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<チュリ男>
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チュリ男*:やあ、調子はどうかな?
チュリ男*:え
チュリ男*:どうかしたのかい?
チュリ男*:??
チュリ男*:凄い知りたくなかったなそれ!
チュリ男*:勝手にカタカナで意味を広げないでもらっていいかい?
チュリ男*:彼女、昇進したよ
チュリ男*:ほ
チュリ男*:本気で言ってる?
チュリ男*:……
チュリ男*:わかってるならいいさ
チュリ男*:”十の石心”となったことで、今や彼女はエレーナじゃなく
チュリ男*:”トパーズ”だ
チュリ男*:そうだけど
チュリ男*:なんだい?
チュリ男*:もしかして僕の本名が知りたいのかな
チュリ男*:……
チュリ男*:ち
チュリ男*:ちなみに
チュリ男*:それ、彼女にも言ったかい?
チュリ男*:彼女、なんて?
チュリ男*:……
チュリ男*:それ
チュリ男*:それで君は?
チュリ男*:……彼女がこないだめちゃくちゃ荒れていた原因がわかったよ
*名前変更済
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「——あ”~~~、う、生まれる”~~~~」
便所で気張りながら、アベンチュリンとチャットしてたところに、
——それは突然きた。
買い換えたばかりの、しんどい日でも安心なゴツいケースに守られて、もはや
「ふいーーー、
とスッキリした気持ちのままケツを拭き、画面を覗き込めば。
『まだ?』
一言。
送り主は——銀狼だ。
用件なし。前後の文脈なし。句読点すらなし。疑問符ひとつで全てを言い切るという実にエコな文面だった。
うん、
——エコじゃないね、
「っべー……完ッ全に、忘れてたな——」
いやわかるよ。わかるんですけど。
おそらく、このメッセージが意味するところは、これに尽きるだろう。
——『"まだ"なの、いつ返すの?』
俺はスマホを裏返してトイレットペーパーホルダーの上にいったん置く。
「どう考えても、例の”貸し”のことだよなぁ……」
グラモスん時スーパーハカーである銀狼さんに世話になったのは事実で、その恩を返す暇がシロッカだのなんだので、ハイパー忙しい毎日を送っていたせいで忘れちゃってたのだ。ゼインのうっかりさん。
舌打ちをし、
「どうすっかな……」
問題は返すにしても——返し方だ。
どうやって返すかになるわけで。アイツが喜びそうなことねぇ……なんかゲームの課金アイテムなり電子マネーなり送るか? いやいざとなりゃ、あいつ普通にハッキングでやりたい放題できそうだし、
そんなことをぼんやり考えていた矢先だった。
「——ゼイン~」
便所の個室の扉をバシバシ叩きながら向こう側から
「……
「トイレ」
「男子、トイレな」
何、勝手に入ってきてんだ。子供だから許されるってわけじゃねーからな。
「——? 女子トイレうまってるときは私こっちも使ってるよ?」
「はァ——!!??」
思わず水を流し、扉を開けて叫ぶ。
「いや待て待て、なに勝手に使ってんだ!?」
「だって、早くしたいんだもん」
「そういうことじゃねーんだよ……」
ため息をこぼさざるを得ない。たしかに
どうするよ……将来、このまま育ち、自分が顔の良い女子であるという自覚なし、いやひょっとしたら自覚ありで、距離感バグったムーブをかまし周りの男子連中の脳を焼いて回るとしたら、
じゃねーわ、俺しーらね。絶対責任問われてもバックれよ。
「むー、もういいから、早く来て。エリオ呼んでる」
「待て待て……手を洗うから外で待ってろ」
お説教タイムに突入したいところだったが、
卓を囲むように、カフカさんが紅茶を
そして、卓上に視線をずらせばエリオが
「——揃ったね」
顔を洗い終えて、エリオが淡く透き通った目を開く。
「んで、みんな集めて、新しい”脚本”の話か?」
……さて、お次はどんなめんどい”脚本”を渡されるのかと身構えたら、
「いや——まずは、最近みんな星核の回収をよく頑張ってくれてるからね。ありがとうと伝えたい」
意外な言葉だった。
エリオがこういう言い方をすることは珍しい。こいつは基本、脚本を経由して「次はこう」だの「ここへ行け」だの「この人物と接触しろ」だの、指示と情報しか口にしない猫だ。ねぎらいの類は——記憶にある限り、ほとんどない。
エリオの尻尾がゆっくり揺れる。ブルーの目がテーブルの上を
「率直に言って、素晴らしいメンバーが揃ったと思うよ」
……へぇ。
そらおまえ、素直に言うなよな、照れるじゃんか。
と思ったのは俺だけじゃなかったらしく、ホタルはノートに早速褒められたことを書き留めてるし、星は「私がそだてた」と笑っている、いやお前そだてられてる側だから……カフカさんですらも、小さく微笑を浮かべている。
やれやれ、でも、まぁ……不自然だな。
「——その上で、提案がある」
ほーれ、来た。
「今の僕たちには、足りないものがあると思うんだ」
エリオの声のトーンが少し強張る。
「……ボーナス? 休日? ……福利厚生?」
「ゼインちょっと黙ってくれるかな」
小声で合いの手を入れてやったというのに、エリオからぴしゃりと怒られてしまう。
「カフカくん、何かわかるかい?」
「そうね、少し思ってたけど……戦力に
どちらかというと、性別に
「うん、正解だ」
「さっすがカフカさん!!」
シンバルを叩くサルのおもちゃ並に拍手していると、それをじっと見ていたホタルが口を開き、
「た、たしかに、ここにいるみんな、
「その通りだよ、ホタル」
「やるじゃねーか、ホタル」
ぱぁ~~と背後に花が咲き誇っている幻覚が見える程に、ホタルは顔をほころばせる。ついでにペンもめっちゃ走っていた。わぁ……また溜まったら報告会数時間コースだなあれ……。
ぐい、と
「いや、お前何も発言してねーだろ」
「生きてるだけでえらい!」
「はいはい、偉い偉い」
「つまり?」
笑って俺たちのやりとりを眺めていたカフカさんが先を促す。
「——メンバーを増やそう」
カフカさんの目が、スッと細まり、ホタルが小さく息を吸い込むのが聞こえて、星はきょとんとしている。
「——私たちだけじゃ、足りないと」
最初に声を上げたのは、カフカさんだった。
腕を組んだまま、静かに——日本刀じみた切れ味の問い方で。
数秒。
ピリッとした空気の中、猫の呼吸だけがテーブルの上に転がる。
やがて目を開けた時、ブルーの瞳にはさっきまでとは違う光があった。
「ああ、ハッキリ言うとそうだ。これから先の”脚本”は複雑さを増すし、
みんなの視線が一斉にこちらを向く。
……え、……俺?
待って待って、何それ聞いてない。無茶ブリが過ぎるだろ。せめてカンペないと困んだけど。
「そうだな……たしかに……」
間をたっぷり使った言葉を吐きつつ時間を稼ぐ。首から下は滝汗出てるが、まぁ落ち着け、ゼイン。
この思わせぶりな言動がいつものエリオで、さすがにもう身に染みてきてるだろうが。本当に腹ん中で何を考えてるのかは一向にわかんねーが、こいつの発言は大体何かしらの意図があり、かつタイミングを見計らっているフシがある……というより、フシしかねぇもんな。
だとするならだ。今、このタイミングで俺に持ちかけてきたということは……何かしらきっかけがあって、そんでもって、後方、支援…………え、マジ、そういうこと? しかも、俺から言えってこと?
「そういったことに抜群な能力を持った……すげぇいい……人材なら、ちょうど心当たりがあり、まして」
人差し指を突き合わせながら、俺は覚悟を決める。
「——誰? 使えるのその人」
心なしか、トゲトゲしさを感じるカフカさんに、
「銀狼っつー、その……グラモスん時に結構俺をサポートしてくれたヤツで、まぁ凄腕ハッカーなんですけど」
「あー」
と、反応したのは、
「カフカ、ぎんろーはチート」
雑すぎる紹介だったが、一応、俺の援護射撃のつもりなんだろう。くそ、後で
「チートね……、まぁいいけれど」
スンとしてしまったカフカさん。おい、ご機嫌損ねちまったじゃねーか……泣きたい。後で靴なめて許してもらえることを願うしかない。
こうなった以上、話を進めざるを得ず、
「——けどよ、エリオ。
「聞いてみればいいさ」
エリオに言われるままに、俺は『まだ?』に、対して『お前、今、どこいんの?』と返信すると、
2秒と経たずして、
——
それをスターピース・マップに打ち込むと、惑星名が表示される。
「パンク……ロード?」
「——ということだ、行こうか」
尻尾を立てて、卓から飛び降りようとするテンポ良すぎなエリオに俺は待ったをかける。
「え、行こうかってお前も来んの?」
「たまにはね、みんなで行こうじゃないか」
そういうことになった。
かくしてファミリアみんなで、パンクロードなる惑星に移動中の船内でーす。
カフカさんが
エリオがわざわざ同行するということ自体がレアなわけだが、当の黒猫はなんか背もたれの上を悠々と歩いて最高地点を確保していた。猫って、なんでか高いとこ好きだよな。
ちなみに、カフカさん。まだ様子を窺う限り、スンとしたまんまだ。やばいよやばいよ。
一応出発前に「カフカさん、あの、銀狼はほんとに腕は確かなんで——」とフォローを
「ふぅん」の3文字で片付けられた。ふぅんて。俺のマインドがクラッシュするかと思ったわ。
それもこれも、エリオのやつ、絶対わかっててあの場で俺に振りやがったな。自分の口から言えば提案で済むものを、俺に言わせることで「ゼインの推薦」という形にした。結果——つまりカフカさんのご機嫌斜めの矛先が俺に向いてしまった。
あのクソ猫……。
と、恨めしい目で背もたれの上を
「——ホタルくん」
「は、はいっ」
背筋がピンと伸びる。
「力を抜いて。別にぼくはあなたの敵じゃないよ」
「……はい」
力を抜こうとして、逆にぎこちなくなっている。典型的なやつだ。エリオが小さく喉を鳴らした。
「さっきの——よくわかったね」
「え……?」
「後方支援が必要だって気づいてたこと。自分の言葉で言えたこと。——あれは、ゼインでもカフカくんでもなく、ホタルくん自身の経験から出た言葉だろう?」
ホタルの目が丸くなった。おなじみのノートをぎゅっと握る。
「あ……あたしは、その、ただ、思ったこと言っただけで……」
「うん。それがいいんだよ」
エリオは目を細める。
「あなたは、楽しい?」
「……え?」
「この毎日が」
予想外の角度の問い。ホタルが口をぱくぱくさせて、しばらく黙り込んだ。膝の上のノートを両手で握ったまま、何かを探すみたいに視線が泳ぐ。
「……楽しい、と思う。たぶん」
「たぶん?」
「まだ、よくわかんないことが多くて……でも、わかんないことがあるのが、楽しい……のかも、しれないって」
でも、とそこで言葉を一度止めて、
「グラモスにいたら、あのまま
「——いい答えだね」
今度はエリオが言葉を止める番で、
「大丈夫さ。あなたは、今、しっかりと生きているよ」
ホタルの耳が赤くなるとこまで確認して、俺はエリオが上司ムーブを続けるのを目で追う。
ホタルから離れたエリオは背もたれの上をてくてく歩いて、今度は
星は窓の外をぼーっと眺めていたが、エリオの気配に気づいてくるっと振り向く。
「なに?」
「やぁ、
「ねーねー、エリオさ、ぎんろーがもしもなかまになったらさ」
「うん」
「——”ねぐら”、せまくならないかな?」
……なんとなくだが、その
そういうことじゃなく、
エリオの尻尾がゆらりと揺れる。
「——大丈夫だよ。"ねぐら"は、思ってるより広いから」
「それなら、たのしみ!」
ふと、操縦席のカフカさんの背中が目に入った。
背筋がすっと伸びて、肩の力は抜けていて、操縦桿を片手で軽く握っている。いつまでも眺めていたくなるような完璧なシルエット——なのに。
気のせいじゃなければ、耳はきっとこっちの会話を拾っている。
と考えている途中で、エリオが猫にあるまじき
「カフカくん」
「——最後は私?」
「うん——あなたの
「…………」
「この場所に新しい誰かを入れることの重みは、わかっているつもりだよ。だからこそ——ぼくは保証する」
カフカさんの
「
いや、誰だよ。
「……エリオ」
「うん?」
「保証するのは勝手だけど、——私が見て、ダメだと思ったら連れて帰らないわよ」
「もちろん」
エリオが即答した。
カフカさんが小さく——本当に小さく息を吐いて、操縦桿を握り直した。
「……到着まで少しあるわ。誰かさんの相手でもしてあげたらどう?」
あ、これスン期、終了じゃないですか。よくやったぞエリオ!
「——ありがとう、カフカくん」
そうして、俺は胸をなで下ろしつつ、窓の外に目をやった。
船内では、カフカさんがコントロールパネルを操作する音、
俺含めて4人と1匹。
シロッカで出会ったビョルンとソニア
なのにどんな
前の人生でもロクでもねー環境、こっちの人生でもスタート地点から1人だったわけで、本物なんてものがわかるわけじゃない。
それでも——この船の中の空気は、悪くない。
窓に映る自分の
ポケットの中でスマホが震えた。
浮かぶメッセージは、
『おそい』
『まだ?』から『おそい』に進化してる。イラおこゲージは時間経過と共に着実に上昇しているようだった。
俺は『全速前進中』とだけ返信して、スマホをしまうと同時に膝の上に乗ってきやがった黒猫を
そして空いてる手は、
★ ★ ★
惑星パンクロード。
着陸して船を降りた瞬間、
視界を埋め尽くす——
ネオン、ネオン、ネオン。
見上げれば空なんてものはとっくに看板とケーブルの密林に食い潰されていて、代わりにこの星の"空"を務めているのは、ビルの壁面にべったり貼り付いた巨大
足元を見れば、
そこかしこから飛んでくる音。重低音のビートが地面を這い、頭上のスピーカーからは聞いたことのない
全部が同時に鳴っていて、全部が全部を
一言を重ねて言えば——うるさくて、明るくて、汚くて、最高にクールな——要するにサイバーでパンクな星ってわけだ。
「へぇ……」
マップで確認した際に上がっていた口コミは読んだが、百聞は一見にしかず。想像の300倍はカオスだ。
「ゼイン、
ホタルに指摘された。やべ、まるで自覚がなかったわ。しかも
「すごいね……」
かく言うホタルも圧倒された様子で周囲をせわしなく見回していた。
唯一カフカさんは——涼しい顔だ。ネオンの光が紫色の髪に反射して、なんかもう、えらいことになっている。美しすぎてこのケバい星といえどちゃんと背景にされてしまってますよ、ほほほ。
エリオはカフカさんの足元あたりを歩いているが、この星に対して特に思うところはないらしい。
さて、ここから銀狼に連絡して、合流——
スマホが着信を
手間が
「着いたんだ。じゃあ早速始めよう、ゲーム」
「…………は?」
ゲーム?
今から会うんじゃねーのかよ。合流ポイントとか、待ち合わせ場所とか、そういう段取りの話でしょ、まず。これだから年下って困るわ~。
「ゲームって何だよ。つかわざわざやってきたんだぞ、会おうぜ普通に」
「やだ」
やだときた。
「お前な……こっちは貸しを返しに——」
「知ってるよ。だからその貸し3つをかけたゲーム」
「意味わかんねーよ……つーか水増しすんな、貸しは2つな?」
「3つ」
「2つだろ。
「3つ!」
「だから何が3つ目なんだよ。教えろって」
「だが、断る」
なんだこいつ。怒ってんのか? 理不尽にも程があるだろ。
うんざりとした気分を隠さないままに、
「あのなぁ……ゲームって何すんだよ」
数秒の間。
いつもなら即レスしてくる銀狼にしては珍しいタメだった。
やがて——声の代わりにデータが送られてくる。
テキストじゃない。
マップだ。
パンクロード全域を映した3Dマップが送られてきて、再びスピーカーが音を発する。
「かくれんぼ。鬼はそっち。フィールドはこの星全部。制限時間あり」
かくれんぼだぁ?
こいつ……本気で言ってんのか。星ひとつ使って、かくれんぼだ?。範囲広すぎるだろ。
呆れるのと感心するのが同時に来て、返す言葉を探していると、
——頭上で、何かが弾けた。
見上げる。
街の中心にそびえるビルの壁面。さっきまで意味不明な広告が流れていた巨大ディスプレイが、一瞬ブラックアウトした後——
画面いっぱいに、カウントダウンが刻まれた。
120:00
まだ動いていない。開始前の表示だ。つか、短けぇ!?
その下に、添えられているのは、
『劇場版 銀狼 vs 星核ハンター
——かくれんぼ in パンクロード』
街を歩いていた人間たちが足を止めて、ディスプレイを見上げている。何事だ、イベントか、と声が飛び交う。
あのバカ——街のインフラをハッキングしやがった。
スマホから再び声。
「あ、言い忘れてた。この街のカメラもドローンも電光掲示板も全部私が使うから。そっちは好きにしていいよ。時間内に私を見つけられればそっちの勝ち、パーティメンバーになってあげる——そして」
付け足すように、
『もし時間切れになったらそっちの負け
——ゼインさ、その人たちから乗り換えて、私とパーティー組んで、面白いもの探しに行こうよ』
画面を見つめたまま、俺の思考が一瞬止まった。
勝てば、「銀狼が仲間になる」。
負ければ、「俺が仲間にさせられる」。
——つまり、見つけられなかったら、銀狼が俺を連れていく。とんだ逆勧誘だ。
ほへーなるほど、と理解が追いついた瞬間——背中がゾワッとした。
「——へぇ」
振り返らなくても、わかった。
カフカさんの声だ。お仕置きブリザードモードの……これ、一番やばいやつ。
「見つけられなかったら、うちのポチくんを連れていく、って
——そういうこと?」
「い、いや、あのですね、これは銀狼が勝手に——」
「ゼイン」
ホタルの声。こっちも——いつものどこか遠慮のあるおずおずした感じが、
「あたしたちのゼインを、
——連れていくって言ってるの? その人」
あたしたちの、ゼイン。って何事、急にシェアリングサービス化しないでもらっていい?
「——ゼイン」
星もまた、
いつの間にか俺の真横に立ち、ビジョンを見上げており、
「——負けたらゼインいなくなるの?」
目が、笑ってない。
こいつが笑ってない真剣な目をするのは——かなり、珍しいことで。
どこからともなく俺のあげたバットを抜き取ると地面にバウンドさせ、手元で1回転させてからキャッチする。なに今の
「——それはやだ。やだったら、やだ!」
「い、いやいやいや、みなさーん。かくれんぼだぞ? ただのゲームだろ? な? エリオもなんか言ってくれ——」
助けを求めてボス猫を探す。
が、
エリオは近くのベンチの上にちょこんと座って、くぁとあくびをしていた。
「相変わらず、面白い子だね」
それだけ言って、目を閉じてしまう。
おい。
「ぼくはここで待ってるよ。——がんばれ、みんな」
はい、動く気、ゼーロー。
こんにゃろ最初から知ってたな。銀狼がこういう仕掛けをしてくることも、俺たちに提示しなかったがおそらく——全部、脚本の中だ。
俺以外の3人が3人とも、静かに——でも確実に、スイッチが入っていた。
カフカさんは刀を抜き、ハイライトオフの目だけがネオンの街を
ホタルは既にエリオによって作られたデバイス型の起動キーをスライドし、SAMを展開している。
「…………なんでみんなそんなやる気出してんの?」
いや再三言うけど、かくれんぼだよね?
そんな何故か俺だけが泡を食っている状況をよそに、
カフカさんが、急にサブマシンガンを抜き放ち、街灯の上でこちらを見つめていたカラスを撃ち落とす。ものの見事に火花をあげながら
ばら
どうやら、俺たちはそれでもって見られていたらしい。
そんな哀れなカラス君をわざわざ踏みにじってカフカさんは、
「——あまりナメたことを抜かさないで。
——おチビちゃん?」
「——へぇ、面白くなってきたじゃん、
——おばさん?」
——おま、なんつぅことを言うんじゃ——
ビルの巨大ディスプレイから爆音が響き、そちらに目をやった瞬間——
カウントダウンが、動き始めた。
119:59
119:58
119:57——
てなわけで、各位お待ちかねのスーパーハカータイムです
⇒出力65%
執筆時BGM:「RPG」School Food Punishment
■作者注
えー本話には宇宙船で移動するシーンがありますが、
こちらはスウェットにク□ックススタイルでイオ○や、ら○ぽに、ヴェル○ァイアまたはアル○ァードでペット連れて向かっているわけではありません。
読んでてひょっとしてこいつらは……と思うことがあってもです。
幻視しても、読者諸賢のPCスマホは正常です。