとマジで帰れないかも。

 

「なぁ、お願いもう2つ追加でいいか」

 

「え、は、はい……」

 

「もし失敗したら、一緒に死んでやるから許してくれ。でも、万が一、億が一、生き残ったら、そうだな、年齢(とし)教えてくれ。そんで、

 

 ――今度こそ、一緒に働こうぜ。

 ――お前が必要なんだ」

 

 

 背後だから、首を縦に振ったのか、それとも横に振ったのかはわからない。

 

 

 でも、それで良かった。

 

 

 グッと銃把(グリップ)を握り込むと同時に、銃身が光り、起動が始まる。

 

 

 


Code(コード)N1(エヌワン) 展開(アンパック)

 

 

掌紋認証(オーセンティケイション):本人判定

――Zain(ゼイン)... ... 99.9999999% 一致(マッチ)

――承認(アプルーブ)

 

 

射種設定(モードチェンジ)

――2.極度拡散展開(オールレンジ)

-> 1.極点集中(フルバースト)

――確定(フィクス)

 

 

現象再現記憶弾(メモリカートリッジ)装填(セット)要装填(ヴェイカント)


 

 

 機構をスライドさせ、燃料カートリッジを込め、

 再度ロック。

 

 


―― -> 装填済(アキュパイド)


 

 

 やばい真蟄虫(スウォーム)がこっちに突進してきている。急げ急げ早くしろ。

 

 

 違う、……焦るな。必ず。

 

 


安全機構(セーフティロック)

――解除(アンロック)

 

 

 

――射出可能(ゴーアヘッド)!!


 

 

 間に合わせる。

 

 


詠唱(プログラム)開始(スタート)....


 

 

 砲身が拡張する。

 

 青白い光が収束していく。

 

 

「――敵、来ますッ!」

「――(あまね)く星々よ、」

 

 


現象再現(リアライズ)

 

――記憶(メモリ)星の一生(スターレイル)

 

――超高速演算(アクセレイト) 

 

――完了(レディ)


 

 

「今はただ嘆き、」

 

 

 言いかけて、目が限界を超える。まずい、照準がズレる。――ちっきしょ、

 

 

 

「大丈夫ッ! あたしがいるからッ!!」

 

 

 ――はっ、やっぱお前必要だわ。

 

 

(いた)むといい――」

 

 

 この悪夢を終わらせる時だ。

 

 

「――解き放て!! 巨いなる星は墜つ(ノヴァイレイザー)!!!」

 

 

 一条(いちじょう)の閃光が、

 激痛に耐えるまぶたを越えてほとばしり、

 真蟄虫(スウォーム)の親分と中隊長を貫き、

 

 黒天(こくてん)穿(うが)つ。

 

 

 切り裂くように開けた穴に広がる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 蒼穹(そら)が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 轟音と衝撃。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「絶対蒼穹戦線 グラモス」


執筆時BGM:
・「B-Bird」Earthmind
 私的ホタルのテーマと言ったらこれ
・「KABANERIOFTHEIRONFORTRESS」from 甲鉄城のカバネリ OST
 射撃シーンは大サビでこれを流すと大変脳汁
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